劇場公開日 2023年12月22日

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「優れた作品だとは思うけれど……」PERFECT DAYS pekeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5優れた作品だとは思うけれど……

2024年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

完成度の高い、優れた作品だと思います。

以前にも何かのレビューで書きましたが、主人公に明確な目的(たとえば、「逃げる」「捕まえる」「勝つ」など)がないストーリーを退屈させずに最後まで見せるのは、なかなか難しい。

本作もとくに何が起こるということもないお話。事前にだいたいの内容は知っていたので、寝不足で出かけたし、眠たくなるかなぁと少し心配していたのですが、そんなことはまったくなくて、きゅう~っと映画の中に引き込まれていった。「何なんだろう? この力は」と思いながら。

禅の修行や、茶の湯の作法のように、平山の動きには無駄がない。そんな彼の淡々とした生活をとおして、とても大切なことが表現されている。この作品には、人間という存在とその営みの本質がしっかりと描かれているのではないか。だからこそ退屈せずに最後まで緊張感を持って鑑賞できたのだろう。――そう思いました。

でも、その一方で「これがPERFECT DAYSか?」と、他者とのやりとりが極端に少ない平山の日常にどこか物足りなさや違和感をおぼえたし、それから作為的というか、少しわざとらしさのようなものを感じた場面もありました。そういったところに意識をフォーカスすると、この作品をどうも手放しで賞賛できなくなってくるのです。

そして、本作の背景を知ると、さらに見え方が変わってきた。脚本にたずさわった方のことです。日本を代表する大手企業 D社に属するエリートが、(柳井氏と組んで)トイレ清掃員の日常をネタに「いい話」をでっちあげたんじゃないかという気がしてきた。そんなふうに見ると、この映画のリアリティーが急に失われていくような感じがしたのです。あるいは、さっき書いたような「わざとらしさ」を感じたのは、そういったこの映画の成り立ちを無意識のうちに嗅ぎ取っていたからかもしれません。いや、ダメだな。いくらD社に(それから柳井氏の会社にも)いいイメージを持っていないとはいえ、こんな穿った見方をしたらいけませんね。ごめんなさい。

さて、……上記のほかに印象的だったのは、脇役の使い方が贅沢だということ。とくに女性の使い方がうまいなと感心しました。
著名な外国人監督が撮ったという先入観があるからか、東京の街もどことなく違って見えた。
平山の穏やかな日常。それに反するように時折挿入されるモノクロの不穏な描写は迫りくる老いや死のイメージか。そして「光」と「影」の対比もこころに残る。
市井の人々の、また、日々の繰り返しの中の「静かなすごみ」を巧みに描き出しているのは、小津の精神を受け継いだ成果なのでしょう。
「感じること」に長けた平山さん、ステキです。

というわけで、『PERFECT DAYS』。最初に書いたように優れた作品だとは思いますが、いささか引っかかるところもある、好きか嫌いかと問われれば、ちょっと考えてしまう映画です。

それにしても、東京にはユニークなトイレがたくさんあるんですねぇ(「THE TOKYO TOILET」の取り組みじたいに文句をつけるつもりはさらさらありません)😊

peke
みかずきさんのコメント
2024年1月21日

みかずきです

スイマセン。
同様なコメントを2件送信していまいました。
2件目を読んで頂ければ幸いです。

ー以上ー

みかずき
みかずきさんのコメント
2024年1月21日

はじめまして、みかずきです
宜しくお願いします

主人公は、過去の柵、特に父親との確執を断ち切って、精神的に開放されストレスフリーになります。心にゆとりができます。
このゆとりが、主人公の感性を開放し、主人公は些細な事にも喜びを見つけ満たされていきます。

父親との確執を断ち切った主人公は、トイレ清掃員として、人間関係に距離を置いて、自分の時間を確保し、自由を手に入れます。

本作を観て感じたのは、主人公のように心豊かに生きていくためには、心にゆとりが大切で、そのためには、自分を取り巻く人間関係を良好にするのが不可欠だということです。

といっても、人間関係って相手があることなので、自分の思い通りにはいきません。いつもというわけにはいきませんが、人間関係が良好になりように努めて、一日でも良いので、心のゆとりを持てる日を作って心豊かに過ごしたいものです。

本作のタイトルがDAYでありLIFEではないのは、心豊かな日々に出会える機会は僅かであり、DAYSがせいぜいであり、LIFEにはならないという意味だと解釈しました。

ー以上ー

みかずき
みかずきさんのコメント
2024年1月21日

はじめまして
みかずきです

主人公・平山は、過去の柵、特に父親との確執を断ち切って、精神的に開放されストレスフリーになります。心にゆとりができます。
このゆとりが、平山の感性を開放し、は些細な事にも喜びを見つけ満たされていきます。

父親との確執を断ち切った平山は、トイレ清掃員として、人間関係に距離を置いて、自分の時間を確保し、自由を手に入れます。

本作を観て感じたのは、平山のように心豊かに生きていくためには、心にゆとりが大切で、そのためには、自分を取り巻く人間関係を良好にするのが不可欠だということです。

といっても、人間関係って相手があることなので、自分の思い通りにはいきません。いつもというわけにはいきませんが、人間関係が良好になりように努めて、一日でも良いので、心のゆとりを持てる日を作って心豊かに過ごしたいものです。

以上から本作のタイトルがDAYでありLIFEではないのは納得です。

ー以上ー

みかずき