ミッシングのレビュー・感想・評価
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脇を固める俳優達が光っていた
ミッシング、失われたつながり
行方不明の娘を探す夫婦の姿を通して、報道とSNSの相互作用が生み出す現代社会の問題を浮き彫りにした衝撃の人間ドラマ。
藁にもすがる思いでテレビの取材を受け続け、SNSにホームページを開設したり、ビラ配りをしたりと何とかして娘の手掛かりを見つけたい沙織里たち夫婦。しかし得られる情報は不確かなものだったリ、冷やかしだったり、挙句には悪質ないたずらだったりする。
その上、テレビ報道がきっかけで沙織里の育児放棄が原因などとネットリンチを受けるまでに。
目撃情報を得るためにネットの書き込みを見続けた沙織里。被害者である自分たちがなぜここまで攻撃されなければならないのか。いつしか知らず知らずのうちに誹謗中傷の書き込みを探すために見続けていることにも気づかず彼女は泥沼にはまってしまう。
まるで世間全体が自分たちの敵になってしまったかのように感じる。娘を取り戻したいだけなのになぜ世間は自分たちに牙をむけるのか、いつからこの世は腐ってしまったのか、そんな疑心暗鬼にさいなまれてゆく。
テレビ取材も好奇心で行われていると思いながらも、頼みの綱である報道を利用しないわけにはいかない。いつしか悲劇のヒロインを演じている自分に沙織里は自己嫌悪に陥る。
またネットの心無い誹謗中傷を受け続けた彼女の心は蝕まれてゆき、自身が弟に対して酷いメールを送ってしまう。面と向かって口ではとても言えないような言葉を投げつけてしまう。それこそが彼女がSNSで受け続けた誹謗中傷と同じものだった。ネットを通して自分自身が毒されてしまったかのようだ。
マスコミとSNSに翻弄され続けた夫婦。それから二年の月日が流れて世間では事件のことはすっかり忘れ去られていた。そのおかげでネットでの書き込みも収まっていたが、いまだ娘は返ってこない。二人は今もビラを配り続けていた。それはもはや惰性で行われているだけかのように。
その時、以前同じく行方不明になり無事保護された少女の母親が声をかけてくる。自分にも協力させてほしいと。仕事先の若い女性も妊娠して協力したいと申し出る。
失われたと思っていた社会とのつながりはけして失われてはいなかった。自分たちを取り巻く社会はけして自分たちを見捨ててはいなかった。
SNSを通して敵だと思っていた社会はけして敵ではなかったのだ。社会とのつながりを感じた二人に暖かい光がそっと肌を撫でる。それは虹色の光。
娘と同い年くらいの少女が沙織里に微笑みかける。傷ついた彼女の心はいま、暖かい光に包まれて癒されつつあった。
SNS上でいまだ繰り返される誹謗中傷。何人もの犠牲者を出しながら一向に改善される気配はなく法規制がされつつある。
ネットにより皆が自己主張をしやすくなった現代では不確かな情報をもとに憶測で己の正義感を振りかざして相手を攻撃してしまうようなことが起きている。
前にキャンプ場で行方不明になった子供の親に対する酷いネットリンチが起きた時、書かれた記事を思いだした。その記事には今起きているネットによるバッシングは報道とSNSの相互作用によって生み出されているのだという。
ネットによる誹謗中傷は報道による情報がもとにしてなされる。事実を報道するのが報道の役目だ。しかし何でもかんでも事実だから公開してしまっていいものだろうか。公開するタイミングや公開することによる影響も考慮する必要があるのではないか。公開することによるメリット、デメリット、それぞれ天秤にかける必要があるのではないか。
また報道しぱなっしも許されないであろう。自分たちが流した情報が社会にどれだけの影響を及ぼしたのか。誤報は当然だが、社会に誤解や偏見、いらぬ憶測を与えかねないような報道は改められるべきであるし、それら憶測によってネットリンチが起きてしまっている実態がある。
誹謗中傷が絶えないのは個々の正義感からくるものだろうが、それがいつしかネットリンチに発展してゆく。悪いものは徹底的に懲らしめるべきだ。政治家のスキャンダルをものにしたディレクターは得意げに語る。自分が正義の鉄槌を加えたかのように満足感に浸る。この感覚はいまやネットユーザーに共有されている。
それらが憶測やら偏見だけで書き込みをする。一つ一つはたわいもない書き込みであってもそれらが蓄積されれば受け取る人間にとっては大きな津波に見舞われたかのような被害を被る。
そのようなネットリンチを生まないためには憶測や偏見を生じさせないよう正確な情報発信を報道機関は心掛ける必要があるし、ユーザー自身も軽はずみな書き込みをしないようネットリテラシーが要求される。
さすがの吉田作品だけあって重厚な人間ドラマだった。主演をつとめた石原さとみはかわいらしさが売りの女優さんだと思っていたが、年齢を重ねて演技派女優へと見事に脱皮した。とにかく彼女の演技には終始圧倒された。
ないものねだり
人がいつ心を失くしたのかは知らないが、その言葉すら性善説が根底にあるように思えてくる
2024.5.18 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(119分、G)
娘の失踪に揺れる両親を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本は吉田恵輔
物語の舞台は、静岡県沼津市
そこに住む主婦の沙織里(石原さとみ)は、娘の美羽(有田麗未)を弟の圭吾(森優作)預けて、数年ぶりにアイドルのコンサートに出かけていた
だが、圭吾は所用で美羽を自宅まで送り届けず、それが原因で美羽は行方不明になってしまった
夫の豊(青木崇高)が帰宅し、異変を感じて沙織里に連絡するものの、彼女はライブに夢中で気づかず、それが原因で初動が遅れたのでは、とも囁かれてしまう
現在は、地元のテレビ局の記者・砂田(中村倫也)のクルーたちが取材に来る程度で、大々的に報道されなくなっていた
ビラ配りをしてくれるボランティアの数も減り、事態の変化もないために、テレビ局も報道する意味を感じなくなってくる
そんな中、砂田は打開策として、「最後に美羽と会った圭吾」への取材を敢行する
沙織里は藁にもすがる思いで、無理やり圭吾を引きずり出すものの、その報道は却って「弟が犯人じゃないのか」という疑念を抱かさせるに過ぎなかったのである
物語は、幼女誘拐事件に巻き込まれる家族を描き、感情的になって取り乱す母親と、冷静になって色んな手を考える父親という構図を描いていく
沙織里は、自分のせいで美羽がいなくなったと思い込んでいて、夫とは温度差を感じている
だが、それらは全て彼女の思い込みであり、夫はやるべきことはしていたし、それに気づいて思い直す沙織里が描かれていく
映画は、石原さとみの怪演というふれこみになっているが、ややオーバーアクトに見えるような感じになっている
だが、狂乱する母親のキレ方というのはこんな感じなので、実際に遭遇した人ならばオーバーアクトとは思わないだろう
また、SNSの時代なので、誹謗中傷に苛まれることになるのだが、沙織里としては「悪意の中にも本物があるかもしれない」と感じていて、心を痛める覚悟を持って、書き込みなどを読み込んでいた
夫は「便所の落書きに価値はない」と考えていて、そこに書かれるそれっぽいものは全部嘘であると感じている
さらに、警察を名乗る電話がかかってきたり、美羽らしき子どもを見たと言って会う場所や時間を決めてドタキャンする悪質な人も登場する
このあたりは実際に起こっていることがベースになっているので、脚色とも思わないし、現実ではもっと狡猾で、酷いものはたくさんあるように思える
なので「いつから人は心を無くしたのか」というキャッチコピーは「まだ性善説側のコピーなんだな」と思えてくるのである
いずれにせよ、今では性善説で考えられる時代ではなく、性悪説の中に一縷の希望があるかもしれないという程度になっている
彼女たちを支援するボランティアたちも、ボランティア活動そのものに心を奪われている人も多く、本当の意味での協力者は類似事件の被害者ぐらいしかいないかもしれない
報道側も様々なパワーバランスの中で番組を配信していくのだが、「真実が一番面白い」という言葉に勝るものはない
現在の日本では、他人の不幸がお金になる時代で、それをいかにオブラートに包むかという世界になっている
なので、実際にこのような事件が起こると、募金詐欺とか、手伝うふりして足を引っ張って喜ぶというような、過酷なことは普通に起きると思う
映画のラストでは、ほぼルーティンと化しつつある搜索が描かれていくのだが、そこに類似事件の被害者(大須みづほ)が手を貸すという展開になっていた
そこでようやく感情的になるのが夫なのだが、このシーンゆえに本作はかなり締まったものになっているように感じた
心を失くしている現代社会へのメッセージ
幼い娘の失踪事件を軸にして現代社会に生きる人々の姿を鋭く描いた社会派ドラマ。
親の在り方やテレビ報道の問題点など、心を失くしている現代社会への強いメッセージを感じました。
主演の石原さとみの狂気に満ちた迫真の演技が実に素晴らしく、間違いなく彼女の代表作になることでしょう。
2024-84
評価の難しい作品
結論から先に言うと何かスッキリしないというか、もどかしさの残る作品でした。
確かに石原さとみさんの演技は真に迫るものがあり見応え十分だと思います。また、中村倫也さんの内に込めた演技も良かったと思います。
ただ、ストーリーに関しては同じ様なことの繰り返しで少し単調に感じました。また、最後にSNSで誹謗中傷した人は逮捕されましたが、結局のところそれ以外の偏向報道や失踪事件については何も解決しておらず、共感してくれる人は現れたものの、あの夫婦はいつまであれを繰り返すのかと思うと救いのない作品だなと思いました。
あと、どうしても不自然に見えて仕方なかったのが石原さとみの弟役の演出。犯人ではと思わせる怪しい人物に見せたいのは分かりますが、それにしてもやり過ぎ。前半と後半では違う人物かと思うほどの変貌ぶりにはがっかりしました。いくら違法賭博に関与していたとはいえ、泣くほど子供の無事を願っているのなら、捜査に全く協力しないのは不自然極まりないです。弟さんは作中におけるそこそこ重要なポジションだっただけにとても残念です。
以上、演技は良かったものの、ストーリーの単調さや、不自然な演出により星三つにしました。
TV・SNSの闇に立ち向かうには
吉田恵輔監督と白石和彌監督の映画が同日公開というバチバチの劇場にてこちらを先に観賞。
石原さとみさんが自ら吉田恵輔監督に直談判したということで、何という母親役を選んだんだという驚きと、自身が母親になって初めて挑む作品が子供が失踪して心身共にズタボロになっていく母親役って...青木崇高じゃないけど、あなた凄すぎるよ....
このまま一体どうやって収束していくんだという話ですが、ところどころ入るメンタルを抉りつつ笑わせようとしてくるこの腹黒演出はさすが吉田恵輔監督だなぁと思いました。
「えっ、虎舞竜。」とかお前(カメラマン)やめろ!笑 本当に!!笑
吉田恵輔監督は本当に役者が好きなんだろうなっていうくらい。キャスト全員が素晴らしい演技をしていました。
TV業界、SNSそれぞれの闇にズタボロにされていく夫婦。何故人はこんなにも無責任に人を傷つけられるのだろう。
それでもやっぱり人の優しさを信じてしまうどうしようもない生き物なのです。
そして主人公・沙織里の弟・圭吾を演じた森優作さん。とんでもない方が出てきてしまった。圭吾はいわゆる普通の人なのですが、一度誘拐を経験・そしていじめを経験し精神を病み、いわゆる"普通の人"という範疇から外れてしまう。そんな彼らが普通に生きていくには世の中はとても残酷である。本作ではさらに家族である沙織里からも必要以上に責められてしまう。そんなに責めたら本当に死んでしまうぞ!と怖かったのですが、そんな彼の行動により思わぬ方向へ物語が進むが、やはり上手く進まない。現実は甘くない。ここまで散々リアルを浴びせ続けた上での姉との車のシーン。これは泣くだろ!そして何てタイミングでBlanc("空白ネタ?")音楽かけるんだよ。ホントに沙織里と圭吾と一緒に泣いてるんだか、笑ってるんだかわからない。社会のレールから外れた人を優しく救い上げる演出はいつも大好きだ。
中村倫也演じる記者の砂田、そして主人公の沙織里、彼らは今も美羽を探し続けている。そして戦い続けている。そんな勇気をもらえるラストだった。
映画に起承転結そして話が解決することを求めている方には受け入れられないだろう。観る人を選ぶタイプの映画だ。
私らこの映画で、忘れられないシーン・演技がいくつもある。映画は物語だけじゃないなと思いました。
この感じ、誰かの映画に似てると思ったらダーレン・アロノフスキーだ。「ブラックスワン」、「レスラー」、「ホエール」だ。
彼も役者を追い込み、リアリティある迫真の演技を引き出す監督で、本作でも劇中で記者とカメラマンの前でのインタビューなどで沙織里に多少の演技を求めるシーンがあるのだが、このシーンは娘を失った可哀想な母親を演じる母親を演じる石原さとみという二重構造になっていて、これは相当難しいシーンだったんじゃないかと思う。(公式HPのプロダクションノートでもその困難さを感じました。)結果、芝居っぽさとリアルな感情が折混ざる大変素晴らしいシーンになっていて感動した。
今年ベスト!
難しいですね、母親の気持ちが分かるとも気安く言えないし、誇張しすぎ...
どんなに深い悲しみに打ちひしがれても、人には、前を向いて生きていく力がある
何と言っても、子供が失踪したことで正気を失い、常軌を逸して行く、石原さとみの鬼気迫る演技に圧倒される。
その喪失感や深い悲しみだけでなく、自責の念や藁にもすがりたいという必死の思い、あるいは、誹謗中傷や心無い「いたずら」に対する憤りや絶望感が痛いほど伝わって来て、見ているだけで息苦しくなったし、何度も目頭が熱くなった。
冷静であり続けようとする夫が、感情的になりがちな妻を支えようとする姿にはグッとくるものがあるし、そんな中で生じる夫婦間の軋轢と「温度差」にも、絶妙なリアリティーが感じられた。
視聴率獲得のため、取材対象に寄り添う姿勢を貫けずに葛藤するテレビ局の報道記者や、いかにも胡散臭いながらも、後にその理由が明らかになり、彼なりのやり方で姉と和解する弟など、脇を固めるキャラクターたちも、皆、陰影に富んでいて魅力的である。
主要な登場人物ではないものの、母親のインタビューの最中に、彼女が、虎舞竜の「ロード」の歌詞と同じことを言っていると指摘してしまうカメラマンも印象的で、自分も、母親の苦しみを「他人事」としか思っておらず、同じような「突っ込み」を入れてしまうかもしれないと、我が身を振り返ってドキリとさせられた。
失踪事件そのものが解決しない結末には、ドラマとして、釈然としないものを感じないでもないが、下手に子供が帰ってきたりしたら、それこそ、嘘くさくて薄っぺらい話になってしまっただろうし、現実世界で同じような目に遭って苦しんでいる親御さんたちに寄り添うという意味でも、これで良かったのだと思う。
何よりも、決して癒えることのない悲しみに打ちひしがれたとしても、人間には、それを乗り越え、前を向いて生きて行く力があるということを信じさせてくれるラストからは、確かな希望を感じ取ることができるし、壁のいたずら書きに色鮮やかな光が反射するシーンでは、その美しさと温かさに、涙をこらえることができなかった。
見るのにとても体力を使う作品
ずいぶん前から予告で流れていて気になっていたので公開初日に見てきました。
娘が行方不明のまま見つからない夫婦とその取材をするテレビ局の人を中心に話が進んでいきますがなんというか作品全体として何か大きな展開とかが特段、起きることもなく淡々と変わらない日々が続いていき、フィクションではありますがドキュメンタリーを見てるようなそんな感じがありました。ちょっと見るには体力を使う、疲れている時なんかには見たくないしんどい作品に感じました。どこに視点や感情移入をすれば良いか見てて探り探りではありましたが、自分は序盤あたりは中村倫也の視点で見ていました。実際の地方ローカル局があのような感じなのかわかりませんが。真実はどうであれ話題になるかどうかやバズるかどうかなどを重視する昨今の時代背景というか、テレビ局の業界に限らず今の時代ってバズるとか本当にそういうことばかりが注目されていて、本当いつからこんな時代になっちゃったんだろ?って見ててそんなことを思ったりしました。あと作中には罵り合う人々やクレーマー、ネットの誹謗中傷など現代のギスギスした感じも描かれていました。残酷なシーンとかはないのですがとにかく見ていて救いがないような物語に感じていましたが終盤はどことなく希望として捉えられるような描写もありました。あまりこの手の作品を見ることがないので自分には一体何を伝えたいのか、何がテーマなのかというところは見終えてもちょっとわからなかったです。
役者さんの演技に関しては石原さとみも青木さんも中村倫也もとても良かったです。石原さとみの弟役の俳優さんは初めて見ましたがこの方もだいぶ存在感のあるいい演技をしてました。
結局、この行方不明の娘の真実は何だったのかはわからず、そこは描かれず最後までモヤっとした感じではありました。
重い、けど見応えたっぷりです!
SNSって何なんですかね!マーケティング的なメリットは大きいでしょうがデメリットの方が多い気がします。こんなこと言ってると「使えない年寄りの戯言⁉︎」ってディスられそうですが。
実際に起きた話を元に作られたわけではないかもしれませんが、思い当たる事件が多々ありますよね。やはり顔が見えないと好き勝手してしまうのは『性悪説』なんでしょうか?『性善説』が好きなんですけどね。悪い人が出てこない映画は気持ちいいですから。
それにしても石原さとみさん、派手に壊れてましたね!自ら監督にアピールして創らせただけのことはある見応えある作品、素晴らしい演技でした。まさに派手な、いや重〜い新境地開拓!赤いシリーズでデビュー?された時は山口百恵さんのリメイク、荷が重過ぎ?って思ってましたが『アンナチュラル』くらいからメキメキ頭角を表して産休後にいきなりコレは凄すぎです。色々な場面で泣き叫んだり信じられない壊れ方、天晴れです。
青木崇高さん-1.0に続きとってもよかったですね。こんなに重い問題ではなかなかありませんが何度も出てきた夫婦喧嘩のシーンは本当の夫婦間のやり取りのようで身につまされました。妻を怒鳴るのではなく自分で消化させて抑えるできた旦那さん、ホテルでのタバコのシーン、中でも最も泣けたのは娘さんが戻ってきた親子の申し出に嗚咽するシーンでした。こちらも涙が出て嗚咽してしまいました。
もちろん中村倫也さんも素晴らしい役どころでした。誰が何を言おうとも、後輩のやり方に賛成できなくても本当の報道マンを貫こうとするが上司からの無理強いで沙織里(石原さとみさん)にヤラセっぽい演技をさせようとして葛藤しながら自己嫌悪に陥るところ、さすがです。
初めて見ましたが森優作さん、まさにホンモノのごとく気持ち悪かったですが姉との車の中でのシーンは圧巻でした。
同じく吉田恵輔監督作品の『神は見返りを求める』も後味が悪かったですがこの作品は後味悪いながらもエンディングの虹っぽい影とピアノの旋律に救われました。
石原さとみさん、青木崇高さん、中村倫也さんが実力発揮しまくりの素晴らしい作品でした。皆さんのレビューを読むのが楽しみです。
そもそも偏見を持たないということは不可能なのかもしれない
日々生きていて触れている出来事に対して偏見を持たないようにする。と言われているが、この作品を見てそもそも偏見を持たないことは不可能なのでは、さまざまな偏見によって社会は形成されているのではと感じさせられた。
実際、主人公の見え方は作品を通じてどんどんと変化していった。
失踪する娘を探す両親の時間の経過とともに起きる変化をとても繊細に描かれており、作品のクオリティの高さを強く感じた。
シリアスなテーマで辛い時間が多いものの、そんな中でも映像作品ならではのユーモアが含まれていることも印象的だった。
どんなにどんなに辛くても、笑ってしまうことがある。
そんなポジティブなメッセージも受け取れた。
石原さとみの演技は疑いもなく素晴らしく、この作詞がこれから石原さとみの快演で話題になっていくとこを期待し、多くの人がこの作品に触れて欲しいと思った。
最後に待ち受けるのは希望か、それとも...
※結末に言及するため、未視聴の方はブラウザバック推奨です。
行方不明になった娘を探す夫婦、その周りで渦巻く社会や報道の形を上手く切り取って収めた映画だったと思う。
物語の主軸になるのは前述の夫婦と妻の弟、そして報道局員として働く1人の社会人だが、それぞれの演技がとても良かった。特に目を見張るのは主演の石原さとみとその弟役の役者さんで、弟役の方は元々存じ上げなかったがハマり役だったと思う。イタズラ電話で警察まで駆けつけて真実を知った時の石原さとみの演技は今後見ることができるだろうか、人間が壊れる瞬間をリアルに演じていた。また、弟も罪悪感と保身の間で揺れる心情も痛く伝わってくる演技だった。
さて、物語の前半は特に社会風刺が顕著だったと思う。SNSでの誹謗中傷はもはや言うまでもないが、それの引き金になっている報道の在り方に疑問を投げかけていたと思う。中村倫也演じる報道局員は事実をありのまま伝えるのが報道であると信じる一方で、その裏では非難の的になっている人たちがいること、そしてその人のために都合の悪い真実を隠すのは、「事実をありのまま伝える」報道の在り方と反してしまう。その相反する二つを内包した報道はどうあるべきか、結論こそ出ないものの疑問を呈するには十分な描写だった。
また性差についても風刺が込められているのかなと思った。妻は旦那や報道局員に対し怒ったと思ったら、すぐに泣きながら謝って来るような感情的な行動が多くみられる。一方で夫は妻と同じ気持ちを抱えながらも淡々とやれることをやって、泣く時には妻のいないところでこっそり泣くなど、強がって常に冷静でいようとする姿が見えた。特に喫煙所で子供連れの家族をみて1人泣くシーンは深く刺さった。正直この性差の見せ方は特定の方々には不快に感じられそうだが、個人的には筋書きの中にうまく溶け込ませていて良かったと思う。
(新社会人の報道局員の女性が怒られて泣きながら中村倫也の後継者になると言っていた割に、キー局へ転職する先輩を尊敬の眼差しで見ていたのも、この表現がしたかったのかなと思う。)
物語の終わり方については不満がある方も多いと思うし、私も最初は腑に落ちない点が多かったが、よく考えてみれば映画の宣伝文句にもあるようにこれは「希望を探す」物語なのだ。きっと物語の中で、今も娘は見つかっていないだろう。ただ弟との和睦や行方不明になるも見つかった別の少女の家族からの支援、それを受けて2年経った後もなお見つかると信じてひたすら走る夫婦の姿、きっと彼女たちは絶望の中に一縷の希望を見つけることが出来たのだろう。横断歩道で少女が振り返り微笑み、それを見た石原さとみが娘がよくやっていた唇を鳴らす動作をする、これがきっと彼女にとって明日への希望を見出した瞬間なのだろう。
簡単なカタルシスある希望をあたえてくれない
それでも生きていかなければならない
出演者全員素晴らしかったと思いますが、印象に強く残ったのは石原さとみさんの弟役で出ていた森優作さん。とても難しい役どころだったと思いますが好演でした。
登場人物全員にドラマがあり、心の内や葛藤が描かれています。なので自分自身はどこに焦点を合わせたら良いのか少し分からなくなってしまいました。
虎舞竜のくだりは反射的に少し笑ってしまった…すみません…
台詞にもありましたがメディアは本当何なんでしょうね…真実、それが面白い。誰かにとってはそうなんでしょう。SNSとの関わり方や捉え方など、改めて気づかされることが多かったです。
吉田監督は柔らかい光と共に希望を見出す演出がよくありますね!救いようのない痛みや闇も描くけど、今回もとてもきれいでした。
こんな気持ちになるだろうとは思ってたけど
吉田恵輔作品でこの予告なら見たら重たい嫌な気持ちになる事はわかってだけど、不思議なものでそれでも見てしまうし、案の定やられた…
そういった意味では全く期待を裏切らないすごい作品だなとも思うが、人にはなかなか薦めにくい。
現実の行方不明事件でもSNSで好き勝手言われてるわけで、そのあたりの気持ち悪さもなんとも…
「石原さとみ」
今まで何か出演作品見たっけなぁって思うとシンゴジラくらいしかなく、CMくらいの印象だったけど、本作の演技はエグかった。
見てて「あぁ…人が壊れてしまった…」と思った。見てらんない…
「ロングインタビュー中の…」
中盤あたり?の夫婦宅でのロングインタビュー中のセリフの一節…
…いや、自分も頭をよぎったよ。
でもそれを言うなよと思いつつ、こんな場面で同じ事を思った自分もなんと言うか同罪というか…
吉田恵輔監督なんて人が悪いんだ!!
いわゆる見せ場みたいな盛り上がりは無い感じだけど、見てられないような、そんなシーン本作においてはそれが見せ場だろうか?はいくつもあった。
2時間くらいでそんなに長くないけど、つまらないと言う意味ではなく、異様に長く感じた…
どっと疲れたと言うか、現実とあまりにも地続き感ある感じもやたらと突き刺さってくる作品でした。
さとみギガ盛り
最早「ホラー味」
公開初日午前回、109シネマズ木場の客入りはそれほど多くありません。吉田恵輔監督作品でこの温度感かと、やや残念さも感じつつゆったりエグゼクティブシート(会員はアップデート料金なし)で鑑賞です。
公開前、劇場で数回目にした本作のトレーラー。ご自身もご出産され子育て中の石原さとみさんにもこういう役を請け負われ、そして感情ほとばしる演技のご様子に、本編を観る前から「凄み」を感じておりました。ただ、ワーナーさんのトレーラーはアオる傾向も多いので、あまりイメージを先行させず出来るだけフラットに向き合うことに。ところが、本編を鑑賞し終わり、終始にわたって予想を軽々と超えてくるものがあります。いやぁ、、今回の石原さん、ヤバいっす。
相も変わらず吉田監督の脚本は意地が悪くて最高です。人の言動の迂闊さと悪循環、そして寒気を覚えるほどの悪意は救いようがありません。特に本作によって槍玉に挙げられることとなるTV(報道)というメディアについて、敢えてキー局ではなく地方局にしているところがまた如何にも「ありそう」で、且つ品のなさを感じます。そして、人の興味と悪意・善意のバランスの描き方が絶妙で、観ていてどんどんとしんどくなる展開が続いていたこともあり、終盤の反動に(被害者である)森下夫妻それぞれの気持ちが想像されて涙腺が緩みます。
まだ時期は早いですが、石原さとみさんは必ず賞レースに絡んでくると思われるだけの熱演です。お若いころから元々ダイナミックな演技をされるタイプでしたが、今回くらい振り切れると本気で「怖っ」という瞬間が数回あり、最早「ホラー味」すら感じます。そして、その相方としての立場でバランスを取る夫役の青木崇高さんがまたお上手。観ているこちらも青木さんに救われて観終えれたと錯覚させてくれるほど、取り繕うのとは異なる真の優しさを感じます。さらに今作最高の「あかんやつ」で、後半に改心しようとするも最後まで「あなた根本的にダメですわ」と溜息しか出ないキャラ、砂田を演じる中村倫也さんがあってこそ成立するキーマンを見事に演じ切っています。元々「煮え切らない」とか「不器用」役がお上手な方でしたが、売れてしばらく「イケメン」役が増えてましたからね。こういう中村倫也、おかえりなさいと思いました。
正直、他人に勧めるのには注意が必要な作品で、相当にネガティブに心揺さぶられ、メンタルにきますのでご覧になるのに気構えが必要です。とは言え、どこをとっても見応えしかない作品で、且つ石原さとみさんのキャリアとしても重要な一作になると思います。「無理せず」と付け加えつつ、ご興味があれば是非に。
石原さとみの覚悟
一昔前のキラキラの石原さとみ好きが見たら苦しいほどに、グチャグチャな演技をしていて、覚悟を持って、これから女優としてどう生きたいのかを見せつけている感じがして、すごかったです。中村倫也ほか、いろんな苦悩が伝わってきて、皆素敵な演技でした。
子供がいなくなるって本当に想像を絶する状況だと思います。気持ちがわかるなんて口が裂けても言えない。
男性だから女性だからとか言うわけではないですが、感情剥き出しでとにかくなんでもしたくなる妻と、同じ感じになってはダメだと冷静にやろうとする夫。妻から見ると夫は同じ深刻さで考えてないんじゃないかと不安、不満になるという構造は、よくある光景だなと感じます。どっちも悪くないんだけどね。その分、最後の夫の男泣きはよかったですね。
そしてテレビってメディアってなんなんだろう。傷つけるだけの他人とはなんなんだろう。そんなのもヒシヒシと苦しいほどに伝わってきて、シンプルながら見てて苦しく、いい映画でした。
最後どう終わるんだろうと思いましたが、この終わり方でいいんだろうなと思います。
全492件中、441~460件目を表示