首のレビュー・感想・評価
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ドラマ化だったら良かったかも
信じる者は首が飛ぶ
「みんな、アホか?」
構想30年、北野武監督最新作。
1581年、荒木村重(演:遠藤憲一)の謀反から1年以上鎮圧に手を焼いていた織田信長(演:加瀬亮)。子に将器なしと見た信長は、羽柴秀吉(演:ビートたけし)、明智光秀(演:西島秀俊)ら家臣団の前で「最も手柄を挙げた者に跡目を譲る」と宣言し、ここに家臣団、そして徳川家康(演:小林薫)をも巻き込んだ骨肉の争いの火蓋が斬って落とされる。
もう何度も何度も創作物で描かれてきた本能寺の変〜山崎の戦いを、世界のキタノ流に料理した野心作。
戦国乱世のならわしであるため当然とはいえ、盆栽でもやっているのかというくらい文字通り首が飛ぶ。それこそもう「よくR15+で済みましたね」というレベル。
そして出てくる人物がどいつもこいつもクズとアホ。本来ならば見出しの台詞は別のものを考えていたのだが、あまりにも露骨な表現だったためやむなく別の台詞に差し替えたくらいおどろおどろしい。本作の後の出来事を描いた作品が三谷幸喜監督「清須会議」(2013)な訳だが、作り手が変わるとここまで描き方が変わるのかという好事例だろう。
世間一般に認知された人物像を基にしたテンプレ通りの創作劇なのだが、本能寺の変に至る過程や、本能寺の変での信長の末路など、新しい解釈が採用されていて非常に見応えがある。秀吉もさることながら、ジワジワきたのが徳川家康と服部半蔵(演:桐谷健太)。強かにこの泥沼の殺戮劇を切り抜けていく姿は、本作の「第三の主人公」と言っていいだろう。他にも、この時代特有の人間関係など、観るにはなかなかハードルが高く、観終わった後は確実に人間不信に陥ると思うが、そこまでしても観る価値はあると思う。いやはや、面白かった。
一級品のエンターテイメントです!
予告で十分
北野映画の面影全くなしの、すべての事が中途半端に描かれている。アクション、男色、生き死に、欲、描きたい事すべてが物語途中で終わる。
登場人物を増やし過ぎた為に映画の時間では描ききれずに失敗している。
キャラクター演出も失敗している、特に信長がやり過ぎでただの狂人か?大河ドラマの(麒麟がくる)の染谷将太位がちょうどいいのでは。
もし狂人の信長演出であれば周りのキャラクターも考えて演習しなければならない。男色で繋ぎ止めるなど全く持って共感できない。
予告編が北野映画である。
しかも角川と揉めて公開が遅れているが、確かに映画での回収は無理なのでネットフリックスと手を組んで世界公開のほうが回収できるのかもしれない。黒澤明の話題もチラホラ出ているが足元にも及ばない作品。
コメディ戦国
ハードな映画かと思ってたらコメディ要素が強かった。
当初、北野監督自身は出演される予定がなかった
と言う事なので、出演される事でコメディが強まったのかな?と思ったりしましたが、
役者さんに芸人がいたので
最初から戦国時代を笑っちゃおうぜ!
と言う考え方だったのかもしれません。
それにしても加瀬亮の織田信長は強烈だった。
見たことのない信長だけど、案外これが正解なんじゃないかと思わせる説得力がありました。
ドロドロした裏切りの連鎖と殺し合いをひたすら見る映画かと思ってたら、以外とビートたけしによる戦国コメディみたいな演出だったので面くらいましたが、
笑いどころでは笑えたし楽しい映画だったなと思います。
黒澤映画のような過激で動きのある派手な映画も観たかった気もしますが…
雑と思わせるくらい呆気ない死の描き方と、
生へのあたふたして必死に喰らいつく様を
笑いと共に見せる描き方は
監督の死生観を観てるようでした。
ひょっとして?
思ったよりバイオレンスは少なめ
期待しすぎましたし、宣伝文句が過剰な気がする……
久しぶりの北野映画を楽しみました。
よくも悪くも北野武監督にしか撮れない本能寺の変なんだとは思います。
表面的な時代考証などにこだわらず、歴史の表舞台に出てこないキャクラターが重要な役割を果たしたり、と「今までにない本能寺の変」であるのは事実で、全体としては十分に楽しめました。
ただし、笑いとシリアスさのバランスもどっちつかずで、座頭市ほどの突き抜けた映像表現があるわけでもないです。また、本格時代劇を期待していたわけではないですが、セットや衣装、小道具、エキストラの数などが大河以上の豪華さでありながら、役者陣の言葉遣いや立ち振る舞いなどは現代劇調で何とも言えないアンバランスさを感じます。
北野作品特有の派手さはないが痛みを感じる暴力表現も、普通に人が死んでいく戦国時代を舞台とした本作ではあまり効果的ではなかったと思います。よかったのは饅頭のシーンくらいですかね……。
本能寺の変そのものの解釈も、特段斬新なものではなく、同一題材の中で特徴的である荒木村重と明智光秀の関係描写も映画後半にはどうでもいいものになってしまう状況。
豪華出演陣も見ごたえはあったのですが、「時代劇」的な演出が希薄なため、よく見る役者さんが戦国ごっこをしているかのような印象すらあります。信長のキャラクター造形こそ面白いと思いましたが、とくにドクターXの重要なサブキャストが揃ってしまっているので、西田敏行や米倉涼子が出てくるんじゃないかとすら思いながら鑑賞していました。
北野武の映画が頻繁に作られている中での一作であれば、バリエーションの一つとして受け入れたのでしょうが、久々の作品で次回作も不明という状況で、この作品が「最後の北野作品」となってしまうのなら、それは残念に感じます。
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