「岩井俊二監督の佳作」キリエのうた たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)
岩井俊二監督の佳作
ユナイテッドシネマ浦和にて鑑賞🎥
「円滑に話すことは出来ないけど歌は歌える女性」を軸に据えて様々な人間模様を描いているのだが、時空が現在と遠い過去・近い過去など行ったり来たりするので、最初は「何これ?」と戸惑う。
しかし、約3時間の本作を観ていくにつれて、「お~ぉ、そういうことか!」と次々とエピソードがリンクする素晴らしさが光る岩井俊二監督作であった✨
よく通る新宿駅南口で“キリエ”という路上歌手(アイナ・ジ・エンド)と過去と名前を捨てた女性イッコ(広瀬すず)が出会うところから始まる。
この時の広瀬すずの髪が「綾波レイ」や「アデルブルーのレア・セドゥ」的な“ブルーの髪”なのが素敵な感あり。萌えたりするわけではない…😄笑
十勝での子供時代、大阪弁を喋る黒木華と子供の風景から「これは大阪場面?」と思える場所、石巻や仙台での震災エピソード、そして現代……と時間軸や場所が次々と変わるので「これも最後には繋がるんだろうな…」と思って観てしまう(^^)
また、黒木華って大阪弁上手いなぁ~と思ったら、大阪出身だったのか。本作も『リップヴァンウインクル…』など岩井俊二監督作の常連として出演していると思ったら、適材適所だったようだ。
さて、肝心の「キリエの歌」については、1970年代からずっとHR/HM好きな自分には、アコギで歌われてもチョット乗り切れない曲が多かった(^^;
また、アコギでカポタストを使うのも好きではないので気になったところ。
ただ、監督の世代から選ばれて劇中で歌われた昭和の曲の数々……久保田早紀の『異邦人』、由紀さおり『夜明けのスキャット』、オフコースの『さよなら』は、耳に馴染んだ曲だったので良かった。特に『異邦人』はシングル盤EPを買うほど好きだった曲なのでナイス‼️🙂✌️
あと登場人物がとても多いが、岩井俊二監督は「人間関係を明確に描こうという意図はなかった」みたいで、チラリチラリとベテラン俳優が次々と登場する不親切さはあったものの、このあたりは大雑把で良かったのかも知れない。
なかなか素晴らしいドラマを見せてもらって、「やっぱり岩井俊二監督作は上映されたら観に行くべし!」と再認識させられる佳作であった🎥✨✨
<映倫No.124070>