劇場公開日 2023年9月1日

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「そのまんま」夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0そのまんま

2023年9月2日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

寝られる

そこいらの高校生の恋愛映画とはひと味もふた味も違う。有り得ない!と思う場面はありながらも、流石酒井麻衣監督。「美しい彼 eternal」の時のように、儚く美しい映像が画面いっぱいに広がっていた。いや〜、意外だった。予告からは想像も出来ない、心が浄化される作品でした。

1枚の洗練された写真が連続して映像となっているよう。美しい彼を見た時のような、不思議な高揚感が本作でも得られました。なんでこの監督が描く恋愛は、手が届かないほど美しいんでしょうか。冒頭のシーンは、今後の展開が若干読めてしまうけれど、やっぱり尊い。まるで、ステンドガラス越しに見た青空。いいものが見れた。始まった瞬間にそう思いました。

主演2人の演技が素晴らしい。
特に久間田琳加。この役のために役者になったのか。最高のヒロイン像。そもそもこのキャラクターがかなり魅力的というのもあるけれど、ここ最近の恋愛映画ではダントツでドキドキさせてくれた。マスクで際立つ、寂しげな瞳。マスクを外した時に浮かぶ、爽やかな表情。閉ざされた心が開くあのシーンは、ようやく空気が通ったような爽快感。その時の彼女の顔つきがすごくいい。"いちばんに君に会いたい" その、"きみ"に相応しい、最高のキャスティングでした。JO1の白岩瑠姫も、思わず惚れてしまうようなオーラがありました。

友達を突き飛ばしておいて、男と授業を抜け出してってのは、ちょっとな笑 しかも行く先が笑 全体を通して美しく、近代的であるために、ちょいちょい挟まる古臭い演出が気になる。せっかくここまで斜め上行く恋愛映画なんだから、そこはちゃんとして欲しい。マスクに絵を描くとかはめちゃくちゃ良かったから、よりね。

ラストの伏線回収はお見事だったし、恋愛ものとしてだけでなく、友情・家族愛を描いた物語としても完璧な締め方だった。主人公とヒロインの恋愛的ではない、人間としての成長がとても綺麗。正直、この映画ってラブストーリーではないんじゃないかと個人的には思う。それくらい、恋愛以外の要素が面白く、深みがある。監督は恐らく、狙ってそうしてるんだろうな。一生追いかけます。

いやぁ、予想外にいい映画でしたよ。
本当に悔しくて悔しくて仕方ないのですが、ほんの40秒間だけトイレに行って見逃しちゃったんですよね....。コーラの飲みすぎ、マジで危険。せめてパンフレットを買って、出来ればもう1回見たいと思います。アイドル映画と舐めずに、ぜひ。

サプライズ