墓泥棒と失われた女神

劇場公開日:

墓泥棒と失われた女神

解説

「幸福なラザロ」「夏をゆく人々」などで高く評価されるイタリアのアリーチェ・ロルバケルが監督・脚本を手がけ、愛の幻想にとらわれた墓泥棒の数奇な運命を描いたドラマ。

1980年代、イタリア・トスカーナ地方の田舎町。忘れられない恋人の影を追う考古学愛好家の青年アーサーには、紀元前に繁栄した古代エトルリア人の遺跡を発見できるという不思議な力があった。アーサーはその能力を利用して墓泥棒の仲間たちと埋葬品を掘り起こしては売りさばいて日銭を稼いでいる。そんなある日、アーサーたちは希少価値を持つ美しい女神像を発見するが、事態は闇のアート市場をも巻き込んだ騒動へと発展していく。

「ゴッズ・オウン・カントリー」のジョシュ・オコナーがアーサー役で主演を務め、「ブルーベルベット」のイザベラ・ロッセリーニ、「ハングリー・ハーツ」のアルバ・ロルバケルが共演。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

2023年製作/131分/G/イタリア・フランス・スイス合作
原題または英題:La chimera
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2024年7月19日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第76回 カンヌ国際映画祭(2023年)

出品

コンペティション部門
出品作品 アリーチェ・ロルバケル
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(C)2023 tempesta srl, Ad Vitam Production, Amka Films Productions, Arte France Cinema

映画レビュー

4.0豊かで独創的なイメージの連続に酔いしれる

2024年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

傑作と評された前作『幸福なラザロ』に比べればやや取っつきにくいかもしれないが、しかし主人公の不機嫌さの表層をめくると、途端に眩いばかりの表現性の渦に飲み込まれる。かくなるイメージの連鎖を泳ぎつつ、観客が自ずとストーリー、状況、登場人物の心境をつかまえていく映画とでも言おうか。難解なことは何ひとつない。我々はただ、あの列車のコンパートメントから乗客がひょっこり顔を出すシーンのおかしさ、フェリーニ的な狂騒と祝祭、イタリアという名の女性の調子っぱずれの歌声、唐突な電子音楽へ包まれゆく奇想天外な味わいを受け入れるだけでいい。そうやってあらゆる描写が記憶となり、131分の愛すべきキメラ(幻想)を崇高に織り成していく。掘って、掘って、掘り続けた先にたどり着く結末も、もはや言葉では説明不要。あくまで映画的な言語として提示されるからこそ、心掴まれ、胸にすとんと落ちる。糸はまるで暗闇に射す一筋の光のようだ。

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共感した! 7件)
牛津厚信

3.0赤い糸の先には

2024年9月21日
iPhoneアプリから投稿

知的

寝られる

1980年代のイタリア・トスカーナで、考古学愛好家のイギリス人・アーサーは、古代エトルリア人の遺跡を見つける事が出来る不思議な能力を持っていた。アーサーはその能力を利用して墓泥棒の仲間たちと埋葬品を掘り起こしては売りさばき金を稼いでいた。そんなある日、アーサーたちは希少価値を持つ美しい女神像を発見したが、その像は闇アート市場へ持ち込まれ・・・さてどうなる、という話。

エトルリアという都市国家群が現イタリアのトスカーナ州あたりにあったんだと鑑賞後調べてわかった。
墓泥棒、って題だから近代の墓かと思ってたら、紀元前の事だから完全に古墳だね。日本だと弥生時代頃の墓だから、考古学的に貴重な資料だったんじゃないかと思ったが。
そしてあの女神の像はミケランジェロのチョイ前くらいかと思ってたのだけど、エトルリアのものだとしたら、1000年くらい前なので完全に勘違いでした。
アーサーが二股の木の枝で遺跡の場所を探すのが、昔流行ったコックリさんそっくり、って思った。
地下で入り口が塞がった時、天から降りてた赤い糸が、彼女のスカートほどけた赤い糸だった、というファンタジーだったのかな?
イマイチ良くわからなかったし、長くて少しダレた。
音痴でドジなイタリアが可愛かったし、アーサーが彼女に惹かれたのもわかる気がする。
アーサー役のジョシュ・オコナーの口を開かないおちょぼ口の笑顔が良かった。

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りあの

5.0マジックリアリズムの逸品

2024年9月9日
スマートフォンから投稿

泣ける

幸せ

確かに地続きの人たちがいる。
ファンタジーじゃない。
アーサーは、3割くらいこの世界線にいなかったよね。
宝物を見つけるのは、その3割かもしれないけど、現実の7割が、それを後押ししてる、と思った。
[幸福なラザロ]でも感じたけど、丁寧で無頓着な風景描写が、深遠なテーマを際立たせる。

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アメリカの友人

3.0イングリッシュマン・イン・トスカーナ

2024年9月8日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ダウジングと言えば、ビクトル・エリセの「エル・スール」でオメロ・アントヌッティが演じた主人公の少女の父親を思い出す。その寡黙で謎めいた佇まいといい、この映画の主人公にも通じるものがあるように思う。ジョシュ・オコナーというのは寡聞にして私の知らない役者だったが、どことなく憂いを帯びた風情に惹かれる。
エトルリア文明の発掘の話は確か浦沢直樹の「MASTERキートン」のエピソードにも出てきた覚えがある。外気が流れ込んだ途端壁画が色褪せていく場面は「フェリーニのローマ」でもとりわけ印象的だった。海に投げ込まれた女神像の頭部は、それなりの装備で潜れば回収できるのでは?文化遺産としてぜひ元どおりに修復しないともったいないです(サモトラケのニケは首がないままなので)。
最近ちょくちょく見かける無理やり説明的な(かつての「土曜ワイド劇場」のような)邦題は何とかならないものか。この映画の原題も単に“キマイラ”だし、「鑑定士と顔のない依頼人」は“最高の出品”だし、「ゴヤの名画と優しい泥棒」は“公爵”だ。
イザベラ・ロッセリーニも70代か。記憶の中では「ブルーベルベット」あたりの印象で止まっていたので、ちょっとびっくりした。

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梨剥く侍