若き仕立屋の恋 Long version

劇場公開日:

若き仕立屋の恋 Long version

解説

香港の名匠ウォン・カーウァイが、2001年製作のオムニバス映画「愛の神、エロス」の一編として発表した短編「若き仕立屋の恋」のロングバージョン。2004年のベネチア国際映画祭で非公開のプレミア作品として上映されたほか、2018年北京映画祭で上映された。日本では2023年4月に劇場初公開。

1960年代の香港。仕立て屋見習いの青年チャンは、美しい高級娼婦のホアと出会い、魅了される。それ以来、ホアが他の男のために着飾る服を、愛情を込めて仕立て続けるチャン。やがて時は移ろい、ホアはかつての精彩を欠いていき、すべてを失っていくのだが……。

仕立て屋の青年チャンをチャン・チェン、娼婦ホアをコン・リーが演じた。

2004年製作/56分/PG12/香港
原題:愛神 手 The Hand
配給:アンプラグド
劇場公開日:2023年4月14日

スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0むむ。田山花袋の「布団」の世界ですな。

2023年9月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

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仕立てたドレスに指を這わせて、妄想と、イメージの”性行為“に耽る(ふける)一人の青年。
娼婦として他の男たちに抱かれ続ける彼女のために、まだだれも袖を通さず、まだ誰のものでもないまっさらなドレスを彼女のためにおろして
処女のシルクの上からチャンは初めてのホアを抱くんでしょう。

「ちまき」は、「無垢な子供時代」の象徴と思われます。
もう戻れない過去の自分を懐かしく思いながらも、二人で ちまきを愛欲の様相でむしゃぶりつく映像は、胸がチクっと痛みますね。
これってプラトニック?
でも吉行淳之介は言いました
― 向かい合って食事をする男女に肉体関係がないはずはない。
ちまきの皮を剥いてゆく・・あそこはエロチシズム、最高潮のシーン。

男女二人。手の動きをカメラが追います。
原題は「愛神の手」。

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東座にしては挑発的な映画にドキドキでした。
どんな顔をしてロビーと もぎりの受付を抜け出せばよいのでしょう、映画の物語の終わりが近づく予感に困ってしまって、
自分のつま先を見ながら駆け抜けて館の外へ出ました。

・・と日記には書きたかったが、残念ー!上映を見逃してしまって、あとからこっそり配信にて個室鑑賞しました(笑)

小心男の妄想レビューは 中年の映画活動 (略して映活)の惑いゆえ。

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きりん

4.0短編映画のロングバージョンだけに、一切の無駄なくウォン・カーウァイ監督の映像美を堪能できる一作

2023年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

仕立て屋という職業の醸し出す独自の雰囲気が物語映えするのか、これまでもパトリス・ルコント監督『仕立て屋の恋』(1989)やポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』(2018)など、仕立て屋を主人公とした多くの名作が作られてきました。衣装という、身体と密接するものを自らの手で丹念に作り上げていく、という所作が、恋愛というテーマと絡めやすいのでしょうか。そして本作もまた、仕立てを通じてある種濃厚な接触を繰り返す男女の欲動そのものを描いています。

短編作品を膨らませているため、映像には一切無駄がなく、しかし物語としても十分な厚みを備えています。スタイリッシュな映像美で統一するのかと思いきや、仕立て屋の青年チャン(チャン・チェン)とホア(コン・リー)との出会いがなかなか直接的、扇情的で、単に美しい映像を見せるだけの作品じゃない、というカーウァイ監督の強いメッセージを否応なく感じました。

香港の雑多で生活感溢れる風景と、現世から超然としているかのようなチャンとホアの対比が織りなす映像は、まさにカーウァイ作品そのもの。あまりにも無駄がなさすぎて、決め打ち映像のダイジェスト版になっている要素も無きにしもあらずだったんだけど、よく考えてみれば独特の間が印象に残る『欲望の翼』(1990)も『ブエノスアイレス』(1997)も、『恋する惑星』(1995)や『花様年華』(2000)すら、独特の間と物語の厚みが印象的なカーウァイ監督の代表作群は概ね、上映時間100分以下と、長編映画としては短めなんですね。あたらめてカーウァイ作品の密度の濃さに驚きました。

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yui

3.5【“貴女の手。”。匂い立つようなエロティシズムが横溢する、仕立屋見習いの青年と、美しい高級娼婦の切ない愛を描いた作品。】

2023年7月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

興奮

知的

■60年代の香港。仕立屋見習いの青年・チャン(チャン・チェン)は、美しい高級娼婦のホア(コン・リー)と出会い、魅了される。
 それ以来、チャンはホアがほかの男のために着飾る服を、愛情を込めて仕立て続ける。
 やがて時は移ろい、ホアはかつての精彩を欠いていき、全てを失っていくが、チャンのホアに対する想いは、微塵も揺らいでいなかった。

◆感想

・序盤の、仕立屋見習いの青年・チャンがホアと出会うシーンのエロティックさにまずは、ガツンとヤラレル。
ー ”ズボンを脱いで・・。下着も・・。そして、ホアはチャンの股間に手を入れて、”この感触を覚えていれば、良い仕立て屋になるわ・・。”ー

・そして、数年後再びあった二人の会話。
 ”服を作ってくれる。美しい服を。””採寸して”
 ”貴女のサイズはこの手が知っています・・。”
 そして、チャンはホワを背後から抱きしめるのである。ホワの頬を流れる一筋の涙。

・更に数年後。落ちぶれたホワの宿舎の家賃を支払い続けるチャン。
 そして、病(多分、結核)のために粗末なベッドに横たわるホワに対し、チャンは唇を寄せるのである。
 それに対し、ホワは”私の武器だった身体はもう駄目。手で良い?”と言いながらチャンの股間に手を伸ばすのである。

<いやあ、凄いエロティックな作品である。しかも、嫌らしくなく品性が漂っているのである。ウォン・カーウァイ独自の演出で官能的で切ない愛を描き出した作品である。
 無理してでも、映画館に行くべきだったなあ・・。>

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NOBU

4.0これは恋?

Mさん
2023年5月26日
Androidアプリから投稿

と呼んでいいものなのかどうか。
ただ、雰囲気はおしゃれな作品だった。

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M
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