ノーバディーズ・ヒーローのレビュー・感想・評価
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千客万来・トラブルカムカム・問題吸引機
もう、ゲッロゲロなんですよ。あれです。おっき過ぎなんですよ。イザドラのオパーイも声も。これは勘弁して欲しいんだけど。まぁ、これも狙いなんでしょうから。しかもゲイなのに、よりによってイザベラだけは別格、ってどういう事?
アラン・ギロディで、フランスとの合作の相手が、「変態の国」ベルギーと来れば、あーた。もう、どうなるかは自明の理、ではある訳です。でも、これはグチャグチャ過ぎるw
ジョギング中に見かけた、おおよそ魅力的とは思えない娼婦に一目ぼれするゲイの男。
これが、有り得ない。
街でテロがあった夜に、アラブ系の男を部屋に招き入れるゲイの男。
これも、有り得ない。結局、警察は呼びましたけど。
で、ゲイなのに、この子には手を出さないんです。何でかって言うと、この時点ではイザベラにくびったけになってるから。でも、その時点でゲイじゃなくなってないかい?
その他、街中でグロックやライフルぶちかましときながら、警察に拘留もされてないとか。娼婦の旦那が、これまたイザベラに惚れまくってて嫉妬深く追い回す。
んんんんん、もうあらゆることが理解の範囲を超えてて、痛いw
基本は、下ネタコメディ。ゲイがテーマではなく、愛なんて他人には理解できないものさ、系のメッセージ性あり。
ムスリムのテロ問題を持ち込んで、フランス、と言うか欧州の世論を象徴的に見せてくれますが、突き詰めていうと、匿った男は「嘘つき」だったし、「無垢」じゃない。彼を守る価値ある?って言う。
問題の先送りが得意なフランスさんですが(劇中の風刺によれば)、パリなんか、取り返しがつかないことになってる様ですね。欧州全体が移民排除に舵を切り直した中なので、もはや社会性と言う観点ではインパクトは薄い気がしました。
ニヤリとしてしまうけど、面白かった、も、楽しかった、も無い一本でした。
70点ぐらい。社会派コメディ
パンクが好きだとビビッとくるタイトルだけど、そっちとは全く関係ない(笑)
スティッフ・リトル・フィンガーズが思い浮かんだ方は正解!
あのアルバムとは1字違いですけどね(笑)
まあ、いいや(笑)
冒頭から情事が始まり、同監督の『湖の見知らぬ男』を観たあとだったので、またポルノまがいな映画か!と思ったけど結果いい話だった。
終わったあと調べてみて、この映画が社会派コメディだと知ったけど、エロイけどマジメな中に笑いが入ってる感じで、あまりコメディっぽくないかな?
イスラム教やテロが話に絡んできて、偏見やヘイトを風刺する思わくがあるのでは?
笑える箇所はチョイチョイ入ってくるので、笑えると思うけど(笑)
あ!だから社会派コメディか(笑)
テロに見舞われたフランスの地方都市で展開する愛と連帯の物語には江戸落語のテイストが漂う
街でジョギングをしている中年男が路上の娼婦に目をとめるところから物語は始まります。男は自分より年上であろう娼婦に対して「君と寝たい。ただで。口説いてるんだけど」みたいな驚きのセリフ。なぜただなのかと返されると「売春には反対してるんだ」。そこに娼婦の夫が迎えにやってくると自分の連絡先のメモを娼婦に渡すジョギング男。で、引き続きジョギングをしてると娼婦からTELが。ふたりは夜、怪しげな雰囲気のホテルで会います。コトにおよびますが、達したときの娼婦のおばさん(失礼)の声が大きいのなんの。男はまだ達してなかったので引き続き継続してたら、不意にテレビから、すぐ近くの街の中心部で起きた爆弾テロのニュースが…… とまあ呆れ返るぐらいの怒涛の展開。
登場人物もIT技術者である主人公の中年男、その男に口説かれた あの時の声がやたら大きい熟年娼婦、妻の仕事を認めつつもやたら嫉妬深い そのDV夫、怪しげなホテルのフロントで働く未成年と思われる黒人の女の子、テロの実行犯の嫌疑がかかるアラブ系のホームレス青年、主人公の仕事仲間の女性、主人公が住むアパートの住人たち……と多士済々で、例によって皆がそれぞれの形でそれぞれ変ということになっております。
ここで「変態」という概念について考えてみましょう。いささか乱暴なやり方になりますが、変態を二つの種類に分けてみます。まずは人間の本源的な部分に存在する、先天的な変態性を「ナチュラル変態」としましょう。これに対して、巷にあふれる扇情的な情報や個人の妄想から生まれる、後天的な変態性は「プロセス変態」と呼べると思います(ナチュラル、プロセスの二分法がチーズの種類みたいになっておりますが、それはさておき)。後者のプロセス変態を作品に展開すると、ポルノやアダルトビデオの類いになると思いますが、アラン•ギロディ作品が扱うのは前者のナチュラル変態の世界であって、セックス描写をしてもポルノの方向には行かず、人間讃歌になったり、滑稽な感じになってコメディの方向に進んでゆきます。その特徴がもっともよく顕われているのがこの作品だと思います。
まあそんなこんなで変な人たちがわちゃわちゃやってそれなりに爽やかな大団円を迎えるわけですが、実は上記のように属性がバラバラな人たちが緩やかながらも連帯感を感じているような雰囲気もありまして、最後のとこで私は不覚にも目頭が熱くなりました。今回の特集3作品のなかでは個人的にはいちばん好きです。なんだか、長屋に住む八つぁんや熊さん、ご隠居や与太郎がわちゃわちゃやってる江戸落語の世界みたいということで十分に堪能させていただきました。
ということで、アラン•ギロディ特集を無事完走しました。なんか、映画鑑賞の地平を拡げることができたような感じ。面白かったです。作品の性質上、配信やテレビ放映は難しいと思いますのでラッキーでした。出会いに感謝
滑稽だが、それも人の生き様
愛は、理解できる愛もあれば、理解しがたい愛もある。
フランスとか愛に寛大なイメージだが、
そう見えて案外愛にある温かさは変わらないのではないだろうか。
登場する誰のことも、ワケワカメで全く寄り添えなかった。
誰一人として。
娼婦を辞めず娼婦の役目を諭す好色家(妻)。
金は払いたくないけどヤりたいと付きまとう太め。
(リチャード・ドレイファスがパンパンって感じ。)
好色家と分かりながらも別れられないDV夫。
そのDV夫とタイマンする太め。
そんな、『けんかをやめて』状態だが、
好色家はモーパッサンの脂肪の塊に出てくる娼婦みたいで、おいおいそんな戦う程でもないだろうと
(まあ個人好みです)呆れるが、娼婦が夫を庇うところに
本作の救いがあるような気がした。
移民問題、ホームレス、宗教の尊厳、ヤクの闘争。
安心できるか、その安心の為に寄り添う。
滑稽だが、それも人の生き様なのかもしれない。
つかみどころのないコメディセンス
主人公のメデリックはジョギング中に見かけた娼婦イザドラに一目惚れ。ビジネスではなく、ただで付き合ってくれるよう何度もアプローチ。冒頭からぶっ飛んだ設定です。
イザドラはセックス依存症だし、ヤクザな夫は嫉妬深いのに売春公認。他にもテロリストと間違えられるアラブ系の青年やマンションの銃器マニア、公私の区別ない女性上司など登場人物はクセのある変人ばかり。
まあ世の中誰しも変なところがあって、それが化学反応を起こすんだよということなのでしょうか。
確かにおかしみはあるんですが、全体的にやや間延びして、コメディとして食い足りなさが残りました。
告解室の情事、GPS追跡、イスラム国の動画など小ネタは上手く使っていたのですが、そもそもメデリックが何故あそこまでモテモテなのか今ひとつ説得力がなかったです。
でもギロディ作品はこういうつかみどころがないのが妙味なのかも知れません。
みんなで飲もうよみたいなエンディングはちょっと良かったです(ひとり入院してるけど、それはそれとして)。
声が大きすぎる娼婦
十分にエロくて十分に社会派
ありそうでない傑作「ミゼリコルディア」と続けて観たアラン・ギロディ監督作。
娼婦への愛に悶絶する男とテロ事件の交錯。
十分にエロくて十分に社会派。
ランニング中に見かけた売春婦イザドラにひと目ぼれした独身男性メデリック。
中年というには歳をとり過ぎているイザドラ。
ふくよかというには太り過ぎで爆乳過ぎるイザドラ。
暴力的で嫉妬深過ぎる夫を持つイザドラ。
イザドラに執着するメドリックの心情は計り知れず。
時を同じくして大規模なテロ事件の発生。メデリックのアパートに現れたアラブ系青年に対する疑心暗鬼。
繰り返される性交の中断にフィニッシュすることなくカオスに突入するメドリック。
そう、今作もまたありそうでない傑作だった。
主演のお二人が最高だった。
それぞれの『なんかちょっと変』を楽しもー
タイトルなし(ネタバレ)
クリスマスイブの日、仏国の地方都市。
ジョギング中の中年男性メデリック(ジャン=シャルル・クリシェ)は、客待ちをしている中年で年上の娼婦イサドラ(ノエミ・ルヴォフスキー)にひと目惚れする。
恋をしたのだから、コトはタダで行いたい。
イサドラを巧みに誘い出し、ホテルでコトに及んでいる最中、イサドラの嫉妬深い情夫が闖入し、さらに市内広場で無差別テロが起こる・・・
といったところからはじまる物語で、メデリックのアパートに現れたホームレスのアラブ系青年(テロ犯の残党と周囲では思われている)や、青年を追っかける悪漢らしき一味に、アパートのやさしげな住人などが加わっての予想もつかない展開となる。
「社会風刺喜劇」とポスター右下にあるが、風刺しているかどうかは微妙。
微妙だけれど面白い。
最終的には、ジェンダーや人種の垣根を越えて行くような、全然行かないような展開となって、メデリックとイサドラの残念な恋の結末へと決着する。
どうなってんだかわからないけど面白い類の作品で、今回の特集上映ではいちばん面白かったです。
服に対する関心の薄さ
ギロディはフランス国内の批評家からはとても高く評価されているらしいが、日本ではアテネフランセ、アンスティチュ・フランセなどでしか観られなかったがその理由も頷ける。要するに服に対する意識というか関心が異様に低い。映画なんてビジュアルアートなんだからどれだけ嫌でも服に凝ってしまう。おしゃれ映画じゃなくたって、コンセプトなどで表現される。フランス映画の着こなしを参考にするのが好きだからフランス映画を観る人も少なくない。それなのにこのギロディは服に対する関心がとても低い。低いというか意図的に服を評価から排除している。服で加点されるようなことはあってはならないと考えているような拒絶の仕方。ゲイ映画文脈とも聞いていたのでカラフルだったり、キャンプなセンスがあるのかと思うと全くない。この硬派な態度が批評家から愛されているのかもしれない。それとデブ専・デブセンスがとても優れている。性愛をイケメンや美人などの商品化された美意識に基づかないワイルドなものとして捉えるこの硬派さも評価されるのかもしれない。だけれど観客を圧迫したりするような攻撃性として表現しないのも不思議だ。ユーモアとおちょくりを含むデブって面白い、ゲイって面白いのような軽薄な態度をされても構わないような風通しの良さも面白い。
絶叫系
娼婦のおばちゃんに恋してナンパした押しに弱い男の話。
イザドラに惚れて抱きたいけれど金は払いたくないとか宣い電話番号を教えて始まったと思ったら、まさかの最中にテロが発生して寸止めとなり巻き起こっていくストーリー。
そもそも夫がいて仕事は公認というのはあるけれど、浮気を怒るのは嫉妬じゃないだろというナンセンスな設定に、そのタイミングで登場した上に妙に厚かましいアラブ系の家出少年が加わってなかなかのグダグダっぷりをみせていく。
内容的にはドタバタコメディだけれど、終始すっとぼけた様なぬろ〜っとした空気感なので、愉しくはあるけれど、イマイチ盛り上がりに欠けるし、ある意味人情味はあれど、これを社会派というのか?という気もした。
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