PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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「完璧な1日」の再発見
役所広司さんがカンヌで主演男優賞に輝いたことで、年の瀬から新年にかけて国内で最も注目を集めている作品と言えるのでは。
役所さんの本作での芝居に関しては、他にもたくさんその凄さを見せる作品があるので、日本の映画ファンにとっては「?」と感じるところもあるかもしれません。ただ、ラストで見せる悲喜交々の表情を同時に見せる芝居には唸らせられます。このシーンが海外でも評判になっていたようです。
主人公の平山は渋谷の公衆トイレの掃除が仕事。仕事のある日は決まった時間に起き、決まったルーティンで仕事に出かけ、仕事後の銭湯から夕食、寝る前の読書まで、ほぼ決まった毎日を送り、休日も掃除や洗濯、買い物など毎週ほとんど変わらない生活を送っている。そんな男の日常の中に、”PERFECT DAYS (=完璧な日々)の要素がいくつも描き出されていきます。
まるで「こんな幸せもあるよね」と語られているようで、ストレス社会に生きる人や、生活に刺激が無いと感じている人たちに救いを与えてくれているようです。
恥ずかしながらヴィム・ヴェンダース監督の作品は『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』しか観たことがなく、監督がそうした「救い」を描くことを意図していたのかもわかりませんが、「何もないような日常こそが完璧な一日なのでは」というメッセージを感じずにはいられませんでした。
あと魅力的だったのは主人公が毎朝の出勤中にカセットテープで聴く音楽。60-70年代の洋楽が中心で、本当にうまい選曲。特にアニマルズやパティ・スミス、ルー・リードがフィーチャーされ、個人的には大好物です。ヴィム・ヴェンダース監督によると、主人公の平山が聴く可能性のなさそうな曲は排除すべく、かなり入念に曲選びをしたとのことですが、やはりマニアックな曲もあり「いや、多分聴いていないでしょ」と突っ込めそうなところもありましたが、いずれにしてもサントラは買いです。
海外でも話題になっている作品ということで、本作でロケ地となった渋谷区内の公衆トイレはロケ地巡りの聖地にもなるかもしれませんね。ただ、登場するのは"The Tokyo Toilet"のプロジェクトで設置されたおしゃれな公衆トイレばかりなので、海外の方には日本の公衆トイレが全てこんなにキレイなトイレであると勘違いもされそう(海外に比べれば比較的どこもキレイではありますが)。本当はもっと一般的なトイレが出てきた方が作品をリアルに感じられたのかもしれません(本作は元々同プロジェクトがきっかけで生まれた作品なので、仕方ないところもあったのかなとは思います)。
他にもなぜ、現代ではを描いた本作を4:3で撮ったのかなど細かい疑問もありますが、とにかく印象に残る、観て良かった作品でした。
優しさ・強さ・孤独・切なさを感じました
まず第一にヴェンダース監督の愛情溢れる日本の風景描写に感謝します。
平山が姪っ子に話した言葉とラストシーンの表情が印象的でした。
純粋な感性を持つ姪っ子には平山の優しさが分かるんですね。寡黙な平山が自らの人生観を力強く語り幸せそうでした。でも姪っ子も成長過程でその感性を失っていくのかな?
ラストシーンの平山の表情にはこれまでの自らの人生、その時々の感情を思い起こして感極まっているように見え、その姿に孤独という言葉も浮かび切ない気持ちになりました。
日常を大切に思う
少しセンチメンタルで、
でも、いっぱい温かくて、とても優しい気持ち。
起きた時に、木漏れ日を見た時に、空を見上げた時に、
笑顔になれる平山って素敵だ。
そして、ラスト、平山の泣き笑いに尽きると思った。
最初のトイレ清掃から帰ってくる車中のシーンで、
なぜだか泣いちゃいました。
悲しさとは違って、音楽のセンチメンタルさも加わって、
涙中枢を刺激されてしまったみたいで...。
なんで泣いてんねんって、心で自分にツッコミ入れた。
でも、音楽って悲しい曲じゃなくっても、歌詞がわからなくっても、
泣いてしまうことあるよなー。そんな選曲が上手い!!!
サウンドトラックも最高だったなー。
普段は、役所広司さん、顔圧が強すぎて、少し敬遠してしまうんですが...。
カンヌで男優賞を取ったのも納得の平山さんでした。
渋谷のトイレで、押上の道端で、ひょっこり会えるんじゃないかと。
そして、ラストの泣き笑いの顔は、本当に素晴らしかったです!
なんだか、これを打ちながらも、思い出して泣けてきちゃいます。
あのシーンを見ながら、
欲張らずに、一日一日を、その時間時間を大切に思おうっ!て、
そんな気持ちにさせてくれて、なんだか幸せだなーって思った。
あと、ヴィム・ヴェンダースさんの影の使い方や、
光の加減や、色味がとても心地好くて好きだなー。
間の取り方とか、セリフの感じとかも、同様に心地よく、
小津安二郎監督を思い出させる部分もありつつ、
監督の作品らしさというか外国っぽさというのかなー、
きちんと主張されていて、さすがのヴィム・ヴェンダース監督!!
ポスターもカッコ良い!色彩感覚が違うのかな…。
また、78歳という年齢に驚いたんですが、年齢なんて関係なく、
才能って枯れるどころか、どんどん、磨かれていくのですね!
まだまだ、これからも監督の作品がたくさん観たいです!!
2023年の映画納めに最高の作品に出会えました。
ありがとうございます。
淡々と続く日常
ヴィム・ヴェンダース監督。僕が若い頃、映画ファンの間ではカリスマ的人気があった監督。僕も昔、レンタルビデオで漁るように観ていた。ただ、今回久し振りの鑑賞になった。
そのヴィム・ヴェンダース監督によって切り取られた東京の風景。
スカイツリーを見上げるアパートに住む公衆トイレ清掃員の日常。繰り返す毎日は特に大きな事件は起こらず、淡々とした日常が続いていく。
それだけなのに全く退屈させない。変わらない監督の風景と生活を切り取る巧みさ。
それにしても東京は色んなトイレがあるんだなぁ。
それと、役所さんが家を出る時、いつも鍵を閉めてないのが気になりました。😅
何にせよ、今年の映画納めにピッタリの映画でした。
忘れたくない作品になりました
ヴィム・ヴェンダース監督が東京を舞台に素晴らしい作品を残してくれたことに感動しました。
人生、生活‥それは木漏れ日のようなものなのかもしれません。影で覆い尽くされた日常に一瞬差す光。そこに喜びを感じることこそ、生きていく上で大事なのだというメッセージがあったように思います。
大きな事件もなく、淡々と過ぎて行く日常。お金はないけれど、楽しむ術はたくさんある。この作品を観ていたら、部屋を掃除したくなったし、古本屋に行きたくなりました。
僕らは色々なものを欲張り過ぎているのでしょうね。このシンプルな生活に憧れを持ってしまいました。
それにしても役所広司さんの演技は素晴らしい!凄い!ラストシーンの涙と微笑みのバランスは、今考えてもゾクゾクします。
忘れたくない作品になりました。
期待と不安
ヴィム・ヴェンダースというフィルターを通して見た日本って一体どんなふうに映るんだろう・・・期待と不安に胸膨らませて鑑賞に挑みました。
前半は布団を畳んだり銭湯や相撲のTV中継のシーンが何度も出てきたりして、日本を舞台にした外国人監督の作品によくありがちな、滑稽な日本文化をこばかにしたような映画の類のように思え落胆。正直、一体何を伝えたいのか理解できず不安が的中といった印象。
ところが、中盤以降から派手ではないけれどいくつかの下世話な事件が勃発し始め、無機質だった映像に役所広司さんの豊富で絶妙な表情が散りばめられていきどんどん人間臭さとその温かみが増していきます。個人的には、終盤の三浦友和さんとのからみが圧巻で、生きていることへの哀愁と幸せを改めて気づかせられた気がしました。
結局、私にとっては期待通りというかそれ以上に印象深い作品になりました。それは外国人といった我々と違った視点で我々の日常を表現することによるギャップによるものなのか、もしくはヴェンダースの研ぎ澄まされた感性によるものなのか、今日一度観ただけでは整理しきれていません。多分ずっと気になると思うのでまた時間をおいて観なおしたいと思います。いずれにせよ、まだ観られてない方は肩ひじ張らず平常心で観ていただくことをお勧めします。
木を見るように
まるで一本の木を見ているようだった。
揺らがない日々の暮らし。
でも、時折起こる出来事が木をしならせる。
風が吹いて、隣りの木々と重なり合う。
なぜここにいるのか、いつからいるのか。
たゆたう枝とは対照的な、スカイツリーや三角のオブジェも印象深い。
何より、木漏れ日のように笑える役者がいるとは。
しばらく余韻が続く、素晴らしい作品です。
選曲や選書の妙がわかればなぁという悔しさはありつつも、ただ生きることの美しさを見ました。
おしゃれ映画は このレベルでやって欲しい
オープニングの画でもうやられちゃうね。「参りました」って感じになる。
そこからのカットが全部、工夫が入っていて綺麗。
紫の使い方とか、陰影とか、ほんとすごいね。
ストーリーが動き始めるまで、画の綺麗さでもってっちゃう。
役所広司演じる平山の毎日を淡々と撮ってくの。
日々を淡々と観せてく感じがジム・ジャームッシュ監督の《パターソン》に似てると思ったな。
毎日をきちんと、淡々と過ごす平山に感情移入ができるのは、なんでなんだろうね。
この人が、静かな毎日を送れるといいなと思ってしまう。
そして平山はもてる。近づいた女の人は、例外なく、平山に好意を持っているように見える。
役所広司はうまいね。台詞が少ないこの役を、やり切れる役者さんは、そんなにいないと思う。
ヴェンダースが役所広司を撮った作品と言ってもいいね。
キャスティングも良かった。
石川さゆりにママ役やらせるの凄いね。歌も《天城越え》とかで狙ってこないサラッと感がいい。あとOL役の長井短よかったな。
ちょい役で安藤玉恵とか色んな人出てくるけど、その中に芹澤興人がいて『この面子に入るってすげえな芹澤興人』と思ったよ。
三浦友和とのシーンでは『がん患者に酒すすめちゃ駄目だろ』とか面白いんだよね。
ここからラストにいくのも良かった。
ラストに流れる曲が《PERFECT DAY》なのかな。歌詞が分かったら、もっとくるんだろうなと思ったな。
平山は毎日写真を撮ってて、休みの日に現像出してフィルムを買うんだけど、そのフィルムがHOLGAなの。白黒のHOLGAって、そんな簡単に買えないと思うんだよね。その辺に写真家・ヴェンダースのこだわりがあるのかなって思ったよ。
東京の景色は毎日観てて、そんなに映えるところはないと見過ごすけど、ヴェンダースの手にかかると映えてくるね。敢えて、狙った画を作らなくても、すごい画になってくる。
「どうして日本に住んでる人が、この画を撮れなかったのか」と思ったけど、首都高まわりは1998年にホンマタカシが《東京郊外》で撮ってるから良しとしよう。
おしゃれな画で引っ張りたいなら、ヴェンダースぐらいやって欲しい。でも、無理なの。ヴェンダースは写真家としても一流だから。
ヴェンダースにはかなわないだろうけど、そのレベルを目指して、綺麗な画の映画が出てくるといいな。
善き人 善き生き方
観終わっていつまでも余韻に浸っていたいと思った
日本の善き人の心象をこの監督はどうしてこんなに精緻に普通の日常から描けるのか
日本に親しみがあるとか、日本映画に深い敬意を持っているとか、そのような次元を超えて異国人でありながら凡人には知り得ないこの文化、風土への理解力を示してくれたように思った ただし監督が異国人であることは首都高や東京の街並みの映像が翻訳されて目前に映し出されることで疑いもなく感じ取れるのではあるのだけれど。
その理解力は平山の夕食の店主とのやりとりや銭湯で一人静かに享受する開放感や居酒屋で幸福のうちにいただく酒のうまさの切り取り方に無駄も無理もなく描かれていた
そしてそれは、この国において、正しく美しく生きる善人の姿を等身大で捉えていたように思った
私はNHKの72時間というドキュメントを観てしばしば胸がいっぱいになる
それは正しく生きている方々の日常を垣間見せていただくことで自分の心の在り方を正さなければという衝動に突き動かされるためだ
この映画はフィクションだからこそ純粋に、強く心を揺さぶられたのだと感じた
善き人として生きたいと思う
作家映画というよりブランド映画?
多分今年最後の劇場鑑賞作品ですが、さて何から話しまょうかねと少し迷ってしまう様な作品でした。
ヴィム・ヴェンダース監督って私には初期の名作しか記憶が無くて、どんな監督だったのか?、どんな映画を見て感動したのか?そうした問いかけに対して即答できない監督なので、嫌いではないが自分の中で消化しきれてない監督の一人なのでしょう。
本作も見終わって、嫌いではないし、鑑賞中も色々な事を考えたし、良い映画だとも思いましたが、感想となるとなにを言ってよいのか難しい作品ですね。
例えば、海をずっと眺めている人がいたとするじゃないですか。そういう人の頭の中って百人いれば百通りで、人それぞれに全く違う事を考えているのと同じで、この映画も多分そんな海を眺めている様な作品なんだと思いますよ。
ただし、映画サイトのレビューの高評価を見てしまい意地悪な見方になってしまったのですが、本作ちょっとお洒落過ぎの様な気もしましたし、本当に分かっているのかね?って気分にもなってしまいました。
よく村上春樹の本を出版されたら直ぐに、カバーもせずにこれ見よがしに純喫茶でお茶をしながら読書している2~30代のサラリーマン的な、ちょっと軽薄な感じも重なってきましたからね。
音楽の使い方もカッコイイしお洒落だしねぇ~(笑)
本来、この物語の設定と役者の演技には見る者によって全く違った感情を呼び起こすだけの複雑さを含んでいる筈なのに、通り一遍の絶賛レビューが並んでいるのを見てしまうと、ついそんな疑念を抱いてしまうのです。
私はたまたま主役の役所広司と同学年なので、本作の主人公の平山も同学年と仮定して見ていたのですが、今の自分が平山の境地に達することが出来るのか?を考えると答えは「無理」でしたね。60代後半にあの仕事であのシフトはキツ過ぎて、現実的には90%無理だと思います。あと、この年齢ならではの高齢の親の面倒という宿題があり、平山の様な生き方はかなり例外的なものであることは間違いない。
しかし、平山の生き方(スタイル)に対してこれほどに共感する社会とは、現実の日本人を眺める限り考え難いし、感想なども美化し過ぎの様な気がしました。
作品に共感・感動するのは勝手ですが、実際に彼の様な生き方に誰も憧れていないから今の日本(人)がある訳でしょ。
なので日本人の私にとっては作品そのものよりも、気軽に絶賛する(日本人)鑑賞者に対しての疑念を呼び起こす作品であったようです(苦笑)
まあ、日本好きの外国人監督が作ったのだから、当然日本に対しての敬意やら、自分の感じた日本の特質などを真摯に描こうとしているのは理解出来ましたし、この作品の根底にある哲学的な「幸福とは」についての示唆するモノに対しても賛同できるし、決して反対するものではありませんでしたが…
平山という男の日常
ユナイテッドシネマ浦和にて鑑賞🎥
平山という男の日常を淡々と描いていく映画だが、少しずつ外的要因に影響されて若干の生活パターンの乱れも見られるものの、ひとりの男の生活ドラマが上手く描かれていた。
しかし、渋谷あたりには「変わったトイレが色々ある」ので、外国人などが本作を観ると「日本にはいろんなトイレがあるんだな…」などと思わないだろうか?😄笑
舞台となっているのは、平山の住むスカイツリーが見える下町、平山の働く渋谷のトイレなどであり、いかにも「今」を描いているのだが、平山は車で音楽聴くのに「カセットテープ」!
懐かし過ぎ…🤗
普段の生活での「仕事終わってからの一杯とメシ」・「フィルムカメラ撮影」・「寝る前の読書」などが繰り返して描かれるのは、平山の日常ドキュメンタリーっぽくて良かった。
この映画で平山は家を出る時や昼食の時に空を見上げるが、役所広司は「普段は空は見ません。映画撮影中の天気待ちの時は見る程度」らしい。
このあたりは、ヴェンダース監督の演出なんだろう。
年末ギリギリになったが、今年の日本映画では佳作の部類であった✨
アナログ派の中年男性の日常
殺人事件が起こる訳でもなく、怪獣が出現する訳でもない、トイレ清掃に従事しているスマホを持たない独居中年男性の普通の生活。
デジカメが発売される前は、写真を撮った後はネガの印刷が出来上がるまで、どんな表情で写っているのか楽しみと不安感があったけど、今じゃ遠い昔のことになってしまった。
セリフが多くないので、平山の眼を通じて彼の「日常」を知ることができた。
チラチラと出ていた田中泯さん、存在感あるなぁ。
作品を観終わった後から…。
コレはあくまでも私の勝手な考え,一寸(チョット)小耳(コミミ)に挟(ハサ)んだ事,色んな出演者からのコメント映像,監督からのコメント映像等を拝聴してからのレヴューになる事を断って置きます。
・1番興味を記した理由の一つとして(そう云う事になった経緯(ケイイ)は知らないが,出演者全て日本人である中での監督は、私の中では「パリ,テキサス」やら「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」等のヴィム・ヴェンダース監督であると云う処(トコロ)。
・何処かの解説か何かで出演者(柄本時生)の親父さん(柄本明)からのコメントで、既に主演する事は決まっている状態で「役所は演技が非常に上手いぞ!」なんて言われていて出演する話…。
・趣旨が、それとなく不自由の無い生活してる中から,朝の日差しを浴び1日の生活を始める生活を選んで東京の公共施設に当たるトイレ清掃員をすると云う地味な仕事を選ぶと云うシナリオ,石川さゆりの飲み屋のママ役で,あの素晴らしい歌唱力で熱唱する処とか…。
※知ってるつもりでもいる訳でも無いが、そう云う経緯(イキサツ)の作品を鑑賞した後から知ると,観方が大分えぇ意味でも変わってくる…。
頑張って生きて来たお父さんに捧げる一本
人は大きな変化には難色を示すけれど、小さな変化を求める所が有ります。
同じ事の繰り返しのような毎日だとしても、気を付けて見渡すと小さな変化に気が付くはず。雨降りだったり晴れて居たり、お昼ご飯によく行く公園の顔見知りが座っている場所がちょっと違って居たり、ホームレスの踊りがまた変わって居たり、行きつけの居酒屋の何時もの席が埋まっていたり。
そして時には予期せぬ大きな変化が有って強く心を揺さぶられる時も有るけれど、変わらぬ古き良き物とそんな小さな変化を楽しむ一日はパーフェクトデイ。
仕事の日には腕時計をしないのに休みの日にはするのはなんでかなー?
生ギターの伴奏だけで歌う石川さゆりさんの歌には鳥肌が立っちゃいました。
人生の豊かさは、自分次第
淡々と洗練された日常が繰り返されるストーリー。
ただこの繰り返しが癖になる。
同じことの繰り返しに見えるが、同じことは2度とない。
その小さな変化に気がつき、楽しめることができるかが、人生の豊かさにつながるのではと気がつかせてくれた作品。
年末、仕事がひと段落したこのタイミングにぴったりの映画で、日常をせわしく少し雑に過ごしてしまったことにはっとさせられる。一方でせわしく過ごすことから離れることができない、そんな社会に過ごしていることからこそ多くの変化があるはずで、それをもっと楽しめる生き方をしたいと思わせてくれた作品。
一切の無駄なものを削ぎ落したシンプルな生活
過去すら削ぎ落し、まさにperfect day。ただ人生に無駄なものなど無いとすると少し退屈な日々のような気もする。人生の意味、、。人は人生に意味を問うが、逆で、人生が意味を問うているのだと。お前は何故生きているのだ?と、恋人のためかも知れないし、子供のため、家族のためかも知れない。仕事もあるかも知れない。人生その時々で答えは異なるはずでそれで良いのでしょう。平山が時折見せる素敵な笑顔。1日1回は無理でも3日に1回でもあれば十分素敵な人生。PERFECT DAYと言えるのではないかと。ラストの役所広司の演技すばらしかったです。
ハグと影踏み
「パリ、テキサス」に、道を挟んだ親子のシーンがあってとても好きなんだけど、アメリカ人が観たら、いやそんなことしないよ、て感じだったのかな。
日本を舞台にした日本の俳優でのこの映画は、日本人的には時々違和感があった。ハグとか影踏みとかね。
でも壮年老年期のファンタジーととらえればそれもありかと。
ただとても良い映画。基本何も起こらないと聞いていて、ヴェンダースだし、寝るかも。と思っていたけど、ずっと釘付けでした。
(まわり道とか寝た覚えがある)
諸行無常の世界感
なかなかな映画だったわ
世のすべてのものは、移り変わり、また生まれては消滅する運命を繰り返し、永遠に変わらないものはないということ
諸行無常!
だから一瞬一瞬が大事
それを写真におさめたい
何故なら明日には変わってしまう物だから
切なさと普遍への願望入り混じり
そしてそれをおトイレに流す…
何事もなかったように。
普通の日常の中にある輝き
主人公であるひらやまの生活は、役所さんが以前に主演された、素晴らしき世界という映画が思い出される、規則的なものだった。
ただ違うのは、規則的な生活の中に、1人の生活を豊かにするさまざまな対象があることだった。植物、洋楽、小説、写真、銭湯など、彼は、1人の生活を楽しんでいた。
社会には、トイレ掃除の仕事や、独居に対し、憐れみのような偏見があるけれど、それは間違いだった。
最後のひらやまの笑顔を思い出す。
物足りないような普通の日常をじっと見れば、人を幸せにするものがたくさんあるのだと感じた。
ママの前夫とのやりとりも印象的だった。
がんで余命少ない前夫が、わからないままだと言った事象に、ひらやまは答えを出そうと実証する。
病気を嘆くだけでなく、その中でも自分にできることを探して、希望を見出だそうという生き方を、真似したいと思う。
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