劇場公開日 2023年11月23日

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「男色の戦国史」首 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0男色の戦国史

2023年11月27日
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鑑賞方法:映画館

昔の武士に男色家が多かったのは歴史的にも明らかのようだ。というか昔からゲイやバイセクシャルの人は多かったということ。子どものときに不思議に思っていた森蘭丸の立ち位置が織田信長の衆道だったと知ったときは驚いた(あくまで諸説ある話だが)。
本能寺の変あたりの時代を描いた物語はたくさん作られていて、今さらどうなの?と思っていたが、こんな描き方があるのかと驚かされるものだった。男色の戦国史と言える内容。でもこれが意外と史実に近かったりしてなんて感じてしまう。
でも男色を楽しんでいる武士もいれば、上下関係で仕方なくという武士もいる。殿の言うことは絶対という感覚だから、ハラスメントなんて感じる余裕もない。すべてはお殿様に気に入られて出世するために我慢する。どうしてもと耐えられなくなった者が謀反を起こしたりする。現代の男社会にもこの感覚が残っているから、信長の暴挙に耐え忍ぶ家来たちの姿が滑稽なはずなのに見ていて苦しくなってしまう。
武勲を上げた証拠となる「首」というタイトルを付した本作。なり上がろうとする武士たちの上昇志向の話というよりも、武士たちの性愛と嫉妬の物語として面白かった。「アナログ」のときにも思ったが、北野武のストーリーテラーとしての才能に驚くばかりだ。

kenshuchu