アステロイド・シティのレビュー・感想・評価
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旅の途中で、家族と。
2023年。ウェス・アンダーソン監督。近くで頻繁に核実験が行なわれるアメリカの砂漠地帯。数千前の隕石とクレーターが残る寂れた場所で、子供の科学発明の授賞式が行われる。集ってくるそれぞれの家族、休暇で訪れた女優、校外学習をする子供の集団、の真上に、なんとエイリアンが現れて、、、という話。映画作りの設定(映画の中では演劇ということになっている)や役者自身の体験にまで話が及んで物語の枠組みを揺るがしていく、アンダーソン監督お得意の展開。
妻を失ったライターの男は4人の子供(うち長男が受賞者)を連れて妻の実家へ遺骨を運ぶ旅の途中。車が故障してさほど親密ではない妻の父を呼びだしている。妻の思い出に泣きくれる男だが、女優と(エイリアンも?)の出会いによって新たな一歩を踏み出せるような気がしている。これが大きな物語の流れ。そこに、エイリアンの登場、政府や軍による監禁と隠ぺい、ジャーナリズム精神によるその暴露(電話線のハイジャック)など「犬が島」的な逸話が加わっている。エイリアン登場までは物語の枠組みへの言及・説明が多く、過剰に設定や過程や意図を説明しようとしているが、それがなんだか嫌味や皮肉に見えてくるのは気のせいか。その分、説明できるはずがないエイリアン登場の脱力感、拍子抜け感はハンパない。この落差がすごい。
NO VACANCY
1955年、人口87人の砂漠の町アストロイド・シティで宇宙人騒ぎが起きて足止めされる人々をみせるという劇と舞台裏を放映するTVショーという体の作品。
5000年前に隕石が落下したクレーターが観光名所になっているアストロイド・シティで車が故障した男と子供たち、そして化学賞を受賞して招待された子供たちとその親が集まって巻き起こって行くストーリー。
モノクロでTVショーとして舞台裏をみせるシーンを頻繁に挟みつつ、メインは劇中劇をみせて行くけれど、舞台裏と劇中劇とどちらをみせたいのかさっぱりわからず。
メインで流れるのは劇中劇だけど、やはり劇中劇という体だから、そこで起きることは全てフィクションの中のフィクションということで俯瞰で観てしまい、ストーリーとしての面白さはこれっぽっちも無いし。
一応コメディということだけど、これっぽっちも笑える様なネタも無く、強いてコミカルさを感じるところを言うなら宇宙人と3姉妹ぐらい。
自分には面白さが全然理解できず、物語の面白さを求めて観たらダメなヤツですかね。
虚構と現実の絶妙な按分比
一目で『ウェス・アンダーソン』の作品と了解される
画面を構成する幾つかの定型。
チープなマット合成や、ミニチュアチックな建物、
パステル調のしかし鮮やかな色味。
長く観ていると目がちかちかとしてしまう
『デイヴィッド・ホックニー』もかくやの表現。
一瞬にして、監督が創造した物語り世界に入り込ませるテクニックは見事。
そこではスラップスティックじみた出来事に
時として挟み込まれるペーソスが繰り返される。
また、オールスターキャストであることに於いても。
『ウィレム・デフォー』や『マーゴット・ロビー』等が
ほんの些細な短い登場時間で出ていることの凄さ。
観客だけでなく、俳優たちをも惹き付けるサムシングがあるのか。
「アステロイド・シティ」は「モニュメント・バレー」を思わせる
砂漠のど真ん中のさびれた町。
近隣では核実験が行われ、時として立ち上るキッチュなキノコ雲。
しかし時代設定の1955年を勘案した時に、
これは一面の真実。
『広瀬隆』が〔ジョン・ウェインはなぜ死んだか(1982年)〕で書いたように
周辺では実際に核実験が頻繁に行われていた。
ただ、当該の町はあくまでも架空。
演劇の舞台として創造され、
更にその制作過程がテレビ中継され多くの視聴者が見、
その外側で我々観客が映画館で鑑賞するとの複雑な構成。
一方で、登場するのは実在を思わせる人物。
人気女優の『ミッジ・キャンベル(スカーレット・ヨハンソン)』は
『マリリン・モンロー』か。
当時の彼女は『ジョー・ディマジオ』と結婚しており、
時として暴力も振るわれていたハズ(のちに離婚)。
また、演劇学校で「メソッド演技法」のワークショップに参加しているのも
描かれている通りで現実と符合。
またこのシーンには『ジェームズ・ディーン』を彷彿とさせる人物も登場し、
彼も「メソッド演技法」を多用したハズ。
それにしても改めて思うのは、
こうした知識があるほど楽しめる要素は
監督は勿論散々勉強しているのだろうが、
彼の国の観客たちにも、相応の認識がある前提だろうか。
何時も悩んでしまう。
おっと閑話休題。
この時代に他の著名人も愛用したパイプ煙草をことある毎に吸う
戦場カメラマン『オーギー(ジェイソン・シュワルツマン)』と
『ミッジ』が物語の主軸。
彼は数ヶ月前に妻を亡くしたばかり(の、設定)、
後者については前述の通りで、
共に喪失の痛みを感じている。
そうした登場人物の心の傷を
幾つもの「壁」を越えて
我々は感じ取ることができるか。
ドタバタとした喜劇調に
目くらましされてしまう気も。
虚構の中に現実が入り込む世界観や
入れ子構造も含めて〔グランド・ブダペスト・ホテル(2014年)〕でも使われた技法は今回も健在。
特徴的な画面表現も含め
今後もこれが続くと鼻に付くようになるのでは、と
杞憂に終われば良いが。
もっともそれを「※※※※らしい!」と、
賛美する人も出て来るようだが・・・・。
なんかとても可笑しくて楽しい映画でした
僕は基地の街で少年期を過ごしたんだけど、こっそり覗き込んだ時に見えた″塀の中のアメリカ″をなぜか思い出した。
天才キッズ(僕もああいうゲーム、子供の頃、よくやったなあ、天才キッズじゃなかったけど)とへんてこな宇宙人(僕もああいうの見たかったなあ)、そして次々と出てくるスター達。あれっ?もしかしてトム・ハンクス?ジェフリー・ライト?エイドリアン・ブロディ?ティルダ・スウィントン?マット・ディロン?ウィレム・デフォー?……最後に…あれっ?マーゴット・ロビー?なんか楽しかったぁ(スカヨハだけは出てくるの始めから知ってた)。
音楽も懐かしさいっぱいで良かった。
で映画の内容?よくわからんかったけど、睡眠不足だったけど(目覚めたければ眠れって?)、ぜんぜん眠たくならなかった。なんか懐かしくて可笑しくて楽しい映画でした。
映像、世界観が最高❣️
ブツっと話が途切れて「え?それで?」の連続
極端な大荒れ枠になるのが確定しそうな状況…
今年294本目(合計944本目/今月(2023年9月度)4本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。
まず、一言でいうと「2022年に放映された文系ネタ満載の「フレンチ・ディスパッチ」の理系バージョン」という点は言えます。理系ネタ95%といった感じです。
そしてそん「フレンチ・ディスパッチ」も文系ネタ満載「すぎて」、「眠かった」だの何だのといった投稿が多かったのですが、文系が理系に変わっただけで、結局同じ気がします。
映画として珍しく、最初に「このストーリーは架空」「1955年代を想定している」といったことが表示され、章立て形式で進んでいくという、これまた「フレンチ~」と同じような展開です。
ストーリーというストーリーが認識しづらく(日本語字幕が珍妙なほどに意味がよくわからない)、その架空の「アステロイド・シティ」に関する人々の生活を描く映画、以上の理解は普通の人には(特にアメリカ文化について学習しない一般的な日本人には)無理ではなかろうか…といったところに、理系ワード(これも、数学・物理・化学・地学・生物、と実にバラバラ過ぎる)が飛びまくる、もう「フレンチ・ディスパッチ」の理系バージョンといって差し支えないのでは…というところです。わずか5%程度文系ネタ(といっても、法律ワード)が飛んできますが、事実上理系映画という観点が極端に強く、見る方を「極端に」制限するのが結構厳しいです。
「感想を書きましょう」といっても、多くの方には感想の書きようがないのでは…という本当に極端な映画で、「フレンチ・ディスパッチ」の理系バージョンでした」という投稿が続出しそうな気がします。
予告編ではこうした点は伏せられていたため、私が見たtohoシネマズでもなんと満席になっていたのですが、多くの方が途中で帰るといった特異な自体で、これもこれでミスマッチがひどすぎるなぁ…といったところです。
正直「採点拒否レベル」になってしまう映画の分類になりそうな気がしますが、そういうわけにはいかないので…。
相当高い理系的教養を要求してくる(上記の通り、数学+理科4科目)という特異な映画で、まぁ1955年設定である以上、ITネタがでない点が「唯一の救い」と言えます。
こういった事情もあり、ストーリー展開の理解の助けとなる字幕も理系ワードが飛びすぎで何がなんだか…であり(日本では理学部であれば、数学科にせよ物理学部にせよ分岐するので、すべてに詳しいという方はいない)、本当に理解が困難だったりします。
アメリカではどういう評価を受けたのかわかりませんが、日本ではちょっとこれはないだろう…というところです。もはやクイズ大会の様相になっているため、それを想定してみるしかないというところです。
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(減点0.4/理系ワードの出しすぎ)
・ これだけ出ると、「眠たい」や「寝た」という投稿等も理解はでき、どうするとここまでマニアックな映画にしたのか(あるいは日本で供給したのか)が謎です。高校理系クラスでは太刀打ちができず、物理にせよ数学にせよ、学部レベルを超えて修士課程レベルの知識を問うてくるあたり、「鬼」というしかないレベルです。
(減点0.1/字幕の翻訳ミス)
・ less than は「未満」であって「以下」ではありません。
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(減点なし/「ゲーデル」って誰?)
オーストリア・ハンガリー二重帝国(「エリザベート1878」参照のこと)生まれの数学者で、ナチスドイツによるユダヤ人迫害を逃れてアメリカに逃れてきた人物です。
数学基礎論(数学をどのように展開していくのか、という哲学的分野に近いジャンル)や、公理的集合論(高校1年で学習する「物の集まりを集合といいます」を超えて、集合を厳密に定義するジャンル)が専攻の数学者で、後者に関しては有名な業績を残している人物です(ただし、このことも学部3年か4年の卒論レベルの知識がないとわからない)。
※ 公理的集合論を社会の実務で使うことはほぼありません(保険数学等でわずかに使う程度)。
明るいんだけど、暗い。退屈だけど、面白い。
砂漠に青い空の背景を見た瞬間、原爆の話とわかる。
話は複雑に構成されて、
幾つものメッセージが遺されている。
1950年代のパスクアメリカーナの映画ではないことは確かだ。
わかり易くすると、
あのバーベンハイマーとの3部作と考えて観てはどうか?
日本でも早くオッペンハイマーを観たいものだ。
自分が感じた好きなメッセージは、
青少年少女達が、
爺さんや親御さんや軍隊を軽々と出し抜いていくところが頼もしくて愉快だった。
(^○^)
「グランド・ブダペスト・ホテル」のウェス・アンダーソン監督が、
砂漠の街に宇宙人が到来したことから巻き起こる大騒動を独特の世界観で描いたコメディ。
1955年、アメリカ南西部の砂漠の街アステロイド・シティ。
隕石が落下して出来た巨大なクレーターが観光名所となっているこの街に、科学賞を受賞した5人の少年少女とその家族が招待される。
子どもたちに母親が亡くなったことを言い出せない父親、映画スターのシングルマザーなど、参加者たちがそれぞれの思いを抱える中で授賞式が始まるが、
突如として宇宙人が現れ人々は大混乱に陥ってしまう。
街は封鎖され、軍が宇宙人到来の事実を隠蔽する中、子どもたちは外部へ情報を伝えようとするが……。
キャストにはジェイソン・シュワルツマン、エドワード・ノートンらアンダーソン監督作の常連俳優陣に加え、スカーレット・ヨハンソン、トム・ハンクス、マーゴット・ロビーらが参加。
2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
世界観を楽しむことで精一杯
目覚めたければ眠れあたりで目覚めました。
豪華キャストを探せ!
なにがどう独特なのか、が問題なのだ❗️
いやぁ参りました。
どこでどう作動したのか、しっかりと眠気スイッチがオンに❗️
目覚めたければ眠れ❗️って俺のこと?
と冷や汗かきました。
独特の世界観だということは分かる。
人工的な背景やセット、いつでも晴れ、どこまでも明るくて眩しくてカラフルな街と人。
ノッポで人懐っこそうでとぼけた愛嬌のある宇宙人。
あれだけの俳優さんが参加したくなるのだから、さぞ楽しい雰囲気の現場なのだろうな。
マーゴット◦ロビー見逃さなくて良かった❗️
トム◦ハンクスがゴルフ場から電話してる時に画面の左上の方に映っていたグリーンのピンを握っていた人。何か可笑しなことをしてくれるのかと思ったら、そのままだったな。
スカーレット◦ヨハンソンはじめ、いるだけで存在感のある俳優さんのシーンは別としても、なぜか断片的に印象に残るシーン、切り取られた映像が記憶に残る。決して面白い場面ではないところも。
なんとも不思議な映画で、独特なことは分かるけど、なにがどのように独特なのか。
私にはうまく説明できません。
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