落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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長いだけ。でも犬のスヌープはすごかった!
核となるミステリーが弱いと思います。
そのくせシーンを無理に引き延ばしているように感じました。
でも犬のスヌープの演技は凄かったので、星の2つはスヌープに!
夫婦の解剖学
「落下の解剖学」ミステリー好きには序盤に「ああ、こういうオチだな」と思わせる伏線があるんだけど、そこがどう展開するかは、観てのお楽しみです。ただこの映画は犯人探しがメインではなく、夫婦、親子など愛する人のことを私たちは本当に知っているのかという不穏な感覚を描いた映画でした。
あと、この映画では「マリッジ・ストーリー」と並ぶ、映画史に残る夫婦喧嘩のシーンがあるんだけど、そこでこの映画のもう一つのテーマが浮かび上がります。
夫婦の解剖学
カンヌ パルムドールという看板に加え、“雪山”というキーワードに惹きつけられて観賞。
【物語】
舞台はフランスの山間部(多分アルプス山麓)。
ベストセラー作家のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)は、夫と11歳の息子(ミロ・マシャド・グラネール)と人里離れた山間部暮らしていた。ある日息子が犬と散歩から帰って来ると、家の前で父親が血を流して倒れていた。息子の叫び声を聞いたサンドラが駆け付けるが、夫は命を落す。
屋根裏部屋から落下したことは明らかだったが、事故か、自殺か、殺人か。目撃者はおらず、物証も限られており、真相は謎に包まれる。警察は捜査の結果、殺人の容疑でサンドラを殺人容疑で逮捕。真相究明は法廷の場に委ねられる。
サンドラは旧知の弁護士を雇い、無実を主張するが、・・・
【感想】
冒頭、サンドラと取材に来た女学生の会話シーン。
バカでかい音量の音楽と噛み合わない会話にイラっとする。その状況も後の法廷で論点となる。
そして取材の女学生が帰ってほどなく、夫の死亡。序盤から不穏な立ち上がり。
一方で何度も映される、サンドラの家の周囲から見渡せる雪の山々がとても美しい。最寄りの都市はグルノーブルということのようなので、アルプスに違いない。
そんな癒しもあり、前半は不穏ではありながら、さほどピリピリとした空気は感じない。
が、法廷シーンに入り、中盤から終盤に向けては、グサグサと胸をえぐられるような思いだった。
本作、既婚者と未婚者では感じ方がだいぶ違うのではなかろうか。
俺は結婚して今年で35年。なんとか、結婚生活は継続しているけれど、その間他人は話したくないようなことも多々有った。 激しい喧嘩も一度や二度では無いし、相手への不満も言い出したらキリが無い。 程度の差はあれど、大半の夫婦は似たようなことを乗り越えながら暮らしているのではないだろうか。感情を時には爆発させながらも怒りは胸にしまって、喜びもまた共にして人生を過ごして行くのが夫婦ではないかと思う。
夫婦の諍いは、親しい友人に愚痴をこぼすこともあろうが、誰しも世間に晒したくはない。しかし、本作の法廷では容赦なく他人の前で晒されてしまう。しかも、自分を責める材料として。
こんなのは自分には耐えられないという思いに駆られる。
人には見られたくない、最もプライベートな夫婦の関係を公衆の面前で奥深くまで解剖されていくような感覚だ。
また、「衆人に晒される」とは別に、夫婦喧嘩のシーンは身に覚えのあるようなセリフが飛び交い、ホントにグサリグサリと・・・
面白いと言うよりは、俺にとっては胸に刺さる作品だった。
ミステリーではあるが、結末も“種明かしでスッキリ!”と言う作品ではないのでご注意。
ミステリーの作りではあるが、どこまでもヒューマンドラマだ。
勝手に期待していたより…
カンヌ国際映画祭で、是枝裕和監督の「怪物」より評価が高かった映画なので、物凄く期待して観に行ったが、予告編がほぼ全てと言える映画だった(事件の真相以外、と言って最後まで見ても真相は不明ですが)
法廷の傍聴人たちの前で音声再現される、夫婦の壮絶な、暴力も加わったと思われる派手な喧嘩のシーンが一番刮目した場面
(このシーンをやりたくて、映画が作られたのかなと推測)
愛すべき犬と、内に籠もりつつ何かを全身で訴えかける少年の演技は素晴らしかった。彼にとっては申し分のない両親の、隠された愛憎や、母親の奔放な生き方を、彼が後に真に理解した時に次の懊悩が生じる予感
面白いフランス裁判映画
夫の死の真実を明かすような展開ではなくて、夫婦関係の真実が明らかになっていくという展開、人間味溢れる?というかリアリスティックな裁判が繰り広げられる。
裁判シーンはカメラが長回しで引き込まれる。特にダニエルの証言のシーンは、序盤の方の裁判でも終盤の方の裁判でも印象的だった。
また、ラストシーンで横になったサンドラの元へ犬がやってきてサンドラが抱きしめるが、これは亡き夫が息子への話で自分のことを犬を喩えにして離したことに対応しており、サンドラは夫を抱きしめているのではないかと思って泣いてしまった。
犬は一応無事です
夫殺しの容疑で起訴された妻の裁判を通して、夫婦と親子・家族の実情が詳らかにされるストーリー。
自分は事前の作品紹介からサスペンスやミステリーのような印象を受けており、そのジャンルの映画がカンヌで評価されるのを意外に思っていたのだが、実際に作品を観て納得がいった。本作はサスペンスでもミステリーでもない法廷劇で、ほぼ自宅と法廷における会話のみで構成された骨太の作品であった。
まともな物証がないため、裁判の決め手は陪審や裁判官の心証となる。それで現代の公判が維持できるのかは置いておくとして、法廷では、私小説的な作品で有名な女性作家が夫の故郷の静かな山林でスローライフを送っている、というイメージの下にあった実体を下世話な程に暴き立てていく。
事件の真実ではなく私的な暗部を暴かれる脅威とその先にある境地を作品のメインに据え、その物語を会話だけで進めてみせた脚本の力は見事である。登場人物の恐れや不安を疑似体験させるような、地味に不快感を煽る演出が続くのも挑戦的だった。
じっとりとした緊張が続く快適とは言い難い時間なのに、最期まで目を離せない不思議な2時間半だった。
ラストを迎えた時、妻の帰る場所であろうとし続けた夫も、息子との時間のために様々なものを投げうった父も、もうどこにもいないのだと思うとやるせない気持ちになった。
この一家にも壁の写真に納められているような笑顔の時間は確かに存在したのだろう。家族三人が揃って映った写真が無いのは、ただの核家族の事情なのか、それともこの結末を暗示していたのだろうか。
余韻が残るが主人公に共感できない点もあり
物理学を駆使したミステリー映画だと思い込んで観賞しましたが、会話劇が中心でドキュメンタリータッチの映画でした。
序盤から眠気が襲い、字幕を追うのに精一杯でした。
ダニエルの父親が自殺なのか、サンドラによる他殺なのかが焦点になってきますが、決定的な証拠がないため、母と子の絆の強さを訴える物語になっていると感じました。
ただ、サンドラもダニエルも裁判で虚偽の証言をしたりと、のらりくらりとしていて裁判に真摯に向きあっているのか疑問に残るところもありました。
サンドラについては、過去に何人かと浮気をしていて、父親は精神科に通い苦悩の日々を送っていたことを考えるとサンドラに共感しにくい点もありました。
個人的には父親の自殺と推測します。
実際観賞してみてエンタメ性はないので、上映館が少ないのが何となく分かります。
落下するボール、落下した夫、落下していく?ベストセラー作家。 ボー...
落下するボール、落下した夫、落下していく?ベストセラー作家。
ボールは今後の落下を示唆していたのかも。
ジュスティーヌ・トリエ監督は主演のザンドラ・ヒュラーに当て書きで脚本を書いたそうで、はまり役と感じる。
髪型もなんかピッタリだ。
東ドイツ出身のザンドラ(サンドラ)主演の『関心領域』も楽しみだ。
作家の細胞膜
思っていたよりかなりシンプルで、意外と分かり易かった。
基本的には裁判を追うかたちで話は進み、そこで明かされる真実や論理によって真相を想像してゆく。
登場人物主観での回想やモノローグなどはほぼない。
時折カメラが左右に振れたり、あからさまなズームがかかったりする。
このあたりから、観客を傍聴人や参審員の立場に置かせようという意図が汲み取れる。
粗筋から、真実は明らかにならないだろうと予測していたので、そこは構わない。
しかし、出てくる情報に意外性はなく、ありがちな夫婦像に終始しているのは残念だった。
(そこがリアルと受け取れないこともないけど)
確たる証拠は出ないため、結論は「疑わしきは罰せず」というところか。
サンドラは本当に無実であると感じたが、受け止め方は人それぞれ。
虚実入り混じったサンドラの小説のように、見てきた中にハッキリとした膜はない。
個人的にはダニエルの賢さや強さ、その中に確かに残る子供らしさは印象に残った。
一つでも驚きの展開や意外な真実があればまったく違ったと思う。
後半は事件そっちのけで心象面の話しかしてなかったし、尺の割に内容が薄かったかな。
期待していたが
期待以下だった。まず長い。法定ブロックが特に長くもう少しはしょれるのではと思う。
もちろん完全なエンターテインメントでないことはわかってはいるが、もう少し興味をもつシーンを入れてはどうかと思う。
撮影は本カメラとビデオカメラなど多用していて飽きないようになっているが内容が内容なだけに眠気を誘う。
夫婦感の問題は色々あるがって感じだが下さいこれといってここまでの賞を取る作品かと思ってしまう。
裁判で追い詰められたい人向け
嫁に殺されたかのように自殺したんだよ。
もう間違いねえよ。
ファイナルアンサー。
普段から喧嘩ふっかけてこいつ俺のこと殺したそうやろ?って証拠撮っといて、当日は取材邪魔してやれば激おこでくるだろうと踏んだのに意外や寝ちまって自殺直前の喧嘩音声撮れなかったけど、息子が戻ってくる前に死なんと「家に嫁しかいなかった」状況作れんから「いいわ今死んだれ!」つって死んだんよ。
間違いねえわ。
何で裁判で誰もその説上がらんねん想像力も投身したんかって思ったけどいやまさか答え合わせないとはビックリだ。色んな人の考察読みたくなるじゃねえの。おもしれー映画。
最後にお話ししたいって息子が言い出したところとか胃が痛いやら心臓がぎゅうぎゅうするやら、一緒に追い詰められました。素晴らしい脚本、構成だと思います。
ところでアスピリン8~10錠は飲ませ過ぎィ!よく朝吐けたな!よく蘇生したな!
顔見てスタッフホントに殺したのか?と疑ったがな。犬が優秀すぎる。オスカーに動物部門作ったげて。
真実よりどう思ったか
パルムドールを取ったこともあり、どんなラストを見せてくれるんだろうと、期待しすぎてしまっていた。フランス映画なので、結構ぬる〜っと終わる。まぁなんと言うか、思ったのと違った。やっぱり、できればアカデミーやカンヌで賞を取る前に、公平な目で映画は見たいよね。
この映画はどちらかというと絶壁に立たされた時の人間の心理描写等が秀逸な作品であるため、どんでん返し・衝撃のラストを彷彿とさせる予告自体、ナンセンスなんだろう。タイトルの「落下の解剖学」も微妙にズレている気がしたけど、原題の直訳なんだね。にしても、映画は靴紐のようにきちんと結んで終わって欲しいたちなので、本作のように緩いままだと締まりが悪くてスッキリしない。観客に投げかけるような作りでは無いものの、作り手なりの解釈・回答は作品の性質上示して欲しかったなぁと思ったり。
2時間半越えかつ、会話劇と言っても過言では無い法廷ドラマなのに、退屈を感じさせない作りになっているのは凄い。音楽の色やタイミング、多方面から読み解く展開も見事だった。盲目の男の子の非常にリアルな演技には驚かされたし、彼の心情をそっくりそのまま代弁するピアノも、家族の崩壊を暗示しているようで恐ろしかった。更にはワンちゃんの演技にも目を奪われる。品質に関しては申し分無くて、ノミネートも納得。観客の心を掴む、作り込まれた映画的な表現は素晴らしかった。
ただ、もっと<正義とは何か>みたいな思い悩まされるメッセージが込められていると想像していたから、この点数になってしまった。正直、テーマとしては在り来りのように見えてしまうし、この作品ならではの斬新な切り口で見解していたら好きになれたんだろうなぁと思った。
これはSNS社会にも通じるのでは…
とても良い映画でした。
お気に入りなのは序盤の一節です。
"待って、私は殺してない"
"そこは重要じゃない"
本作では決して真実を追求せず、状況証拠や証言から妥当な結末を議論していきます。
この映画は観客に見せている部分と見せていない部分の線引きが上手で、どちらとも取れるように最後まで着地しません。観た後に語りたくなる映画です。
どの役者さんも演技が上手で、惹き込まれるものがありました。主人公サンドラが夫を捲し立てるシーンがあるのですが、説教の内容が痛いぐらいに刺さりました。弁護士のヴィンセントを演じたスワン・アルローさん、とても顔がタイプです。
見ていて思ったのは、昨今のSNS社会に通ずるものがあると感じました。ポスト・トゥルースという言葉があるように、真実かどうかは重要ではなく感情に訴えかけるものが支持を得やすいです。
セクシー田中さんの事件がありましたが、結局真実は本人にしか分からなくて、「脚本家のインスタグラムの投稿が〜」等と騒ぎ立てるのは劇中の傍聴人やワイドショーと重なるものがありました。
まじでhot lawyerだし、話も面白かった
Xで海外レビューがあまりに’hot lawyer!’ばっかだったので、予告では惹かれなかったがその噂の弁護士を鑑賞しに行くか〜と見たんだけど、話も面白かった!
予告編とは違い8割裁判所でのセリフ劇なので、セリフの情報量が多い系苦手な人は、このREALLY hot lawyer見ていればよろし(すぐ出てくる)。
犯人これ妻っしょと、このふさふさグレーロングヘアー仏英話者スタイルも良いsexy hot弁護士に騙されないぞと見てたんだけど、
坊主の検察官の妄想決めつけboyっぷりがやばくて、とくに最後の方ゲラゲラ笑ってしまった。。
たぶんだけどこれはもはや愛すべき人物!
小説には私生活が投影されているはずだの演説、せめて投影されているはずという主張の根拠を本人インタビュー記事なり何なり持ってきなよ!みたいな。
赤いタートルネック着た息子の証言の時に「その結果の要因は2つ考えられるよね?どうして1つに決めつけてるの?」っていうポンコツ坊主検察boyの発言に対し、12歳の息子めちゃいいこと言った!(思わず拍手)
「原因が分からない時は根拠を考えれば良いと思うけど、母にその根拠となるような理由がない」
検察坊主12歳に言われちゃったね、って私は母のような目で見守ってた。
てか最後の中華料理屋でのY-shirt HOT LAWYER、ありがてぇ...という境地で眺めてた。
明日からも頑張ってこのつまらない日常生きられるわ!
24-030
繊細なストーリー、
夫婦の関係性を正とも悪ともしない展開。
事件性がある事を理由に
主人公を裁きたい検察、
確信はもてずとも信頼する弁護人。
父母の愛憎を聞かされる11歳の息子。
ハリウッドとは違う展開と結末。
フランス映画っていいですねぇ😊
「真実」は時に虚構を事実にする。
真実は時に真実でないし、真実である必要もない。という事を酷く痛感します。
我々は人間として生きる上で、自分を取り巻く世界を自分の中に構築しますよね。それは自分にとって真実ですが、自分以外の人間にとっては真実ではないこともしばしばあります。それを酷く実感させられました。
最終証言は果たして真実だったのか。
被疑者サンドラが言い渡された判決は果たして真実に迫れていたのか。
「真実」とは一体なんなのか。を、考えさせられる作品でした。
それはさておきスワン・アルローの顔が良すぎて惚れ惚れしながら見てました。津田健次郎さんに似てません?
夫婦のことは2人だけにしか理解できないことがたくさんあるし、どちら...
夫婦のことは2人だけにしか理解できないことがたくさんあるし、どちらが悪いと一方的に決めつけられない。だが事件となると、白黒ハッキリさせる必要があって、争いに巻き込まれた子供が決断を迫られるという状況は、大変酷だ。息を呑む夫婦喧嘩のシーンは『マリッジ・ストーリー』のそれを彷彿とさせ、胸が熱くなった。
我々「羅生門」の千秋実
間もなく始まる、世間注目、あの裁判の予告編の様な。あの法廷でも、主観的だの客観的だのが飛び回るんでは。それと、あの、原作と脚本の問題もありましたね。めっちゃタイムリーな作品でした。夫婦喧嘩のシーン、圧巻でした。鳥肌立ちました。しかし、ラストの、「ママが帰ってくるのは怖い」
このセリフ気になります。
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