落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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濁った眼で鑑賞してはいけない
この時期はアカデミー賞ノミネート作品があわただしく公開され面白いことが保証されているのでこちらもそれを追っかけることとなる。この作品はカンヌでパルムドールを獲っており、夫殺しの容疑で起訴される主役のザンドラ・ヒュラーはエマ・ストーンと主演女優賞を争う見事な演技だが作品の知名度含めて圧倒的に不利だろう。それにしても事件前日の夫婦げんかで見せる長回しの感情吐露シーンは、この作品の総て(ミステリー要素における観客の推理を含め)のカギを握っており鬼気迫るというか冷静から沸騰までの感情の変遷を決して過剰ではなくナチュラルに演じておりあっぱれである。夫が山荘の高い位置から転落して死亡しその時間に屋内にいたのは妻だけで事故か自殺か他殺か?というあまりにもオーソドックスなミステリーサスペンスでメインは法廷闘争なのだが、このかつてないスタイルがちょとそうとうにグッとくるというか伏線や駆け引き小細工のないまっとうなストーリー展開と演出はドキュメンタリータッチと言っても足りなくて目から鱗がボロボロと落ちる。真実は無くて法廷の結果が全てということなのだがポスト・トゥルースの現代も同じく。加えて犬の演技が凄くてアカデミーに動物部門があったればぶっちぎりでオスカーであろう。
結末はすっきりしない、しかし---
人里離れた山荘でサミュエルが転落死する。次第にベストセラー作家の妻サンドラに容疑が向けられて警察に逮捕され、裁判になる。視覚障害を持つ11歳の息子、ダニエルの証言が最大のポイント。
この作品は、どうして2023年カンヌでパルム・ドールを獲得することができ、24年のアカデミー賞で、作品賞をはじめ幾つかの部門賞でノミネートされているのだろう。私は、二つの点に着目している。
一つは、作家である妻のサンドラに、夫サミュエルが、少なくとも一度は、作品のアイデアを提供したこと。日本だったら、太宰治の例が有名だろう。多くの閨秀作家が、彼に材料を提供し、かつ愛人になった。こうした場合、ほぼ常に女性が弱い立場で、男性が優位に立つ。この映画では、それが逆転していた。時代の流れを顕著に描き出しているのだと思う。
もう一つは、ドイツ人の強い女性サンドラと、フランス人のやや弱い男性サミュエルが結びつき、最初はロンドンに住んでいたが、サミュエルの故郷、雪深い山の中に移って暮らす。かわいい男の子ダニエルを育てるが、日常語は(けんかも)英語。裁判になると、公用語は、当然フランス語だが、彼女の要求に従って、一番肝心なところでは、英語での証言が許される。これ以上の国際交流はないだろう。
それでは、この映画の弱点はどこか。実は、二つある。
一つは、二人でダニエルを育ててきたはずなのに、ダニエルは極めて自然なフランス語を話し、一方、サンドラもフランス語がわかり、かなり上手に話はするが、二人の間は、どこかよそよそしい。本当に親子かと思うくらい。サンドラの言い分は、私だって母国語はドイツ語、一歩譲って英語を話しているのに、どこがいけないのか。一方、ダニエルとサミュエルは本当の仲良しに見える。
次に、ダニエルには視覚障害があり、どうやら事故の結果らしい。サンドラはサミュエルの責任としているようだが、驚いたことに、自分の作品の題材にしたらしい。まるで、日本の私小説作家のように。しかし、その仔細は明らかではない。
結末はあいまい。中村吉右衛門演ずる、TVの鬼平犯科帳みたい。裁判が終わったあとも、どこかすっきりしない。しばらく観ていたら、なぜかわかった。裁判の判決が出ても、サミュエルが帰ってくるわけではないからに違いない。そうだ、あのサンドラも、もちろんダニエルも、夫であり父であるサミュエルのことを、本当は愛し、慕っていたのだ!何と言う素晴らしい映画か。
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本作が、アカデミー賞で脚本賞に輝いた。
一人でも多くの皆さんに劇場へ足を運んで欲しい。
途中で理屈っぽいと思うかもしれないが、是非最後まで。
素晴らしい映画だから。(2024.03.11)
静かに張りつめた緊張感
科捜研的な切り口で真相に迫るのかと想像していたけど、夫婦の問題はもっと複雑だった。
口元のアップやピアノを弾くダニエルの煽り、細い山道の走行など、カメラワークが緊張感を感じさせる。
口論のシーンは、ジワジワとお互いの不満が湧き出してグイグイ引き込まれた。
サンドラは圧が強いし、サミュエルはイラッとくるほど卑屈だし、検事は嫌味ったらしい。
誰の味方もしたくないイヤな演技が素晴らしい。
ダニエル役の子は凄いなぁ、恐怖と安堵の入り混じったような表情がとても印象的。
スヌープはパルムドッグも納得の名演技。
メインビジュアルはファーゴっぽくて好き。
3セットマッチにたとえるなら
ケンカの録音を聞く前、"サンドラが優勢"。
録音を聞いた後、"夫が優勢"。
決まりかけた試合のタイムアウト直前、"ダニエルが決めたのなら、それで良いよ"
サンドラは頭が良く才能に溢れ、周りの人々は彼女に惹かれずにはいられない。
一方で、仕事ができる人間にありがちな、周りの人々を利用する事を厭わない面もある。
そんな彼女の夫が、才能のなさや境遇を克服する強さを持ち、妻の不誠実さをなじることでしかプライドを保てないほど弱くなければ起こらなかった悲劇。
事実はどうあれ、頭が良く眼の障がいという自分の境遇に向き合える、ダニエルが出した結論だもの。
壊れてしまった夫婦、あるいは家族の物語
雪山の山荘で起きた男の転落死。
事故か、自殺か、殺人か、、、
真実は神のみぞ知る。
これは夫婦、そして家族の物語。
終始緊張した。
自分の生活を思った。
夫にとってはモンスター、息子にとっては、、、
そう、息子の心情の複雑さに絶句するパルムドールも納得の傑作。
ザンドラ・ヒュラーの名演を自分の映画史に刻んだ。
スヌープの演技力ならラップもできそう
夫の死をめぐる裁判で、徐々に明らかになる夫婦間の確執を見つめつつ事件の真実に迫るという設定はおもしろそうなんだけど、実際には夫婦の痴話を長々とうまくないセリフ回しで見せられる感じ。話のポイントじゃないこともあってミステリー的要素も薄くて、こっちは傍聴席で意識が飛びそうになった。
裁判もなんか論破合戦的というか「朝生」っぽい軽い感じで、 検事がやけにフランク。あちらでは公判中にジョーク言ったりすんのだろうか? まあ、母親があんまし子ども好きじゃないのはよくわかった。
しかし、飼い犬のボーダーコリーの演技がめっちゃすごい。アスピリンで目を開けたままぴくぴくなったり、人の心を見透かすような三白眼で見つめるところなど、ヘタな役者よりもうまい。今作の主役ザンドラ・ヒュラーがトニ・エルドマンで唐突にマッパなったときぐらいの驚きがあった。
関係ないけど、本作の紹介欄で「さようなら、トニー・エルドマン」って。校正ぐらいした方がいいよ…。
ガチ
夫婦喧嘩がリアルでキリキリ胃にくる。おっしゃる通りパートナー関係なんぞ、一場面で切り取れる話でもなく、何もないように見ても、自覚すらしていない幾重もの糸で繋がっていたりするもの。喧嘩を殺人の理由にされたら、その母数の大きさを考えれば、起きた事象に対する原因にすること自体が非合理なはず。
事実の推理よりも人間関係を捉えて終始したのは好感が持てるところ。フランスの裁判システムなのか、証言を得るというより、議論をするように裁判を進めているのが興味深かった。
冒頭からただならぬ目をしていた犬であるが、あれは演技なのかどうやって撮ったのか理解できないような名演。
真実は結局なんなのか
正直想像していた内容とは違った。
結局真実がなんなのか明らかになっていないような感覚になり、急に出てくる新たな証言に翻弄され、確信に近いことなのかよくわからない事柄を議論しまくっている印象だった。
痛ましいケンカシーンや白熱した裁判の議論が見せ場だったとしたら少し期待外れであった。
息子の揺れる表情が切ない
殺害か自殺か確証はなく、証言により解釈が争われる
凄まじい轟音となった音楽に夫の苛立ちが震え、彼は落下する
職を捨てて執筆に賭けたが芽の出ない夫と、作家として成功した妻
躓きは事故による子どもの失明にあるのだろうが、追い詰める二人の関係は壊れてしまう
語り口は見事だ
フランスの裁判風景が楽しめる本格サスペンス
本格的なサスペンスを久しぶりに見ましたが、しっかりとした論理展開で飽きが来ず楽しめました。
ただ、ずっと考え続けることになるので、仕事上がりに見るにはかなり疲れる映画でした。
映画としてはまず、アルプス近くの雪山の山荘の風景が美しかったです。こんないいところ私も住んでみたい…。英語とフランス語が切り替わるので最初カナダかな、と思っていましたが、フランスと知ってからはああ、アルプスなんだ、と納得しました。
そう意識するとワインを飲んだり、雪道を散歩したり、最後の犬が寄り添ってくれたり、出てくるシーンがどれもオシャレに感じられます。
向こうだと英語が共通言語なんですね。主人公の1人であるサンドラはドイツ人ですが、弁護士が英語も良いけどなるべくフランス語で話して、と忠告していましたが、英語でなくドイツ語だったらもっと激しい非難が来るだろうなと感じました。
古い話ですが、昔旅行した際にはドイツのカフェにフランス語のメニューがなく、フランスのカフェにドイツ語のメニューがなく、どちらにも英語とトルコ語が書いてあって失笑した記憶があります。
落下の解剖学、というタイトル通り、夫サミュエルの落下から事件が始まるのですが、これは夫婦関係の悪化、人気作家としての失墜、サンドラの人間性の見え方など、色々な意味にとれますね。
映画のもう一つの核心である裁判について、事件そのものとは別に掘り下げられる背景が興味深かったです。自殺か他殺かという点が焦点となっていますが、物的証拠が無いため検察側も弁護側も印象操作で争う形となっています。
録音やサンドラの普段の様子からするとどうしても悪く見えてしまい、さらに夫を自殺へと追い込んでしまった様に感じるように見せています。しかし、それは事件そのものとは関係がないということを弁護側が必死に押し返すところが本当に面白かったです。
裁判自体ではありませんが、フランスの裁判所の風景も楽しめました。
検察と弁護士がそれぞれ赤い服と黒い服の伝統衣装で着飾るのがまず面白いですね。伝統的な部分を残しつつ、傍聴人含めて翻訳が入ったり、息子のダニエル君に裁判の内容がショックになるが、傍聴しない方がいいと裁判官が勧めるシーンなど、人権先進国だなというのが見て取れて感心しました。傍聴席もヨーロピアンからアジアン、アフリカンなど人種が入り乱れており、実際のフランスっぽさがありました。
また、検察側が情動に訴えかけているのがフランス的ですね。人間に情動があって当たり前、という雰囲気もまた面白かったです。
この映画で最も面白いのは主役がサンドラでも弁護人のヴァンサンでもなく、息子のダニエル君だというところです。
母親と弁護人中心に進んでいきますが、最後に息子が証言するシーンで裁判も物語も終結に向かう、というところが物語の構造上、本当に面白かったです。
ダニエル君のシーンがたびたび出てきて印象付けているなと思いましたが、息子と父親との絆が逆に息子へ残酷な真実を伝えることになったというところが、悲劇的でしんみりしました。
ダニエル君は裁判官が傍聴の取り下げを勧めるシーンでも「ネットやテレビで知ることになるから同じだ」と応えており、もともとかなりしっかりした子でした。
しかし、保護人のベルジェの発言を自分のものにしたり、ある出来事の検証をしたり、最後に自分の考えと自分の意見を述べるにあたって、映画の最後に向かうにつれて成長したように感じられました。
やはり本当の主役はダニエル君なのでは?と思ってしまいます。
少し長めですが、とてもいい映画でした。
鑑賞動機:あらすじ5割、カンヌ5割
殺ったのか、殺ってないのか、明言はされてないということですよね。提示されていることからは、どちらともとれるのと、過去の映像は実際にあったことではなくては、主張していること/想像できることを映像化した、だけなのはすぐわかるけど。
余白が多いというか、複数の解釈ができる行間を補いながら観る感じが強い。夫婦間のむき出しの愛憎を見せられるのは、やっぱり疲れる。
淡々としてますが、中身はかなり深い。
フランスの雪山の山荘で、暮らす家族夫サミエル、妻サンドラ、息子ダニエル、愛犬スヌープ。小説家のサンドラは学生からのインタビューを受けている。ところが、突然サミエルがインタビューの邪魔をするかのように、大音量で音楽を流します。インタビューは中止となります。ダニエルが愛犬スヌープを連れて散歩にでます。家に戻るとサミエルが3階から落下して死亡しているところを発見します。事故、事件、もしくは自殺なのか。第一発見者のダニエルは視覚障害というハンディを背負っています。解剖の結果、致命傷は頭を打ったこととなり、生前に腕に怪我をしていることがわかります。妻サンドラが容疑者となり裁判へ展開されていきます。夫婦関係、妻サンドラの素行が裁判で明らかとなります。この展開で妻サンドラは責めるべきなのか同情すべきなのか鑑賞者は困惑すると思います。演技もさることながら、従来の夫婦間のイザコザが逆転しているからです。子育てに協力せず、仕事に没頭して浮気もしている。従来であればそれは男性の設定です。しかし、本作は女性となっているからです。家族を顧みない、浮気する夫が死亡して、その妻が容疑者となっていたら同情という展開となりお涙頂戴の作品となります。これを逆転したことで、鑑賞者は何が真相なのか迷い込んでしまいます。事実の積み上げがされる中、真実をどこに見出すか。これもこの映画のテーマのような気もしました。リアリティがあり過ぎで好みの別れる作品と思います。
家族の絆と裂け目「落下の解剖学」に見る社会の断面と深淵
『落下の解剖学』はただのヒューマンサスペンスに留まらない、深遠なメッセージを秘めた作品です。人体の構造を探求する解剖学のように、この映画は、雪山の山荘で起きた謎の転落死を通じて、家族の秘密や社会の問題を解き明かします。監督ジュスティーヌ・トリエの手によって、第76回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞し、さらに第96回アカデミー賞で5部門にノミネートされるなど、世界中から高い評価を受けている事の意味を深く感じました。すごい
この映画は、視覚障がいを持つ少年とその家族を中心に展開し、夫婦間の複雑な関係、社会問題、そして人生の不条理について深く掘り下げます。高額な医療費、外国で暮らすことの難しさ、性的マイノリティ、ネット社会による情報の拡散や誹謗中傷など、現代社会が直面する様々な問題を、一つの家族の物語を通して浮かび上がらせます。
サンドラ・ヒュラーが演じる主人公サンドラの迫真の演技は必見。彼女の演技を通して、観客は家族の愛、秘密、そして嘘が複雑に絡み合いながらも、それぞれの真実が明らかになっていくのかを目の当たりに。深い作品でした。
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スヌープ
カンヌで高評価を得てアカデミー賞に殴り込んで来た期待の作品、朝イチ目をこすりながら観に行きましたがかなり混んでて前目の席での鑑賞に。でもミニシアターは前でも観やすいのが良いなと改めて思った次第です。
ミステリーがメインなのかなと思っていましたが、基本は法廷劇がメインで、そこに家族の物語が加えられているという構成で、思っていたのとは違いましたがすぐに頭を切り替えて観れましたが、それでも会話劇メインで進展があまり無いのは退屈だなと思ってしまいました。
突然自殺してしまった父親を見つけた息子と母親、母親に殺人の容疑がかけられ、裁判に向かう…といった感じの作品です。
法廷劇は思っていたよりも弁護・検事共に自由に動き回っていたので、フランスだとこういう感じなのかなと思いましたが、なんだか高度なレスバトルだなぁとSNS社会に生きる人間な感想がポロッと出てきました。
主題には添いつつも、お前は同性愛だーとか小説はこういう暗示をしているんだーとか結構めちゃくちゃ言い合ってて、でもそれが下品には見えなかったので、頭の良い人たちは言葉の選び方も上手いんやろなーと思いました(小並感)。
観客の視点は完全に傍聴員みたいな感じで、現場で一緒に裁判を聞いてるみたいな感覚になる体験型になっていたのはちょっと面白かったです。カメラワークがぎゅっと一人の人物に寄るのとかまさにそれだなと思いました。
父親の視点の方に寄って観ていたので、どうしても奥さんの行動にも身勝手なところがあるし、被害者ヅラしすぎじゃないか?とかなり疑いながら観ていました。
奥さん全く自分に非がないとアピールしているのもかなり嫌で、なんとかして奥さん有罪になってくれと思ってしまうくらいにはUSBの音声で印象がガラッと変わってしまいました。
それもあって裁判の決着は奥さんの勝利という形になってしまったのもなんだかなぁとモヤモヤしてしまいました。
息子がかなり怖い行動をしているのが一番印象に残っており、父親が苦しんでる理由は薬なんじゃと思ってワンコに飲ませるシーンはゾゾっとしました。子供ながらの探究心が故にやってしまった事とはいえ、実際に死ぬ間際までワンコがなっていたのを見ると、この子も判断力に相当問題があるのでは…と育てる環境で考えも色々変わるんだなと思いました。
今作の中で手放しに褒めちぎりたいのはスヌープを演じたワンコで、表情が豊かで苦しそうにしてるところなんかリアルすぎて胸が痛みました。今まで観てきた俳優ワンコの中でもピカイチのワンコでした。この子に助演賞をあげてやってください。
ワンコ以外はよくあるフランス映画に法廷劇を加えた感じなので、すごい映画なんだろうなとは思いつつ自分には合わなかったなぁという感じの作品でした。俳優陣がアカデミー賞を取るのは理解できるんですが、作品がそういう賞を取れるポテンシャルがあるかどうか…これはアカデミーの審査員たちに委ねるしかありません。
鑑賞日 2/29
鑑賞時間 9:35〜12:15
座席 B-2
味わい深い映画‼️
なんとも、奥行きのある映画でした、フランス人がいかに会話で物事を伝えるか、日本人とは違うなーと思いつつも、
精神のヒダを細かく描き進行していく物語に、唸る思いでした。
うまいなー
おもしろいなーっと
そしてあの、わんちゃん、すごいなー
フランス法廷劇
予告だけ観て鑑賞、意図せずして良い法廷映画を引いた。
作中の「重要なのは事実ではなく、君が周りからどう見られるかだ」というような台詞、まさに参審制や陪審制の曖昧さを表現しているのかな。
後半に出てくる口論シーン、
あ、なんか旦那さん可哀想かも、いややっぱり奥さんが可哀想かも、いやでも、やっぱり……客観的に見ているつもりの自分の判断がいかに曖昧で主観的なものかを突きつけられる感じ、本当に嫌になる、上手い。
他の弁論シーンも同様、家族のストーリーを一部見せられている我々には検察官がめちゃくちゃ嫌な奴に見えるんだけど、傍聴席から聞いてみればむしろ馬鹿げた弁論を繰り広げているのは被告人側なのかも、客観性ってなんなのか…。
元々フランス映画の独特なテンポに苦手意識があったのだけれど、この作品を観て私が苦手なのはフランス語のテンポなのかもと思い直しました。
子供には
裁判の現場は辛いですよね。しかも、自分の親同士が原告と被告だと、何も良い面は無いですからね。でも、最後に自分の意思を自分の言葉で発言したのは偉いですね。大人でも中々できないでしょう。
アカデミー賞ノミネートがこれ…
裁判もの
夫の不注意で交通事故に会い、視覚神経が傷つき弱色になった息子に対する両親の対立の末、夫が転落死に
死体に不審な傷があったため、検察が配偶者を起訴 息子を証言台に立たせたりで検察と弁護士のバトルが長々と…
私はどうもノミネートや受賞作品とは縁が無いのか、普通の裁判映画ドキュメンタリーにしか…
個人的MVPは犬🐶 アカデミー主演アニマル賞受賞ダね🎵(そんな賞ネーヨ)昔みたいに犬を飼いたくなった😓
宣伝ミス
本作はカンヌのパルムドール受賞の上に、ゴールデングローブ賞も受賞するというスゴい作品。
ではあるのだが、予告編から匂う感じとしてはサスペンス・ミステリーを前面に出した売り出し方をしている。
その要素もなくはないが全編ほぼ「法廷劇(ここ注意)」である。
配給会社は法廷というお堅い風では客が敬遠すると感じたのだろうか、イメージ戦略で逆に失敗している。
カレー食べに行ったのにパスタ出てきたみたいなことになる。
上品なおフランス映画なので特にサプライズもなく、
裁判的な駆け引きだけなので淡々と進む、しかも長い!
こりゃ寝るわ(笑)
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