夜明けのすべて

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劇場公開日:

解説

「そして、バトンは渡された」などで知られる人気作家・瀬尾まいこの同名小説を、「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督が映画化した人間ドラマ。

PMS(月経前症候群)のせいで月に1度イライラを抑えられなくなる藤沢さんは、会社の同僚・山添くんのある行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。転職してきたばかりなのにやる気がなさそうに見える山添くんだったが、そんな彼もまた、パニック障害を抱え生きがいも気力も失っていた。職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、藤沢さんと山添くんの間には、恋人でも友達でもない同志のような特別な感情が芽生えはじめる。やがて2人は、自分の症状は改善されなくても相手を助けることはできるのではないかと考えるようになる。

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗と上白石萌音が山添くん役と藤沢さん役でそれぞれ主演を務め、2人が働く会社の社長を光石研、藤沢さんの母をりょう、山添くんの前の職場の上司を渋川清彦が演じる。2024年・第74回ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品。

2024年製作/119分/G/日本
配給:バンダイナムコフィルムワークス、アスミック・エース
劇場公開日:2024年2月9日

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(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会

映画レビュー

5.0日常の、現状を知る映画

2024年2月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 正直、上白石さんを拝見するために鑑賞しました。以前からカバーソングとかよく聴いてて、なんとなくファンです。
 映画の内容はタイトル通り、日常で苦しんだりヒステリーやパニックになったりする事情を知ったような気分になる勉強になる映画だったと思います。色気も格好良さもありませんので、休日の娯楽とするのは辛いかも知れません。
 上白石さんが演ずるところの主人公がPMSという症候群をお持ちと云うことで、突然にキレだしてしまう人の日常を描いた作品ということですが、「ああ、そういう人いるなあ」と感じました。ただ、この映画ほど重くは無いのかもしれないけど、やっぱり声を張り上げて切れる人や、依存症、症候群、恐怖症等々、みんな何らかの病的な問題を抱えていて、生き辛さを感じているのだろうなと思う。それでもお互い理解しながら生きていく。エンディングのスタッフロールで和やかな会社の日常を写す締めくくりはそういうことかと想いました。ちょっとキャッチボールはやり過ぎかなw でも、松村北斗さんの演ずるところの人物が、最初はぶっきらぼうだったのが、お菓子のやり取りにも慣れて、現在の仕事を続けていくことを決意し馴染んでいく姿は、良い成り行きだったと思います。でも移動式プラネタリウムの会社だったら素敵だし誰でもやりたくなっちゃいますね。
 病症については色々議論が生まれそうな話だと思います。「蓋を開ける音を立てるな。水ばっか飲んでないで仕事しろ」ってキレるのも、ヒステリックなキレ方は問題だとしても、よく考えてみれば、非常に真っ当な意見ですよね。モヤモヤしたまま、みんな腹の底で思っていても口に出せない。中には溜め込まずにポイポイと周囲にツッコミ入れるような人も居ますが。そういう人、口やかましいけど、案外良い人だったり。
 漫画「銃夢」の登場人物、ノヴァ博士の「この世に正気と狂気など無い。あるのは一千の貌(かお)の狂気だけです」というセリフ。この映画に例えて云うなら、「この世に健康な人なんて居ない。居るのは一千の病人だけ」なんでしょう。病病看護ということでしょうか。上白石さんが仕事の斡旋を受けるときにも、相手が子供の電話に出ているところも印象的でした。誰もが何か問題を抱えている。松村北斗さんがパニックしている上白石さんを上手く誘導していましたが、私達だって病人なんです。「みんな病人なんだからお互い理解し合おう」と言われたって、みんな病気で弱気だからやっぱり怖い。パニックの相手を責めるつもりは無いけど、距離を置きたくなるのも仕方ない、というのが、こういう場合の私の意見です。
 映画として、内容はごく普通の日常を描いているようで、「上白石さんがいつキレ出すのか」、それがハラハラドキドキでした。ああ、ここで来るのか、おいおい、プラネタリウムの途中でキレたらどうするんだ、などと心配でたまらない。ちょっとしたホラー感も感じました。それほどに上白石さんのキレ芸のキレ味が凄まじい。
 最後に、これはまったくの余談ですが、私が見た2024年2月15日の10時8分。京都河原町で鑑賞していたのですが、劇中で地震が起こって停電になるまったく同じタイミングに、震度3マグニチュード3.7の地震が現実に起こりました。一瞬、映画館の演出装置なのかと思い込んだぐらい、奇跡的な同じタイミングです。これはニュースにでもして良いくらいです。でもこんな奇跡、先の災害があっただけに、起こってほしくないですね。

(追記)
 時間をおいて少し考えて見たのですが、上白石さんがプラネタリウムのナレーションをしていたシーンは、松村北斗さんが職場に馴染んだ変化と同様に、PMSという症候群を抱えながらも成長した成果を現すシーンではないかと考えます。そういう症候群を抱えていることを知りながらも、会社の同僚達は上白石さんに任せてみようと見守っていたのかと。勿論、これは私個人の解釈に過ぎません。
 それにしても、やっぱり上白石さんのナレーションは素晴らしかったですね。町工場のようなところで、あれほど上手にナレーションができる人はそうそう居ないでしょう。そこだけは非現実的でしたw

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猿田猿太郎

4.0女性はホルモンバランスと常に闘っている

2024年2月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

若い頃はPMSで、歳を取っても更年期でと、遅かれ早かれ、どんな女性も常に己のホルモンバランスと闘っています。この映画を通して世の中の殿方にもっともっとその事実を知ってほしいと思いました。それは、パニック障害よりもランクの低い?本当に病気なの?と周囲の理解を得にくいつらい病気です。同じ女性である私ですら、PMSってそんなに?!なんてビックリしたのですから、もちろん男性が観たらそれはきっと異次元でしょう。PMSの辛さは想像はできても、パニック障害の辛さはやはり想像できません。
思いやりとは、相手のことを慮る事です。分からない相手のことを一生懸命理解しようとする事です。本作品の中では、思いやりあふれる同僚や上司に恵まれて、病気を抱えた2人が微笑ましく支え合う姿が描かれています。とても優しい気持ちになれる温かい映画です。それと同時に、この映画に登場する会社みたいに、いろんな病気や事情を抱えた人が少しでも働きやすい社会になればいいなぁと思いました。
現実社会の世知辛さに少しお疲れ気味のあなたに、ホルモンバランスを崩してイライラしがちなあなたに是非おすすめの映画です♪
今週末映画館でゆっくりと癒されてみては?

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ななやお

4.0胸の中が柔らかな大切な光で少しずつ満たされていく

2024年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

鑑賞前、私の頭にはどこか闘病ものというイメージがあった。それゆえ、観た後に引きずるものがあるのではと躊躇する気持ちがあったのも事実。しかし本作はそんな先入観を序盤から拭い去り、じっくりと主人公たちの日常に寄り添っていく。切々と語られる上白石の声のトーン。ふりしきる雨。どうしようもない、逃げ出したくなる会社での一幕。その雨がやんだ時、彼女はとある教育玩具を製造する小さなメーカーにいる。変わらず苦しみはやってくる。だが隣の席の同僚もまた別の理由で苦しんでいることを知る。また観客は彼らのみならず、誰もが何かしらの事情を抱えて生きていることを垣間見る。そういった部分を内に秘めているからこそ、人は誰かの苦しみを察し、さりげなく共に寄り添い合うことができるのではないか。ゆっくりと一歩ずつ。地球の自転を感じるかのように時を刻むペースが心地よく暖かい。夜が明ける。胸の中に柔らかな光が差し込んでくる一作だ。

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牛津厚信

4.0栗山工業に身を置きたい

2024年12月7日
PCから投稿

ゆるっと生きていく
栗山工業の従業員が
幸せそうに見えた

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アツコ