劇場公開日 2023年11月23日

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「大人しく 中途半端な 型破り」首 不敗の魔術師さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0大人しく 中途半端な 型破り

2023年11月26日
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最近のエンタメたけし映画との向き合い方としては、アウトレイジ超好き。ビヨンドも超好き。最終章は一歩落ちる。なんか爺さんがハッスルする奴はつまんなかったな、という感じ。
予告編の時点で、超現代的な台詞回しや、嫡男の家督相続が常識の時代に「跡目」とか言ってるんで、ああアウトレイジ戦国ねという覚悟で鑑賞。

今作、予告編の時点でキム兄の芝居が突出してコントで、幾らなんでもと思ってましたけど、まさかの演技巧者たるエンケンさんが群を抜いてふざけてましたね。気の抜けた芝居にも見えるっていうか。多分、北野監督の型破り要求に、演技巧者だからこそ120%応えちゃった結果なんでしょう。でも、たとえば西島秀俊とか岸辺一徳とか、小林薫とかはそこまでコントしてなくて、ムラがあるのは落ち着かないですね。どういう意図なんだろ。
コントとしての面白場面といえば、間違いなく家康の草履取りイベント後に秀長、官兵衛の二人にブチブチ文句言うシーンでしょうね。どうみてもアドリブ臭いやり取りとか、上手すぎる「間」とか、流石すぎて笑わされました、あれは。

で、作品全体の結論としては、思った以上に普通と言うか...解釈として採用してるのも、今時逆に珍しいぐらい使い回された「秀吉がそそのかしたマッチポンプ説」をひねらずそのままやってるし、信長がこれぐらい酷い奴で壊れてても、今更特段振り切れてはいないし。信長ってイメージの宝庫だから、皆のイメージの範疇っしょ。これぐらい。
ぶっちゃけ、「ホラ!時代劇なのに、その古臭い枠を飛び出した斬新で自由な様は如何でしょう!面白いでしょ?」という作品は昔から近年まで星の数ほど作られていて、ほぼ例外なくつまんないんですよね。
(非商業作品のショートフィルムだけど「座頭市VSプレデター」ぐらい本気でケレンの塊みたいな事が商業長編でやり切れればワンチャン...?)

こういう作品に時代考証云々言うつもりは特に無いんですけど、時代劇で時代劇らしくない事しただけじゃ「エンタメ」にはなんないんですよね。
2000年台初頭の「徳川 葵三代」が大好きなんですけど、あれは時代物らしい重厚な芝居と台詞回しを維持しながら、これ含めた「エンタメ時代劇」よりよっぽど型破りな事してたし、全然笑えるんですよね。
やっぱり型破りを目的化したら駄目なんですよね。型破った後に何やるのかが大事な訳で。ある意味当たり前なんですけど。

2.5点ぐらいかなと思ったけど、以下2点により0.5加点。
・「熱い」「面白い」役柄のイメージが強い桐谷健太のクールな服部半蔵役が新鮮だった
・「ぼぎわん」映画版に引き続きの「カッコ良いおばさん」としての柴田理恵。やり手ババアがやられちゃうのかよゲラゲラと見せかけて...はちょっと痺れた

不敗の魔術師
不敗の魔術師さんのコメント
2023年11月26日

あーサワガニに言及するの忘れてた!
あれは「おっフレッシュ」と思わされて期待値上がったんですけどね〜

不敗の魔術師
トミーさんのコメント
2023年11月26日

共感ありがとうございます。
戦国の残虐描写とサワガニ以外は意外と普通でしたよね。弥助に首を刎ね飛ばされるのは良かった。

トミー