沈黙の艦隊のレビュー・感想・評価
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海の「VIVANT」だ!
軍事マニアです
なので原作も、週刊モーニング連載中から貪るように読んできました
結論からいうと原作ファン、軍事マニアも大満足の作品です
日本映画でもやっとここまでの軍事スリラー映画を撮れようになったのです!
製作陣が、監督だけでなく全てのスタッフが、よく調査して勉強なされ、世界的な水準の作品を作るのだと高い志で取り組まれたことがビシビシ伝わってきました
なんだよ、これは
分かってねえなあ~
トホホ
なんて映像は皆無です
衣装、セット美術もしかりです
台詞も所作も違和感あるものは皆無です
オーバーな演技、怒鳴ってばかりの登場人物
チープなセット、嘘臭いCG
ディスプレイの画面の表示画像の分かってなさ
軍事センスや素養の無さ
軍事や兵器についての基礎知識の無さ
そんもそもそれらへの研究心の無さ、資料の収集と調査への熱意の無さがモロバレ
無いなら無いで、軍事の専門家とか軍事雑誌編集部の助言を仰ぐとか、防衛省、自衛隊、在日米軍への取材、インタビューをすれば良いのにそれすらしない
いや、助言を得ても聞く耳を持たない
それじゃあ、映画になんないんだよとか、予算がないから仕方ないとか、スケジュールがキツイから仕方ないと言い訳ばかり
今までの日本の軍事スリラー映画は「こんなもんでいいや」というのが透けて見える作品ばかりだったのです
果てはスタッフが嫌々作ってるのでは?としか思えない作品すらありました
リアリティの無さに呆れて、本当に辟易していたのです
ハリウッドの同種の映画に見られる、綿密な資料調査や取材に裏付けられているディテールへの徹底的な拘り
何より基礎的な軍事や兵器などに関する知識の厚さ
そして軍事プロフェッショナルに対する敬意
それらは単なる予算規模の差ではない埋められない格差だったのです
そんな日本の軍事スリラー映画ばかり何十年も見せられて来ました
だから本作もそんな程度ではないのか?
多少マシになっていたら良いなあ
そんな程度にしか期待していませんでした
ハリウッドの同種の軍事ものとそんなに遜色ないものは作れっこない
日本の実写映画界にはそんな人材はいない
そんな日本人の人材はアニメやゲーム業界に逃げしまっている
それか海外に流出している
そんな諦めがあったのです
それが良い意味で裏切られたのです
感激でいっぱいです
軍事マニアの目からしても、おかしなものは皆無です
ん?というものがあっても、分かった上で演出としてやっていることが伝わってくるのです
日本映画もやっとここまで来ました
驚きました
日本映画だからこんな程度でしょうがないじゃなく、世界的な基準で映画を撮ることがこれからは必要なのだと思うのです
そしてテレビドラマでは「VIVANT」が一大ブームを巻き起こしました
「VIVANT」も世界水準のアクション作品を目指して実現させたのです
ウクライナ戦争を目の当たりにした私達は、最早過去のような甘い綺麗事は通用しない事をハッキリ思い知ってしまったのです
これまでのように日本の中だけでチマチマしたドラマは一気に色褪せてしまったのです
日本人が世界規模で、国際的に活躍して、海外の人々と知力と体力と胆力の限りを尽くして勝ち抜く物語が求められているのだと思います
海外への企業進出などでそんなことは、すでに多くの日本人は経験して来たことです
日本の映画やテレビドラマが取り上げて来なかっただけです
東日本大震災、原子力災害、ウクライナ戦争、北朝鮮のミサイル、中国の尖閣での領海侵犯、台湾有事の緊迫
日本人は軍事を考えることを避け続けてきましたが、否応なく考えなくてはならない時代になったのです
だから軍事的リアリティに裏付けされた日本人のスーパーヒーローが求められているのです
本作はそこが「VIVANT」とテーマが同じなのです
ひとつだけ気になった点を挙げます
欲を言えば「クリムゾンタイド」のような潜水艦の水中の三次元運動を発令所の乗組員の姿勢で表現する手法を学んで欲しかったです
横揺れだけでなく、急速な上げ舵、下げ舵では立ち姿勢が変化するはずです
本作では潜水艦がどんな挙動をしても傾きもしないようにみえます
まるでビルの中の部屋のようなのです
次回作では改善して頂きたい点です
もし、あなたが本作で潜水艦ものに興味がもてたなら、もっと潜水艦の映画を見たいなら
次の3本の映画をお勧めします
第二次大戦もの
眼下の敵
現代もの
クリムゾンタイド
ハンターキラー
蛇足
数ヵ月前、呉に旅行しました
エンドロールに協力と名前の出ていた「てつのくじら館」も見学しました
海上自衛隊の潜水艦と掃海部隊についての大きな展示館です
三段ベッドの狭さは実際に体験して仰天してきました
退役した本物のディーゼル潜水艦まで陸揚げして建物の前に実物展示してあるのです
その内部にも入って見学もできます
これを体験していると本作は撮影用に一回り大きく作られているのがすぐにわかります
実物は恐ろしく狭いです
新鋭の「そうりゅう」級以降の潜水艦でも大して変わらないと思います
そして、艦船巡りの遊覧船で護衛艦を間近で見ることもできました
特に潜水艦は、艦尾の舵がX字になっている新鋭のものが多数繋留されているのをみれたのには感激をしました
遊覧船から少し距離のある泊地の手前に停泊する潜水艦もあり、その司令塔に艦長他二人ほど、甲板上には10数名が整列してなにやら作業中の光景も遠目に望遠で見ることができました
本作に感激なされたなら、是非とも呉旅行をお勧めします
海軍カレーも、潜水艦「そうりゅう」のレシピで、本作劇中に登場したステンレスのトレイで提供してくれるお店もあります
原作リスペクトが半端ない傑作
かわぐちかいじの原作コミックは、30 年も前に連載された傑作で、全 32 巻で完結している。原子力潜水艦が独立国家を宣言して世界の軍事機構に一石を投じるという壮大な物語は非常に緻密に構成されていて大変読み応えがあった。この作品で提起された世界平和の維持の難しさは、30 年経っても非常に現実的な問題となっている。
かわぐちかいじ原作の実写映画化といえば、2019 年の「空母いぶき」があったが、原作の改変が甚しく、明確に「47」が敵であると書いてあるのに、映画化にあたっては「東亜連合」という架空国家に変更されて、リアリティが消し飛んでしまった上、主役級の自衛官の人物像がバリバリのクソパヨクに変えられたりと、原作棄損の酷い有様に開いた口が塞がらなかった。海上自衛隊の協力が得られなかったのも当然と思われた。
しかし、本作の作りは全く違って原作尊重の意図が徹底されており、勝手な改変がほぼ見られなかった。プロデューサーも兼任した大沢たかおは、自ら海上自衛隊とも交渉して全面的な協力を獲得したそうである。潜水艦の映像の多くは本物の潜水艦で撮影されていて、リアリティが半端ない。この映像を見ているだけでも十分に満たされるほどである。
物語の進行も原作の緻密さが遵守され、原作コミックの第1巻から第3巻の途中までが内容となっている。見事な作り方であり、本気で取り組んでいる姿勢がよく伝わって来た。大沢たかおの海江田艦長は、自信のある態度が非常に好ましく、原作からそのまま抜け出たかのようである。改変がない訳ではなく、中村倫也のエピソードは映画のオリジナルである。中村倫也があの配役というのに非常に贅沢なものを感じさせられた。
配役は豪華で脚本もよく練り込まれており、緊張感が切れるようなところがない。日米の軍関係者も政府関係者もそれぞれ好演していてリアリティが良く出ていた。動きの少ない潜水艦内のシーンは、潜航や浮上を感じさせるのに、カメラを僅かに逆方向に動かすなどの工夫が見られて膝を打った。
ただ残念だったのは音楽である。物語上重要な音楽としてモーツァルトのレクイエムやジュピター交響曲やハフナー交響曲が使われているのだが、いずれも今流行りのエセ古楽器演奏だったのには非常にガッカリした。セコセコした安っぽい演奏はシーンの荘厳さを台無しにしていた。冒頭のレクイエムはベーム指揮のウィーンフィルのものに差し替えるべきだし、ジュピターやハフナーはクレンペラーかカラヤン盤を使うべきである。エンディングの歌も全く映画に無関係で、何故こんなものを流して気分を悪くするのかと真意が解しかねた。
音楽以外には本編の問題はなく、非常に見応えがあった。このまま全話分を映画化してほしいものである。
(映像5+脚本5+役者5+音楽3+演出5)×4= 92 点。
善なるワグネルの物語(原作の1980年代後半時点では超画期的)
原子力潜水艦を奪い取って独立国を宣言、日本を含む他国に対して核軍事サービスを提供することで、核抑止の力で平和を追求しようとするというストーリー。
国家に対して軍事サービスを提供するという意味ではロシアやアフリカでそのようなことをしているワグネルと類似ですが、戦闘を通じて帝国主義を実現するとか、金儲けをするとかいうような邪悪な哲学ではないところが大きな違い。
核抑止理論や、潜水艦の特徴、原子力潜水艦の特長を知らないと、映画内で語られることが分からないかもしれません。
原作漫画では、沈黙の艦隊と日本や国際社会がどのように向き合うかを描く場面もありますが、本作品ではその前段の部分が描かれています。
爽やかな顔で必要最低限しかしゃべらない不気味さを持つ館長の海江田四郎が、主演でプロデュースにも関わっている大沢たかおさんによりうまく表現されていると感じました。
世界平和までの道のりを描く壮大な創作であるとともに、単に戦争反対と言い続けるだけの平和追求とは一線を画すリアリズムが込められている良い作品だと思いました。
最後に流れる主題歌は女性が歌っていて、BzのALONEによく似てるなと思ったら、決してパクリではなくBz提供でadoさんが歌唱する作品でした。
・核抑止理論
対立する国々が、それぞれ核兵器を保有することで、互いに核兵器使用を躊躇する構造ができ、結果として武力紛争が起きにくくなるという考え。
・潜水艦の特徴
潜水艦が潜る海の中は光が届かない世界であり、ほぼ真っ暗なため、船外の状況を把握するためには音響装置を使って把握する。
受動的に受信している音を分析する方法と、
能動的に音を発信し、跳ね返りを分析する方法がある。
能動的に音を発信すると、自らの好きなタイミングで周辺を確認できる一方で、その音により周りから自らの位置を把握されてしまうというデメリットがある。
・原子力潜水艦の特長
動力源を船内での原子力発電としていることからエネルギー補給が不要(食料やゴミ出しなどは必要)なことから、世界の海のあらゆるところで長期間待機することが可能(神出鬼没に攻撃できる)
動力源を原子力にしていることと、搭載する武器を核ミサイルにしているかどうかは別の話。本作品では動力源を原子力とし、核ミサイルの搭載については「通常ならざる兵器」という表現で搭載を主張している。
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