「今だからこそ」キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた) ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
今だからこそ
第二次世界大戦前夜の1939年、当時のポーランド領その後ソ連領となった現在のウクライナの町での物語。
ユダヤ人の大家のもとに越してきたポーランド人・ウクライナ人の家族が時代の流れに翻弄されてゆくが、三家族の娘たち最終的にはドイツ人将校の息子も含め肩を寄せ合いなんとか生きてゆこうとする。
この街もそもそも以前のポーランド・ソビエト戦争の結果としてポーランド領になっていたらしく(ソビエト領となったウクライナは『赤い闇』でも描かれたスターリンによる過酷な搾取と弾圧の対象となった)、ソ連が来たりナチが来たりする度彼らのうちの誰かが連れ去られたり殺されたりとウクライナが歴史上どう扱われてきたがよく分かる。
ただその歴史的な複雑さのためにそれが誰にどのような結果をもたらすことになるのかが分かりづらく、観客はただ彼らが無事であるようにと祈るような気持ちでただ見つめるしかない。
過酷な運命と結果として芽生えた絆は、美しい映像や音楽とともに本当に胸を打つ。またしてもロシアがウクライナを脅かしている今だからこそ観るべき作品。
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Mさんのコメント
2023年7月17日
「観客はただ彼らが無事であるようにと祈るような気持ちでただ見つめるしかない」まさしく、そんな映画でした。
世界中の人に見てほしい作品です。
このままでは、各地で上映が早く終わってしまいそうで心配しています。