劇場公開日 2023年11月23日

  • 予告編を見る

「たぶん日本人に向けて作られた映画ではない」首 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0たぶん日本人に向けて作られた映画ではない

2023年11月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

欧州では映画監督として大変人気があり、いくつかの有名な賞もとられた巨匠である北野武監督の最新作です。

日本の戦国時代の映画の題材としてはもう使い古された感さえある、「本能寺の変」を題材に、監督が原作、脚本も担当されているとのことですが、若干の誇張と創作はあれど「史実的にはないわけじゃない、いやあったかもしれない独自の狂った世界観」を構築されています。

このあたり監督は、大変歴史を勉強というかきちんと研究されたんだな、と深く感心いたしました。特に男色は武士の嗜みとか・・・こんな昔から日本では言われなくてもお偉いさんから率先して多様性の極み(笑)だったようで。歴史的に信用おける史料、書状なんかにも多数証拠が残っているそうですね。

本作において特に狂った筆頭は本能寺の変の主役の織田信長と明智光秀で(笑)、その残虐性、二面性、性に奔放なところ含めて彼らの子孫がこの映画を観たら、クレームつけそうなくらいの表現レベルでございました。

映画の題名の通りですが、戦での武勲を証明したり、敵将の死亡を確認したりする有効手段が「斬られた首を確保すること」ですから、そもそも戦国の世は人の命が悉く軽く、かなり狂った世界観です。そこに今の世の中にも通用する人間の欲望、謀略、裏切り、嫉妬、差別などなど・・・ありとあらゆる人の闇の部分をごった煮にしたイメージであまり共感できる感じではなかったですね。

また、ちょいちょいシリアスになり過ぎた場面でたけしさん本人が家来と共に寸劇みたいなギャグかますのですが、ブラックジョーク通り越して「不謹慎」みたいな空気が映画館でも流れておりました。

ここは日本人向けじゃなくて、そういうのが好きそうな欧州受けを狙ってるんですかね・・・知らんけど。

あと、この作品の主人公っていったい誰だったんだろう、と思うくらい共感の軸からほとんどの登場人物が外れておりました。黒田官兵衛がギリだけど、あまり好人物として描かれておらず(笑)。

謀略、策略、歴史のifが好きな方にはおすすめです。

やまちょう
kazzさんのコメント
2024年1月13日

なるほど、エンドロールが英語…。
北野武は世界を商圏とする監督の一人ですからね。
首実検なんか、ヨーロッパ受けする題材なのかもしれないですね。

kazz
kazzさんのコメント
2024年1月12日

どうでしょうか。欧米受けを狙ってたんでしょうかね…
やはり、世の中を斜に構えて見ている北野武らしく、史実もチャカしてみせた映画かな…と思いました。
好き嫌いは別として、力作だったとは思います。

kazz
トミーさんのコメント
2023年11月26日

共感ありがとうございます。
ホントにああいうギャグが欧米ウケするんですかねぇ。ちょっとトンデモサムライを笑い飛ばされそうで、あまりいい気分はしません。

トミー