落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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スリラーではなく、人間ドラマ
鑑賞後3週間たったいまでも、父親が息子に車の中で伝えた「遺言」が、忘れられない。
あの言葉を「遺言」と解釈し、決定づける決断をした息子の勇気。
母親は無罪となったけれど、大団円にはならない。終わったわけではない。父親がいなくなった現実は変わらない。
新感覚アトラクション映画
まずこの映画スッキリしない
モヤモヤしたまま終わる映画です
特にエンタメ好きな人であればあるほどスッキリしない
映画慣れしてる人であればあるほど
いつどんでん返しされるのか
いつゴーンガールになるのか
いつカイザーソゼが出てくるのか
って思っているとそのまま終わります
視聴者は拍子抜けします
その後犯人はやっぱりこうなんじゃないか?
いや旦那の自殺なんじゃないか?
みんな思い思いに考察に耽ることでしょう
ですがそれすらも監督にコントロールされているとしたら?
つまりはこの映画見た後の考察班まで
手のひらで転がされる映画なんだなと
不振な点は沢山あるけども
全部机上の空論で事実は犬がゲロっただけ
唯一の事実に基づくと無罪です
でも視聴者含め世間は奥さんが犯人だと面白い
奥さんに会いに来た女子大生が犯人だと面白いから考察をします
約1時間の法廷シーンは視聴者を混乱させるためだけの
1時間。
答えは冒頭のシーンと犬のシーンだけで十分な映画です
この映画立ち返ると
身の回りでも同じようなこと多いなと
例えばSNSで○○と○○は実は裏では仲が悪いらしいとか
ニュースの情報だけであの芸能人は実は○○らしいとか
なぜならそっちの方が面白いからです
この状況下を2時間の映画で作り出した脚本は天才的だなと新しいどんでん返しの形を見た気がします
脚本賞おめでとうって感じです
息子と犬が主役
って感じ。大人の都合、事情が夫婦関係や家族に影響する中で、純粋に真実を見極めようとする彼らのつぶらなキラキラした瞳が印象的。
付添人の意見を発するのは発言自体とその内容のは非常に違和感を感じた人は少なからずいらっしゃったのではと思います。
藪の中で起こること
夫が家から落下し死亡した。
これは自殺か?殺人か?もし殺人だったとき犯人は妻なのか?そんな疑問を解くことをキーとしたミステリーではなく裁判で語られる死亡までの夫婦を含めた親子関係、そして裁判そのものをリアリティ感を高めて描き観てるものを惹きつける。
そのため事件事故の判断そして善悪の扱い方は観てるものに委ねるといった方法はとても上手く描けている様に思えた。
自身を省みる教訓にもなる
スリリングな法廷劇としても、夫婦関係の崩壊を描くメロドラマとしても、息子の成長物語としても、如何様にも味わえる濃厚な作品でした。
152分と長丁場ですが、それ相応の見ごたえがあります。
証拠としてあげられる「事実のようなもの」は、ある人やある出来事の一面でしかない。
群衆は正確な事実よりも、より面白いものを信じたがる。
劇中で語られる言葉ですが、とても納得できます。
我が家のある日のエピソードを友人に話すと「家族で仲がいいね」と言われるのですが、また別の日のエピソードを同じ友人に話すと「家族仲、悪いの?」と心配そうに言われたことがあります。
私にとってはどちらもありふれた日常の一コマですが、その部分だけ切り取ってみると、とても良好/険悪なものに見えてしまうこともあるのだなと体感したことがありました。
手に取った石ころ一つで山のすべてが分かるものだろうか。
そんな裁判で、人を裁くことに意味なんてあるのだろうか。
事実らしいものはたくさんあるし、どれもそららしく思えるけれど、重要なのは何を信じると決めるか。
本作で起きた出来事の真実、事故か自殺か殺人かは、まったく重要ではないように思えてきます。
エンターテイメントとしてだけでなく、自身を省みる教訓としても非常に参考になる、おもしろい作品でした。
解剖され露出したはらわたは戻らない
カンヌとアカデミーで評判のサスペンス映画で、山荘で男性が転落死した事件で妻が殺人容疑で逮捕、起訴されるお話しだけど、なんとも後味の悪い作品でした。美しい雪山の風景の中、夫の謎の死で始まる出だしはいいけど、警察の調査や弁護士とのやり取りなどダラダラと続き、お話しのテンポが悪いです。後半の裁判になってやっと持ち直すけど、検察も弁護側も状況証拠と臆測だけで決め手がなく、夫婦の生活の暴露合戦になってきます。ここで、この作品はいわゆる法廷サスペンスでなく、審理の過程で夫婦関係を解剖していき、性的嗜好や不倫、鬱屈、暴力、病気など、他人には見せられない夫婦の内臓を曝け出していくことがテーマであることに気づきます。しかし、裁判が被告側の勝利に終わっても、一度晒された内臓を元には戻せず、息子や関係者との間の埋めようにも埋められない断絶が残るのも苦い結末です。脚本の着想は面白いけど、枝葉末節が多くて上映時間は長過ぎですね。役者では、サンドラ・ヒュラーが渾身の演技。ハリウッドでリメイクするなら、主演はケイト・ブランシェット、弁護士は伊勢谷友介かな。
複雑なものを複雑なまま丁寧に描く映画
ファクトというのがいかに曖昧かというのは羅城門を彷彿とさせ、言葉とコミュニケーションが夫婦の軋轢になるのは、ドライブマイカーと似ている。
他国が舞台だが、人間の描写がとてもリアリティーがある。たぶん、それぞれの人間が法廷では真実を語っているのに、完全には信用ができない。しかし、演技の迫真さにより、それぞれの感情はスクリーンを通じて伝わってきて、それぞれの立場に感情移入はできる。だけど、完全に信じることもできない。見ているものに複雑な気持ちを常に突きつける。
すっきりしないもやもやは2時間半続く。証言を裏付けるものはとても曖昧で、証言そのものが発言者の立場や気持ちにより、バイアスがある。よく考えたら当たり前の話なんだけれど、緻密な脚本と演出により、胡散臭さく人間臭い人たちのまるで人狼ゲームのように虚偽を言っているのではないかと見ている側は感じてしまう。
いちおうの結末は決してワーストな結末ではないが、ベターなものでもなく、ハッピーなものでもない。真実はなんであれ、悲しみを感じる結末だ。
こんなカタルシスもミステリーが解決するともなく、正義に酔えるものでもない、ただ不安定な気持ちを鑑賞後に突きつける作品は珍しく貴重だ。
夫婦のコミュニケーションをテーマにしたドライブマイカーの方が救いがある。
夫婦はお互い母国語で会話するとも出来ずに、自分は我慢していて、お互いの犠牲になっていると感じていて、家庭のために生きていて、相手を思い遣ってると思っているが、それが苦しみや歪みを産んでいる。傍目からみたらうまく行っている家庭もこのような苦しみがあるのかもしれない。言葉さえお互い不自由なく使えたら問題は解決するのかと言えばそうでもない。
しかし、不幸な家族なわけでもなく、ありふれた家庭に起こりうるミスコミュニケーション。
全くすっきりしない。何も解決しない。だけど、2時間半の長丁場を飽きさせることなく見せれる映画。人を選ぶだろうが、見て良かったと思える映画だった。
芳醇のコクと旨み
雪山に住む3人の親子。
落下死した夫。
容疑者となる妻。
そして視覚障がいの息子。
物語は事件の真実が何かではなく、
その人は何を思ったのか、
世間からどう見られているのか。
人間という生き物の真相を淡々と解剖してゆく物語
真実を追求しない法廷作品。
アカデミー作品賞ノミネート。
これね、完全な玄人向けです。
起承転結に波が欲しい
ハリウッド映画大好きさんには
この芳醇のコクと旨みを楽しめるのか。
これを楽しめる大人になって欲しい。
フライヤーの一文で顛末が見えていた
フライヤーには下記の内容が記されている。
雪山の山荘で男が転落死した
男の妻に殺人容疑がかかり
唯一の証人は視覚障がいのある11歳の息子
これは事故か自殺か殺人か
このフライヤー、実はもう答えが載っているんだよねΣ(´∀`;)
見る前からだいたい分かっていた。
自殺が答えだ、ってね。
案の定だったよ(;´Д`)
何で自殺だと分かったかと云うと、フライヤーを作った人が文章構成を考える際に、自殺だと顛末が分かっていたから殺人と匂わせながらも最初の段階で事故か自殺と切り出している点で殺人じゃない、事故に見える自殺だと云いたいことが読めた。
本編では、警察が詮索しすぎた結果、単純に考えて事故か自殺で処理するべき事案を血痕に不審点がある理由から殺人の可能性もあると考えられてしまい裁判になってしまったのだが、裁判のシーンがまあ長いこと。息子のダニエルが父親が亡くなるまでに自らの死を仄めかす発言をしていたことが立証され妻は無実を勝ち取るのだが、そこまでの長い長い裁判は本当にあそこまで尺が必要なのか?
もっとカットして余計な部分は割愛すべきなのに夫婦喧嘩をしていたことも何回も紹介するべきシーンなのか、重要だと意味づけるシーンだけで良いのにダラダラと話が続くから眠くてしょうがない。
結論、妻の才能に負けたと思った夫が焦った末に精神的にも追い詰められた結果が自死だった。息子の事故を夫のせいだと責任転嫁で追い詰める妻もどうかと思うが、一方的に責められ更に妻との収入面においても格差が生まれたという点で負けを認めたくないプライドの高さが動機となったのだろう。
落下の解剖学
生々しい。と言った表現が1番しっくりくるけど、そんな一言で終わらせられるほどのものではない。映画の中にいろんな感情が思惑が、ものすごい密度で埋められていた。
主人公が無罪を勝ち取るまでの話かと思いきや、裁判によって隠していた事実や他人には言えない彼女の全ての感情、感覚、生き方まで全て解剖されていく。この解剖で彼女の1人息子は何を選択し、何を守り、両親の真実をどう受け止め、どう決断していけばいいのか学んでいく。
「落下の解剖学」とはいいタイトルをつけたものだ。
あらすじ
夫の不注意で事故に遭い、視覚障害を患った息子を持つ主人公のサンドラは、ある日雪山の上にある自宅のそばで血を流して死んでいる夫の姿を発見する。
やがてサンドラの殺人が疑われ、彼女は無罪を主張していたが、数々の証拠と合致しない彼女たちの証言は意味をなさなくなっていく。
そして、事故の前日の喧嘩の内容の録音や、夫が薬を飲んできたことを法定内で知った息子は、父が自殺したのか、母が夫を殺したのか、疑心暗鬼になっていく。
また、撮影、編集にもこだわりを感じた。突然現れるfixの主観カットや、徐々にカメラが寄っていくじっとりとしたドリーイン、かと思いきやズームで勢いよく寄っていくスピード感は、キューブリックを思わせる。雪山というものと、息子の髪型のせいか、途中からシャイニングを見ているのかと思ってしまった。
リアルで人間くさい
人間が持つ愛情とエゴを表裏一体で見事に表現しきった作品。視覚障害の子供への愛情、事故で視覚障害にしてしまった悔恨、その子供のために自らのやりたいことが出来ず子供への煩わしさがあからさまになるさま、全てがリアルに描かれる。そして、どの側面も想像の範疇だが自分自身に置き換えられることが出来、すんなりと受け入れられてしまう怖さもあった。
全てが善人の人間などいないと、改めて実感させられた。
もう少し短くてもいいかも…
結末で回収される昨今の作品に慣れてしまったこと、それがいいと思ってしまっていたことに気付かせてくれました。ラスト、すっきりしないけれど犬が寄り添っていったのが一つの示唆なのかなと…
食べたいものじゃなかった
悪くはないんです。
ただ「焼肉」を食べに行くはずが「うどん」かよ、みたいな。
決してうどんが嫌いなわけじゃないんです。でもガッカリしたのも事実で。
こんなはずじゃなかった、と。だって焼肉の口になってるんだもん、と。
この責任を誰かに取ってもらいたい(笑)
確かに事前情報を入れずに観たけどさ。その方が良いかと思って。
でも何となくミステリー味だって想像してしまうじゃんか。
そりゃどうしたって「そういう口」になっちゃうってば。
分かっていても「焼肉」のつもりの「うどん」は喜べないって。
せめて「うどん」のつもりが「焼肉」だったならOKなんだけど、
濃い味を期待してる時の薄味はさすがに受け入れがたい。
おっさんだけどまだ味覚はお子ちゃまですから!
ただこれは宣伝も悪かったんじゃない?と思わずにはいられない。
TVなどで流された予告は完全に濃い目のミステリー味だったよね?
だけど蓋を開けたら質素な「ヒューマンドラマ味」だったわけよ。
子供だったらショック過ぎてきっと大泣きするぞ。
そういう意味では宣伝に「誠実さ」が欠けていたように思うんだよね。
客を呼びたいのは分かる。でも作品に敬意は払うべきじゃないかな。
この映画でとにかく言いたいのはそれだけです。
大人げなくてスミマセン。
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