「動物たち」終わらない週末 wyethさんの映画レビュー(感想・評価)
動物たち
とにかく最初から最後までジリジリと不安を煽られっぱなしだった。
ジャンルもよく分からない。基本はパニックものだと思うけどサスペンスやホラーの要素もあり、ヒューマンドラマや風刺でもある。そうしたの捉え所の無さのため、どういうスタンスで観るべきなのか分からず混乱してしまった。
(ひょっとして宇宙人の侵略?とも思った)
その混乱は登場人物の置かれた状況そのものでもある。情報を遮断されて疑心暗鬼に陥るキャラクターたちと、観客の心理がシンクロする。だからこそ観る方は不安なまま映画に引き込まれる。
ドラマ「フレンズ」にこだわる女の子の台詞がよかった。世界が終わるかもしれないこの状況でなんで他愛無いドラマの最終回に執着するのか。「だって今必要なものでしょう」。確かに、お互いがお互いを信じられなくなった状況では「友達」こそが生き残るために必要なのかもしれない。
その点、動物たちは賢い。本能で事態を察知している。ただ相互不信に苦しむ人間を尻目にすぐに群れを作る。シカの出現は確かに吉兆なのだろう。人間が失った団結力をいち早く発揮している姿から、こちらも何かを学びとるチャンスが与えられているのかもしれないから。
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