PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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公共トイレの清掃員を生業としている中年男性の平山。 平山の毎日はだ...
公共トイレの清掃員を生業としている中年男性の平山。
平山の毎日はだいたいがパターン化されているが、それでも毎朝、新しい気持ちで生活を営んでいる。
人によっては、取るに足りない人生に思うだろうし、トイレの清掃員という仕事は社会の底辺の仕事と思う人も居るだろう。
全く世界を意に介さず、独自の世界を形成する平山の生き様に、少し重なる部分があって、少ない台詞や少ない他人との関わりが愛おしくて、ラストに流れる『Feeling Good』で泣きそうになった。
私も業種は違うが、低所得なエッセンシャルワークに就いている。
たとえコロナで世界が激震していても、仕事を休めず社会で働いていたが、今だに、同じ仕事を、どこかで誰かと繋がることもあろうと思いながら続けている。
私も平山の言う、沢山の世界の1つなんだ…と思ったら、まるで人生を肯定されているようで、嬉しいことも辛いことも起こるけど、それでもこれからも生きることを続けていこうと思えました。
こんな、センスの良い、素敵な作品を世に送り出してくれたヴィム・ヴェンダース監督に感謝します。
淡々とした日を過ごしていく、同じ暮らしの繰り返し
公衆トイレを丁寧に掃除していく仕事をこなし、終われば定食屋でチューハイを飲む
家に帰れば摘んできた草に水をやり、本を読んで寝入り、近所を掃除する箒の音で目を覚ます
彼が車で流す音楽が響いている
こころを閉ざしているわけではない
女の子とふれあえば楽しい
ただ思いの表し方が直接である
そんな彼が微笑み、涙するところで映画は終わる
彼は瞬間を切り取ろうと木漏れ日の風景を撮る
夢のなかこころのなかの景色
人生を美しく生きるのは自分次第
古く汚いアパートのきれいに片付いた部屋に住む平山の日常を描く。何の事件も起きない。それだけなのになぜ引き込まれるのだろう。
まさに人間は内面で勝負だ。いい家に住んでいてもSNSで人を攻撃しているだけの人もいるだろうし。
役所さんのヘアスタイルが素敵なのでアデランスかと思ったら銭湯で洗髪していた。髪が豊かでうらやましい。
三浦友和。なんでいつまでも声が若いんだ。二人のシーンは近年まれに見る優れものではないでしょうか。
住んでいるのが下町なのに、掃除するのが渋谷の特殊なおしゃれトイレだったり、実は富裕層の勘当された息子っぽかったり、思春期の姪が信じられないほどいい子だったり、多少の嘘くささは漂う。しかし見ていて気持ちのよい、人生を大切にしよう、美しく生きたいと素直に思える映画だった。
小さな幸せの日常
役所広司さんの演技力がすごく見入ってしまいました。セリフがほとんどないことや、色々な伏線。そこが回収されず終わったのが少し心残りでした。原作を読んだらわかるのかな?色々と消化不良です。
あんまり好きではない。
好きか嫌いかで言うと嫌いだけど、
ヴィムベンダースがナチュラルに東京と撮ってるのがすごいと思う。
小津安二郎へのオマージュが言及されていている今作。
小津映画数本しか観れていないけれど、ものすごい完成度の映像だと思う同時に日本的家族感やお節介的人情味や男の身勝手さがやや苦手な私としては、
日本の日本家父長制的な家族を良いものとしては撮ってないと思うと言っていた黒澤清の言葉を思い出すまで(たぶん東京映画祭)、だーいぶモヤモヤしながら居心地の悪い気分で観てたが
この映画ストーリー、人物を“良いもの”として観なくてもいいと思ってから安心して観ることができた。
主人公のトイレ掃除のおじさんは
質素な生活をしているけど、結局まぁまぁ裕福な実家をもつ人がやっている選択的貧乏であって
きっとこの人のお父さんが死んだら死ぬまで困らない金額が口座に入るんだろうな。と思った。
食うや食わずの切迫した人とは違うから、
あの若者が飛んでシフトパンパンになったとたんイラつき出すのは自分の優雅な質素生活が乱された怒りだと思う。
同じく役所広司主演の「すばらしき世界」は、ほんとうの本当にぎりぎりの生活に追い詰められたおじさんを描いていて、同じ質素な部屋に住む日本人のおじさん同じ役者を使って撮った作品としては、話は雲泥の差があると思う。
結局この映画はおじさんが気持ちよくなる作品なんじゃないかなーっと思ってしまったのが私の感想です。
そう思うと、オタールイオセリアーニ監督の作品は
満ち足りたように見える裕福な人物と何も持たず貧乏ではあるがある種の優雅さがあるような人物がグラデーションでクロスしていく描写が多いけど、嫌味がなくとても美しいのはなんでだろう。ただの好みの問題もあると思うけど、違いはなんだろうと思った。
「素敵な歌と舟はゆく」はけっこうそこが主題な気がするのでまた見直してたい。
人生はPerfectでなくても、 Perfectな日々を送ろうと思った。
いつトミー・リー・ジョーンズが出てくるのかと思って観てた。エンドロールの後に、あの自販機の中から出てきたら面白かったのになぁ。(冗談です)
ひとつひとつのエピソードや登場人物、時々インサートされるモノクロームの夢、どれもがつながっていくわけでない。なのにどうしてこんなに惹きつけられるんだろう。
いっそもっと何も起こらなくてもよかったと思うくらいいつまでも観ていられる。(若い人たちには物足りないのかな)
役所広司演じる平山という男のバックグラウンドは想像するしかないけれども、観ている自分も平山と同じ気持ちになって微笑んだり、ちょっと嬉しくなったり、泣いたりしてしまう。
役所広司さんは唯一無二の俳優だなぁ。
例えばこの役を、三浦友和が演じてたら。
中井貴一だったら、佐藤浩一だったら、真田広之、渡辺謙、小林薫、、。過去に遡って、笠智衆、志村喬、三船敏郎、渥美清、高倉健、、、。
いろいろ想像しても役所広司さん以外に考えられない。(高倉健、いいかな。いや洋楽似合わないな。)
大谷効果で日本の人気が上がってるということでなくても、作品も含めてアカデミー賞は間違いない。
と期待したい。
帰りに幸田文の「木」とパトリシア・ハイスミスの「11の物語」買ってきた。持ってるのに。
もちろんBOSSも。
非常に単調ながら、何故か観ていられる。
単調で同じ事の繰り返しの毎日を送る中で、毎日、少しの変化がある事が見どころかな?
そして車の中で聞く音楽🎵が懐かしさを感じさせる。
妙に無口な男の視点の先に何が見えているのか?それが観客に大きな影響を与えています。
主役 役所広司
ストーリーもさることながら主役の役所広司にやられました。
寡黙、そして表情での演技は素晴らしい。
様々なことを経験し
今、なお現在を生きる…
観ているこちらも一緒に考えさせられ
映画の中の主役になったかのような錯覚に落ち入りました。
あっという間の120分。
50代、60代には、どストライクだと思います。
面白い、というよりは
素晴らしい映画でした。
ヴィム・ヴェンダースによる東京映像詩
隅田川の風景、神社の境内の木漏れ日、渋谷区内の様々な公衆トイレ等々、観光スポットでない東京の顔を写し取った映像詩。
主人公平山の、小さな、平穏な幸せと、時々のエピソード。そのエピソードでの俳優たちが、ひとり一人の出演時間は短いのに、皆、しっかり心に残る。主演の役所のうまさにもよるのだろうけれど。
ゆったりかまえて、ストーリーを求めたりせずに見れば、心を豊かにしてくれる作品だ。
今の私には合わなかったですね
ヴェンダース作品は若い頃から何作か見ていて、当時よくわからなかったものが、最近見返して好きになった作品も多いです。
今作についても表現したいものはわかるのですが、現代日本を舞台としており、浅草や渋谷界隈はな私自身馴染みのある場所であるせいか、瑣末な表現に嘘くささを感じてしまい作品世界に入り込めませんでした。
その違和感が後半物語が動き始めてから、さらに大きくなり、ご都合主義さまで感じてしまい、残念な鑑賞後感が残っています。
他のヴェンダース作品のように、もう少し年齢を重ねたら評価できるのでしょう。私には早すぎた作品と思うことにします。
説明不要の名作
映画の冒頭カーステレオにカセットを゙挿入。アニマルズの朝日のあたる家が流れた瞬間、主人公平山の世界観に引き込まれました。velvetにotis .patti smith stonesまで。すべてカセットで音を゙流す。相当のロック好きですね。世界観が同じ人には説明不要の名作であり、違う人には退屈な映画なのでしょう。LOU REEDのPerfect dayには泣けた。1月1日と1月16日と3度鑑賞しました。
何気なく繰り返す毎日と、そこに少しだけ付け足す意味。日々は変わって...
何気なく繰り返す毎日と、そこに少しだけ付け足す意味。日々は変わっていない様で確実に変化している。自分も含めて余裕が無くなってしまっているなと。。素晴らしき人生賛歌だった。
違うと思うなぁ……
役所さんの演技を堪能しました。
見終わって数日、なかなか言語化できないのですが、気になったところ。
・見上げる人。他のコメントにありましたが、スマホを見ていては目に入らない風景を見ている
・モノクロの写真。就寝後の夢もモノクロ。その意味。
・どうやらトイレ掃除が「心底好き」というわけでもない
・トイレ掃除だけでなく、自宅からトイレをつなぐ道路の風景や移動時間が同じくらいの重みで描かれている
・もちろん休日も
コメントに「平凡な幸せ」だの「日常の大切さを知る」だのといった文句が並んでいますけど、
そういう安易な理解や定義づけを拒否している人に思えましたけどね。
姪を前にそうした話をしていましたよね。
人はそれぞれ、同じ世界に住んでいるようで、実は違う世界を生きていると。
つまり、個人の世界は重なることがない。
影踏みのシーン。
科学的には、人間二人が重なったからといって影が濃くなるわけはない。
モノクロ写真の木々の葉の重なりとは違うのだから。
しかし、「濃くなりましたよ」という主人公は、本当は決して重ならない個人の世界が重なる瞬間をあの時だけは信じたいと思ったか、余命の少ない人への彼なりの優しさか、
いずれにせよ、あり得ない瞬間を待ち続けてここまで来た人なのかもしれない。
個人でいることは牢獄だが、それを受け入れ、諦めて生きている人だから、他人が安易に考える「幸福」に見えるのでは……。
最後の顔アップにした長いシーンの表情の変化(笑っているようにも泣いているようにも見える)は観客の安易な理解を遠ざけるものとしてあるように思いました。
※PROコメンテーターのうち二人が「寝落ちする」と書いてますが、寝落ちするシーンなんてありましたっけ?
いつも本を寝床の脇に置いてから横になっていると思いましたが。
R65指定にしてください
46歳、自営業、男性の私には全く面白さが理解できない。
役所広司が演技で公衆トイレ掃除しているところに密着して何が面白のか理解できない。
淡々としていて退屈極まりない。
外国人が作った「寅さん」という感じなのだろうか。
最近まで忙しい日々を送っていて、定年退職した男性は自分とは違う人生観に面白みを覚えるのだろうか?
65歳以上の男性限定の映画にしてほしい。
こういう映画はドキュメンタリーでないと面白くないと思う。
感慨深い映画だった
変わりたいけど変われない。人間は木漏れ日のようには生きられない。だから木漏れ日に憧れるのか…人間は過去を背負って今を生きるしかないってことだと思う。この映画を見てそう感じた。音楽は最高に良かった。
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