「エロスの暗喩に満ちた56分」若き仕立屋の恋 Long version norinoriさんの映画レビュー(感想・評価)
エロスの暗喩に満ちた56分
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直立した長いうなじと暗く奥深い廊下。花様年華にも多用された印象的なこのモチーフが、性的な世界を表現していたことに今回気づいた。
全編これエロス。まさか粽にまでエロを感じるとは思わなかった。ホアが手作りした粽を食べるチャンのシーンは濃厚なラブシーンに等しい。
でも、この映画はエロだけではないのだ。
まだ幼さが残るチャンが粽を貪るのは、母や故郷を恋うているからだ。
同様に、ベッド下から見上げるホアの脚の動きが投げやりなのは、娼婦としてしか生きられない悲しみに蝕まれているからなのだ。
そしてクライマックス。チャンの唇を遮るホアの手が切ない。こんな愛情もあるのか。
原題は、愛神、手。
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