「当事者の気持ちは理解しようがないと思う」メイ・ディセンバー ゆれる真実 Toshiyaさんの映画レビュー(感想・評価)
当事者の気持ちは理解しようがないと思う
題材となっている事件はワイドショーが好みそうな低俗で醜悪な切り取られ方もできるものではあったろうが、性的に健康で魅力的な男性と魅力的な女性が出会い情熱的な関係を持った話とすれば純文学にでも昇華できるものでもあろう。その時、そこでどのような心の動きがあったのか、何がきっかけで気持ちが動いたのか、なんてそれはきっと生物としての感覚が二人をそうさせた結果だろうから、実は当事者すら本当のことを記憶できてないのではないか。 だからそれを物語として虚構の中で再現することなんてどのような努力を以ってしてもできないように思う。
だから、監督さんには事件について相応の解釈はあったのだろうけど、その解釈に沿ってこの作品を追ったり、理解しようとしても、どうしても歪みが出てしまうのだろうと思った。ましてやそれを理解するために追体験して再現しようとするのが一つのテーマとして描かれている訳で、そうなると歪みから捻れになってしまった。
それが鑑賞後のモヤモヤの理由かもと思った。
二人の女優さんの力量のためか、作品としては緊張感も最後まで途切れず見応えがあったと感じた。でも理解できないシーンや設定は少なくなかった。 それはそれでいいんだろうと思った。
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