劇場公開日 2023年11月23日

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「バイオレンス・ラブ、略してBL」首 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0バイオレンス・ラブ、略してBL

2023年11月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

予告のせいでハードルが上がりすぎてしまい、残念ながら期待以上とはならなかったけど、北野武というよりもビートたけしらしさ満載で、終始ニヤニヤしてしまうほど楽しい作品でした。バイオレンス映画というか、コメディだな、これ。アウトレイジ〜本能寺の変バージョン〜として見たらイマイチだけど、ビートたけしによる時代劇コメディとして見たら最高に面白い。どちらにせよ、予告は罪だな、、、。

アウトレイジが大好きな自分にとっては、色々と物足りない部分はある。意外にもバイオレンス描写は控えめだし、笑いを意識しすぎてシリアスさはあまり無い。もっとどっしりと重くて、心がぐちゃぐちゃになるような映画を想像してしまっていた。もっともっとグロくて良かった。構想30年というのはどうやら全くもっての嘘らしく、本人が言うには30年前にほぼ出来上がっていた脚本を、今作った。実際は大体1週間位だと。かなりの制作費を掛けたKADOKAWAが、過剰な予告を作りあげた。いくら儲けようとしたって、嘘をでっちあげるなんてしたら信用失うぜ。何やってんだ、馬鹿野郎!

しかしながら、俳優の生き生きとした表情は健在。
北野武映画は役者の良さを最大限引き出されており、他では見れない心底楽しそうな様子が伺える。ベストアクターは間違いなく加瀬亮。これまでのキャラからは想像つかない、悪魔のような信長。マジで怖すぎる。周防正行映画の時とは180度違うのに、めちゃくちゃハマっている。描かれてこなかったサイコパス信長を作り上げたたけしも凄いけど、こんなクズを演じれる加瀬亮もヤバい。絶対に好きになれないキャラ。いや、一周まわって大好き。『皆殺しに決まっとるだろぉ!!!』。『石原、野球やろうか』に次ぐ名台詞。予告で散々みたのに、このシーンが作中で一番好きです。

絶対にアドリブだろ!と思うシーンはいくつかあって、もれなく全部笑えてしまう。「アウトレイジ 最終章」に引き続き、ビートたけしの右腕を担った大森南朋。培われた相棒のような関係性。2人の会話は安心して見ることが出来ます。「きのう何食べた?〜戦国時代編〜」を勝手にやっている西島秀俊には、可哀想だけど笑っちゃう。イケメンは中々大変だな...と他人事。エンケンが結構キツイんだよな笑 中村獅童と津田寛治のエピソードが個人的にはお気に入りで、本筋では無い話もちゃんと丁寧に描く細さに、世界のたけしと呼ばれるだけあるなと納得。本能寺の変というよりも、戦国時代の本当の姿って感じだもんね。めちゃくちゃ面白い。

予告からの振り幅でこの点数になってしまったけど、恐らくもう1回見たら評価爆上がりすると思う。レビューを書いていてまた見たくなってきたし、見ている最中はアドレナリンが出まくってとんでもなく楽しかったから、本作は唯一無二で最高の時代劇であることは間違いない。万人受けするとは思えないけど、映画好き、北野武映画好きには是非とも見て頂きたい代物。ビートたけしの芸人魂が遺憾無く発揮された、スケールのデカすぎるコメディ映画。「翔んで埼玉」といい勝負してますぞ。

サプライズ
野球十兵衛、さんのコメント
2023年11月26日

バイオレンスラブ、言い得て妙ですね。

野球十兵衛、