「隣人領域」関心領域 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
隣人領域
端的に言えば、105分の映像の形をした風刺画。
冒頭、機器の故障かと疑うほど映像が映らない。
中途にも長めの暗転が多様されるが、一度だけあった赤齣はどういう意図だったのだろう。
内容としては、ひたすらに(やや不快な)一家の日常。
その背景として、微かに怒号や銃声、悲鳴が漏れ聞こえてくる。
会話のほとんどにも、劇中で最も大きな転属という出来事それ自体にも、恐らく大した意味はない。
庭師の作業や掃除、身体を洗うカットなんかは塀の中のメタファーだろう。
(『虐殺』ではなく『剪定』や『洗浄』という感覚)
ヘートヴィヒの母が黙って帰ったのは、ヘス一家が慣れきった“日常”を耐えきれない“異常”と感じたからだろう。
…と、色々察するにしても、母の手紙の中身は一切明かさないなど、いちいち不親切。
屋敷の周辺というワンシチュエーションでいくかと思えば、終盤は司令部(?)にも場面が移る。
ここで“軍部”という直接的な描写をもってくるのは中途半端に思えた。
最後にルドルフが嘔吐するのだが、吐瀉物は落ちてない(どころか出てもない)のは何故?
モノクロの少女も理解できなかった。
“意味が分かると恐い話”的なものを想像してたのだが、自分は歴史や文化に対する教養が足りなさ過ぎた。
だが、それが備わっている人にこのような作品が必要なのか。
自分のような人間にこそ伝わるような、或いは調べる意欲をそそる内容であるべきではないのか。
メッセージ自体は粗筋で読めるし、ちょっと意識が高過ぎてターゲットが分からなかった。
こんばんは♪コメントいただきましてありがとうございました😊
いただいたコメント、納得納得です。お気持ちも同じくです。
アウシュビッツばかりが目立ってそこに気を取られ過ぎるのですね。よくわかるレビューもありがとうございました😊
他レビュアーのコメント欄から来させていただきました。
剪定や洗浄の意味合い、恐れ入ります。ラスト4〜5行目、まさに私の伝えたい言葉そのもの。
別レビュアーがテーマより表現方法として目新しいやり方、とあり
制作者に踊らされている自分なのかと愕然ともしました。
コメントありがとうございました!ルドルフ・ヘスは手記に「世人は決して理解しないだろう。その男もまた、心を持つ一人の人間だったということを。彼もまた悪人ではなかったということを。」と書き遺したそうです。この辺りも参考にした原作と本作品なのでしょうね。というより、確かにメタファーだらけの実験作のようですね。
共感ありがとうございます! 書かれている内容にはまったくもって完全に同意、共感しきりなのですが、星評価がなかなか手厳しいので(笑)、コメントにてお戻ししました! 冒頭は『ベニスに死す』みたいにだんだん明るくなるのかと思ってたら、勘違いでした(笑)。
一家の日常の背景として、怒号や銃声、悲鳴が聞こえてくる、煙突からは絶えず炎が上がり煙が吐き出される、画面からはわかりませんが、臭いだって相当あったはず。
こんなところで平然と生活して、優雅にお茶を飲み、子育てに良い環境と言い切る、ユダヤ人から接収した高級品を我がものとしても悪びれた感覚がない、実際そういう人達がいた模様
これを客観的に見せていくだけで異様さを浮き彫りにする、そこから見る人に考えさせる、意図があったような気がします。
冒頭は私も上映事故かと思いました。色々思わせぶりで個人的には不快でしたが、それも意図されたことだったかもしれません
長々とスミマセン。