「企画の段階で勝利確定。」関心領域 masayasamaさんの映画レビュー(感想・評価)
企画の段階で勝利確定。
少々の知識が有るとさらに楽しめるのはこの手の映画の常。この当時のナチスのユダヤ人殲滅作戦の様子は最近作だと「ヒトラーのための虐殺会議」という映画がわかりやすいかなと。
本作は悪名高きアウシュビッツに隣接する収容所長ルドルフ ヘス(総統代理とは別人)のオシャレ家とステキ家族を描く事によって塀の向こうで起きている大量殺人を全く描かずに音で想像させる仕掛けです。実際のアウシュビッツの隣で撮影され、家の中に沢山の固定カメラを仕掛け客観的切り取りと、編集によるテンポ感を両立させています。オープニングタイトル出てすぐの長い暗転、ゆっくり鳥の声と家族の声が聞こえて来る部分は「本作は耳を使って観るように」というインストラクション導入ですね。
話の中盤まではあまり前に出て来ない収容所内の音だけど時々怒鳴り声や銃声は聞こえる。言葉わかるともっと怖かったろうなぁ。母さんも帰ってしまうような場所だもの。
あと所長家族が何気にユダヤ人から没収した物を、自然におもちゃ、私物化してるシーンがおそろい。カナダとか川に流した灰とか、服とか貴金属、銀歯とか、、パンフに説明あっただろうか?売り切れて買えなかった。(後日入手、カナダの説明はなかった。ユダヤ人から没収した物集積所、豊かな国=カナダ)
難癖つけるとするとネガポジ反転した夜の使用人のシーン、赤外線カメラで撮ったようなあのエフェクトは必要だったのかな?(これについてはパンフで監督の意図がインタビューされてた。納得はしたがやはり要らん気がする)
でもエンディングのあのぶっ飛ばし方は好きだなぁ。
奥様役のザンドラヒュラーは「落下の法則」もあり、当たり年であった。マーベルやDC、ディズニーからも声かかるだろうww。ティルダ様のようにエンタメとアートを行き来出来る俳優になると楽しいなぁ。