パリタクシーのレビュー・感想・評価
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とんでもない余韻に浸ってしまって
「ちょっと元気になれる映画」と思ってみたら、とんでもない大作 コーヒーブレイクのつもりが、フルコースを味わったような、コミカルな予告編に裏切られた、それでいて宝物をみつけた、という気持ち 皆さんのレビューに私も同感です 男尊女卑という考え方も日本に住んでいてその歴史は理解していても、平等・博愛・自由のトリコロールカラーに彩られたフランスには、そういったものを中世に勝ち得てきた歴史があって、そんな封建思想はとっくに現代には存在しない物だと思ってきた ナチスのこともヨーロッパの歴史ではあるけれど、「過去」のものであって今時フランス人の心には存在しない物と思っていた
2人のタクシーでの語らい、パリの景色を楽しむ以前に、今もフランスの人々に残る「解放」までの苦しみに触れたことが、とてもよかった 短い作品であるがゆえ、結末に近づくことがとても苦しく、二人の幸せを願ってやまない展開であったが、どのような人生であっても、とんでもない「出会い」があり、些細な会話ややりとりが人を幸せにするという可能性に満ちていること、信じてみたくなる余韻に浸っています (4月13日 MOVIX京都 にて鑑賞)
人と人との出会いの温かさを感じさせてくれる
上品で温和なマダムの風貌から、その人生も、明るく朗らかなものだったのだろうと想像していたら、思いのほかヘビーな話になって、少し戸惑った。
マダムは、女性の権利が認められておらず、DVという概念すらなかった時代の社会規範の犠牲者とも考えられるが、それにしても、その人生は悲惨すぎるのではないかと感じてしまった。
彼女が、女性運動の一つの象徴として、それなりに満たされた後半生を送ることができたといったこともきちんと描かれたならば、もっと救いも感じられたのではないだろうか?
その反面、映画全体の印象が軽妙で温かく、後味も爽やかなのは、なんと言っても、運転手とマダムを演じた2人の俳優の功績だろう。
ラストの展開は、完全に読めていたものの、思わず涙が出てしまった。
人生の最後に
無愛想でイラつきがちなタクシー運転手のシャルルが、パリの反対側の老人ホームへ92歳のマドレーヌを送り、車中の会話を通し仲を深めていくホッコリ物語。
本作、かなり評判が良いみたいなので期待を胸に鑑賞!!
ただでさえイライラする状況の中、やたらに話しかけてくる客のマドレーヌに戸惑いつつも、その話に引き込まれていき…。
終始、とにかく温かな作品でしたね。
崖っぷちのシャルルが、思いの外壮絶な人生を送ってきた様子のマドレーヌの話を聞き、共に悲しんだり勇気づけられたり…この無愛想なシャルルから共感を引き出すとはマドレーヌ恐るべし!
それだけ、彼女の話には深い物語がありましたね。まさかの13年。それがやっと終わったと思ったら…まぁマチューの立場もわかるがやるせない。。そして更に…。辛すぎる。。
そしてどうでも良いが、クリスマスと新年ってだいぶ近いですね…もう少しバラけさせてあげて。まぁ、まとまってる方が良い人もいるでしょうが。
人生は不思議なもので、どれだけ一緒にいても解り合えない人も居れば、たった1日だけで大切な人になることも。長さよりも深さとはよく言いますけどね。
ワタクシ自身も、幸せに締めくくれるような出会いがあれば良いなぁ。
そんなことを思わせてくれた作品だった。
乗り越えてきた過去が今に繋がっていて
パリをドライブしながら回想される過去は、今の社会につながっていて、今、面している問題は、今行動することで、より良い明日へ繋ぐことができるというメッセージが込められていると思いました。
マドレーヌおばあちゃんが、とにかくかっこよすぎです!
一期一会
タイトルなし(ネタバレ)
不愛想な中年タクシー運転手シャルル(ダニー・ブーン)。
家族を愛しているので、タクシー運転手を続けているが、借金も多く、違反点数も多く、免許停止寸前。
そんな折、会社から送迎の連絡を受ける。
場所はパリの反対側。
乗客は上品な老婦人(リーヌ・ルノー)。
彼女はマドレーヌと名乗り、歳は92、住み慣れた家を引き払い、キャリーバッグひとつで介護施設へ入居するという。
彼女の口から過去の思い出が語られ、シャルルは彼女の思い出旅行に付き合うことになる・・・
といったところから始まる物語で、はじめに語られるのは第二次大戦終結間近の頃、ひとりの米兵と知り合い、甘美なファーストキスをしたこと。
その米兵は故郷に戻り、彼女のお腹には米兵の子どもを宿していたこと。
スウィートな思い出話と、かつてとは様変わりしたパリの風景。
その対比を愉しむ映画・・・と思いきや、うわ、ビックリ。
マドレーヌの過去は壮絶だった。
ひとり息子を産み、しばらくした後、知り合って結婚した相手は暴力夫。
「むかしは、暴力が原因で離婚する女なんていなかったわ・・・」と語るマドレーヌ。
フランスも女性蔑視は凄かったのだ。
しかし、マドレーヌは黙って耐え忍ぶ女ではなかった・・・
と、この後は書かない。
が、『フライド・グリーン・トマト』『ザリガニの鳴くところ』『ビリーブ 未来への大逆転』の諸作を思い出しました。
終盤の展開は、悪くはないが劇作としては安易かなぁ。
特に、幕切れは米兵とのダンスのシーンなので、「なんだかんだいっても、女はいい男と知り合わないとダメなのよねぇ」とフェミニズム女史が言っているようにも見えて、妙にくすぐったい感じがしました。
スウィート&メロウなジャズも聞きどころ。
フランスタイトルは「UNE BELLE COURSE」、美しき旅路。
シャルルとの短いタクシー旅を指しているのですが、マドレーヌの人生の意でもあるでしょう。
英語タイトルは「DRIVING MADELEINE」、こちらは『ドライビング Missデイジー』を思い出させますね。
理不尽とそれに負けない(浸りきらない)美しさ
パリが好きで、パリの景色たくさん見れたらいいなと思い鑑賞。
マドレーヌの過去が想像を超えて壮絶すぎて、え…ってなったけど、
現在の彼女の様子を見てると、とてもそんな理不尽とか不幸な目に遭ったとは思えないような素敵なエレガントな女性で。
家を離れる日(自由な人生の終焉)に身に付けてた水色のスカーフが、舞台で仕事してた彼女をレイが迎えにきたときに身に付けてたスカーフに思えて、幸せなころの大切な記憶なのかな…
マットとマチューと幸せになれれば良かったのになぁ…
でも、家庭を持っていたマットへの恨み節もなく、手紙もすっぱり送るのやめたと言うから、
粘着質でなく、幸せを見いだす資質に富んだ人なのかも。
父から教わったという言葉ー怒れば老い、笑えば若くー
物事のポジティブな面に目を向ける性質を、親から得られた人は幸せだと思う。
そんな素晴らしい父の命を証するプレートの周りが、今や落書きやホームレスのテント?が張ってある場所になっているとは…
哀しかった。
でも、マドレーヌの不幸は、あんな方法を取ってしまった彼女にも因があるけど、
父はおらず、母からも離れ、幼い頃から社会に居場所を作れなかったマチューが可哀想で。
彼が自分で見出した道で、人生を断ち切られてしまったのが、彼に幸せと思える瞬間やそれを感じさせてくれる人がいただろうかと考えてしまって…
シャルルは、不安やストレスから普段は粗野な感じなのに、マドレーヌと話すうちに本来の優しい性質が戻って、観ていてうれしくなった。
彼のような、環境が良ければ穏やかに健やかに過ごせるであろう人が、仕事や環境に恵まれず、性格まで歪められるの、本当にどうにかならないのか…
最期はできすぎにも思えたけど、体調を崩して引き取ってくれる家族はなく、施設まで送ってくれる誰かもいないマドレーヌが、
人生の最期を素敵に過ごさせて良い思い出をくれたシャルルに自らの財を与えるのは理にかなっていると思った。
二人が再会できていたら。
マドレーヌがどれだけ喜んだだろうか。
人生は非情。
孤独な闘いの人生、最期にあんな素敵な出会いがあるならいいのにね。
最後、涙が流れました。
一年に地球を3周する仕事
シンプルなロードムービーですが、景色と会話のセンスで軽妙な仕上がりでした。
マドレーヌの過去は予想外。
現代ならマチューと逃げるなり裁判を起こすなり出来るのでしょうが、時代が許さない。
DV男に天罰が下らないところや、結局マチューも辛い青春を送るところなど、哀しくもリアルです。
フィクションながら、あの過去が現在をつくったというのは説得力がある。
オチに捻りはないが、安っぽくはない。
シャルルが徐々に打ち解けていく様が、流れとしても演技としても非常に自然で微笑ましい。
特にトワレ渋滞の後に子供のように笑い合う2人が印象的でした。
マドレーヌは、日本で言えば京都っぽいというか、上品で可愛らしく、でも強かさやユーモアもあり魅力的。
語られなかった、自殺未遂から先の半生も知りたくなってしまった。
作品はよかったが、車線変更でウインカーを出す車がほぼおらず、絶対にパリでは運転したくないと思いました。笑
心温まる作品です
美しい風景に人生の喜びと悲しみを重ね、幸福な余韻が残りました。
フランスを走るタクシー映画と言えば、リユツク・べッソン製作・脚本の「TAXi」シリーズを思い浮かべてしまいますが、派手なカーアクションはもちろん一切なし。
かつてのフランス映画がそうだったように、パリという町には下町的な人情ものがよく似合います。本作も伝統にならい、人生の酸いと甘いを涙と笑いにくるんで見せてくれます。ゆっくりとした会話と車の流れに身を任せるうち、人生の奥深さや輝きをしみじみと味わわせてくれる逸品です。
金も休みもなくイラつき気味のシャルル(ダニー・ブーン)はパリのタクシー運転手。免停寸前で仕事を失いかねない人生最大の危機を迎えていました。もし違反して警察に捕まったら、最愛の家族にも会わせる顔がありません。
気が荒く、客にも悪態をつくシャルルでしたが、そんな彼のもとに偶然、あるマダムをパリの反対側の大通りまで送るという依頼が舞い込みます。92歳のマダムの名はマドレーヌ(リーヌールノー)。自分の屋敷を引き払い、介護施設に入るというのです。終活に向かう彼女はシャルルにお願いをする、「ねぇ、寄り道してくれない?」。
彼女の求めで、パリの町を巡っていきます。人生を過ごしたパリの街には秘密がいっぱい。寄り道をする度、並外れたマドレーヌの過去が明かされていきます。そして単純だったはずのドライブは、いつしか2人の人生を大きく動かす驚愕の旅へと変貌していくのでした。
エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ大通り、ヴァンドーム広場など、日本人にもなじみの場所がゆったりとしたカメラワークで映し出されていくと、観光客になった気分で楽しめます。でも、マドレーヌがたどる場所はそれだけではありませんでした。
「ナチスによる銃殺の地」と記された碑のある場所、劇場があった大通り、かつての監獄、裁判所……。思い出の場所に差し掛かる度に、マドレーヌは自身の過去を回想し、シャルルに語かけるのです。
タクシーによる旅は、彼女にとっては時間旅行でもあり、高齢の身にとっては、観光気分どころではなく、かけがえのない旅なのでした。
母と息子ほどの年の差がある2人の“旅”はどこにたどり着くのでしょうか。マドレーヌが語る過去は壮絶で、終活や家庭内暴力、女性差別といった重いテーマを盛り込みつつ、説教臭さは皆無です。それは現代人に無縁でない問題もはらんでいると思います。なのに、本人は凜として品がいいのです。だからこそそんな彼女が夫のDVに耐えかねて、予想外の反撃に出るシーンは衝撃でした。
そんな想像以上の過酷さに満ちたマドレーヌを知ってしまうと、シャルルでなくとも、悲しみを克服した彼女に親愛の情が湧くはずです。客に媚びないシャルルが、思わずディナーに誘ってしまうのも納得でしょう。美しい風景に人生の喜びと悲しみを重ね、幸福な余韻が残りました。
今年95歳になるというルノーとブーンの好演で、年の差を超えたランデブーに同伴した気分を味わえることでしょう。
だんだんと柔和になっていくシャルルの表情(笑った方が素敵)。ドライ...
予想は出来ても
品のある老女とタクシードライバーの会話劇なんだけど、最後まで見飽きる事欠く、ラストは大方予想は出来ても静かに涙を溢してしまうような素敵な作品でした。
結構辛いシーンもあるけど、それよりもふたりのタクシーでの道中の穏やかなシーンの方が印象に残るので全然重い気持ちにならずに劇場を後にできる。
(それにしても悪いやつってのは大抵人相に出ちゃってるからこいつヤバそうって予感は嫌な意味で裏切らない。当時の女性達の生きづらさを思うと胸が苦しくなる)
短い時間なのにマドレーヌによってシャルルが少しずつ変化していくのがとても自然に描かれていてとても優しい気持ちになれました。
素直に観て良かったと思える作品。
マドレーヌのように穏やかに若々しくいたいので
怒りではなく笑顔を大事に生きていけたらいいな
フランス映画らしいラストの余韻が最高
人生の悲哀と愛とパリの街
なによりパリの街が美しいし、主人公の老婆も年輪を重ねた美しさがあって素敵だった。
長く生きていれば苦労も色々あって複雑だけれど、スッキリとした老婆の様子に老いることを必要以上に恐れなくても大丈夫な気がしてきた。
彼女とのかかわりで少し偏屈なタクシー運転手にも変化があらわれて、その様子が好もしかった。
観終わった後、少し素直になれる映画かな。
小さめのスクリーンだったけど、満席だったのはリリコさんのおかげ!?
「エスプリ」って、こういう時に使う言葉だったかしら
予告編の知識だけだったので、ハートフルなストーリーかと思いきや、結構な重さの過去を語り始めるマドレーヌ!
救いはその当時でも支援する人々がいたことかもしれない。その過去をタクシーを転がしながら最初は聴くでもなくの態度のシャルル、でもどんどんと惹き込まれていく様に二人の距離が縮まることの証のよう。
短尺の作品のためマドレーヌがマットと別れた後に夫と交際が始まったきっかけやシャルルが苦しい生活下に置かれていたり、妻子と微妙な関係にあることの説明が省略されていて、脳内で不足部分を補いながらの鑑賞になってしまいました。
主人公二人の結びつきは年齢差(息子が生きていれば孫のようなシャルル)、そしてカメラ繋がりなのかなぁ、きっとその親密さがラストに繋がっていくのでしょうね。
パリを舞台に観光的な要素も含みつつ、でも流れる曲はアメリカンジャズ、それは今でも忘れないキスの味をもたらしてくれた米兵のマットへの深い愛情の表れだったのかと思ったりして。
辛く悲しい思いもあるはずなのに観終えたときには「良かったかなぁ」と思えることができる素敵な作品に出会えることができました。
フェノバルビタール
フランスは世界に冠たる個人主義の国だが、一方でこういう(寅さん的なのとは少し違う)人情噺の伝統もちゃんと受け継がれていて面白いなあ。
マドレーヌは想像を絶する人生(ちょっと盛りすぎか)を送ったのだけれど、幸福追求のためのバトンを然るべき人に渡して去った。本当に強靭な人だ。
評者は信心と無縁だが、次走者のシャルル一家に神の御加護を、と祈らずにはいられない。
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