落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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えっ!?
見えない部分が見えてくる
ギャガ様から試写会へ招待されました!
ものすごく心が掻き乱されて、観た人それぞれに別々の物語が完成する映画でした。
この興奮が少しでも伝わると良いのですが…
始まりは愛だったはず。
表面に見えている事がらは、氷山の一角でしかない。
複雑な要因が絡み合い蓄積した結果の、ほんの一部しか見えていないのに、そこから単純に判断されがち。
目の見えない息子が物語のキーとなりますが、
表面に見えている部分があることは、むしろ物事の本質を曇らせると思えてきます。
それぞれの立場からの真実。
表面に見えていないものが見えてくる面白さ!
法廷劇としても楽しめます。
どんどん出てくる新事実に二転三転。
はたして真実を言ってるのか?一度疑いだすと、とめども無く疑惑が広がり、そもそも真実なんて無いようにも思えてきます。
それぞれの主観が真実なわけで、立場が変われば真実も変わる…
まるで黒澤明監督の『羅生門』を彷彿とさせる内容ですが、本来なら死人に口なしのところを、巫女の口寄せとは違う方法で死人に語らせます。その手があったか!あくまでも“目には見えない”ところも徹底しています。
不意にカメラがズームするのに驚きますが、ドキュメンタリーを撮られていた監督だけに、臨場感のある映像に引きつけられました。
しかし裁判って、どっちが勝っても負けても、パーソナルな部分が人前に晒されて、消耗して疲れ果てて…良いことないね。
途中からは、検察官がなんとか有罪にしようとやっきになっているようにしか見えないし。皆んながそれぞれ自分の立場からの“真実”に着地させようと法廷で戦っている図式も見事。
そして、サンドラ・フラーさんの演技力。
ちょっとした仕草や視線から、映画には描かれていないシーンまで見えてくるから凄い。
「そうは言ってるけど、本当は…」夫婦のパワーバランスも見えてくるし
「反対もしないけど協力もしない。冷たい態度を取ってたんじゃないの?」などなど…過去にあったであろう夫婦間の様々なやり取りを、観客側に想像させてくる!
じわじわ蓄積した“過去”の説得力がすごい。
夫婦は一番近い他人。
一緒に暮らす為には、お互いに譲れるところは譲り合わないと成り立ちません。
2人の関係を大事にしたいから相手を尊重して譲ったはずなのに…じわりじわりと我慢が蓄積して不満へと変わる。
ここも、見えていない部分が見えてくる感覚でした。
彼女の物言いにスカッとする反面、決してどちらか片方のせいとは言い切れない心理が複雑に絡み合います。
社会的立場への嫉妬や、自分への不満、苛立ち。
表面に見えている肩書きで人は評価されがちで、育児や家事や介護など家族の為に割く時間はなかなか評価されにくい。
私の場合は15年間映画を観る時間も取れないほどでしたが、一昔前の人間なのでそれが普通だと思っていたし、何より家族にとって必要不可欠な存在だと思えていた。
この映画を観て強く感じたことは、状況や立場が変わった時、自分の中に新たな存在意義や存在価値を見出せるか否か?がとても重要で
それには周囲からのリスペクトが必要不可欠。
「ありがとう。あなたがいてくれて本当に良かった。」そう思いあえることが何より大事だと感じました。
あと、この映画を更に一筋縄ではいかなくさせているのが、作家という生き物。
無から創造物を作りあげるパワーと覚悟。
産みの苦しみ。
一般人には計り知れない部分がありますが…だからってそんな事までする?
どうにも不自然で引っかかる部分があって、
仕組まれた復讐にも思えます。
怖っ。
見せない部分の妄想が止まらない。
観た人それぞれに別の物語が完成する、エキサイティングな映画でした!
#落下の解剖学
最高に面白かった!あっという間の2時間半。
『落下の解剖学』を見て
予告を見て想像してたよりも、ずっとスリリングだった
鑑賞者の視点によって変わる真実
結婚とは?家族とは?
ギャガさんの招待で鑑賞させていただきました。
法廷サスペンスを題材に、夫婦の問題がテーマとなるヒューマンドラマ。
2024年のアカデミー賞、作品賞含む5部門にノミネートしている話題作。
“夫の死は、自殺か?妻が殺したのか?”
鍵を握る証人は盲目の息子…。
「落下の解剖学」を観て、「マリッジ・ストーリー」や「ゴーンガール」のように、夫婦間の見てはいけないいざこざ、結婚の闇…を改めて知ってしまったのと同じ気分を味わった。
ただ、上記に挙げた作品と違い、この作品はエンタメ抑えめで、子供との関わり合いという点を含め丁寧に家族の関係や心情を描いている。※その分、上映時間長いですけど。
てか、ほんと結婚って何なんでしょうねー。笑
終盤、息子と妻の関係、そして真実、その先にある未来…。いろいろなことを考えさせれる重厚感はあった。
ただ、このラスト…個人的には、だろうな、という予想通りな展開だった。
最近観た、数年前のとある邦画に近い終わり方、手法だった。正直、この類の結末は好きではないです。
また、一番良かったのは、なんといっても主人公“容疑者の妻サンドラ”を演じたザントラ・ヒュラーの演技の素晴らしさ!
法廷シーンでの、フランス語と英語の2カ国語の使い分けと、感情表現の切り替え巧みさ、そして身振り手振りの細かい動き…凄かったです!
あらゆる伏線を見逃すな!
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