「"映画"としては微妙だけど、"アイマス"としては120点」アイドルマスター ミリオンライブ! 第1幕 といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
"映画"としては微妙だけど、"アイマス"としては120点
本作は2023年10月からテレビ放映されるアニメを映画館で先駆けて鑑賞できる作品である特性上、厳密に言えば映画ではありません。ちょっと特殊なスタイルの作品なので、正直映画好きが観る作品としては向いてないように感じます。
しかし、アイマスファンやアイマスに興味を持っていて導入として初めて作品に触れる方にはとても良い作品だったと思います。
鑑賞前に懸念していた3Dアニメーションにありがちな違和感も実際見てみたら全く気になりませんでした。流石は白組。
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様々なことに興味を持っていた女子中学生の春日未来(山崎はるか)。自分の一番やりたいことが分からずいた彼女だったが、大人気のアイドル事務所・765プロダクションのライブに行ったことで「アイドルになりたい」と強く思うようになる。偶然ライブで隣の席になったアイドル志望の最上静香(田所あずさ)と共に、765プロダクションが開催するオーディションへ挑戦することにした。
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先に申し上げておきますと、私は年間100本映画を鑑賞する映画好きであり、アイマスシリーズの大ファンでもあります。
2011年に放送されたTVアニメからハマり、765AS・シンデレラガールズ・ミリオンライブ・sideM・シャイニーカラーズなど、ほとんどのコンテンツに触れてきました。ライブにも度々訪れ、今年の2月に開催された「M@STERS OF IDOL WORLD!!!!!2023」には両日現地参加しました。12月開催のラブライブ!との合同ライブ「異次元フェス」も両日現地参加予定でチケットもご用意されました。チケットの最速抽選に応募するため、アソビストアプレミアム会員に4年前から入っています。
ただしシンデレラガールズがメインです。ミリオンライブに関しては正直そこまでハマってはいなくて、キャラの名前と顔と担当声優が分かる程度で、キャラクターの性格や人格や背景みたいなものまで深く掘り下げて理解してはいません。グリマス未プレイ・ミリシタはサービス開始半年くらいは触ってた程度です。
そんなアイマス好きな私は本作を”映画ファン”としてではなく、どちらかと言えば”アイマスファン”として鑑賞したんですが、本作はミリオンライブ初心者(延いてはアイマス初心者)の導入としてちょうどいい作品だったと思います。
未来がアイドルを目指すプロセス、静香との出会いとオーディションへ向けての切磋琢磨、翼という類稀なる才能とともに更に高みへと飛んでいく描写。これまでアイマスのアニメで描かれてきた目標に向かって努力し、壁を乗り越えるというアイドル像。それの進化系を見せられたような感じです。彼女たちのキャラクター性を知らなかったからこそ感じられる驚きや感動も多くあったので、私のようにミリオンライブについてあまり知らなくても、というかアイマスについてあまり知らなくても十分に楽しめる内容になっていたように感じます。オーディションの最後で未来・静香・翼の三人が披露する『Rat A Tat!!!』は本当に素晴らしく、思わず目頭が熱くなりました。
あと、茜ちゃんは3Dが映える。ヌルヌル動く茜ちゃんは可愛い。
以下ちょっと不満点を書くので、見たくない方は読み飛ばしてください。
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アイマス作品として観れば本作は本当に素晴らしかったのですが、一本の映画作品として観た場合、不満点が結構ある作品でした。大きく3つの不満点を抱きました。
一つ目の不満点は単純に、「これは果たして映画なのか?」ってことですね。
テレビアニメとして製作されたアニメの4話分を映画館で先行上映するという作品の性質上、やはり映画的な起承転結というのはありません。オムニバス映画みたいな感じですね。
更に、これは三部作の第一部ということで、物語が続きが気になるところで終わります。これはテレビアニメでよく見られるクリフハンガーと呼ばれる手法なんですが、それを映画でやられるのは私個人的にあんまり好きじゃないんです。私は映画に対して「それ単体で綺麗にまとまっているか」という評価基準を持っています。続編があること自体は問題ではなく、その映画のラストが綺麗に纏まっているかどうかを重要視していて、中途半端なエンディングや続編匂わせをする映画は「映画として不十分」だと私は思います。
本作もまた、これ単体では綺麗に完結しない続編ありきのエンディングになっているので、上記の基準に照らして考えれば「不十分な映画」と言わざるを得ないです。
二つ目の不満点が、「キャラクター多すぎ」ってことです。仕方ないことではありますけど。
本作はアイマスシリーズ初期からいる765ASの13名の後輩として765プロダクションに所属した39名(第一幕では歌織と紬を除く37名)を描いた作品となっていますが、ぶっちゃけ多すぎます。
200名近いアイドルが登場する『アイドルマスターシンデレラガールズ』がアニメ化した時は、アニメオリジナルの「シンデレラプロジェクト」というプロジェクト参加アイドルとして14名が選抜され、アニメのメインキャラとして描かれました。sideMのアニメ化の際は、15ユニット46名(現在はC.FIRSTが加わり49名)いるアイドルから6ユニット19名が選抜され、メインキャラとして描かれました。
しかし本作は、ミリオンライブのキャラクターを全員もれなく描こうとしています。エンディングを見るにこのあとミリシタから実装された二人も登場するっぽいので、過去のアイマスアニメ作品の倍以上の人数をたった1クールの尺で捌こうとしているわけですよね。そりゃキツいっすよ。絶対出番が少ししかないキャラクターも出てきちゃいますよ。
こればっかりは本当に仕方ないことではありますが、個人的にどうしても引っ掛かってしまった部分です。
最後にして最大の不満点。それは「鑑賞料金高過ぎ」。
私はTOHOシネマで鑑賞したんですけど、本作って各種割引対象外なんですよ。つまり定価1900円。三部作だからトータル5700円。ちょっと待てばテレビで観れる作品なのに、こんな高い金額払って見たいって思える人が一体どれだけいるんすか。絶対ファン以外観に来ないじゃん。せめて割引効くようにしてくれればよかったのに、なんでこれ割引対象外なんですかね。なんなんすかねこれ。
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ただ、上記のような不満点はありつつも、アイマス好きの私からしてみれば満足の内容でした。
映画好きの目線で観たら65点くらいだけど、アイマス好きの目線で観たら120点です。
アイマス好きの方はぜひ観てみてほしいですね。アニメ放送もされますが、ライブシーンは映画館の大画面高音質で鑑賞した方が絶対満足できますよ。オススメです。
それでは皆さん、闇に飲まれよ!(お疲れ様です)