バービーのレビュー・感想・評価
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美しいってパワー!それでいいんだっけ?
切り口は面白いけどコメディとしてややくどいし描いてることが間違ってるわけでもないけど洗脳を解く言葉は、この作品のキーだと思うんだけど、それがしっくり来なかった。そうだね、美しく賢い私達がもっと幸せになれないのは世界がおかしよね?確かに。でも目線がそこなので浅く感じたのも確かだ。ハイスペックな私達はもっと幸せになっていいはず!っていうメッセージが視野にいれてない話について指摘するのはずれているのかもしれない。でも、グロリアの娘が指摘するバービーへの反感や嫌悪、有害性は、ケンが持ち込む派手な有害性がコメディタッチで延々と描かれることで有耶無耶にされてしまった。多くの女性は、ルッキズムに嫌悪感やコンプレックスを抱きながらもそれを内面化してると思っていて、バービーというのはルッキズムの象徴だ。いかに個性を大事にしているとはいえ。自分自身がいまいち処理しきれないなと感じているルッキズムやそれに伴う自己矛盾について、この作品はきれいに「気にしない」というスタンスだったことに、というかルッキズムの頂点女性による「生きづらさ」だったことで、もどかしいというか乗れなかった。
グロリアのキャスティングがアグリーベティだったのは意図的なんだろうか。あの作品も今ならあんな作りにはできないだろうけど。ちょうど9月公開のピギーのあらすじを読んでて、どうしてもバービーとの対比が気になった。ピギーがコンプレックスを抱き、そしてピギーを追い詰めるのはバービーじゃないのかな。バービーランドにはピギーの居場所はないの?美しくもなくそして美しさに価値を見いだせなくて能力も秀でてないなら、いられないおとぎの国の悲喜こもごも、やっぱりそんなに乗れないな。
バービーもケンも、自分らしく生きよう💖🌈🐴
バービー(女性)もケン(男性)も、ジェンダーに縛られず自分らしく生きよう💖というメッセージ✨
ジェンダー問題やフェミニズムを秀逸に取り入れながら、
こんなにもファンシーで楽しくて面白い映画なんて他にない!
偏った女性優位社会のバービーランドで女性だけが輝く世界、リアルワールドでミソジニーの洗礼を受けるシーン(セクハラ受けまくりなど)、管理職全員男性のマテル社のおじちゃん達が「女性のために!」と会議するシーンは、家父長制が根深く残る現代の日本社会で生まれ育った女性の身としてとても面白かった🤣
男性であるケンの劣等感や葛藤、自己受容までの過程の描写も楽しすぎたし、何よりケンが魅力的✨
マンスプレイニングやマッチョイズム…「嫌な男あるある」(有害な男性性)、女性視点での皮肉たっぷりな描写がありながらも、応援したくなる愛すべきキャラクターだった🩷(戦争中のミュージカルシーンが特に最高、笑い死ぬかと思った)
バービーは、ケンが作ったあまりにも偏った男性優位社会に無力感で絶望する中、自分自身を受け入れていく過程がとっても素敵だった。
「賢くもない、綺麗でもない、私には何もない。」
そう感じるバービーに対して「あなたはそのままで綺麗で賢くて素敵」と励ますグロリア。
(いつの間にかノーメイクになっていたバービーに、「典型的な美しさじゃなくていいのよ」というメッセージが良かった!マーゴットロビーには説得力なし、という製作者メモに爆笑🤣笑)
男性優位社会で女性に求められることの辛さ、プレッシャーについてのスピーチには共感しすぎて感動した✨
自分が作った男性優位社会が崩れ大泣きするケンに対して、これまでの扱いを謝罪するバービー。
それから、権力や高価な所有物、バービー(女性)を手に入れることがアイデンティティではない、あなたはあなたでいい、泣いてもいいんだと慰め励ます。
男性優位社会、競争社会、ホモソーシャルにおいて「勝たなければいけない、成功しなければいけない、強くいなければいけない」という男性ならではのプレッシャーや苦しみが、ひしひしと伝わってきた。
ケン同士で慰め合ったり励ましあったりするような描写がよかった。リアルワールドでもケン達みたいに、男性であっても弱くていいし人に頼っていい、祝福しあっていい、そんなふうになっていったらいいなと思った✨
バービーは、社会に求められるような「典型的なタイプ」の女性でなくてもいい、特別じゃなくていい、と自分らしさを受け入れることができた。
その上で、何もかも完璧ではないリアルワールドで、自分のしたいことをする人生を選ぶ。
リアルワールドでの問題は何一つ解決されていないのにも関わらず、それを受け入れた上で自分らしく生きることを選ぶ。
その姿にとっても勇気づけられた✨
バービーやケンは自分らしく生きることを選んだ。
リアルワールドに住む私たちも、おたがいをリスペクトし、社会の性的な役割に縛られずに自分らしく生きられたら…
競争するんじゃなくて、祝福し合えたなら、
どんなにハッピーなリアルワールドになるだろう…🌈💖
映画史にも残らない駄作
バービー人形がバービーランドから人間世界へ。
人間世界でどたばた面白コメディかと思いきやバービーランドに帰って身内で騒動、フェミのグチ&バービー産みの親との浅いおしゃべり。
人形を題材としているなら、見せ方笑わせ方があったはずだが各方面に配慮するとこんな程度しかできないのかと残念に思う。
この映画は予告編のみを見るだけでよかった。
トイ・バービー・ストーリー!
難しいことを考えてはいけません!
世界観の再現を楽しむ!以上!な映画でした。
とはいっても、人権・多様性にもそれなりに触れる内容にて、小学生くらいのキッズたちには分かりやすく、好影響なところもありそう。
ただね、オープニングの×猿の惑星(追記:2001年宇宙の旅でした…)パロディはちょっといただけなかったかな。名シーンのパロディ自体がもう、使い古されたというか「はいはい…」って感じ。で、赤ちゃん人形をぶっ壊すHARDモードにイマっぽさ? んー、そうですかねぇ。本編がわりと良質ゆえに、個人的にはそれ、要りましたかねっていうシーンでした。
これ★マイナス。
頻繁に出てくる旅シーンが、プロがマジで作り込んだ仮装大賞みたいなCGナシのスタジオ収録ということを知り、制作の妙なこだわりに評価★プラス。
きせかえ人形のようにクルクル変わる衣装がすべてかわいらしく似合ってしまう、マーゴット・ロビーの美しさ★プラス ってところかな。
はい、面白かったですよ~
ひとことReview!
あの宣伝は、特に保守派にとっては激怒ものだけど、映画作品とは無関係だから、減点せず。
ここ最近のハリウッド映画はポリティカル・コレクトネス的な作品が多いけど、これは思いっきり露骨。だけど逆に清々しく感じる。夢の世界の表現のしかたとか、夢の世界と現実の世界との行き来の時のバックの描き方はイイ。それにしても、オープニングのあの名画のパロディにはズッコケたわ。
ありのままの自分でいい、そのメッセージはいいんだけど、ラストは本当に説教臭い。
ツルペタ(210億円の下ネタ)
ガーウィグ作品に共通するテーマは「女性の生き方」な訳ですが、昨今のフェミの様に精鋭化する事なく、普遍性すら感じられる、実はベタでベタベタなメッセージが好き。
今回は、男性社会がどーたらこーたらでも、女性の社会性の毀損でもなく、ドカンとジェンダーから離れて、「らしく生きてる?」ですから。
いやいやいや。
若草もレディバードも、同じっちゃー同じですけどね。と言うか、同じなのは「尻すぼみのオチ」だって言うw
ただし、今回のラストカットには笑かしてもらいました。婦人科??えぇ?えぇっ?えええええー?そのネタで、この話を締めます?下ネタでっせ、それってw
実態を伴わぬ、形ばかりの女性の社会進出への皮肉的なスタンスも、ガーウィグらしい現状認識。男社会と、そこに依存する楽さに女性達が慣れきっている事への警告。
てなてなヤツは、次々に描写されていきますが。主題は、そこを突き抜けた先にあると言うのが、最高。
自分らしく生きる。バービーワールドの「雛型」として「作られた」自分の、存在の意味とは何なのか?
答えを見つけられそうにないバービーは、人間の世界に居を移すことを選択する。で、下ネタで壮絶に落とすと。その勇気には脱帽、脱力ですw
現代奇譚的な概念ワールドを、トーイの世界観で描いた114分は、あっという間に過ぎていきます。全ての女性に見てほしいガーウィグの会心の一振り。コレは面白かったです。
良かった。
とっても。
語るに値する、年一候補でした!
ーーーーーー
8/16 追記
ラストカットの意図が分かった気がするかもです。
そこに「付いているモノ」が何であれ、自分らしく生きれば良いだけのことでしょ?
って事?
まあ、ツルペタの方が雑念も煩悩も無くて良いかもw
いずれにしても、ジェンダー、ジェンダーと騒ぐな、ウザい!
って言う事で。ガーウィグ、流石です。
ケンダム
色彩感覚疑うようなドピンク主体なバービーランドで医者や大統領、はてはノーベル賞受賞バービー達と日夜キラキラガーリーな日々を何の疑いもなく過ごす定番バービーは唐突に死について考え、足の裏が地面につきーのセルライトが気になりーの異変に襲われて原因究明のため人間世界へ向かう(オマケ付き)、、、。
まー映画にするんだから起承転結色々盛り込まんと二時間はもたんのだろーけど色々キツイ!
申し訳程度にLGBTキャラやら妊婦だの有色人種だの紛れ込ませて多様性に配慮してますよアピールしつつ要は女性は偉大だ、なのに実世界では苦労してます!もっと認められるべきだっつー被害妄想フェミの憤懣浄化カタルシス映画でしかなかった。
予想はしてたけどね。
社会風刺系だったとは
ラジオパーソナリティーがお薦めしていたので観に行ってきました(その2)。
なるほど、どんなストーリー展開になるのかと思いきや、そういう事でしたか…、改めて考えさせられました。
男性社会なのは諦めて生きてますから、21世紀になってからの(歳とったなぁ〜)様々な社会ムーヴメントには大まかなところで賛成ですが、確かに色んな意味で色んな方向でどんどん生きにくい世の中になっていってますね。
アメリカ・フェラーラ(どこかで見た事あると思っていたら…、すっかり大人の女性!)演じるグロリア・ママのクライマックスでの長セリフ、うなづき通しでした。
ともすれば重くなりがちなテーマを軽いタッチで観た者の心に植え付けていく手法、いいと思います。
こうして、もっと世の中が素敵に公平になっていくんじゃないかなぁ〜(だといいなぁ〜)
ケン達の良い意味でのバカバカしい苦悩のダンスも嫌いじゃないです。
『アランは一種類』もウケたなぁ〜
タイトルなし
伝えたいテーマがかなり直接的に主張されてたけど、それが結構刺さってよかった…
冒頭の"赤ちゃんの子守をする遊びをさせられる女児なんてクソくらえ"って表現が強すぎて笑ったけど、これは縛られない女性の象徴なのかと思ったら納得した
序盤のバービーランドはかなりかわいくてときめいた!
ピンクでふわふわキラキラ、水は出なくてごっこ遊びの世界観が詰まってる
私はバービー派じゃなかったけど、バービーで遊んでた子はよりネタがわかって楽しいだろうな
グロリアが訴えかける女性の強いられる"完璧な女性像"がいかに無理ゲーかを突きつけられて、それらが全然誇張でもなんでもなくて、わかるって思えてしまうこの世のおかしさ
無意識に受け入れてしまってる違和感をこれでもかとわかりやすく表現してて、ここまでお膳立てされないと気づけないんだと気づく
バービーを作る会議をおじさんだけでしてる気持ち悪さとか(おじさんが少女の夢とか語ってるのもまじ…)
さらにバービーランドでは女性が中心、男性はオマケという現実世界とは真逆だからこそ気づけることがある
バービーは現実では男性ポジ、ケンは女性ポジなのだ
そうやって見ると、そりゃ男性優位の世界最高!って思ってそれに染めたいと思うし、権利も主張したい
逆に女性社会だったのに男に牛耳られるのはたしかに不快だ
だから男性社会は"自分達の立場を脅かさない程度に女性の自立を許容するけど、主導権は握らせたくない"んだ
その気持ちが、ラストのバービーランドでケンが大統領補佐?になりたいって言って来た時、バービーが「もう少し下の役職ならいいよ」って言う所に現れてる
不思議だ…逆転されたらバービーに共感してしまったんだから…そりゃ男性は女性が出しゃばるのを良く思わないよ、今が最高なんだもの
これが、現時点での現状なんだ
「ここからケンはどんどん力をこの先つけてくだろう」っていうセリフは、現実世界の女性の地位のことを示唆してる、むしろそうなってほしい
あとケンがあえてめちゃくちゃバカに描かれてる(ケンを惑わすのに映画語らせたり、スポーツや技術をわかんないフリして教えさせるのめちゃくちゃ風刺効いてるよねー)けど、あれにイラっとした男性陣に気づいてほしい、女性もこれまであれくらいバカ(教養や思慮が足りなくて男の力がないと何もできなくて従順)に描かれていたことを
ラストで恋をせずに、誰かのオマケでもなく、特別な能力を持ち合わせてなくても自分でいていいんだって言葉がぐっときて泣いちゃった…
"自分らしく"って言葉にもなかなか理想が押しつけられて苦しくなるけど、本当の自分らしさは完璧じゃなくていいし落ちこんでもへこたれてもいいってことなんだよね
バービーっていう人形の世界を使ってものすごく女性の自立についてが描かれてて、すごくいい映画だったな
人間界の素晴らしさと、そこに住む自分の存在とは
自分が何者なのか悩んでいる心境だからこそより刺さった作品。
人形界と人間界を対比させて描かれていて、
改めていまいるこの世界が有限であり、素晴らしいかを教えてくれた。
人間だからこそ、
苦労もあって、喜びもあって、いろんな感情がある。
また、性社会についても問われる描写があり、
バービーワールドは完全女社会で、男性権力はない。
人間社会はどちらかといえば逆だ。
でも、そもそものその場所の権力者が絶対という考えににとらわれてしまうと、その国や属するコミュニティのルールに洗脳され、気づいたらみんな自分じゃなくなってしまう。
誰かの友達、家族、国民である前に、
みな一人の人間である。私は私。その上で自分とは何かを考えるきっかけをつくってくれる作品でした。
あとは単純にMargot Robbieが可愛すぎた♡
BFF
本国の運営が直前にやらかしたせいで、日本の興行は成功は見えない感じになってしまいましたが、それは向こうが悪いですし、作品には多分関係無いと思うので、偏見は取っ払って鑑賞。
超ハイテンションなコメディですが、男女それぞれが抱える価値観や平等性を訴えるメッセージ性、説教くさくなく、楽しく明るくそれでいてキチンとしている、バランスよく面白い作品でした。
バービーランドで過ごしているバービーがふと"死"を連想させるワードが口から溢れた翌日から口臭は気になる、シャワーは熱い、踵が地面に着くなどなど、体の変化に自信の劣化を疑うも、現実世界でのバービー人形になんらかの異変が起こっているという始まり方はなんだかこの手の作品では新鮮だなと思いました。
バービーの世界が女性優位というか、女性がメインで過ごしている世界、大統領もノーベル賞も全て女性、それが当たり前なバービーランド、それに対して現実は大統領もノーベル賞も全て男性、そんな男社会に触発されたケンがその知識を持って女性を支配する欲に駆られるというのは、なんだか現実味を帯びていました。
無意識にバービーたちがしていた支配、意識を持って支配をしたケン、両者間違ったことは何もしていないのですが、自身の価値観はどうなのかと疑問に思い行動するシーンは人間と同じ悩みだなと思いました。
現実から来た親子に諭され、自分の在り方を突き詰めていく決意をしたバービーが報復という形ではなく、やんわりとした手段で洗脳されたバービーたちを戻していくのがコミカルに映っていて面白かったです。ケンも根は素直なキャラなので、翻弄されつつもこれまたコミカルに映っていました。
現実世界に一歩踏み出し、人形から女性への変化というアプローチをこういう作品で体感するとは思いませんでした。かつての少女たちの憧れも成長する、企業努力というものをうまく投影していたなと思いました。
バービー人形やケン人形の色んな種類がある事は知っていましたが、結構バリエーション豊富なんだなとエンドロールで再確認しました。
マーゴット・ロビーが超ハマり役!リアルなバービーっぽさはありつつも、表情がコロコロ変わる人間っぽさ、慌てふためく人形っぽさ、それぞれの特性をこれでもかと演じ切っており最高でした。こんなにスタンダードなバービー人形とソックリになる人なんているのか…。改めてすごい女優さんだと思いました。
ライアン・ゴズリングも絶妙なラインを突いてくるケンっぷりで、イケメンだし筋肉ムキムキマンなのに、どこか憎めない抜けた感じが良い具合に表現されていました。野太いミュージカルもこれまた良くて楽しかったです。
シム・リウが良い役所で出ていたのが嬉しくて、「シャン・チー」で魅せたアクションではなく、シンクロで魅せる動きが物語をピシッと締めてくれてる感じがして良かったです。
ケイト・マッキノンの味のある変てこバービーが中々かっこよかったです。ビジュアルもかなり好みでした。
興味深いテーマを扱いつつも、コメディの様相は見失わない、楽しくありつつも考えさせられる、バランスの良い作品でした。セットのピンクっぷりも今考えたら大変な作業量だなと思いました。製作陣・俳優陣お疲れ様でした。
鑑賞日 8/11
鑑賞時間 9:40〜11:45
座席 D-4
完璧ではない現実
バービー人形に関してまったく知識はなかったが十分に楽しめる内容だった。
観る前からグレタ・ガーウィグ監督で主演がマーゴット・ロビーとくれば、単なる女子向けのキラキラ映画ではないことは予想していた。
まず冒頭の『2001年宇宙の旅』のパロディで笑わせてもらった。
類人猿にとってのモノリスのように、少女たちにとってのバービーは革命的なものだったのだろう。
骨を叩いて破壊する猿のように、少女たちが赤ん坊の人形を壊す場面は狂気に満ちている。
そこからバービーの暮らす誰しもがハッピーで完璧な夢のような世界「バービーランド」の描写が始まる。
主人公は数あるバービー人形の中でも定番タイプのバービー。
彼女はふとある時に死について考えてしまう。
完璧な世界ではもちろん死も存在しない。
その瞬間から彼女の完璧な世界は綻びを見せる。
つま先立ちの足はベタ足になり、太もものセルロイドは劣化してしまう。
現実世界の持ち主の悩みを解決すれば、また完璧な自分に戻れるかもしれない。
そうアドバイスを受けた彼女は、彼女に想いを寄せるケンと共に現実世界へと向かう。
少女たちの憧れの的であると信じていたバービーだが、その完璧なプロポーション故に女性たちから自信を奪った悪しき存在であると持ち主のサーシャから罵られてしまう。
彼女の生みの親であるマテル社の重役たちは彼女を捕らえようとするが、サーシャと彼女の母親グロリアがバービーの逃走の手助けをする。
そしてバービーが完璧さを失った原因が、現実に不満を抱くグロリアにあることが発覚する。
一方、同行したケンはバービーランドとは対称的な男社会に魅了される。
しかし人間の住む現実世界では何の資格も技術もない彼に生きる場所はない。
そこで彼はバービーランドに戻ってバービーたちを洗脳し、男性優位の社会を築こうとする。
とにかくクレイジーでナンセンスな展開に笑わされる作品だが、社会での女性の役割について苦言を呈する社会派な部分も併せ持っている。
このあたりがとても微妙なところでもある。
バービーランドはそのまま現実社会の裏返しでもあるようだ。
バービーランドでは男は添え物で、毎日のようにガールズナイトが催される。
現実では完璧などあり得ないのだが、人は誰かにとっての理想と完璧を求められて生きているのかもしれない。
そしてこの現実世界ではどうしても男性・女性とそれぞれに役割をあてがわれてしまい、その折り合いがつかないことが多い。
バービーはグロリアとサーシャに助けられながら元のバービーランドを取り戻そうとするが、それはケンたちにとっては女性優位の社会が戻ることを意味する。
物語が女性対男性の構造になっていくのは観ていて複雑な気持ちにさせられるものがあった。
ただバービーは完全に元の世界を取り戻そうとした訳ではない。
彼女にはケンの気持ちを蔑ろにしてしまったことに対する後ろめたさはあったのだ。
それでも二人が恋人同士になるという単純な結末にならなかったのは面白い。
完璧な世界ではすべての役割が完結してしまっているが、現実世界では人間は何者にでもなれる可能性を秘めている。
完璧ではないからこそ面白いのが人生でもある。
細部まで良く練られた作品だと思ったが、個人的にはもっとコメディに振り切っても良かったのではないかと思った。
ライアン・ゴズリングは芸達者だし、マーゴット・ロビーは表情豊かでクレイジーな役が本当に似合っているので、少し物足りない部分があった。
“何にもなれない”になれる
っていう結論がすーーーーーーごい良かった。
バービーが夢を押し付けすぎてしまっているって、その過ちを映画にすることを許した本社すごいし、
「じゃあこれからのバービーはどうなの?
何にもなれなくたって、あなたは人生を歩んで良いということを、この映画に込めるね。」
ってメッセージがとてつもなく心に刺さった。
ケンはケンで本当に苦しそうで、
男女関係なく、生きづらさを感じている全ての人に観てもらいたい作品。
ところどころに差し込まれるファンタジーが、物語を重くしすぎてなくて、
最高にハッピーな映画。好き。
最後なんで産婦人科?
結局、バービーも母親という定番の型にハマるのか…
ってちょっと残念になりかけたけど、
別に子供ができたと明言されたわけではないし、
妊娠してなくても産婦人科は行くし。
人形と人間の一つの違いは性器だと、物語内でも少し触れられてたので、
その検診をしたい=バービーは本当に人間になった
っていう明確な表現のために必要だったのかなと考え直した。
産婦人科は病院の中でも数少ない「前向きな理由で受診できる」病院なので、
彼女が明るく人生を歩めてる表現の最適解な気がする。
あと別に子供できても良いじゃんね。嬉しいことじゃんね。
なんで私はちょっと残念になりかけたんだろうね。
作品は3・5。良かった。だけど今はお灸を据えたく1にします。
世界中で愛される“バービー人形”を映画化。
アニメや人形を動かすとかではなく、実写で!
下手すりゃ世界中のファンや女の子の夢をぶち壊しかねないが、それを今年を代表するメガヒットへ。
暫定1位ヒットの『マリオ』を抜きそうな勢い。女性監督作としてもワーナー作品としても記録更新しそう。
批評も良く、オスカーノミネートを期待する声も…。
バービーってこんなに人気なの…!?
全く遊んだ事のない男の私にゃ驚き。
まあ、『マリオ』に興味ない人が『マリオ』のヒットに驚いているのと同じか。
観てまず思ったのは、こりゃ確かにアメリカ人が好きそう。
とにかく底抜けに明るく、楽しく、ハッピー。
笑いやパロディーもいっぱい。OPの『2001年宇宙の旅』ネタにはウケた。類人猿とモノリスの遭遇ではなく、女の子とバービーの遭遇!?
ピンク、ピンク、ピンク…のカラフル世界。
歌って、踊って、キャストの魅力。
ある意味おバカムービーでもある。
でも、ずっとノーテンキのままだったら勘弁だった。『マンマ・ミーア!』みたいに。
パッと見のイメージから想像付かぬほど最後は真面目なテーマも。
『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』と連続ホームラン中のグレタ・ガーウィグが監督。ただのファンタジー・コメディになる訳ないわな。
“バービーランド”で毎日ハッピーに暮らすバービー。
毎朝起きて、他のバービーにスマイル挨拶。
水の出ないシャワーを浴びて、飲食もフリ。階段は使わず、フワッと空中浮遊。(ここら辺、人形で遊んでるイメージ)
ピンクのオシャレをして、ピンクの愛車に乗って、ピンクの街に繰り出す。
今日はビーチでケン同士が喧嘩。あ、勿論、ハッピー喧嘩。
夜はパーティー。昨日も今日も明日も。
全てが完璧。これからもずっと。
異変なんて絶対起こらない!
ある日突然、ネガティブ思考が。
つま先立ちが基本だったのに、急にベタ足に。ギャ~!!
空中浮遊も出来なくなった。
ミュージカル歌詞もメンヘラ調に。
一体どうしちゃったの、アタシ~!?
おかしな事はおかしなバービーに聞く。
人間世界で散々遊ばれ、ちょっとヘンになったバービー。曰く、
人間世界での持ち主に問題が。
解決するには人間世界へ。
いえ、行かない。
いや、行くの!
皆に見送られて出発。ひょっこりケンも同乗。
海を越え、山を越え、ロケットにも乗って。
辿り着いた人間世界=リアルワールドは…
バービーランドとは何もかも違う。
ピンクのオシャレがじろじろ見られる。
セクハラ発言連発。セクハラ男を思わずパンチ。逮捕。
買い物したらお金を払う。お金って? また逮捕。
工事現場はガールズではなく男連中ばかり。
ここでは会社も大統領も男。
バービーランドは女性社会。大統領だって黒人女性。(←現実のアメリカでは絶対あり得ない)
そんな中やっと持ち主を探す。が、その女の子サーシャはバービー人形は時代遅れと毛嫌い。
問題は母親だった。バービー人形を生み出したマテル社で働くグロリアの精神不安定がバービーに伝染。
カルチャーショックのバービー…。
一方のケンは男社会のリアルワールドに感化。バービーランドに戻って男性優位にしようとする。
バービーがバービーランドから逃げ出した! マテル社の社長らは大慌て。バービーを捕まえろ!
バービーもバービーランドへ。心配するグロリアと渋々サーシャも。
ところが戻ってきたバービーランドは、ケンによってすっかり男性優位に。
バービーランド始まって以来の危機にどうなる…?
世界広しと言えど今現在、バービーを演じられるのはマーゴット・ロビーだけっていうくらい魅力大爆発。
お人形さんそのまんまのスタイルの良さ。ピンクの衣装も難なく着こなす。
クルクルクルクル、キュートなリアクション。歌も歌って、踊って。
でも、そこは若手実力派の一人。ただ可愛いだけじゃない。
序盤のお人形さん演技。一見キュートでハッピースマイルだが、何処か中身空っぽ。人間世界に来てからは感情様々。終盤は心や情が籠った演技。その演じ分けはさすがのもの。
だけどやっぱりマーゴットが可愛い。これだけでも点数上げちゃいたいくらい。
ライアン・ゴズリングも注目。シリアスやクールやロマンチックな役などお手のもののライアンが魅せる、こんなにあったのかコメディセンス!
序盤の肉体美とスマイルだけの空っぽ男。人間世界に感化されてからは俺様。こちらも見事な演じ分け。
ピンクカラーの美術や衣装の数々は印象抜群。ただカラフルだけじゃなく、それらにもセンスを感じる。
初のエンタメ作品であり、夏の話題作であり、絶対コケられない題材を昇華させたガーウィグの手腕。
この愛らしい人形を通して描いたのは楽しさや面白さや可愛さだけじゃなく、
バービーランドには様々な人種や職種のバービーやケンが。
女性世界のバービーランド。男世界のリアルワールド。その両世界へ皮肉やメッセージ。
そして、自分らしさ。
自立や個々の意志、ジェンダーレスや多様性…。
ディズニーのみならず昨今のハリウッドの必須要素てんこ盛り。
でも、あの人形からここまでテーマを膨らまし、しっかり伝える。訴える。
でも、アメリカでの社会現象級のメガヒットはちょっと驚き。
エンタメ性とメッセージ性を両立させた出来映えは見事だが、どれも本作だけの目新しさっていうほどではなく、昨今あれやこれやで描かれている事ばかり。
面白かったのは面白かった。楽しかったのは楽しかった。良かったのは良かった。
が、自分的には今年のBEST級ってほどではなく…。
“定番”な感じも見受けられた。
最後に例の騒動について。
スタッフやキャスト、作品に落ち度はない。
悪ノリしたファンとそれに便乗したワーナーに否がある。
『オッペンハイマー』も気の毒。完全な巻き込まれ事故。クリストファー・ノーラン監督作でありながら未だ日本公開未定。題材もさることながらこの騒動でまた日本公開が険しくなったかな…? とっても見たいんだけど。
原爆とコラボしてアートやエンタメにしたのは浅はか過ぎる。
やはりアメリカ人は他国の歴史に干渉ナシの無知と思われても仕方ない。
もしホロコーストや911で同じく揶揄されたら…?
アメリカは猛抗議するだろう。そんな国。
そもそも日本ではこの事をニュースや政治でさほど問題にしないのも問題。だから舐められる。
広島や長崎で毎年行われている慰霊や終戦の日はただの形式だけじゃない。
原爆で何十万人も死んだ。戦争で罪もない国民が犠牲になった。
それを忘れてはいけない。軽んじてはならない。
一際その事を思い知らされた騒動と今夏。
作品自体は3・5。(4はいかないかな…)
でもお灸を据えたい意味も込めて、今は1。
いずれ再見してほとぼり冷めたら3・5に修正します。
先の読めない展開で面白い。
予告見てバービーランドで異常を起こしたバービーが現実世界で一悶着起こして体を直して帰るのかと思ったら全然違った。
序盤からナレーションでバービー販売元のマテル社をディスりながら話が進み、中盤ではそのマテル社と異常の原因である親子を巻き込んで大騒動を起こして、どうにかバービーランドに戻ったら現実世界で間違った男性社会の知識を仕入れたケンがランドを支配するなど先の読めない展開続きで面白かった。
出演者はマーゴット・ロビーのバービーも良いしおじさんに見えるケンのライアン•ゴズリングも今回は合ってると思う。
吹き替えで見てバービー役の高畑充希は悪くなかったけど他の声優が豪華過ぎて演技が負けたのが残念。
男女の有方に付いて説教臭いところもあるけど笑える演出だから気にならないから興味がある人は見て損は無し。
【”人間界にやって来たバービーとケンが知った真実。”グレタ・ガーウィグ監督が、現実社会が男社会である事を痛烈に揶揄した華やかムービー。今作は現実を知った、バービーの成長物語でもある。】
ー 冒頭からイキナリ、「ツァラトゥストラはかく語りき」が爆音で流れ、その後も「ゴッド・ファーザー」などが画面に映る。”グレタ・ガーウィグ監督、完全に遊んでるな!”
序でに言うと、バービーがあんなに沢山いる事も知らなかったし(妊婦の人形は製造中止って・・。)”添え物”のケンの存在自体初めて知った。-
◆感想
・序盤はバービーランドのド派手なショッキングピンクにクラクラしながら観賞。そこはバービー人形が主役の世界であり、ケンは”添え物”である。
ー バービーランドには、明るい陽光が燦燦と振り注ぎ、青空が広がり、挨拶は”HI、Barbie””Hi、Ken"である。-
・そんなある日、バービー(沢山いるが、ここではマーゴットロビー。)の踵が地に付いたり、身体に異変が起きている事に気付くバービー。
そして、バービーは人間の世界へ向かう。
そして、何故かケン(沢山いるが、ここでは、ライアン・ゴズリング。何か、メンドイな。)も後部座席にチャッカリ座っているのである。
・そして、着いた人間界。そこは男性優位の社会であり、悩む人が居たり、少女が最早バービー人形には興味がない事を知ったバービーはショックを受ける。
逆にケンは男性優位の社会に目覚めていくのである。
ー 物凄く、シニカルである。グレタ・ガーウィグ監督の真骨頂であろう。-
・バービーランドに戻った二人だが、ケンはバービーランドを男社会に変えて行く。だがそんな中、バービー達はケン達に媚び諂う振りをして奪回を企てるのである。
ー もうさ、ケン達が可哀想になってくるよ。能天気過ぎて・・。
”悲しいほど、能天気”Byユーミン・・。-
■劇中、ルース・ハンドラーと言う女性がバービーを助けるが、ナントこの女性がマテル社を立ち上げ、バービー人形を発明した件はビックリである。
郵便詐欺及び米国証券取引委員会への虚偽報告に関して有罪となったという点も、劇中、語られるとおりである。
だが、この女性が居て、多くの女の子が幼い時に楽しい時を過ごしたのだから、功績は大きいよね。
男性役員ばかりのマテル社に対する皮肉も効いています。
<今作は、バービーが厳しい人間社会とバービーランドで様々な経験をしたことで、人形からリアルな人間になる決意に至る過程を、能天気且つド派手なショッキングピンクで彩られたバービーランドでの攻防を絡ませつつ描いた作品である。>
女子の好きが集まっている作品
マーゴットロビーとライアンゴズリンでハズレ作品なんてない!と思い、本当に楽しみにしていた作品。
8割おふざけ2割真面目なお話と思っていい。ミュージカルのような夢に塗れた女性中心な世界(バービーランド)と男性優位なありのままの人間界を、コメディ寄りに表現していた。
楽観的に見るなら楽しい作品だが、女性・男性目線をそれぞれ考えると結論が出せない難しい作品である。多様性に注目しながら、様々なバービーたちが色んな職種・衣装を見に纏って登場するのは、見ていて高揚した。
作中でお母さんが女性の立場を話しキャラクターたちの洗脳を解くシーンがある。女性の人生において、無意識な行動を的確に言語化されると辛く感じた。男性中心な人間界とバービーランドという女性中心世界が真逆であり、バービーランドで男性が人権を主張し始めることに少し違和感を覚えた。私たちの中では男性が女性よりも優位になっている感覚がこんなにも根付いていたんだなと一女性として気付かされた。
演者のクスッと笑える間の取り方だったり、ナレーションで劇場内がワッとなるほど盛り上がる楽しい作品だった。
マーゴットもライアンもホットで最高でした。ライアンは歌も踊りも最高...
マーゴットもライアンもホットで最高でした。ライアンは歌も踊りも最高で、マーゴットはひたすら美しかった。字幕で観に行きました。会場は満席で外国人の方が多く、笑えるシーンがたくさんあったのですが大爆笑w声を出して笑う会場は日本ではないような、素敵な文化を体験させていただきそっちも感動でした。服装もセットもバービーの世界で夢のよう....この手の映画は最後は結婚してというのかと思ったら、なんとケンとバービーは恋に落ちない!!キスもなく!!!結婚や恋愛ゴールではないという....新しい時代が来たな...と感じました。ただ!個人的にはバービー&ケンになって欲しかったですが,,,何回も観れる映画の一つです
結局、人間の世界は何も変わっていない
バービーの世界を具現化したバービーランドのビジュアルは面白いし、随所に散りばめられたバービーにまつわるネタも楽しめる。
その一方で、ストーリーとしては、人間の世界にやって来たバービーが、「男性優位の社会にクサビを打ち込む」みたいな話になるのかと期待していたら、案外早く舞台がバービーランドに戻ってしまい、ある意味、予想外の展開に驚いた。
そもそも、バービーが人間の世界に来たのは、自分の持ち主からの影響を改めるためだったのに、結局、持ち主の母娘をバービーランドに連れて帰っただけで、問題が解決したようには思えない。
それどころか、「死を考えてしまう」というバービーの個人的な問題が、「男性優位になってしまった社会を元に戻す」というバービーランド全体の問題にすり替わることで、作品のテーマが不明確になってしまったようにも思う。
バービーの売上げは上がったのだし、人間の世界に危機が訪れるわけでもないのに、マテル社の重役たちが慌ててバービーランドに行こうとする理由もよく分からない。
極めつけは、最後のバービーの選択で、永遠に続くハッピーな生活を捨ててまで、彼女が人間になりたいと願った理由が、どうにも腑に落ちないのである。
そして、観終わった後に残る疑問は、バービーランドは男女平等の社会になったのに、人間の世界の方は、何も変わらなくて良かったのかということ。
それとも、この後、人間になったバービーが、人間の世界も、バービーランドのように改めて行くということなのだろうか?
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