Four Daughters フォー・ドーターズ

劇場公開日:

Four Daughters フォー・ドーターズ

解説・あらすじ

過激派組織イスラム国に加わったチュニジアの若き姉妹の決断と、残された母と妹たちの葛藤を描いたドキュメンタリー。

チュニジアに住む15歳と16歳の姉妹がイスラム国に参加した。残された母オルファと妹たちは、2人がなぜその決断を下したのかという疑問に向きあうため、プロの俳優の助けを借りながら、自分たちの人生の重要な出来事を追体験していく。その過程で、家族の複雑な歴史が徐々に浮かびあがってくる。

母オルファ本人が演じるには精神的負担が大きい場面では、「ある歌い女の思い出」で知られるエジプトとチュニジアの名優ヘンド・サブリがオルファ役を務め、国を捨てた娘たちに苦悩する母を演じた。監督は「皮膚を売った男」で世界的注目を集めたチュニジアのカウテール・ベン・ハニア。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、優れたドキュメンタリー作品に贈られるゴールデンアイ賞を受賞。2024年・第96回アカデミー賞にて長編ドキュメンタリー賞にノミネート。

2023年製作/107分/G/フランス・チュニジア・ドイツ・サウジアラビア合作
原題または英題:Les filles d'Olfa
配給:イーニッド・フィルム
劇場公開日:2025年3月14日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第96回 アカデミー賞(2024年)

ノミネート

長編ドキュメンタリー賞  
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(C)2023, TANIT FILMS, CINETELEFILMS, TWENTY TWENTY VISION, RED SEA FILM FESTIVAL FOUNDATION, ZDF, JOUR2FETE

映画レビュー

4.5「内容知らずに」

2025年4月10日
iPhoneアプリから投稿

知的

今年86本目。

今日は下北沢で2本見て新宿に行って何かタイミング合ったの見たいなあと。シネマカリテで17:20にフォー・ドーターズ面白そう。タイトルから4人の娘さんの映画それだけを思って鑑賞しました。作品を御覧になればタイトルの意味が分かるのでオススメです。

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ヨッシー

4.5イスラム文化圏の女性たちの抱く根深いルサンチマンの行く先は

2025年4月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

数年前、イスラム文化圏の女性たちがいっせいに怒りを爆発させるという場面に遭遇したことがあります。北アフリカのとあるハブ空港で出張の最終目的地に向かう飛行機を搭乗ゲートで待っていたところ、ゲート付近に航空会社職員と思われる男性が現れ、フランス語で何事か説明し始めました。そうしたら、その場にいた搭乗予定客のうち、恐らく20名弱の女性たちがいっせいに金切り声を上げ、口々に抗議を始めました。オマケみたいな英語での説明を聞いてみると、どうやら搭乗予定のフライトがキャンセルになったとのこと。夜10時離陸予定で1時間くらいで目的地到着の便で、なくなっちゃったらどこで寝るのよ、とほほ…と途方にくれておりましたが、その間も女性客の猛抗議が続いていました。男性客は数にして女性客の3倍ぐらいはいたと思うのですが、割と静かでした。彼女たちは様々な年齢のようでしたが、ほとんどが一人旅のようで、共通点はみな頭にヒジャブを被っていることでした。服装は欧米、アジアと照らし合わせてみてもまあ普通で、それなりにオシャレもしている感じ、ヒジャブの色や柄もいろいろでその被りこなし(?)もファッションの重要なポイントなのではと感じました。

(この件、アフリカ大陸内の「横飛び」~かの地に詳しい日本人がそう呼んでるらしい、大陸内移動のフライトのこと~ではよくあることみたいで、航空会社にマニュアルでもあるのか、空港近くのホテルにバスで連れてゆかれ、そこで宿泊代航空会社持ちで一泊、翌早朝の臨時便で移動という経緯をたどりましたーー閑話休題)

ということで、話があちこちに跳んでおりますが、彼女たちの異様なまでにすさまじい抗議行動を目の当たりにして、また、その周囲にいたであろう同胞男性諸氏の冷ややかな態度を見るにつけ、この場面での爆発の背景には、女性たちが常日頃感じている、かなり根深いルサンチマンがあるのでは、と感じた次第です。いずれにせよ、私にとってはかなり強烈な異文化体験でした。

で、ここでようやく、この作品の話です。四姉妹の長女、次女が十代にして出奔し、「イスラム国」《注》 に参加したことを扱ったドキュメンタリーです。上記の話を長々としたのは、そこに登場する四姉妹やその母親にその根深いルサンチマンの存在を感じ取ったからです。

《注》イスラム国(Islamic State)は過激派が自称しているだけの名称であり、特に一般のイスラム教徒の皆さんが不快に感じることもあり、日本のメディアも呼び方を変えてきています。現在はイスラム国を名乗る過激派組織: ISIL(アイシル)のような呼び方をしています。ここでは以下ISILと記します。なお、ISILは統治機構を持ち、シリアの内戦につけ込んで勢力を拡大した2010年代半ばの全盛期には、面積にして30万平方キロ、人口800万人を統治下においていましたが、今は壊滅状態にあります。興味のある方は検索してみてもよいかと。

Personal is political. という言葉があります。ちょっと怪しげな英語ですが、個人的なことは政治的なことである、という訳をあてられ、TVドラマ『御上先生』で松坂桃李が演じる教師がよく使っていました。そのドラマでは、ごく個人的な事情と思っていたのに、実は政治の影響を受けている事象が描かれていました。このドキュメンタリーも一見すると、よく機能しなかった家族の固有の問題にも見えますが、母親の母になるまでの経緯とか、母と四姉妹との関係とか、四姉妹と社会との関わり合いとかの件には、政治だけでなく、宗教やら文化やら経済やらの社会の諸事情の影響も大きかったのではないかと思われます。何よりも上記のルサンチマンが生まれる根底にあるのは、そういった諸事情です。で、そのルサンチマンを抱えて生きている人間のうち、姉ふたりの行き先がISILだったーーISILの独善的で排他的な「正義」が、不幸なことに、彼女たちの、母親を含む世間一般に対する怨念の受け皿だったのかもしれません。また、彼女たちの陰には、四姉妹の三女、四女を始めとする何百、何千、何万の、もしかしたら、そちら側に行ってしまったかもしれない人々がいたことも忘れてはならないと思います(ちなみに、公安調査庁のサイトによると、ISILに合流目的でシリアやイラクに渡航した人数は、世界110国から4万人以上、チュニジアからは2,926人でした)。

海外の、こういった諸事情、別の言葉で言えば、世間の様子といったものは一般のニュース報道では捕まえることができません。ここで描かれていたのは極端な例かもしれませんが、かの地の空気感を切り取っていて面白かったです。また、チュニジアでは、ヒジャブやニカブが禁止されてたいた時期があったんですね。一口にイスラム文化圏と言っても様々な考え方があることがわかり興味深かったです。

ドキュメンタリーに登場した四姉妹それぞれとそのお母さん、また、四姉妹それぞれの次の代の子供たちが少しでも心穏やかな日々を過ごせる未来が来ますようにー

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Freddie3v

3.5そういう視点か〜

2025年4月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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ミツバチば~や

3.0理解の範疇を超えた異文化、家族の有り様に落ち着き所を見出せず

2025年3月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

配信で観て惹き込まれた、シリア難民を主人公とする「皮膚を売った男」を監督したKaouther Ben Haniaの作品。

国を捨てて過激派組織IS(イスラム国)に加わったチュニジア人の姉妹、その姉妹との関わり、残された二人の姉妹との関係に葛藤する母と妹たちを描いたドキュメンタリー映画。

実在する母と妹2人が自然体で臨み、母役は本人と女優のダブルキャスト。国を捨てた姉妹を女優が演じるという形で再現した、異色のドキュメンタリー。シングルマザーである母の人生、そして家族の複雑な歴史が描かれる。

チュニジア、リビアといった国における家族関係、男尊女卑など、また黒装束で顔を隠すニカブを着用する女性の心持ち、イスラム国の存在以前に、未知の異文化における家族の有り様が、自身の理解の範囲を大きく超える。

イスラム社会の一側面を、実在する家族を通して見るという初めての体験。淡々と家族の歴史が語られる前半は、アラブ系の女性の美しさと強さを感じつつも、台詞の洪水に思考がついて行けず、眠気に襲われる。

消えた2人の姉妹の今に通じる後半部分では、実際のニュース、幼い頃の妹たちが出てきたり。リアルな映像とともに、目まぐるしく展開するものの、どうしても、自身の異文化に対する理解レベルを越え過ぎている。

自分自身にとって、女系家族が身近でない割には、母娘、姉妹の深い家族愛を感じることが出来たが、その他に落ち着きどころを見つけられないまま、アラビア語とフランス語による読めないエンドロールをぼんやりと眺める、そんな映画だった。

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Toru