落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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それは勝利ではなく。
どんな家族にもそれぞれの秘密があり、
どんな人も完全に相手を理解することはできない。
それでも私たちは日々を暮らしている。
最後の主人公の、裁判に対してのセリフにすべてが込められていたように思う。
原因を明らかにするために、他者に問題解決を依頼するという行為は、
人を疲弊させ、罪そのものよりも深い傷を残すのかもしれない。
事実とは…1つじゃないのかも
とても地味な映画です。法廷サスペンス!という捉え方がいいのかも🤔
流行作家のサンドラは教師の夫と目の不自由な11歳の息子と暮らしています。ある日、息子が愛犬との散歩から帰って来ると、家の前で、血を流して息絶えている父親を発見します。
転落死?警察は他殺の可能性を見出だします。容疑者は妻のサンドラ。
捜査で色々な事実が見つかります。裁判でも新たな証言が現れます。鍵を握っているのは目の不自由な息子。母親が裁判で追い詰められる姿から目を逸らさず、涙をこらえながら傍聴を続ける息子。そして証言台へ。
1つの証拠も検察側と弁護側では全く逆の解釈になる。そして、それぞれの解釈に科学的根拠がある。「推定」に対抗するための「推定」。「推論」を真っ向から否定するために作られた「推論」。お互いが近づこうとしているのは「事実と思われること」に過ぎない。本当の事実とは?
それでも判決は出る。判決は本当に事実を反映しているのか?全てが疑わしいままである。誰も納得はしていない…しかし…裁定は下され、日常に戻る。
やるせない気持ちになる、そして脳みそが疲れる映画でした😅でも…カンヌでパルムドールを取るだけのものはありますぞ。是非観てください😊
人物に寄った丁寧な展開
ん?
真実と嘘を混濁した演出に翻弄される
父サミュエルの転落死は自殺か、母サンドラの手によるものか?緊張感が持続する法廷劇で最後まで面白く観ることが出来た。
ただ、コトの真相は観客の解釈に委ねられる部分が多く、観終わった後にモヤモヤも残った。むしろ、そうした余韻を楽しみながら、色々と考察すべき映画なのかもしれない。
そもそも決定的な物的証拠、例えば凶器などは一切見つかっていない。検察側は動機や状況証拠だけで有罪に持ち込もうとしており、流石にこれでは無理があるように感じた。結局、こういうケースは参審員個々の裁量で判断するしかないのだろう。人が人を裁くというのは非常に危険であり、また難しくもある。
それにしても、本作は観てるこちらを惑わせるような演出が各所に施されていて実にイヤらしい。
例えば、法廷に流れるサンドラとサミュエルの口論の音声記録は、途中まで再現映像で表現されるが、肝心のヒートアップした場面では音声しか流れない。そこは観客が想像してくれということなのだろう。
あるいは、最後のダニエルの証言も然り。一つ目はともかく、二つ目の証言は極めて主観的であり、おそらく偽証でないかと思われる。ここもわざわざ再現映像よろしく、あたかも事実のように描いて見せているが、真実かどうかは定かではない。
そもそもダニエルはこれ以前にも嘘をついている。彼は転落死直前の両親の会話を屋外で聞いたと言うが、その後の現場検証で屋内で聞いたと訂正した。本人は勘違いなどと言っていたが、そうではないだろう。もし二人が口論していたとなれば母親は益々不利な立場に立たされてしまう。おそらくダニエルは母親を守るために嘘をついたのだと思う。
このように本作は各所に後に繋がるような伏線や、解釈を迷わせるような演出が施されているので中々一筋縄ではいかない作品となっている。
そして、真実の行方も気になる所であるが、それ以上に自分はこのような事態に巻き込まれてしまったダニエルに不憫さを覚えてしまった。
サンドラとサミュエルは共に小説家である。キャリアという点ではサンドラの方が恵まれていて、サミュエルはそれにコンプレックスを感じている。更に、過去の事故でダニエルに視覚障がいを負わせてしまったという責任も感じている。環境を変えて心機一転、仕切り直しを図るがそれも失敗に終わり、今や完全に夫婦仲は冷め切っている。そんな二人に挟まれてダニエルはさぞ寂しい思いをしたに違いない。唯一心を癒してくれるのは愛犬のスヌープだけである。
判決が出た夜、サンドラはかつての恋人で弁護士のヴィンセントと祝杯をあげていた。自分はこれに大変違和感を持った。本来であれば、真っ先に帰宅してダニエルと喜びを分かち合うのが母親ではないだろうか。きっとサンドラにとって一番大切なのは自分自身であり、家族は二の次なのだと思う。これではダニエルが余りにも不憫である。
本作で一番の犠牲者は亡くなったサミュエルでもなく、裁判にかけられたサンドラでもなく、実はダニエルだったのではないか…。そんな風に思えてならなかった。
総じて完成度が高い作品であるが、唯一、不自然さを覚えるカメラワークが幾つかあったのは惜しまれる。法廷シーンの一部で過剰なズーミングやパンが見られて興が削がれてしまった。
キャスト陣ではサンドラを演じたサンドラ・ヒュラーの好演が素晴らしかった。実話の悪魔憑き映画「レクイエム~ミカエラの肖像」の薄幸な少女から、「ありがとう、トニ・エルドマン」ではバリバリのキャリアウーマン、「希望の灯り」ではやさぐれたハイミス等、抜群の存在感を示してきた女優である。ここにきて一段と懐の深い演技を見せつけ改めて良い役者だと再確認できた。
弁護士ヴィンセントを演じたスワン・アルローのイケメンぶりも印象に残った。フランソワ・オゾン監督の実話の映画化「グレース・オブ・ゴッド 告発の時」では神父による性的被害者の一人を演じていた。劇中で最もインパクトのある演技を見せていたことが思い起こされる。
ユーチューブの
他人を見る目を一番持っているのは…
サスペンスではなく法廷劇
シュレディンガーの猫を外から楽しむ映画
鑑賞後、語り合いたくなる良作
まさに。
1人で観に行ったけど、誰か私と語り合いませんか〜!と鑑賞者に声をお掛けしたかったです。
即、この映画レビューを読ませていただきました。いろいろな見方があって、興奮するレビュー読み。最初のダニエルの証言で、夫婦の会話が聞こえたのは外だったという証言から、いや中だったかも、と自分の勘違いだったという証言に変えたのは母を守るためについた都合のよいウソだった?
私の考えは妻サンドラがインタビューを邪魔された腹いせに何かで殴り、旦那サミュエルが三階窓から誤って落ちたのか?とか。だから頭の血があそこについていたのか?とか。
ダニエルは母がやったのかも、と考えていたが、離れて頭を整理して一生懸命、母を守る策を考えていたのか?今度は失敗できない、もう信用されていないんだから飼い犬を使い、より説得力のある状況説明をしなければ…と1人で実行にうつしたのか?
ラスト、割と長い尺で取っていた中にサンドラの友人弁護士と2人だけで飲み交わし、見つめ合った時に旧知の弁護士の顔が疑うような冷たい表情だった気がする。サンドラの右手が震えていたし、それを隠そうとしていた。
他にいろいろ言いたい事がたくさんある映画だった。おもしろかったー!
あとはnoteでもっと語ってみたいです。
ヨーロッパのガチ夫婦ケンカは怖すぎる!
ベストセラー作家の主人公と小説家志望の夫との互いの主張の応酬は、聴いててしんどかった。
日本人同士なら、ここまで相手を追い詰めないけどなー。
このシーンを観て、改めて傾聴って大事だと実感した。
しかし、ここまでもめても、浮気してもされても、それがバレても離婚しないという不思議。
この二人が夫婦という形態をとり続けていることが、この映画で一番ミステリー。
法廷シーンでは、少々間延びしたところもあったけれど、物語は総じて面白かった。
主人公がドイツ人で、フランス語が不自由なので英語を使うシーンに、ヨーロッパを感じた。
確かに、ヨーロッパの人って、2、3か国語(母国語と英語、プラス母国語と言語的に近い言語)話せる人が多い。
少なくとも、街中で英語で質問しても、問題なく会話は成立する。
日本では、駅やホテルの観光施設でも、スタッフが突然の英会話にワタワタしちゃうことありますもんね。
ラスト、主人公は裁判で無罪となる。
息子の証言は、裁判官の心証に大きな影響を与えたように感じた。
私も、主人公は、殺人罪で収監されるリスクを冒してまで、夫を殺さないと思う。
経済力もあるし、夫に本当に愛想が尽きたら、面倒でも合法的な離婚手続きを取るタイプ。
母親なら、障害の有無にかかわらず、11歳の息子と離れる可能性がある選択はしない。
夫の死因は、自殺か過失かは不明だけど、転落死だと思う。
主人公には、あと5年くらいは、息子中心でしっかり子育てして欲しい。
と言いつつ、すぐ恋人とかセフレを作りそう。
恋愛よりは、子育ての方が、私は奥が深くて面白いけどなー。
やはりダメでした
観た感触はTARに近い。(いわゆる一般的な性の役割が反転している感...
犬の演技指導が気になる
信じたいものが真実になるという豊かさと恐ろしさを感じる一本。
倦怠カップル・倦怠夫婦のひりひりする会話や喧嘩が大好きな僕としては、中盤の夫婦同士の言い合いが素晴らしかった。とはいえ、あれも音声としての証拠なだけであって、視覚的にはイメージするしかない。明らかに殴った音はするけど、誰が誰をかは断定できない。裁判なのに、事実ベースで語られないからこそ、その都度感情移入する相手が変わる。
予告編が若干ミスリードっぽいけど、もうどんでん返しとかミステリーとしてどうかではないんだよっていう着地点。両親の本音を聴いてしまった事故により盲目になってしまった子どもが最後にした証言と、母親を慰める側に回るラストにグッと来た。でも最後に寄り添うのは父親でもなく子どもでもなく犬で、その犬ももしかしたら加害の一端を担っていたのかもしれないと思うと… いい投げ方だと思う。
犬の演技がすごすぎる。
楽しんだとはいえ、上映時間長いな〜とは思った。
ある家庭での不審死、法廷劇。 単純な犯人探しではなく、いろんな当事...
ちょっと長かった🐶
寝不足だったせいもあり、途中、ちょっと居眠りしてしまいました。
死んだお父さんが、それほどいい人に思えないから、犯人、わからなくても、もうええやん、という気になってしまいました。
ダニエル、愛犬にあんな実験するなんてよくわかりません。
お母さんも、勝訴したんならさっさと帰ってダニエルと晩ごはん食べればいいのに、弁護士と食事して、寄りかかったりしてちょっと意味不明。
結局、お母さんが殺してたんでしょうか。
冒頭、やかましい音楽をタイマーで鳴らす設定にして、すでに殺めていたのかな🤔
じゃあ、冒頭で話終わってたか。
ちょっと長かったな😅
犬の演技が光っていました🐶
「待って。私は殺してはいない」「重要なのはそこじゃない」
見終わってモヤモヤしてる。こういう、ヨーロッパ人の理屈の捏ね方が苦手なせいもある。英語、独語、仏語。それを日本語の字幕に直して読む。読解力のなさと言われれば返す言葉もないが、言葉を深読みするせいか、その真意を身の腑に落とす前に話が先にいってしまう。思い入れしすぎるのかな。皆さん、よくついていけると思う。そしておそらく肝心な辺りで何度か落ちたzzz。すると息子の激白シーンだ。彼の主張を聞きながら、なんて聡明な子なのだろう、、とは思えなかった。日が経っているのによくもそこまで鮮明に覚えているものだ、としか思えなかった。これも君の幻想だからスラスラ口からでてくるんだろうと勘ぐるしかなかった。
だから、ラストの結末を見ても、さらにその爽やかな笑顔を見ればなおさら、モヤモヤとした感情しか残らなかった。
極めてデキのよい法廷劇だが
カンヌでパルムドール、オスカーで脚本賞――と高い評価を得た作品。
確かによくできた映画で、演者の熱量も高い。
見て損はないと思う。
しかし、法廷劇というのが、元々好みではない。そして2時間半は長い。
頻尿の僕には辛い――というか一度トイレに立った――。
見てスッキリする作品ではないし、夫婦関係、親子関係について、そして夫は殺されたのかどうか…という謎解きについても、映画は暗示するだけで、「真相」は明かさない。
見ていて、気持ちが晴れることもなく、共感もあまりできなかった。
加えて、ここまでの尺の長さは必要だろうか、と感じた。
本当は☆4つと言いたいが、好きなジャンルでなく、長いという点で☆2.5という評価にしておく。
オスカーを取っており、封切りから1カ月たち上映館も少なくなっていることもあってか、昼間のシャンテは結構の客入り(半分弱)だった。
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