首のレビュー・感想・評価
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汚い戦国時代劇
北野たけしさんが想像した『本能寺の変』の解釈
壮大なる中途半端。これが集大成か?
まさに戦国アウトレイジ
ここまで生理的嫌悪感と狂気と利己主義感、それでいながらカリスマ的魅力を感じさせる信長を描けるのは北野武以外は多分不可能
家族愛だとか男女愛だとかそういった要素を一切廃して(男色は一生分が一度に摂取できます)徹底的なバイオレンスと死の呆気なさ、綺麗でカッコよく描かれる戦国武将が多い昨今の流行とは完全に対極、登場人物皆自分のことしか考えてなく「色々気持ち悪い」と思える混沌とした世界観はまさに戦国アウトレイジ
氏のかつての戦国物の作品である「座頭市」が万人受け?を目指したエンタメチャンバラとして描いた後だからこそ、この作品を世に出せたのだと思います
本作品は決して万人受けはありえないですが北野作品戦国版を楽しめる怪作です
首の価値観
俗説が多い本能寺の変周りの歴史を北野武監督のエッセンスで煮詰めてごった煮にした作品だと感じました。予告の時点ではバイオレンスで頭のネジが外れている戦国時代の武将達の探りあいや関係性を重厚に描いてくれるのかとワクワクしたのですが変にコメディリリーフな部分があり個人的に肩透かしを食らってしまったのがマイナスな点です。武士、農民、南蛮人、商人、それぞれのもつ首級に関する価値観の違いは見ていてなるほどなと感じました。それでいて最後のあれですから物語として完成度は高いと感じました。映画の中で印象的なセリフとして予告でも使われていた「人生はそれこそ座興」といった旨のセリフです。あれには首という本題とは別に北野武監督の思いが乗っているような印象を受けました。前述したコメディリリーフ的な部分がもう少し薄ければ評価として☆4〜5でもいいような作品です。殺陣や戦はやはり大画面大音響に限りますので見るのであればぜひ劇場で。
北野武は黒澤明の域に達した
北野武作品が基本的に好きであるが、「アウトレイジ」シリーズなど暴力シーンはあまりいただけない。
本作も、R-15指定も当然の暴力、殺害、血みどろの残酷シーンが多い。
その手のものが苦手な人は受け付けないかもしれないが、それを遥かに超える中身の濃さ、熱さのある一本だ。見ないと損する。
このところ-前妻との離婚、オフィス北野崩壊など-、映画作家としてもタレントとしてもネガティブなことを書かれることが多いたけし。本作も公開前から、制作元のKADOKAWAとうまく行っていないなどの話がよく週刊誌に書かれていた。
その意味で、たけちゃんも色ボケで終わった人か…と作品については半信半疑だったが、そんなことはまったくなかった。世界のキタノは健在だった。
企画から脚本、演出、そして個々の役者の熱演も満足ゆく内容。
このところ、「ゴジラー1.0」「正欲」と自分でも高評価をつける作品が続いているが、同時期にこれだけの映画が公開されるというのは映画ファンとしてもうれしい限りだ。
自分ではどちらかというと、時代物とくに戦国時代は興味が持てないのだが、たけしらしい切り口はやはり斬新。時代背景、人物関係などあまり気にせずとも、合戦シーンその他に目を見張り、欲望渦巻く武将たちのぶつかり合い、信長の狂気に満ちた不条理な行動への怒りと反発で、登場人物にも感情移入できる。
ストーリー展開、映像美…いろいろな意味で、黒沢の域に達した、と評価しても言い過ぎではない、と思う。
鑑賞後、980円のパンフレットも購入。これまでのレビューでしばしば書いてきたが、1000円近くも出してペラペラで中身のないパンフが多く、損したと感じることがほとんどの中にあっては、「首」のパンフは分厚く、内容も充実している。映画鑑賞の記念に買うことをすすめたい。
本作における「最高傑作」は織田信長
日本映画は織田信長、ひいては本能寺の変が大好きな印象があります。北野監督にしても30年の「構想期間」とういうことですが、観る側からしたら正直「また本能寺の変ですか」感は否めません。
本作、大筋は割と「史実」とされていることに忠実ですが、それにまつわるエピソードと過去作とは比べようもないほど思い切った武将たちのキャラクター設定に北野監督のオリジナリティを感じます。
予告編において俳優、そして役柄の紹介のために切り取られた映像をご覧になればお判りでしょうが、何といっても本作における「最高傑作」は加瀬亮さんが演じる織田信長です。若いころから「うつけ」と呼ばれ、しまいには「第六天魔王」と自称するまでになる信長について、映像を通してこれほどまでの「ヤバい奴」表現は観たことがありません。終始方言一本槍とその狂った振る舞いで、情け容赦ないパワハラ、モラハラ、セクハラ、そして完全に度起こした傷害行為に耐える部下の様子など、遠慮のない演出はさすが北野監督の手腕かと思います。
そしてもう一つの魅力は勿論、可笑しみたっぷりのユーモア。現代的にはあり得ないような言動を自然体の演技でみせたり、また何気ない調子で会話する内容につい吹き出してしまうシーンもここかしこに。また、秀吉(北野武)、秀長(大森南朋)、官兵衛(浅野忠信)の掛け合いは、どこまでが演技でどこからがアドリブなのか判らず、特に、展開に合わせたバランスを取ることに長けている秀長(大森さん)の絶妙な反応に、思わず笑ってしまう北野さん(秀吉)という構図、意図的に役者名と配薬名のカッコ付けを逆にしていますが、まさにこう見えて、そして成立させているところは監督、流石だと思います。
ただ、冒頭で書いたようにいかんせん大筋は史実に忠実です。どうやってこの展開になるかは、史実に残らない人々や裏話を駆使して創造していますが、残念ながらその魅力はキャラクター設定に頼る部分が多く、話としてはあまり面白くはありません。
とは言え、敵味方が判りにくい構造を巧みに利用しつつも、その展開について観客を腑に落させるところ、また、あんに史実を捻じ曲げることを「オリジナリティ」とうそぶくようなことはしない潔さなど、言うまでもなく北野さんはやはり名監督だと思います。まだまだ新しい作品を楽しみにしています。
黄色いクソ野郎!涙が出るほど大笑い
「黄色いクソ野郎」を筆頭に、涙が出るほど何回も笑った映画は久しぶりでした。おそらくNHKの大河ドラマが好きな人は受け付けないかもしれません。ともすれば、コントのような時代劇にとられがちですが、北野武監督のカラーをしっかり押し出せたのではないかと思います。
観る前は、猿の羽柴秀吉役に北野武監督を起用したのはミスキャストじゃないかと思っていました。北野監督は猿顔でもないし、俳優として正直どうなのかなと感じていたからです。
しかし、観終えた後、秀吉が百姓から大名(関白)にまで登りつめたように北野監督も世襲ではなく、自分の能力と努力があったからこそ、今の芸能人の地位を確立できたということを示したかったのではないかと思い、秀吉役にマッチしていると考えが変わりました。
キムタクの信長にはなかった合戦もかなり迫力があり、どの役者も個性的で能力を十分発揮していたと思います。
カンヌ国際映画祭で上映されたので、外国人の専門家がどんな評価を出したか知りたいですね。
今までで一番納得の「本能寺の変」だった。
北野監督版恋愛映画!?
贅を極めた壮大なコント
俺はお前一筋だから
深みのなく浅い出来、ヒリヒリ感がない
北野武作品でかつ戦国時代ということで、バイオレンスものはエグいだろうと予測していたが、グロテスクで残忍なシーンはストレートすぎて、そういったものが苦手なひとは観ない方がいい作品。
北野作品、純愛ものとバイオレンスものがあるし、出来不出来が極端に振れると思っているのですが、この作品は外れた方と思っている。笑いの方にも振れておらず、そういったシーンもあるがそれほど笑えるものではなかった。
北野作品のバイオレンス版ではしっとりするようなドラマはまったく期待できなくて、そういったものをぶった切るようなもの、蹴とばしてしまうものがあって、それはときに吹っ切るようなカタルシスが生まれるときがあるが、この作品はあまりに残忍なシーンでそれよりも気分の悪さが先だってしまう。後味の悪さが残る作品。単に風雲たけし城の映画版かつグロテスク版なのかと思いたくなるような浅い出来。
俳優スタッフが北野武ブランドに乗って出演しているが、もったいない使い方。北野監督も芸能界の地位にどうしても安心しきっているような感じがあって、作品自体にヒリヒリするような斬新さがなくなっている。
遠慮なくストレート
勢いだけで一気に最後まで見させてくれる
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