「「声が出せません」と台詞で言ってる時点で設定の甘さにダメって思った」キリエのうた たくろ~。さんの映画レビュー(感想・評価)
「声が出せません」と台詞で言ってる時点で設定の甘さにダメって思った
冒頭、話しかけられてメモ帳に「声が出せません」と書いて見せておきながら、かすれた声で「声が出せません」ってかすれ声で発声している時点で「あ、むりかも」と達観しました。普通に喋れてますよネ?設定の緩さ。それが徹頭徹尾、一事が万事で。
ラストシーンを鑑みるに、これはルカとイッコの友情物語なのか?その割にイッコが退場してる時間長くない?だとしたら帯広編でもう少し友情育んだ描写を入れたほうが良いし、東京で再会してからもエピソードが弱いし、そもそも偶然新宿で再会するのか?それを言ったら映画もフィクションもファンタジーも成りたたないので、まぁよい。
終盤のフェスのシークエンスはとても酷い。岩井監督お得意のわかりにくいジョークなのかと思ったが…。そもそもあの物販に積極的な彼はちゃんとしたミュージシャンじゃなかったのか?単なるストリートミュージシャンだったのか?あの世界の業界のパワーバランスがよくわからなかった。無許可でフェスをやってキッチンカーまで呼んでいたのか。許可証に無断着で「あれ?お前持ってる?」みたいになるのか。なんでそこにイッコを追ってるはずの刑事が見物しているのか。イッコを追えよ。別の場所で刺されてるぞ、おい。
なんというか。おっさんが若者らしさを意識して言葉とか服装を若者に寄せてるあの感じ?それを感じました。「あちゃー、あぁなりたくない」と。雪の上歩くのも、それを俯瞰して取るのもお家芸なんだけど、もういいよって少し思った。
物語に引き込まれる要素って登場人物に感情移入できるかが大きいと思うんですね。大抵、その役は主人公が担うわけです。もしくは、主人公は地味だがカリスマ性の在るヴィランが出てるとか、等身大の有象無象の群像劇で「わかる!」ってのが必須でありまして。どうしても主人公のルカには共感できず。歌もうまいっちゃうまいけど個性的方面の属性で、かつそんなにカリスマ性を感じなかったし、演技のほうもなんなら子供時代を演じた子のほうが良くて、更になんならもともとこの子ありきの映画で面影の在る女優さんが居なくてアイナ・ジ・エンドさんに白羽の矢が立ったのではと邪推した。