PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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東京✖️ロードムービー✖️ヴィムベンダース✖️役所広司
繰り返される日常。
役所広司の眼差しは
あまりにも優しく悲しい。
音楽が美しく物語を捕捉する。
良い映画です。
木漏れ日と溶け合う陰影
冒頭の風にそよぐ樹木の映像。まずその映像に胸を打たれました。
東山魁夷の絵画のような深く甘い緑のその色彩は、朝日が昇り始める前のまだ輪郭がはっきりしていない光に溶け合いながら、静かに揺れ動き、やがて主人公のもとに届けられることとなる「木漏れ日」のために、整斉とそして黙々と準備をしているようにも見えました。そして平山の静かな、豊かな一日が始まるのです。
映画は淡々とした日常を追ったものなのですが、私は、誰もが絶賛するラストだけでなく、この冒頭シーンから何故か目頭が熱くなり、最後まで1秒たりとも眼をはなすことができませんでした。
映画「パリ・テキサス」で、確か弟が、放浪する兄トラヴィスを迎えに行く車から眺められたアメリカ・テキサスの空。地平線近くは黄金色に染まっているが曇天部分の面積のウエイトが圧倒的に大きいあの空・・・この作品冒頭の東京の空は同じ色に染まっていました。
平山やニコの中にある心の闇や不安、哀しみの全貌は何も明かされることはありませんが、彼らとトラヴィスの心象風景は、双方の映画の冒頭の空の色が象徴していたように思います。でもこの作品のそれらは夢の中で木漏れ日と溶け合い一遍の陰影のある音楽や絵画となって、その豊かさを結実させているように思いました。
「ああきれいだな」
平山と同じように空や木漏れ日をみあげ、そう思うことが多いです。でも何気ない日常が美しいと思っていても、それを自分で写真や映像で撮ってみると、陳腐なものになってしまうことがほとんどで、がっかりします。しかし、この映画の映像や音は、主人公の微妙な心情の変化とともに、その美しさを奇跡的に余すところなく伝えているように思いました。カメラや音響の技術的な卓越さなのか、その理由はよくわかりませんが「これだ。この感覚だ。」そう思いました。
素晴らしい映画でした。
本当にいい映画なのに! 「トイレの清掃」というせっかくの舞台背景が渋谷区のプロジェクトのせいで、「ただの上辺だけのオシャレでキレイな映画」になりかねない残念さ。
「トイレの清掃」を仕事にしている老齢で独り身の男の変わらない日常、変わらない毎日。
しかし、少しずつ小さな変化は毎日ある。
まるで木漏れ日の光と影が、一瞬ごとに違うように…。
この大きなことが何もないように見えるシーンの連続が大事な映画。
そこに「響く」人もいれば、何も起きない退屈でフランス映画風のスカした映画と思う人もいると思う。
それでいいと思う。
自分には深く響いた。
別にわかった風を気取るつもりもありませんが。
特に役所広司の表情を魅せる長回しのカット。
本当に難しいと思うが、よく、よく味わった。
主演の役所広司がエグゼクティブ・プロヂューサーを兼ねて、あのヴィム・ヴェンダースと組んで、納得のいく作品作りに動いたのも効いていると思う。
日本の役者も、もっともっと自分が演じたい作品を創るためにアクティブになっていいと思う。
その方が絶対面白い!
但し、惜しむらくは、「トイレの清掃」という、せっかくの舞台背景が、渋谷区のプロジェクトのせいで、「おしゃれできれいな映画」になってしまった残念さ。
もっと普通の誰もが見かける公衆トイレもたくさん出さないと、リアリティがない。
別に、汚いところを無理に見せる必要はない。
普通のトイレを清掃しているシーンをなぜ出さないのか。
何をカッコつけてんだ。
そんなにカッコイイキレイな部分だけを見せたいのか。
だから、役所や大企業が関わるとろくなことはない。
本当に台無しにしているという、凄く分かりやすいことになぜ気づかないのか。
皆、全力でいい映画を創ろうとしているのに!と怒りが込み上げてきた!!
Velvet Underground & Nico
ヴィム・ベンダースの代表作、最高傑作となるでしょうね。
我々日本人にとっては特に。
パリ、テキサスや天使の詩とか超えてるねこりゃ、と思う。
ルー・リードのPerfect Dayから着想してる作品っぽいけど、歌詞の最後で繰り返されるYou're going to reap just what you sow (自分の蒔いた種は、自分でなんとかしないとね)というのを考えると、過去に何か大きな失敗をして、それでも今は慎ましく真面目に日々を生きる、という感じなのかな。
Perfect Dayの歌詞全体からみても、きっとそうなんだろう。
ルー・リードはPale Blue Eye、パティ・スミスはRedondo Beach、キンクスはSunny Afternoon、を選んでいるあたり、センスありすぎる。
最後の長回しのところでかかる、ニーナ・シモンのFeeling Goodの歌詞も曲調もシーンにフィットしまくりすぎていて、選曲の妙は唸るしかない。
あと、役所広司の姪っ子役の名前がNicoっていうのが、分かる人は笑ってしまうポイント。
多分Nicoって名前じゃないかな、と見ながら思ってたら、ほんとにNicoだったので、声出して笑ってしまった。
20231229 豊洲ユナイテッドシネマ
美しい作品
とにかく説明がない。でも理解できてしまう。
同じことの繰り返しが人生。でも日々の中、少し変化がある。それはほんの些細な事。例えば、通勤中の見慣れた景色、いつもすれ違うわんちゃんを散歩する女性がいなかったり、ジョギングするお兄ちゃんがいなかったり、あれ?とは思うけど、それ以上に思うことはない。でも次の日に見かけると、何故かホッとしてしまうような。
平々凡々たる日常が続く。その中に自分だけの楽しみがある。それは他の人には理解できない。
生きてること自体が素晴らしい、そんなことを思わせてくれる作品でした。
余談ではありますが、劇中にでてくる代々木公園付近のトイレ、代々木八幡のトイレは今では綺麗ですが、改修される前はお世辞にも綺麗と呼べるものではありませんでした。そして、清掃員さんが日々綺麗にして下さっていることに、心より感謝致します。
淡々と日常を、、、外国人向けかな
淡々と日常を描かれています。フランス映画っぽいかも。淡々とし過ぎていて私にはちょっと難しいのかも知れません。
結局何も起こらない?とか思ってしまった。
過去に何が?
腕時計はなぜつけない?
駅の改札に何が?
とかいろいろと想像してしまいました。
ただ、最後の長わしの表情オンリーの演技は凄いね。さすが役所広司というところ。
東京の孤独がテーマなのかもしれないけど。
心に残るのは、都内の公衆トイレって凄いな。ぜんぶ行ってみたいとは思いましたが。
外国人から見ると、「東京」のいろいろな風景が見られるのでその価値があると思います。
日本人の私から見れば、ニューヨークやパリとか、アジアの都市とかだったらその分ワクワクするのかも知れせんが。
「足るを知る」
平山は、自分のいつものルーティンの生活で、幸せで完璧な日々だったはずなのに、他者との関わりの中で、自分に足りないものに気がついてしまって孤独を感じてあのラストシーンだと思いました。つまり私にはバットエンドに感じられました。
その逆のハッピーエンドに感じる人もいるようですね。
この映画は、見る人によってどちらがPERFECTDAYSなのか違うようです。
そういう映画は好きですり後味はとても良いですし。
観たその夜や次の日まで余韻が続く。岩井俊二の映画みたいですね。
ブラウンアイドガールに感激
淡々と日々が過ぎていくのに
一つ一つの出来事が
とても愛おしく思えてきました。
カセットテープ、フィルムカメラ、
植栽、銭湯、電気シェーバー、
文庫本、缶コーヒー...
それらアナログ的なアイテムと
最先端をいく仕事場とのギャップも面白い。
役所さん扮する主人公が住む
アパートの一室というと
まったく違う男の人生だけど
映画「すばらしき世界」を思い出しました。
同じような結末にならないで!
と密かに思いながら観ていました。
思い入れの深い
ブラウンアイドガール
が劇中で流れた時には
思わず歌いそうになりました。
It’s an amazing movie 🎥
とても心に溶け込みむ映像作品でした。
人生の終盤で目を背けることが出来ない孤独と老いに対しカンヌ男優賞を取られた役所広司さんが淡々と向き合い続ける姿にもってかれました。
I recommend this movie!🎞️
人はどう老いればいいのか
人間は必ず死ぬのだから、それを常に意識し、
悔いのない毎日を送っていれば、
死が迫ってきても、ある程度は受け入れられるので
はないか。平山にとっての毎日はそう言う意味でPERFECT DAYSなのかもしれない。
同時に平山が夜のしじまに見る走馬灯のような影像は、満足した日々の証なのではないか。だから彼は朝ほくそ笑むのではないのか。
また夢中になることを見つけることで孤独ォ忘れる事が出来ること表現していると想う。
聖人かと思いきや人間味に溢れた平山さん
ヴィム・ヴェンダース監督 × 役所広司さん
公共トイレの清掃員・平山の規則正しい日々のルーティーンをとらえる序盤。プロフェッショナルな仕事ぶりと雑味を排除した聖人のような生活に何故か違和感を覚えた。
規則正しい反復にジャームッシュの「パターソン」を思ったが、そこにあった多幸感はここにはない。
一人で生きていた何年かを思った。
パティ・スミスにルー・リード。
聖人ではない予感が。
中盤からの揺らぎにシンパシーを感じた。
ラストの泣き笑いに救われた。
無様な過去や些細なことに動揺する未来が見えた。
そう、彼は聖人ではなかった。
電通プロデュースの"禅ムービー"
さすが天下の電通プロデュースということもあり、世界一撮影許可が降りないと言われるここ東京で、巨匠ヴィム・ベンダーズによる長編映画が公開されることになるとは思わなかった。
昔の話だがあのイギリスの巨匠リドリー・スコットでさえも「ブラック・レイン」の撮影で東京を断念し、大阪にロケを移したことでも知られるくらい東京は許可がおりない。らしい。
そんな中本作は電通とユニクロのファーストリテイリング社と渋谷区による「THE TOKYO TOILET」という今時の言葉を使えば公共トイレのアップデートを行うというプロジェクトの一環として企画された。
トイレ掃除というどの映画でも金持ちの考える底辺の仕事は"これ"と言われる仕事に従事する中年の男の日常をドキュメンタリー風に追っていく。
首都高速など誰もが日頃目にする風景がヴィム・ベンダーズ演出の下映し出されるのは感慨深いが、肝心のトイレがカッコよすぎ、綺麗過ぎて、不自然なほど汚物や吐瀉物の描写を避けているように感じられ違和感があった。
"木漏れ日"という日本語にしかない自然と影の捉え方の説明がエンドロール後に入るように、本作はいわゆる日常の影に生きている人に目を向けるような映画になっている。トイレ掃除はもちろん、主人公以外誰の視界にもはいらないホームレスなどがそれだ。
しかし、主人公は根っからの貧乏ではなく、家柄の良いお坊ちゃんが自らあの生活を選んで暮らしているということが後半わかってくる。ルーティンをこなし、ミニマルに質素に暮らしていく。しかし読書などの知的な活動は継続する。
まさに禅マインドのそれであり、物や情報に溢れ、日常に退屈した富裕層が飛び付きそうな暮らしである。
いわゆる“小津ショット"と呼ばれる無人の風景ショットや構図、音楽のチョイスに彩られ、最後の役所広司の演技でトドメを指す。
ドイツの巨匠を呼び、狙い通り日本人俳優にカンヌ国際映画祭で最優秀主演男優賞をもたらした企画力と実現力は素晴らしい。
この映画は主人公のセリフがほとんどない代わりに主人公の周りの人間が喋ったり、主人公の背景や考えを投影するような登場の仕方になっているのは非常に文学的だ。ここはとても好きだ。
木漏れ日のように日常とは同じように見えて、同じ瞬間は一度もない。毎日が新しい。だから、毎日大切に生きようというメッセージは禅ムービーの締めくくりに相応しい。
完全なる仮想現実を体現して受け止めた魂とは‼️❓
役所広司は昔、東京都庁千代田区役所で土木工事の仕事をしていて、まるで役に立たなかつたと、本人が回想している。
多分、便所掃除をしても手抜きだろう、多分、自分の家の便所掃除もしたことがないだろう。
映画の便所掃除も、綺麗で匂いも無いところでしている。
でも、演技は、リアルを超えて、真実以上のものを伝えている、少なくともそう感じさせる。
彼と、同年代だが、ほとんどは、病気に苦しめられ、今を生きるのが精一杯なのだ。
でも、役所広司自身は、無病息災、なんの苦しみも、生活難も無くて、これが演じられる天上天下唯我独尊なる役者なのだ、鈴木亮平のような綿密な下調べも無くとも、演じられる天才なのだ。
ドイツ人監督の夢想で描く日本はそれでも、理想の世界なのだ、このような静寂が、虚無ですら素晴らしい、日本人はそれを誇らしく思うでべきかもしれない。
無垢で無臭なる便所掃除と、静寂なる文化住宅にこそ、天才役所広司が演じるところで、高邁なる精神が宿るのかもしれない。
これが、映画の真実なのかもしれない。
自分の限界と、世の中の無常と、映画の真実を知るために、是非。
何だコレは
調べたら時給1200円くらいだった、軽とは言え都内で車所有。
年収、貯金、家賃、生活費なんか考えたけどなんだコレは。
コレは全てが上手く行った時の俺の人生じゃ無いか。
あそこまでの年齢じゃ無いし収入ももうちょい有るけど多分貯金は似たり寄ったりだ、
でも俺が望む幸せがあそこに有るじゃ無いか。
まあ、あの年齢でも働かなきゃいけない日本の政治的問題、渋谷の公衆トイレだぞ、実際は絵にすら出来ない汚物、ヤカラ利用客と戦っているんだろうな。
でも理想的な幸せが描かれてる。
古本屋で100円くらいの棚を漁り、俺ならゴルゴの32巻くらいだけど。
銀塩現像を店で受け取り、2400円くらいで終えそうな安い飲み屋を仕事帰りに。
人生の一度か二度ほど下北系サブカルクソ女に興味持たれる。
もう最高じゃ無いか。
役所広司はグチすら言わず人に子供に優しく、まるで神のように善人だからこそあの人生が得られたんだろうな、人の思いには人の心しか響かないじゃん。
この映画色んな音楽が流れるけど全部カーステなんよね、エンジン止めれば音楽も止まる。
でも石川さゆりのとかもう曲終わりは外のシーンだったりすんの、劇中歌の全ては全部彼の頭ん中で流れてるんだろうな。
ステキじゃん一つの歌をそこまで愛してんだぞ。
うん俺もあそこに届くおじさんになるぞ、だから善人になるんだ、正しさ優しさに勝る物は無いとこの映画が静かに大きく物語っている。
日常のありがたさ
これ・・・すごい。
毎朝毎朝、ほうきで掃除する音に目が覚め、
髭の手入れ、植物への水やり、自販機でコーヒーを買い車に乗り込む
といった、ルーティン化した日常を過ごす、トイレ清掃マンの主人公。
お昼はいつもの場でサンドイッチを食べ、木漏れ日をカメラで撮影。
仕事の後は、銭湯にいって、いつもの飲み屋で一杯、家に帰ると読書。
休日はコインランドリーでお洗濯、カメラを現像に出し、
新しいフィルムと現像された写真を受け取る。
そして古本屋で次の書籍探し、それからバーで飲んでみたり。
淡々とした日常なんだけど、姪っ子や妹、その他いろいろな人とふれあい、
少しずつルーティンに変化はあれど、ペースを崩さない。
寡黙でほとんどセリフもなく、これだけの演技、表現をする、
役所広司さん、すごすぎです。
優しそうな笑み、黙々とトイレ掃除をする姿、しかもめっちゃきれいに。
カセットテープ、未だに車で聞けるのだろうか。
デッキ売っているのかな。
◇ Oh it's such a perfect day
ロードムービーは、旅の途中で起こる様々な出来事、出会う人々、偶然の出会いそのものを物語にする手法です。画面に繰り広げられる風景の変化の中で、人がそれぞれ抱える「疎外感」をテーマとしていることが多いです。
この作品は、一人の男の変わりなく規則正しく繰り返される日常生活を、微細なまでに細部にこだわって丁寧に描いています。旅の醍醐味である風景の変化を日常の中の些細な変化に置き換える形でロードムービーを形成しています。
砂漠のハイウェイを走り抜けるオープンカーのアメ車(「ナチュラル・ボーン・キラーズ」、「トゥルー・ロマンス」、「テルマ&ルイーズ」)は、曲がりくねった首都高を走るダイハツ軽ワゴンに置き代わっています。カーオーディオから流れる曲をそのままサウンドトラックとして用いるのは古典的な技法です。
♪朝日のあたる家 (浅川マキver. )🎤石川さゆり 🎸あがた森魚
♪The House of the Rising Sun
🎸The Animals
♪Pale Blue Eyes 🎸The Velvet Underground
♪(Sittin' On) The Dock of the Bay 🎤OtisRedding
♪Redondo Beach 🎸Patti Smith
♪(Walkin' Thru The) Sleepy City
♪青い魚🎤金延幸子
♪Brown Eyed Girl 🎸 Van Morrison
♪Sunny Afternoon 🎸 the Kinks
♪Feeling Good 🎤 Nina Simone
場面場面の男の気分に左右されるように流れる音楽の心地よさは、この作品の魅力の一つになっています。
他に男が好きなものは、ベランダの鉢植え🪴植物、銭湯、古本屋の100円文庫本。
📙『野生の棕櫚』フォークナー
📗『木』幸田文
📘『11の物語』パトリシア・ハイスミス
浅草地下商店街(日本最古の地下街)銀座線改札口から徒歩0分のセンベロ店・福ちゃん。
ヴィム・ヴェンダースというフィルターを通して、改めて眺める東京の風景は逆輸入的なロードムービーを成しているのかもしれません。異なる角度から切り取られた日常は、日々の暮らしの中での人との繋がり、感謝の気持ちを改めて見直す機会を与えてくれたように感じる秀作でした。
幸せな事
丁寧に仕事をして、植物に水をやり好きな音楽を聞き
本を読んで寝落ちする。
お風呂で疲れをとって笑顔になったり木漏れ日に心動いたり、静かな幸せがあった。
特別な何かがなくても特別なモノでなくても幸せはある。
ケンケントゲトゲしない見習わないといけない。
久しぶり、映画を観て幸せな感覚になりました。
久しぶり、映画を観て幸せな感覚になりました。
何となく、予告編や話題などから、セリフが少ない事や劇的なストーリー展開がない映画だという事だけは分かっていましたが、その上でも、途中で展開やストーリー上引っかかるところも無く、この映画の世界感が心地良く、また主人公の生活感に憧れまで感じてしまいました。
音楽の使い方も良く、最近CGや現実性からかけ離れた映画、夢や希望も感じ無く作り手の自己満足感だけが感じられる映画、観終わった後に”なんだかなぁ“と、虚しく感じられる映画がほとんどだったので、私にとっては、久しぶりに映画を観て幸せな感覚になり、映画を観に来て良かったと思える作品でした。
毎日が違う一日。
ヴィム・ヴェンダース作品が好きな私としては、始まりからかなり期待して観ました。
ストーリーはある一人の男の毎日を追ったドキュメンタリーのような感じのフィクション。
観る人によっては苦行のような映画だなぁと思った。
なぜならひたすらほぼ同じ行動が何度も繰り返されるから。
でもその繰り返しは、決して毎回同じではなく、一瞬一瞬全てが違う。
それが物語の本当の後半に言葉少なな彼の口から語られる。
起承転結がはっきりした盛り上がりのある作品ではない。
結局あれはなんだったのか、とか、この人何者?とか、回収されるわけでもなく終わるんだけど、それでいいんだよね。
生きる世界は一人一人違う。
同じような一日でも全て違う一日。
年齢を重ねるごとに考えていたことがこの作品とリンクして、不思議な気持ちになりました。
穏やかな気持ちになれる
公衆トイレ掃除をする、主人公の淡々とした生活を描いているにも関わらず、何故か引き込まれる。そして穏やかな気持ちになる。
さすがの役所広司の演技力と、名匠ベンダースの成せる技の作品だと思う。
贅沢ではないけど、喜びをきちんと感じることが出来る主人公の毎日。それは幸せに映る。
また淡々とした生活に品格を与えているのが、おしゃれな公衆トイレ達と、主人公の趣味。毎週古本屋で買う100円の本や、盆栽、仕事に出る時にスカイツリーを見ながら、カセットテープ聴くとてもハイセンスな音楽。そして、役所広司という一流の役者。
これらがなんとも不思議に化学反応を起こして素敵な作品に仕上がっている。年末の仕事納めに自分へのご褒美の一本として、とても満足でした。
繰り返される変わらぬ毎日の映像は美しくも退屈
タイムリープを繰り返しているような変わらぬ毎日。
朝起きて、仕事して、酒飲んで、本読んで寝るの繰り返し。
そんな毎日の中にも、ノイズのようにちょっとした出来事が起きて平穏な日々を乱される。
主人公はそういうノイズのような出来事を嫌がりながらも、ちょっとした幸福を感じたりする。
掛かる音楽は最高!
基本的に繰り返される変わらぬ毎日の映像は美しくも退屈。
私は好きだけど、人に薦められるかどうかは微妙。
ドキュメンタリー的なファンタジー
役所広司演じる平山、ドキュメンタリーのように存在感あり。そこに居るだけで説得力があります。
流石。
そして現実的には搾取される仕事についてる人はこんな表情は無いでしょう。
みんな居ない者にされそれは存在の否定
この物語で魅入られるのは平山・役所の表情。
ルーティンに悦びを見出している。
仕事では自分の存在を肯定するため人を寄せ付けない
人々の評価が高いのは、この勤勉性。
時給で価値を換算する現代の人には無い搾取されていると怨みを持つならこの表情はできない、まるで修行僧のような清々しさです。
これはもうファンタジー
それも60代男性のファンタジーでしょう。
シーン一つひとつ検証すると搾取する側の意図が見えてきます。
ディテールが現実的ではない。
墨田区木造アパートにメゾネットはないでしょう、あれば家賃は8万円はくだらない。
ETCで首都高速の勤務も腑に落ちない。
カセットテープ
文庫本
コンパクトな企画品の羅列
盆栽も紫外線ライト
1階の自分のそれまでの荷物はゴルフバッグやトランク
木漏れ日を撮るフィルムカメラ、現像するのも自分の好きなものの執着か
ただ、その木漏れ日を見るだけで良いのではないのかな。
自炊はせずに行きつけのお店で、特別扱いの氷水(平山は普段はお酒は飲まない)
このTTTルーティンじゃない日は腕時計をしていく。
自分を特別扱い一目置かれる人物の証なのかな。
食生活が朝はBOSSだけ
昼・夕飯は炭水化物・糖質の偏り
食生活は健康の基盤、健康保険はどうしているのか謎
豊かに見えるのは清貧に見えても自分の好きな物だけに囲まれてるから。
物を求めない生活っていいでしょうの洗脳にもなりかねない。
この生活のコストは時給1,200円では赤字ですね。
ヴィムベンダースは映画を豊かに撮る
とても心地良い作品
しかし描いていない日本の社会の問題は
また別の話。
企画・制作
電通とファーストリディリングのマジックですね。
私は脚本・企画にもやもやしました。
こんなふうに生きられたら…
どの様に生きるのが良いのか
もう少し考える余地がある。
ただその意味では良い揺らぎのある映画でした。
#パーフェクトデイズ
#役所広司
#映画
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