ミッシングのレビュー・感想・評価
全487件中、441~460件目を表示
心を失くしている現代社会へのメッセージ
幼い娘の失踪事件を軸にして現代社会に生きる人々の姿を鋭く描いた社会派ドラマ。
親の在り方やテレビ報道の問題点など、心を失くしている現代社会への強いメッセージを感じました。
主演の石原さとみの狂気に満ちた迫真の演技が実に素晴らしく、間違いなく彼女の代表作になることでしょう。
2024-84
評価の難しい作品
結論から先に言うと何かスッキリしないというか、もどかしさの残る作品でした。
確かに石原さとみさんの演技は真に迫るものがあり見応え十分だと思います。また、中村倫也さんの内に込めた演技も良かったと思います。
ただ、ストーリーに関しては同じ様なことの繰り返しで少し単調に感じました。また、最後にSNSで誹謗中傷した人は逮捕されましたが、結局のところそれ以外の偏向報道や失踪事件については何も解決しておらず、共感してくれる人は現れたものの、あの夫婦はいつまであれを繰り返すのかと思うと救いのない作品だなと思いました。
あと、どうしても不自然に見えて仕方なかったのが石原さとみの弟役の演出。犯人ではと思わせる怪しい人物に見せたいのは分かりますが、それにしてもやり過ぎ。前半と後半では違う人物かと思うほどの変貌ぶりにはがっかりしました。いくら違法賭博に関与していたとはいえ、泣くほど子供の無事を願っているのなら、捜査に全く協力しないのは不自然極まりないです。弟さんは作中におけるそこそこ重要なポジションだっただけにとても残念です。
以上、演技は良かったものの、ストーリーの単調さや、不自然な演出により星三つにしました。
TV・SNSの闇に立ち向かうには
吉田恵輔監督と白石和彌監督の映画が同日公開というバチバチの劇場にてこちらを先に観賞。
石原さとみさんが自ら吉田恵輔監督に直談判したということで、何という母親役を選んだんだという驚きと、自身が母親になって初めて挑む作品が子供が失踪して心身共にズタボロになっていく母親役って...青木崇高じゃないけど、あなた凄すぎるよ....
このまま一体どうやって収束していくんだという話ですが、ところどころ入るメンタルを抉りつつ笑わせようとしてくるこの腹黒演出はさすが吉田恵輔監督だなぁと思いました。
「えっ、虎舞竜。」とかお前(カメラマン)やめろ!笑 本当に!!笑
吉田恵輔監督は本当に役者が好きなんだろうなっていうくらい。キャスト全員が素晴らしい演技をしていました。
TV業界、SNSそれぞれの闇にズタボロにされていく夫婦。何故人はこんなにも無責任に人を傷つけられるのだろう。
それでもやっぱり人の優しさを信じてしまうどうしようもない生き物なのです。
そして主人公・沙織里の弟・圭吾を演じた森優作さん。とんでもない方が出てきてしまった。圭吾はいわゆる普通の人なのですが、一度誘拐を経験・そしていじめを経験し精神を病み、いわゆる"普通の人"という範疇から外れてしまう。そんな彼らが普通に生きていくには世の中はとても残酷である。本作ではさらに家族である沙織里からも必要以上に責められてしまう。そんなに責めたら本当に死んでしまうぞ!と怖かったのですが、そんな彼の行動により思わぬ方向へ物語が進むが、やはり上手く進まない。現実は甘くない。ここまで散々リアルを浴びせ続けた上での姉との車のシーン。これは泣くだろ!そして何てタイミングでBlanc("空白ネタ?")音楽かけるんだよ。ホントに沙織里と圭吾と一緒に泣いてるんだか、笑ってるんだかわからない。社会のレールから外れた人を優しく救い上げる演出はいつも大好きだ。
中村倫也演じる記者の砂田、そして主人公の沙織里、彼らは今も美羽を探し続けている。そして戦い続けている。そんな勇気をもらえるラストだった。
映画に起承転結そして話が解決することを求めている方には受け入れられないだろう。観る人を選ぶタイプの映画だ。
私らこの映画で、忘れられないシーン・演技がいくつもある。映画は物語だけじゃないなと思いました。
この感じ、誰かの映画に似てると思ったらダーレン・アロノフスキーだ。「ブラックスワン」、「レスラー」、「ホエール」だ。
彼も役者を追い込み、リアリティある迫真の演技を引き出す監督で、本作でも劇中で記者とカメラマンの前でのインタビューなどで沙織里に多少の演技を求めるシーンがあるのだが、このシーンは娘を失った可哀想な母親を演じる母親を演じる石原さとみという二重構造になっていて、これは相当難しいシーンだったんじゃないかと思う。(公式HPのプロダクションノートでもその困難さを感じました。)結果、芝居っぽさとリアルな感情が折混ざる大変素晴らしいシーンになっていて感動した。
今年ベスト!
難しいですね、母親の気持ちが分かるとも気安く言えないし、誇張しすぎ...
どんなに深い悲しみに打ちひしがれても、人には、前を向いて生きていく力がある
何と言っても、子供が失踪したことで正気を失い、常軌を逸して行く、石原さとみの鬼気迫る演技に圧倒される。
その喪失感や深い悲しみだけでなく、自責の念や藁にもすがりたいという必死の思い、あるいは、誹謗中傷や心無い「いたずら」に対する憤りや絶望感が痛いほど伝わって来て、見ているだけで息苦しくなったし、何度も目頭が熱くなった。
冷静であり続けようとする夫が、感情的になりがちな妻を支えようとする姿にはグッとくるものがあるし、そんな中で生じる夫婦間の軋轢と「温度差」にも、絶妙なリアリティーが感じられた。
視聴率獲得のため、取材対象に寄り添う姿勢を貫けずに葛藤するテレビ局の報道記者や、いかにも胡散臭いながらも、後にその理由が明らかになり、彼なりのやり方で姉と和解する弟など、脇を固めるキャラクターたちも、皆、陰影に富んでいて魅力的である。
主要な登場人物ではないものの、母親のインタビューの最中に、彼女が、虎舞竜の「ロード」の歌詞と同じことを言っていると指摘してしまうカメラマンも印象的で、自分も、母親の苦しみを「他人事」としか思っておらず、同じような「突っ込み」を入れてしまうかもしれないと、我が身を振り返ってドキリとさせられた。
失踪事件そのものが解決しない結末には、ドラマとして、釈然としないものを感じないでもないが、下手に子供が帰ってきたりしたら、それこそ、嘘くさくて薄っぺらい話になってしまっただろうし、現実世界で同じような目に遭って苦しんでいる親御さんたちに寄り添うという意味でも、これで良かったのだと思う。
何よりも、決して癒えることのない悲しみに打ちひしがれたとしても、人間には、それを乗り越え、前を向いて生きて行く力があるということを信じさせてくれるラストからは、確かな希望を感じ取ることができるし、壁のいたずら書きに色鮮やかな光が反射するシーンでは、その美しさと温かさに、涙をこらえることができなかった。
見るのにとても体力を使う作品
ずいぶん前から予告で流れていて気になっていたので公開初日に見てきました。
娘が行方不明のまま見つからない夫婦とその取材をするテレビ局の人を中心に話が進んでいきますがなんというか作品全体として何か大きな展開とかが特段、起きることもなく淡々と変わらない日々が続いていき、フィクションではありますがドキュメンタリーを見てるようなそんな感じがありました。ちょっと見るには体力を使う、疲れている時なんかには見たくないしんどい作品に感じました。どこに視点や感情移入をすれば良いか見てて探り探りではありましたが、自分は序盤あたりは中村倫也の視点で見ていました。実際の地方ローカル局があのような感じなのかわかりませんが。真実はどうであれ話題になるかどうかやバズるかどうかなどを重視する昨今の時代背景というか、テレビ局の業界に限らず今の時代ってバズるとか本当にそういうことばかりが注目されていて、本当いつからこんな時代になっちゃったんだろ?って見ててそんなことを思ったりしました。あと作中には罵り合う人々やクレーマー、ネットの誹謗中傷など現代のギスギスした感じも描かれていました。残酷なシーンとかはないのですがとにかく見ていて救いがないような物語に感じていましたが終盤はどことなく希望として捉えられるような描写もありました。あまりこの手の作品を見ることがないので自分には一体何を伝えたいのか、何がテーマなのかというところは見終えてもちょっとわからなかったです。
役者さんの演技に関しては石原さとみも青木さんも中村倫也もとても良かったです。石原さとみの弟役の俳優さんは初めて見ましたがこの方もだいぶ存在感のあるいい演技をしてました。
結局、この行方不明の娘の真実は何だったのかはわからず、そこは描かれず最後までモヤっとした感じではありました。
重い、けど見応えたっぷりです!
SNSって何なんですかね!マーケティング的なメリットは大きいでしょうがデメリットの方が多い気がします。こんなこと言ってると「使えない年寄りの戯言⁉︎」ってディスられそうですが。
実際に起きた話を元に作られたわけではないかもしれませんが、思い当たる事件が多々ありますよね。やはり顔が見えないと好き勝手してしまうのは『性悪説』なんでしょうか?『性善説』が好きなんですけどね。悪い人が出てこない映画は気持ちいいですから。
それにしても石原さとみさん、派手に壊れてましたね!自ら監督にアピールして創らせただけのことはある見応えある作品、素晴らしい演技でした。まさに派手な、いや重〜い新境地開拓!赤いシリーズでデビュー?された時は山口百恵さんのリメイク、荷が重過ぎ?って思ってましたが『アンナチュラル』くらいからメキメキ頭角を表して産休後にいきなりコレは凄すぎです。色々な場面で泣き叫んだり信じられない壊れ方、天晴れです。
青木崇高さん-1.0に続きとってもよかったですね。こんなに重い問題ではなかなかありませんが何度も出てきた夫婦喧嘩のシーンは本当の夫婦間のやり取りのようで身につまされました。妻を怒鳴るのではなく自分で消化させて抑えるできた旦那さん、ホテルでのタバコのシーン、中でも最も泣けたのは娘さんが戻ってきた親子の申し出に嗚咽するシーンでした。こちらも涙が出て嗚咽してしまいました。
もちろん中村倫也さんも素晴らしい役どころでした。誰が何を言おうとも、後輩のやり方に賛成できなくても本当の報道マンを貫こうとするが上司からの無理強いで沙織里(石原さとみさん)にヤラセっぽい演技をさせようとして葛藤しながら自己嫌悪に陥るところ、さすがです。
初めて見ましたが森優作さん、まさにホンモノのごとく気持ち悪かったですが姉との車の中でのシーンは圧巻でした。
同じく吉田恵輔監督作品の『神は見返りを求める』も後味が悪かったですがこの作品は後味悪いながらもエンディングの虹っぽい影とピアノの旋律に救われました。
石原さとみさん、青木崇高さん、中村倫也さんが実力発揮しまくりの素晴らしい作品でした。皆さんのレビューを読むのが楽しみです。
そもそも偏見を持たないということは不可能なのかもしれない
日々生きていて触れている出来事に対して偏見を持たないようにする。と言われているが、この作品を見てそもそも偏見を持たないことは不可能なのでは、さまざまな偏見によって社会は形成されているのではと感じさせられた。
実際、主人公の見え方は作品を通じてどんどんと変化していった。
失踪する娘を探す両親の時間の経過とともに起きる変化をとても繊細に描かれており、作品のクオリティの高さを強く感じた。
シリアスなテーマで辛い時間が多いものの、そんな中でも映像作品ならではのユーモアが含まれていることも印象的だった。
どんなにどんなに辛くても、笑ってしまうことがある。
そんなポジティブなメッセージも受け取れた。
石原さとみの演技は疑いもなく素晴らしく、この作詞がこれから石原さとみの快演で話題になっていくとこを期待し、多くの人がこの作品に触れて欲しいと思った。
最後に待ち受けるのは希望か、それとも...
※結末に言及するため、未視聴の方はブラウザバック推奨です。
行方不明になった娘を探す夫婦、その周りで渦巻く社会や報道の形を上手く切り取って収めた映画だったと思う。
物語の主軸になるのは前述の夫婦と妻の弟、そして報道局員として働く1人の社会人だが、それぞれの演技がとても良かった。特に目を見張るのは主演の石原さとみとその弟役の役者さんで、弟役の方は元々存じ上げなかったがハマり役だったと思う。イタズラ電話で警察まで駆けつけて真実を知った時の石原さとみの演技は今後見ることができるだろうか、人間が壊れる瞬間をリアルに演じていた。また、弟も罪悪感と保身の間で揺れる心情も痛く伝わってくる演技だった。
さて、物語の前半は特に社会風刺が顕著だったと思う。SNSでの誹謗中傷はもはや言うまでもないが、それの引き金になっている報道の在り方に疑問を投げかけていたと思う。中村倫也演じる報道局員は事実をありのまま伝えるのが報道であると信じる一方で、その裏では非難の的になっている人たちがいること、そしてその人のために都合の悪い真実を隠すのは、「事実をありのまま伝える」報道の在り方と反してしまう。その相反する二つを内包した報道はどうあるべきか、結論こそ出ないものの疑問を呈するには十分な描写だった。
また性差についても風刺が込められているのかなと思った。妻は旦那や報道局員に対し怒ったと思ったら、すぐに泣きながら謝って来るような感情的な行動が多くみられる。一方で夫は妻と同じ気持ちを抱えながらも淡々とやれることをやって、泣く時には妻のいないところでこっそり泣くなど、強がって常に冷静でいようとする姿が見えた。特に喫煙所で子供連れの家族をみて1人泣くシーンは深く刺さった。正直この性差の見せ方は特定の方々には不快に感じられそうだが、個人的には筋書きの中にうまく溶け込ませていて良かったと思う。
(新社会人の報道局員の女性が怒られて泣きながら中村倫也の後継者になると言っていた割に、キー局へ転職する先輩を尊敬の眼差しで見ていたのも、この表現がしたかったのかなと思う。)
物語の終わり方については不満がある方も多いと思うし、私も最初は腑に落ちない点が多かったが、よく考えてみれば映画の宣伝文句にもあるようにこれは「希望を探す」物語なのだ。きっと物語の中で、今も娘は見つかっていないだろう。ただ弟との和睦や行方不明になるも見つかった別の少女の家族からの支援、それを受けて2年経った後もなお見つかると信じてひたすら走る夫婦の姿、きっと彼女たちは絶望の中に一縷の希望を見つけることが出来たのだろう。横断歩道で少女が振り返り微笑み、それを見た石原さとみが娘がよくやっていた唇を鳴らす動作をする、これがきっと彼女にとって明日への希望を見出した瞬間なのだろう。
簡単なカタルシスある希望をあたえてくれない
それでも生きていかなければならない
出演者全員素晴らしかったと思いますが、印象に強く残ったのは石原さとみさんの弟役で出ていた森優作さん。とても難しい役どころだったと思いますが好演でした。
登場人物全員にドラマがあり、心の内や葛藤が描かれています。なので自分自身はどこに焦点を合わせたら良いのか少し分からなくなってしまいました。
虎舞竜のくだりは反射的に少し笑ってしまった…すみません…
台詞にもありましたがメディアは本当何なんでしょうね…真実、それが面白い。誰かにとってはそうなんでしょう。SNSとの関わり方や捉え方など、改めて気づかされることが多かったです。
吉田監督は柔らかい光と共に希望を見出す演出がよくありますね!救いようのない痛みや闇も描くけど、今回もとてもきれいでした。
こんな気持ちになるだろうとは思ってたけど
吉田恵輔作品でこの予告なら見たら重たい嫌な気持ちになる事はわかってだけど、不思議なものでそれでも見てしまうし、案の定やられた…
そういった意味では全く期待を裏切らないすごい作品だなとも思うが、人にはなかなか薦めにくい。
現実の行方不明事件でもSNSで好き勝手言われてるわけで、そのあたりの気持ち悪さもなんとも…
「石原さとみ」
今まで何か出演作品見たっけなぁって思うとシンゴジラくらいしかなく、CMくらいの印象だったけど、本作の演技はエグかった。
見てて「あぁ…人が壊れてしまった…」と思った。見てらんない…
「ロングインタビュー中の…」
中盤あたり?の夫婦宅でのロングインタビュー中のセリフの一節…
…いや、自分も頭をよぎったよ。
でもそれを言うなよと思いつつ、こんな場面で同じ事を思った自分もなんと言うか同罪というか…
吉田恵輔監督なんて人が悪いんだ!!
いわゆる見せ場みたいな盛り上がりは無い感じだけど、見てられないような、そんなシーン本作においてはそれが見せ場だろうか?はいくつもあった。
2時間くらいでそんなに長くないけど、つまらないと言う意味ではなく、異様に長く感じた…
どっと疲れたと言うか、現実とあまりにも地続き感ある感じもやたらと突き刺さってくる作品でした。
さとみギガ盛り
最早「ホラー味」
公開初日午前回、109シネマズ木場の客入りはそれほど多くありません。吉田恵輔監督作品でこの温度感かと、やや残念さも感じつつゆったりエグゼクティブシート(会員はアップデート料金なし)で鑑賞です。
公開前、劇場で数回目にした本作のトレーラー。ご自身もご出産され子育て中の石原さとみさんにもこういう役を請け負われ、そして感情ほとばしる演技のご様子に、本編を観る前から「凄み」を感じておりました。ただ、ワーナーさんのトレーラーはアオる傾向も多いので、あまりイメージを先行させず出来るだけフラットに向き合うことに。ところが、本編を鑑賞し終わり、終始にわたって予想を軽々と超えてくるものがあります。いやぁ、、今回の石原さん、ヤバいっす。
相も変わらず吉田監督の脚本は意地が悪くて最高です。人の言動の迂闊さと悪循環、そして寒気を覚えるほどの悪意は救いようがありません。特に本作によって槍玉に挙げられることとなるTV(報道)というメディアについて、敢えてキー局ではなく地方局にしているところがまた如何にも「ありそう」で、且つ品のなさを感じます。そして、人の興味と悪意・善意のバランスの描き方が絶妙で、観ていてどんどんとしんどくなる展開が続いていたこともあり、終盤の反動に(被害者である)森下夫妻それぞれの気持ちが想像されて涙腺が緩みます。
まだ時期は早いですが、石原さとみさんは必ず賞レースに絡んでくると思われるだけの熱演です。お若いころから元々ダイナミックな演技をされるタイプでしたが、今回くらい振り切れると本気で「怖っ」という瞬間が数回あり、最早「ホラー味」すら感じます。そして、その相方としての立場でバランスを取る夫役の青木崇高さんがまたお上手。観ているこちらも青木さんに救われて観終えれたと錯覚させてくれるほど、取り繕うのとは異なる真の優しさを感じます。さらに今作最高の「あかんやつ」で、後半に改心しようとするも最後まで「あなた根本的にダメですわ」と溜息しか出ないキャラ、砂田を演じる中村倫也さんがあってこそ成立するキーマンを見事に演じ切っています。元々「煮え切らない」とか「不器用」役がお上手な方でしたが、売れてしばらく「イケメン」役が増えてましたからね。こういう中村倫也、おかえりなさいと思いました。
正直、他人に勧めるのには注意が必要な作品で、相当にネガティブに心揺さぶられ、メンタルにきますのでご覧になるのに気構えが必要です。とは言え、どこをとっても見応えしかない作品で、且つ石原さとみさんのキャリアとしても重要な一作になると思います。「無理せず」と付け加えつつ、ご興味があれば是非に。
石原さとみの覚悟
一昔前のキラキラの石原さとみ好きが見たら苦しいほどに、グチャグチャな演技をしていて、覚悟を持って、これから女優としてどう生きたいのかを見せつけている感じがして、すごかったです。中村倫也ほか、いろんな苦悩が伝わってきて、皆素敵な演技でした。
子供がいなくなるって本当に想像を絶する状況だと思います。気持ちがわかるなんて口が裂けても言えない。
男性だから女性だからとか言うわけではないですが、感情剥き出しでとにかくなんでもしたくなる妻と、同じ感じになってはダメだと冷静にやろうとする夫。妻から見ると夫は同じ深刻さで考えてないんじゃないかと不安、不満になるという構造は、よくある光景だなと感じます。どっちも悪くないんだけどね。その分、最後の夫の男泣きはよかったですね。
そしてテレビってメディアってなんなんだろう。傷つけるだけの他人とはなんなんだろう。そんなのもヒシヒシと苦しいほどに伝わってきて、シンプルながら見てて苦しく、いい映画でした。
最後どう終わるんだろうと思いましたが、この終わり方でいいんだろうなと思います。
【"耐えられない悲しみに対し、人は如何に対峙するのか。"愛娘が失踪した母を演じた石原さとみさんの渾身の演技に涙する作品。被害者への誹謗中傷や、視聴率至上主義のメディアの在り方を描いた逸品でもある。】
◼️自宅から僅か300mの公園の間で幼き愛娘の美羽が失踪する。母の沙織里(石原さとみ)は、時が経つに連れ世間の関心が薄らいで行く事に苛立ち、夫の豊(青木崇高)に対しても、当たる日々。救いは取材を続けるローカルテレビ局の記者砂田(中村倫也)だった。
◆感想
・今作は観ていて心理的に辛いが、𠮷田恵輔監督からの、現代SNS社会の闇や、メディアの在り方を問うメッセージが伝わって来る。
故に、砂田が、同僚が政治家のスクープを上げ、全国区のキー局に移る姿や、上司からの”激励”によりやらせに近い取材を沙織里をお願いするシーンは砂田の辛い気持ちが伝わって来る。この役を演じた中村倫也さんの新境地ではないかとも思ったな。
・沙織里の弟、圭吾(森優作)が、最後に美羽の側にいた事や、沙織里がアイドルのライブに行っていた事から、SNSで誹謗中傷の的となるシーンは、暗澹たる気持ちになる。
又、警察を名乗って沙織里の携帯に美羽が見つかったという偽電話がかかってきたり、ラインで見かけたという連絡が入るが、全て嘘だと分かるシーンも二人が振り回される姿が辛い。
- 大変失礼ながら、森優作さんの吉田戦車の”カワウソ君”に似た風貌が、学生時代に苛められていた事や、彼が美羽の失踪に関係しているのでは、と言う噂が起こった信憑性を高めている。
だが、後半圭吾が、彼なりに償いをしている事が分かったシーンや、精神的に追い込まれ、彼に罵詈雑言のラインを送った沙織里と圭吾が彼の軽自動車内で泣くシーンは沁みたのである。-
・沙織里が美羽が壁に落書きした所に光が当たり、色ガラスを通した事で、虹のように見える太陽光に彼女が手を差し出しながら”あんなに怒らなければ良かったな。”と言うシーンも印象的だったな。
■2年が過ぎ、沙織里が住む市で同じような幼き女の子の失踪事件が起きるのだが、沙織里と豊は金がない中、その女の子のチラシを作り配り始める。チラシの隅に美羽の写真が入ったチラシである。
そして、女の子が見つかったという報に喜ぶ二人。ナカナカ出来る事ではないよな。
個人的に一番涙が出そうになったのは、女の子の母親がチラシ配りをしている二人の所に来て”お二人のお陰です。何か手伝わせて貰えませんか?”と言葉を掛けて来た時に、夫の豊が落涙するシーンである。彼はそれまで涙を見せず、常に冷静に、沙織里を支え、職場では義援金を貰い、チラシを配って来た。その彼が落涙したのである。私が男だからかもしれないが、あの一瞬の青木崇高さん演じる豊の嗚咽する姿が沁みたのである。
<今作は、石原さとみさんの渾身の演技に涙する作品であり、被害者への誹謗中傷や、視聴率至上主義のメディアの在り方を描いた社会性も盛り込んだ逸品でもある。>
石原さとみの演技は必見です
前評判通り、石原さとみの今までのイメージを変える素晴らしい演技力だったと思います✨
本人もインタビューなどで、
「自分が母親になった事により、台本を読む気持ちも全部変化して、無意識で母親の気持ちを演じることができた」
と言っていたように、自然だけど魂のこもった表情や、表現力だったと思います。
沙織里は少しヒステリックな感じで、感情をすぐ表に出し、叫ぶ、泣くという激しい人です。
言葉も荒く「死ね」とかメールしてしまうんです。
私は少し違うような気がしてしまって。
よくわらかないけれど。
この方が普通なのかな?
悲観的に塞ぎ込んでしまう母親の方が多いのかな?
悲しくても無理に微笑んで、明るく振る舞っているのが本当ぽいのかな?
私も娘を育てた母親だけど、よくわからなくて。
そんな事を考えていたり、余りにも沙織里が感情的に騒ぐので、こちらは反対に冷静に見てしまって、涙ぐむことすらなかったんです💦
他の行方不明の子供へのチラシまで作ったりで、私にはその発想が意外過ぎて、そこは特についていけなかったです。
沙織里の夫はいつも冷静で、イラつく沙織里を優しく受け止めてくれます。
弟は無愛想で、自分の事しか考えてないように見えます。
でも2人とも美羽を想っていて、沙織里と同じように傷ついていてるんですよね。
今更ですがSNSなどのネットのコメントは、本当にクソです💢
顔が見えない、匿名で送れるので、勝手なことばかり書き、平気で人を傷つけます。
なんでこんな世の中になってしまったのか、本当に残念です。
嘘をついたり、ニセの電話をしてきたりで、人間がいちばん卑怯で怖いです。
マスコミの世界も視聴率ばかりで、真実を伝える役割りを忘れて、ヤラセをしたり、人の気持ちの中まで土足で踏み込んできたりで、嫌な世界です。
そんな世の中を改めて考えさせられる映画でした。
ストーリーにきちんとした終わりはなくて、モヤモヤ感が残るのは残念だけど、現実世界も終わらないモノもたくさんあるので、これはこれで良いのかと思いました
急激な変化は受け入れがたく…
この世界は悪人もいれば善人もいる
予告から山梨県道志村キャンプ場女児失踪事件から着想を得ているのだなと、すぐ思いつき、かなり前から事前にこの事件の概要を調べてから、本作を観ました。ちなみにこの事件で、女児の母親の証言が棒読みだと世間から受け止められたため、母親は犯人扱いされ、誹謗中傷や脅迫による2件の逮捕者が出ています。
石原さとみさん主演の映画は、「フライング☆ラビッツ」以来で、その頃の面影を残しながら、爆発力のある演技で何度も目頭が熱くなりました。石原さとみさんに賞をあげたいと思わずにいられません。
近年はネットの発達により匿名性が高いことから、心ない言葉が乱れるようになりました。
しかし、本作品は悪人もいれば善人もいるということを伝えたかったのではないでしょうか。光の使い方が上手く、優しく照らし出す光が希望の光に見えました。
全487件中、441~460件目を表示