PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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ほとんどあり得ない話
登場するトイレは「THE TOKYO TOILET」の宣伝であり、そもそも汚物が目に付かない公衆トイレなどあり得ない。
元々は運転手付きの車のある家に育ち、読書や洋楽に親しむインテリと思わせる主人公の設定もリアリティに欠ける。失礼ながら、このような境遇の清掃員の存在は極めて稀であろう。
卓越した演技力のある役所広司が主役で、ぎりぎり成り立っている作品。
そして、このような感想を持つ観客をはじめから相手にしていないような演出をしている制作陣の高飛車な姿勢に反感を覚えた。
レンタルで…
この映画の良さがわかることに嬉しくもあり哀しくもあり
私は役所広司が道路工事の交通整理員の制服で出ている損保会社のCMが好き。なんとも言えず好きなのだ。
劇伴も最高だった。アニマルズの朝日のあたる家(朝日楼)からやられた。オーティス・レディングのドックオブザベイも。
カセットテープ。売り値は高いと思うけど、下取り価格でもそんなにするのかと。市販のものはほんの少しだけならある。人にあげたり、失くしたりしてしまったものが多い。しまったなぁ。
コラ! 時生!
こういう役の時生は実にリアルで面白い。
あの軽ワゴンは30年以上乗っているのか?
あの生活スタイルには銭湯がまずネックになる。それと長屋スタイルのメゾネットアパート。一度も鍵かけてなかった。
湯呑み茶碗などで育てる盆栽。
向島から浅草界隈にアパートを借りてみたくなった。
寝床の部屋のタンスひとつだけのガランとした感じからはミニマリストかと思ったが、台所や押し入れにはものがぎっしり。思いでが詰まっている様子。
大切なものがちゃんと分かっているからブレない潔さ。
憧れる。
男は無口でなくてはイカン。
こんなマイ・ペースでちゃらんぽらんな私でも、仕事はきっちりする方だと思っている。
だんだん役所広司に同化していき、世界に没入しようとするのだ。
そして、淋しさもちゃんと分かっている。
翌日になっても、まだ半分は役所広司が体の中に残っている感じがする。
映像もたまらない。
首都高速の架橋下の公園、神社の木洩れ日、寝入りばなのにみる夢。
ヴィム·ヴェンダースのベルリン天使の詩はとても難しくて、歯がたたなかったけど、こちらはOK。
共演者もみんな私のツボだった。
安藤玉恵、甲本雅裕、田中泯、三浦友和、研ナオコ、モロ師岡、芹澤興人、松井大悟、松金よね子、吉田葵。
あがた森魚がギター持った客でいる石川さゆりが女将の店。一週間に一度決まった日に行くぐらいが嫌われなくっていい。ほんとは「ウィスキーが、お好きでしょ」も聞きたかった。コンビニでピースといっしょに買ったあの3本は缶酎ハイじゃなくて確か濃いめのウイスキー角ハイボール(Alc9%)だった。仕事の日の毎朝の缶コーヒーはボスのカフェ・オ・レだったような。どちらもサントリー。
アオイヤマダ?が素敵だったなぁ。
ほっぺにチュのあとの銭湯でのニヤニヤがまたいいのよ。
心の平安=パーフェクトな日々
【鑑賞のきっかけ】
本作品は、カンヌ映画祭で、主演の役所広司が主演男優賞を受賞したこと、監督がヴィム・ヴェンダースという著名な監督であったことで、劇場鑑賞して来ました。
【率直な感想】
<物語の概要>
本作品は、主人公の職業が、トイレの清掃作業ということで人目を引く部分があるかと思いますが、もうひとつ、この作品で強調されているのは、「こんなふうに生きていけたなら」というキャッチコピー。
つまり、主人公の平山は、一見すると、同じ繰り返しの日々を過ごしているが、彼にとっては、毎日が新しい日であり、幸せな毎日なのだ、と。
<彼の生活はリアルか?>
作品の舞台は、東京スカイツリーの立つ、東京・墨田区。
彼の変わらぬ日課のいくつかのうち、印象的なものは次のとおり。
1.仕事場に向かう自動車内で音楽を聴くこと
2.昼休みにコンビニで買った昼食を食べながら、風に揺れる葉に覆われた樹木をカメラで撮影すること
3.仕事が終わった後の入浴
4.帰宅後に、寝落ちするまで本を読むこと
この作品は、現代を舞台にしています。上記の行動は、毎日ではなくとも、日々の日常生活で行っているという方は多いことでしょう。
でも、その行動を支えている方法自体は、恐らく違っているかと思います。
1.音楽鑑賞→カセットテープに録音したもの(デジタルオーディオプレイヤーではない)
2.写真撮影→フィルムによる撮影(デジタルカメラやスマホではない)
3.入浴→銭湯を使用(内風呂ではない)
4.読書→古本屋で購入した紙の本(電子書籍ではない)
昭和の時代ならまだしも、令和の時代に、すべてが、平山の方法と同じという方は、まずいないのではないでしょうか。
<平山の日常の持つ意味>
平山は、スマホを持たず、家にはテレビもありません。
また、新聞を購読している気配もない。
一体、どうやって自分が暮らしている社会で起きている出来事に関する情報を得ているのでしょうか?
これは、彼の昭和のノスタルジックな生活と無縁ではないのかもしれません。
平山は、独身で、一人暮らしをしており、私は、本作品では、彼の肉親は登場しないものと思っていましたが、後半、どういう立場なのかは明かしませんが、ある肉親が登場します。
この肉親との会話から、平山は、昔から、清掃の仕事をしていたのではなく、何かの転機があって、今の生活に落ち着いたようです。
詳しい説明は作中にはありませんが、相当に辛い過去があるらしいことが想像されます。
そんな彼にとって、恐らく幼少期を過ごした昭和の時代のアイテムは、心の平安をもたらす重要な要素なのだと思います。
カセットテープから流れる古い音楽は、古き良き時代を想起させる。
フィルムで撮影された写真には、古き良き時代のぬくもりがある。
銭湯には、内風呂にはない、ゆったりと湯につかって疲れを癒やす効果がある。
古本の読書には、ページを繰るごとに、著者からのメッセージがマイルドに伝わってくる感触がある。
などなど。
【全体評価】
平山は、昭和のアイテムを使って、自分らしい日常を演出していますが、恐らくデジタルの環境でも、自分独自の日常を演出することは可能なような気がします。
なお、彼は一人暮らしで、無口だけれども、決して人間嫌いな訳ではなく、適度な距離を取った人間関係も築いています。
私生活・仕事・人間関係。
これらの要素をバランス良く、かつ淡々と過ごす平山の生き方には、豊かな人生を歩んでいくためのヒントが隠されているように感じられました。
生き続けていないといけない
人生は顔に出る
トイレだから、ではなく描き方がくさい
一時間で終わる夜ドラマだったら許容できる題材か、と思えてならない。主人公をその程度、と軽く見ているのではない。作品として、2時間使ってるけれども、一時間でよくないか?そういう意味。トイレ清掃の男の生活を描きながら東京の様々なトイレを紹介している。後半に入れ込まれた思わせぶりに素性を想像させるシーンなど、不要。そのシーンのせいで、まともな世界(どんな世界だ?)とトイレ清掃生活をオルタナティブ扱いしてしまった。まったくもって、思い出すとどうにもならない鼻持ちならなさが鼻につくのだが、高評価が多いのはみなさんわりと幸せなのかな。しかも、ラストシーンのニーナ・シモン。これで終わったらちょっと怒りが湧くかも? と思って見ていたら終わってしまい、私は悲しかった。ニーナ・シモン使うなら「I put a spell on you」を絶妙に使ったヴィトンのCMほうがはるかにセンスが新しいと感じただけに。。。あーやだやだ。見なけりゃよかった。いや、姪っ子とチャリンコのランデブーシーンとか、行きつけスナックママの元夫との影踏みなど、とてもいい。いいところはたくさんあった。が全体としては、期待したぶん反動で評価、低いです。あと、この映画を支持してしまう人の多さ!!政治・生活が良くならない理由がわかりました。
自分の老後の人生に
何でも無いようなことが…
役所広司が賞を取ったとのことで、拝見(個人的には佐藤浩市も好きなんですけど…)
まず、東京のトイレ🚻のデザインや見た目に唖然 大阪では考えられない…流石に若者が憧れるだけあるな〰️と思う反面、こんなトイレ🚻ばかりな訳なイヤンと突っ込みなくなったのは僕だけかな?
最後まで分かりにくい内容ではあったが、役所広司は良いところのボンボンだったが、長男といった重圧に負けて今があるのだと思う 介護状況になった父とも会えない(会いたくない)くらいのトラウマを抱えながらも、生きていくことに自分ながらの楽しみ(○❌や影踏みは見ていてほのぼの)を見出だしながら、世間とも付き合って向き合って生きている環境を羨ましくも思えた
昨日八代亜紀が亡くなり、石川さゆりが出ていたことにも…
最後の涙は何を思っての涙だったのか…父を思って?人と人との繋がりの大切さを感じて?考えてみよ😌
きっと役所広司が演じた役はAA型だと思う😏
225 映画の作り方においてあらためて感嘆
ドイツの名匠ビム・ベンダース って方は
全く存じ上げなかったのですが
コメント映像を見るに
あー監督というのはここまで考えて映画を撮っているのか、と
敬意を表します。
監督が考えていた主人公の過去だけでも充分映画になると思うが
まずは毎日変わらない日常である2日間の出来事を
上映1時間かけて映し出す。アングルもほぼ同じ。
3日目からは少しアングルに変化をつけているが
これだけ同じ出来事が続くも全く眠気を感じさせないのは
どういうこっちゃ!?
終盤ノイズが入り流れが壊れるのかな?と思わせて
実はそれもかなわない。
もちろん役所広司の演技力あっての展開なのだが
演技力の範疇を超えていますな。
リアルではなくナチュラル。
アクターズスクールの教えを具現化する。
これだけ人間を映し出すといつもなら涙腺を刺激するのですが
そんなこともなく、しかし爽やかだった、と。
今日一日普段通りに生きることが出来てありがとう、と。
これは記憶に残りますわ
80点
ユナイテッドシネマ大津
劇中に流れる60年代の米音楽ってほとんど知らないんだよな~
我々が知っている70~80年代の音楽も
若い子が聞けば新鮮だと思います。
あー音楽もブリッジしかなかったですね。
本当に役所広司だけでもたした感があります。
にしても柄本時生 クズ男冴えてますわ。
表情で紡ぐ物語
久しぶりの「余韻を味わう映画」でした。
内容については他のレビュアーの方々が触れていらっしゃるので割愛しますが、台詞があると逆に違和感を感じてしまう程の画力に満ちた映画です。
主人公の「平山」はじめ、登場人物の繊細な表情で物語は進んでいきます。
その表情に対して何を思うかは観る者次第。
観客それぞれのバックボーンで異なるストーリーが生まれる映画だと感じました。
ラスト、ニーナ・シモンの「FEELING GOOD」が流れますが、そこにはタイトルにあるようなハッピーさは微塵も感じられません。
平山の日々の喜びの背景には、複雑に入り混じった怒りや恨みがあるのだと思います。
そのような感情のうねりを的確に表現したベストな選曲でした。
もちろん、他の挿入歌も素晴らしかったのですが、その中でもひとつ抜けていた気がします。
平山の表情とも相まって。
人々の記憶に永遠に留まり続けるであろうこの作品を、世に送り出していただいたスタッフ・キャストの皆さんに、感謝の念しかありません。
平凡な日常の幸せ
ヴィム・ヴェンダース監督で役所広司がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞受賞ということで観たいと思っていた映画、本日鑑賞して参りました。
役所広司演じる平山のトイレ清掃員としての日常が淡々と描かれているのですが、なんだかとても心地良い映画でした。
早朝、近所の掃き掃除の音で目覚め、ふとんをたたみ、歯を磨き、ひげをそり、自販機でコーヒーを買って車に乗り込み仕事場である公園のトイレに向かう。車内ではお気に入りのカセットテープを聞く。平山のルーティーンである。
トイレをきれいにするために一生懸命働き、昼は木漏れ日の見えるお気に入りの木の側でサンドイッチを頬張り、仕事が終わると銭湯で汗を流し、馴染みの店で晩酌を楽しみ、寝る前に文庫本を読む。
趣味といえば、フィルムカメラで写真を撮ること、実生苗を持ち帰って育てること、古本屋で文庫本を買うこと。
すごく質素な生活に見えるが平山にはそれで十分なのである。Perfectな日々だ。
音楽はカセットテープで聞く、本は古本、カメラはフィルムカメラ、携帯はガラケー、まるで時代から取り残されたかのようだが、平山には十分満足なのだ。
空を見上げたり、トイレの壁に揺れる影を見たり、木漏れ日を見つめる平山の表情から幸せを感じて生きていることが伝わってくる。
決して人間嫌いという訳ではなく、ただ無口でシャイな部分があるだけで、今を満足して生きている姿に、現代人が忘れかけている大切なものを映画は示唆しているように思える。
ルーティーンの中には日々細かな変化も多々存在する。出来の悪い同僚の若者に振り回されたり、突然裕福な家の姪っ子が家出して転がりこんできたり。密かに想いを寄せるママが男と抱き合っているのを目撃したり。
でも平山にとっては小さな事だ。多少感情は動いても慌てふためいたりせず、まるで真理を悟ったかのような達観した生きざまで一日を終える。
欲というものが平山から感じられない。それは、今生きている生活の中に喜びを見出だして十分幸せに生きているからに他ならない。そんな平山の姿がまぶしかった。
石川さゆりさんもいい仕事をしてましたね。
今年2本目の映画鑑賞でしたが新年早々良い作品に出会えました。
まず4:3スタンダードサイズに驚く。最近のシネコンではスタンダード...
日本の下町風景がとても観やすかった!
言わずと知れた話題作!
東京には有名クリエイターによる
洒落た公衆トイレが沢山あるらしいと言うのは
何かの情報番組で知っていたので
それも楽しみで観に行きました。
役所広司さんがインタビューで
「本物の清掃員さんに芝居させてる様に
思って貰えたら嬉しい〜〜」的な事を
言っておられたと思うのですが、
色々な小道具を駆使してトイレを清掃する様子は
確かに寡黙な仕事人に観えました。
ハッキリとは語られないけど
何か大きな人生のターニングポイントが
あったらしい1人の男。
特に大きな事件が起きる訳ではないけど
淡々と続く日常。
お正月から大きな地震や事故の起きた今年。
この映画の様に普通の日常が続く事の有り難さが
特に沁みるではないでしょうか〜〜〜。
で、
月に8回ほど映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては
ビム・ベンダースの映画は
「パリ・テキサス」を配信で
「ベルリン・天使の詩」を昨年映画館で鑑賞。
両方とも評価が高い作品ですが
私は「パリ・テキサス」はかなり苦手。
埃っぽい荒野の風景と、薄汚い中年男のコントラストが
観ていて退屈で退屈で〜〜
家で配信なんかで観てはいけない種類の映画でしたね。
それを思えば今作はかなり観やすい。
淡々と掃除を続けるシーンが続くのですが
見慣れた東京の下町の様子や
(東京に住んではいないけど、
日本の下町風景はあまり地域差が無いので)
個性的な公衆トイレの形状が画面的に飽きない、
トイレを利用する人との会話のない
ちょっとした触れ合い時に見せる
主人公の表情の変化。
その合間の木漏れ日の描写。
多くを語らない主人公と
多くを語らない編集で
観る者の空想が広がって行く作品。
観た後で誰かと語りたくなる映画でした。
それと役所さんがクローズアップされているので
あまり紹介されていませんが、
ちょっとした脇役が超豪華!!
各所で名バイプレイヤー達がいい仕事してます。
是非映画館で鑑賞して見つけて下さい。
ちなみに主人公が毎朝自販機で買う缶コーヒーは
「アレ」でした!(笑)
レビューが削除されたようです
昨年末にこの映画を観てすぐレビューを書いた。カンヌで主演男優賞を受賞したこともあり映画の入りも良いようだし評価もすこぶる高い。レビューを読んだ限りでは映画の良し悪し以外にも主人公の生き方に共鳴した人が多いようだ。
その中で私はかなり批判的な内容の投稿をした。
長文になってしまったが、要はこの映画は「THE TOKYO TOILET」プロジェクトとほぼ一体であること、そのうえでプロジェクトの主導者たちがプロジェクトの末端に位置する清掃員の姿を「清貧」でかつ自分たちの趣味指向に合った、いわば都合のよい人に描いてしまう気持ち悪さについて書いた。
実名も挙げているので誹謗中傷と取られたのかもしれない。もちろん運営側からの連絡や説明はない。誠に残念ではあるがそういった方針、姿勢のサイトであると理解したうえで付き合って行くしかないかと思っている。
私の投稿にしてはかなり多めの共鳴者がおられたので削除は私の意図するところではないことを発信しておくため再投稿した。
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