コヴェナント 約束の救出のレビュー・感想・評価
全185件中、81~100件目を表示
この自己犠牲の美談を素直に賞賛したい
感動の実話をベースにかなり脚色したであろうけれど、タリバンは許容出来ず、さりとて米国に協力と言うよりビザが欲しいがための通訳を引き受け、挙句タリバンに追われる身となったアフガニスタン人の地獄の境地と彼を救うべく現地に戻った米兵を描く。
当然のことながら本作の中では、米国=善、タリバン=悪、として描く。この点を以って米国のご都合主義を揶揄することは容易いかも知れませんが、そんなことは当たり前でしょ。ウクライナに侵攻したロシアとて自らは正しい事を行っていると思い込んでいるのだから。逆にウクライナは当然に自らのみが正義と確信しているはず。日本だってアジア諸国に欧米からの解放なんて欺瞞を掲げ、さんざの侵略を行い迷惑かけたのに、今では既に金で解決した事、過去の事は蓋をして未来志向で行きましょう、と都合のいい方便振り回す始末。あれもこれも戦争なんてそんなものですから。
9.11を経てアフガニスタン駐留の米国が遂に、目的も霧散し撤退を決めた。途端に米軍に封じ込まれていたタリバンが早々に政権を掌握し粛清が始まった。本作のエンドタイトルに、米軍に協力した通訳など3000人もが今もタリバンの恐怖におののいている、とテロップが出る。逆に言えば本作で描く内容はごく稀有な例であると、正直に謳ってもいる。3000人全員を救出しなければ善とは言えず、と騒ぎ立てるのは簡単ですが、米国なんかに行きたくない人も相当数いるでしょう。ほんの一例かも知れませんが、実話ですし、この自己犠牲の美談を素直に賞賛して何が悪いのでしょうか。
軟派のイメージ強いガイ・リッチー監督がイギリス人であるにも関わらず突然に硬派に転向か? どっちにしたって命の恩人を放っておけない人間の本質にこそ興味が湧いたのでしょう。お仲間のマシュー・ボーン監督が相変わらず軟派の「アーガイル」2024年でほぼ自爆してしまったのとは対照的です。演ずる役のふり幅大きいジェイク・ギレンホールは「エンド・オブ・ウォッチ」2012年や「アンビュランス」2022年などの極限リアルをここでも好演。ブルーの瞳が乾ききった茶色の世界に実に相応しい。もう一人の主役であるアーメッド役のダール・サリムは知的で落ち着いた雰囲気で、ところがいざとなった時の動きが素晴らしく、儲け役かも知れません。調べたら結構な出演歴で、どこかの作品で既に観ていたのですね。
現地人の通訳が戦地の爆撃で死んでしまい、その補充に選ばれたアーメッド。通訳は的確なれど態度が少々不遜と聞かされせていたけれど、言葉以上に空気を読みジョン曹長を随所で助ける。いよいよのタリバンの武器庫を発見するまでは、数多の中東もので観たようなシーンの連続で少々画面が緩む。けれど、その場での激戦以降の脱出シーンから俄然描写に力が漲り、以降ラストまで一直線の素晴らしさ。ドローンを多用し従来にない視点からの映像が興味を途切れさせない。
当然にアフガニスタンでの撮影であるハズもなく、中東と言えば多くの撮影が行われるモロッコでもない。調べたらなんとほぼ全編スペインだとのこと。目立つ車を敢えて避け、手押し荷車での山登りの壮絶は、単にビザ欲しさ以上に任務を遂行すべく忠誠でここまで人は動けるのだと、本作の白眉シーンでもある。逆に埃の一切ないロサンゼルスにおいてすら、心の安らぎを妨げる自責が辛い。その辺を女房もよく分かっているようで、夫のケジメを応援する太っ腹に感動です。
こうしてアフガンに舞い戻り、私財を投げ打って雇った傭兵の助けを借り、二転三転後に遂に出会った2人のシーンには鳥肌が立ちました。タリバンの気配の中で、再会に抱き合うなんてありえなく、少し離れて何気なく言葉を交わす見事なシーンです。傭兵のリーダーも後になって「あのヒーローがお前たちと分かっていれば金なんて要らなかったよ」と、人情の世界に緊張も緩みます。ただ、ダムのシーンで、数人の命を救う為に、遥かに多数のタリバンの命を空襲する現実には心も痛みます。当たり前ですが戦争=殺し合いなんですから。
例によってエンドクレジットに実際の関係者達の写真が映される。まだまだ最近のことゆえ、一部は顔を目を隠しての生々しさ。なによりダール・サリムはイラク
のバクダッドの出身とのこと。軽々しく中東問題に触れられないとも感じます。
緊張感と臨場感のあるストーリー
あなたに幸せを
熱い友情などではない。やむにやまれずお互いを助ける男たち
ガイ・リッチーの細切れ編集の戦争映画なんかつまんないのでは、という大方の予想を裏切り、良く出来た戦争映画。
爆弾工場を発見し、逆襲をうけ、敗走するシーン。雪崩のような状況変化を得意の細切れ編集で見せるのだが、素晴らしく効果的だった。
一転して山狩りから逃れ続けるシーンでは止め絵を繋ぐ編集で凄まじい緊迫感を出して、緩急自在の演出。
西部劇フォーマットという安定したフレームを得ることにより、ガイ・リッチーがこれまで培ってきた演出、編集術が最大限に発揮されてるように感じた。
一番良かったショットは、延々と続く上り坂でアーメッドが体力の限界を超え、辛すぎて泣くショット。あのショットがあるなしで全然違う映画になる。
アーメッドは身重の妻と米国で暮らすため、ジョンは「呪われた」ため、お互いを命がけで守る。もちろん、理由はそれだけではない。それを台詞でなく絵で描ききる、素晴らしい映画。
「水が貴重」
気取っていないガイリッチー、好き。
アフガン戦争下で、とある米軍曹長とその現地通訳との間に起こった「約束と絆」をテーマにした実話ベースの作品。もちろん、ヒリつく緊張感と鬼気迫る戦闘シーンはこの監督のお家芸なのだが、本作の見所は、戦争という極限状態の中で生まれる、利害を超えた人間同士の絆にフォーカスを当てているところ。
個人的に、最近のガイリッチー映画の中ではダントツで好きな作品でした。
ガイリッチー監督と言えば、アクション作品の中に「カッコいい」と「オシャレ」を描くのが得意なイメージが強かったから、そもそもこの監督が米国の戦争という重いテーマと正面から向き合っていることが意外だったし、実話ベースの作品ということも意外でした。
そして、主演はジェイク・ギレンホール。独特の間と雰囲気を持つ、個人的にも大好きな俳優だが、内省的な軍曹といった本作の配役にとてもマッチしていた。
本作で特に好きだったシーンは、帰還中に通訳のアーメッドが、心が折れかかって不意に泣いてしまう場面。鑑賞後、本作の制作エピソードの動画を見たのだが、アーメッド役のダール・サリムがこのシーンをうまく演じようとしたら、監督から「人は泣こうと思って泣きはしない、不意にそうなるんだ!」とダメだしを受けたとのこと。なるほど、「不意にそうなった」泣きのシーンがきちんと描かれていた。
ガイリッチー監督の一つのターニングポイントになったであろう本作だが、人間の本質も描きつつ、きちんと娯楽映画に仕上げているあたりはさすがだなと唸らざるを得ない。
最後に、作品終了時のテロップで、米軍撤退後のアフガニスタンの実情が、作品と地続きの問題として深い余韻と共に見る側に突き付けられました。
アフガニスタンの現実 その2
虚しい
アメリカのした事、しなかった事。
約束は守られた。
権力の空白が生まれた土地の、協力者のはかなさ
不謹慎かもだが面白かった
一時期ニュースでよく聞いたけれども米軍撤退により名前もあまり聞かなくなったな…と思っていたら、現在もガザ地区で行われている虐殺に関わるのがタリバンと現在も進行中のことである。
それゆえ面白いと言ったら不謹慎なようにも思うけれども、映画として面白かった。
ガイリッチーが?と驚いたけれども、ある意味大きな戦争の意味を問うというよりも、立場を違えた者同士の友情に焦点を当てたのが解りやすくて成功しているように思う。
次々と迫り来る敵、やらないとやられる。そんな場面の連続で、人殺しは罪だと正義論を言ってられるのも平和な場所にいての主張に過ぎないとしみじみ思う。
弟やその手伝いした者たちは残って大丈夫なの?
若干友情に至るまでのそんな何かあったかな?て気にならなくもない。当初は米軍を連れてかないとビザがおりないから、が理由だったんだろうがいつしか互いの間に友情が芽生えてた…らしい?そこが弱いと言えば弱いかも。
それにしても曹長の妻は男前ですね!
チャウチャウ…
熱い男の友情ドラマでした。
全185件中、81~100件目を表示