キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)

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キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩(うた)

解説

ウクライナ民謡をもとに生まれたクリスマスソング「キャロル・オブ・ザ・ベル」をモチーフに、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人の3家族が戦火に翻弄されながらも子どもたちを守り抜こうとする姿を描いた戦争ドラマ。

1939年、ポーランド領スタニスワブフ(現ウクライナ、イバノフランコフスク)。ユダヤ人が暮らす母屋に、店子としてウクライナ人とポーランド人の家族が引越してくる。歌うことが得意なウクライナ人の娘ヤロスラワは「キャロル・オブ・ザ・ベル」を歌うと幸せが訪れると信じ、大事な場面ではいつもその歌を披露していた。やがて第2次世界大戦が勃発すると、スタニスワブフはソ連軍やドイツ軍の侵攻を受け、ソ連に占領されてしまう。ポーランド人とユダヤ人の両親たちは迫害によって連行され、彼らの娘たちは家に残されることに。ウクライナ人の母ソフィアは3人の娘を分け隔てなく守り続け、さらにドイツ人の息子も匿うことになるが……。

監督は、テレビドキュメンタリーを中心に手がけてきたウクライナ出身のオレシア・モルグレッツ=イサイェンコ。

2021年製作/122分/G/ウクライナ・ポーランド合作
原題:Carol of the Bells
配給:彩プロ
劇場公開日:2023年7月7日

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(C)MINISTRY OF CULTURE AND INFORMATION POLICY OF UKRAINE, 2020 – STEWOPOL SP.Z.O.O., 2020

映画レビュー

4.0この映画が世界中に広がっていくことを切に願う

2023年6月30日
PCから投稿

連日のようにTVでウクライナに刻まれた生々しい傷痕が映し出される今、この映画に触れる意味は極めて大きいと感じる。舞台はウクライナのイバノフランコフスク(当時はポーランド領だった)。そこに建つ一軒の家には、ウクライナ人、ポーランド人、ユダヤ人の家族がそれぞれ暮らしており、文化的な隔たりはあっても、互いを尊重しあい、子供たちも仲睦まじく毎日を送っていた。だが、戦争の足音は日増しに強まり、ソ連やナチスの侵攻によって、次々と家族が引き裂かれていく・・。大人の目線と子供の目線を交錯させながら戦争を描き、確かに胸の痛む場面も多いのだが、それと同じくらい、少女の美しい歌声が切実に響きわたる。「キャロル・オブ・ザ・ベル」という曲は誰もがメロディを耳にしたことがあるはず。私はこれがウクライナ発だとは知らず、こんな歌詞だったのかと強い関心を覚えた。この映画が、そして思いが、世界中へ広がっていくことを切に願う。

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牛津厚信

5.0EUが「ノーベル平和賞」を受賞したことを忘れちゃいけない。国境を無くそうとした人類の理念・反省、叡智と偉業を後退させちゃいけないんだ。

2023年10月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

戦争の嵐に押し倒されそうになりながら、崇高な母性の愛、父の愛、夫婦の愛が子供たちを守る!

ウクライナではいまも戦争が続き、
パレスチナでは瓦礫のガザで数千人が亡くなっています。
そのさなかでの映画鑑賞でした。

舞台はそのウクライナ。
ヨーロッパとソ連の中間にあるあの地域は、有史以来の紛争地帯。
交通の要衝であると同時に、あそこは軍隊の行き来する街道エリアだった。
政治と国民統制の“関所”として、この土地は為政者たちは抑えておきたい必要があったのだ。

ユダヤ人と、ウクライナ人と、ポーランド人と。そして終盤にはドイツ人の一家と。
この「4つの家族」が
戦況によっては今度は東から、そして今度は西からと、幾度も繰り返して翻弄され続ける。

情勢が変われば昨日の味方は今日の敵なのだ。
どちら側についても、そして
どちら側につかなかったとしても、
住民は「ガス室」や「パルチザン狩りの銃殺」や「シベリヤの思想矯正施設」や「戦犯処刑場」に送られて、
このアパートの住民たちはそうして行き来する国土収奪と、戦争の前線にヤラれ続けた。
寄せ波と 引き波に、親と子が晒され続けたのだ。
悲運の地・・
それが東欧地域なのだ。

・・・・・・・・・・・・・

観終わって思ったことは、
いきのこっていくためには
単一民族や単一国籍だけの純粋培養ではダメなのだなぁという事。
そこにはたと気がついた。
特殊な状況下での実話ドラマではあったが
《実は、彼らは混ざっていたから、命が繋がれた》のだ。
ドイツ人だけ、ユダヤ人だけ、ウクライナ人だけ、ロシア人だけ、
そして想像してほしい
パレスチナ人だけ、
中国人だけ、
日本人だけでは、私たちは、この世界では生きてはいかれないのだよ と教えてもらえた。

もしもドイツ人だけ、ユダヤ人だけ、ウクライナ人だけ、ロシア人だけがあのアパートの住人だったら?
アパートは、結局誰も生き残ってはいない無人の廃墟になっていたのだ。
混ざっていて、一緒にご飯を食べ、一緒に歌って友人関係になっていたから、
父母の祈りは3人の娘の生還に繋がったのだ。

・・・・・・・・・・・

ウクライナ民話の「てぶくろ」も、僕は懐かしく思い出しました。
凍える冬に森に落ちていた片方の手袋に、ネズミから ウサギから キツネから オオカミから クマまでが、
狭いけれど、みんなでお互いにギューギューに詰め合って、無理かと思われた“シェルター”での越冬を、動物たちが実現するお話。
(福音館書店刊 絵本:ウクライナ民話「てぶくろ」 内田莉莎子訳)

清らかなツバメのさえずり。
鐘の歌。
「みんなが幸せにお金持ちになれますように♪」と願うクリスマスのキャロルが、耳に残ります。

・・・・・・・・・・・・・

上映前に東座の合木こずえ社長が解説をしてくれました
・本作品はウクライナ戦争が始まる前の撮影で、監督のお祖母さんの実体験がストーリーの原作。
・今回の開戦で監督は、「まさかまたこんなことになるとは」と絶句されたと。
・この映画の上映はもう不可能だと思われたのに、戦火のキーウでは映画館は満員だということ。
・しかし、ウクライナの土地ばかりかロシア政府はこの民謡=「ツバメのキャロル」をもロシア発祥だとあさましくも主張していること、
― を解説してくれました。

戦時には、子供の拉致と洗脳・再教育がどこの国でも起こる。
文化の収奪と改変が企てられる。
自国だけが正義であり、自国の戦いだけが聖戦なのだと教え込まれるのですよね。

・・・・・・・・・・・・・

先日 沖縄県の知事さんが
「普天間の基地も辺野古の基地も、もういらない」とアピールしたら、日本政府は再び知事さんを訴えて、沖縄県を被告として裁判にかけましたね。

で、報道以来、SNSの世界では罵詈雑言の嵐です―
そんなに日本が嫌いなら沖縄は日本から出ていけ
嫌日のお前たちは日本人ではない
お前たちは中国人か
元々帰属していた中国のものになれ
侵略されてしまえ
と。

ツバメには、国境など存在しません。
ツバメは東欧からアフリカを往復し、
日本のツバメも日本から大陸へと渡ります。
それなのに、清らかなヤロスラワちゃんの歌声を押し潰してしまいそうな人間たちの不明と強欲が悲しい。

お父さんが震えながら酒場で歌った「リリー・マルレーン」、
そして、世界の平和のために、そして日本の我々のためにも歌ってくれたヤロスラワの汚れなき祈りのキャロルが、
どうかどうか大人たちを恥じ入らせて、その祈りが神さまに聞かれますように。

無垢な彼女の歌声の前に、ごめんなさいの涙が僕は止まりませんでした。

·

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きりん

3.5生き続ける歌

2023年8月14日
Androidアプリから投稿

泣ける

悲しい

第二次世界大戦中、軍事大国に代るがわる占領されるウクライナにて、戦禍に苦しめられる3つの家族と、歌の幸せを信じるその子どもたちの物語。

それぞれ立場の違いから最初はギクシャクな3家族。それを無邪気な子どもたちが繋いでいき、楽しく幸せにやっていけるかと思った所で戦禍の足音が近づいて来…。

ソ連、ナチス、そしてまたソ連…。

いつの時代も軍事大国に蹂躙される国の哀しさときたらやりきれないですね。戦争中は言わずもがな、戦争の終わり=その土地の人々の闘いの終わり…ではないということも改めて感じさせられる。

音楽を生業とするソフィア夫婦の姿が眩しい。

教え子とは言え、言ってみれば他人の子どもたちを我が子同然に守り、命の危機とくれば自らの危険も顧みず。しかしそれでも…。

子どもたちも子どもたちなりに状況や大人の心情を察しており、悲しむソフィアに寄り添う姿にはジンと来ますね。

今更ながらですが、本当にこんな事は二度と起きてほしくない…と思った側から現在の状況ですからね。

でもソフィアの魂は歌われ続けるのだろうと、わずかでも救いがあって良かった。

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MAR

3.5ウクライナの人々の過酷な運命に胸が痛む

2023年8月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ロシア→ドイツ、そして第二次世界大戦が終わってもまたロシアに占領され、苦難を強いられたウクライナの人々(ポーランド人やユダヤ人も)の運命に胸が痛んだ。
子供たちを親から引き離し、ロシア化させようとするロシアの非道は、昔も今も変わっていないのだと、改めて感じた。

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ファランドル
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