「森昌行プロデューサーを欠いた北野作品」首 ティーユーさんの映画レビュー(感想・評価)
森昌行プロデューサーを欠いた北野作品
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死と隣り合わせにあるような北野ブルーの乾いた砂漠のような美しい情景は何もなかった。
監督自ら語っているように、NHK大河ドラマでは見られない本物の戦場を撮りたかったとのことで殺戮シーンが頻繁に登場したが、蝋人形でつくられた首がこれでもかとこれでもかと落ちるほどリアルな死から遠ざかっていった。戦国版『おっさんずラブ』はただ気持ち悪いだけで『戦場のメリークリスマス』のような美しさは感じられなかった。
ビートたけし演じる羽柴秀吉は呂律が回っておらず、まったくもって台詞が聞き取りにくかった。織田信長があれだけ尾張弁で暴れ回る中、同郷の秀吉が東京下町言葉で「バカやろう」を連発するのには興醒めした。
また無駄な登場人物が多く、とくに信長の息子宛の書状を所持している甲賀の里の盲目の切支丹・多羅尾光源坊という存在などは全く無用だったのではと思われた。
とにかく構成と編集が甘く北野武監督映画は森昌行プロデューサーあってのものなんだなとつくづく思い知った。
次回の北野作品に期待したい。
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