劇場公開日 2024年2月23日

「自分のライフステージの変化やどんな立場に立っているかで感じ方が変わる映画かな、」落下の解剖学 らまんばさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自分のライフステージの変化やどんな立場に立っているかで感じ方が変わる映画かな、

2024年3月12日
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鑑賞方法:映画館

熟成された良きワインを飲んだときの複雑な味わいを感じる映画。
ミステリー?サスペンス?
そう思って観始めたけど本質はそこぢゃない。
物事の一面だけを切り取って判断することの恐ろしさ。対人における一筋縄ではいかない関係性。嫌よ嫌よも好きのうち、とはよく言ったもの。口で言ってることと実際に意味していることが必ずしも一致してるとは限らない。それを視力を失った息子が聞いたらまた感じ方は違う。

夫婦の関係性なんて他人がどうこう言えるはずがない。人には絶対に見せない部分があるんだもの。それを公の場で裁くために開けっぴろげにすることに一体何の意味があるんだろう……

十人十色というように、同じ事実に直面しても受け取り方は人によって異なる。夫婦におけるパーソナルなものは本当にその二人にしかわからない。それなのに他人が介入する必要があるのはムズムズする。

裁判の最中に弱気になって味方の弁護士にホロっとしちゃう。ダメだとわかっててもね。良い悪いを超越したところで行動してしまう、そーゆーのが人間らしいってことなんだろうな。

観終わっても様々な感情があとを引く。そんな余韻の長さまで良質なワインみたいな映画でした✨🍷

らまんば