「家族と個人の在り方を模索して」オットーという男 sasさんの映画レビュー(感想・評価)
家族と個人の在り方を模索して
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思いの外、良かった。
普通の1人の人間として、若者2人が惹かれあって結婚し、物語を紡ぎ、そして年老いて亡くなってという現実がオットーという男に収束させる物語の語り口は上手い。
最初、偏屈な漢が定年退職する所から始まる。トム・ハンクスだから、最初のつかみはスムーズだ。物語が始まりそうな予感。周りのみんなに嫌われているというか煙たがられている。
家の前に引っ越してきた脇の甘いマリソル夫婦と子供たちが、自殺しようとしているオットーを間が悪いタイミングで邪魔をする。彼の亡くなった妻への回想が差し込まれる。当然だがこの偏屈な爺さんにも人生があり、それは甘くもあり辛くもあった。マリソルは少しずつそんなオットーの心に入り込む。
なんやかんやあってオットーは過度に過去に囚われることなく自分の出来ること、生きることをもう一度始めることになる。
お話はそこまでだが、なんでこんなに心に響くかというと、アメリカや日本でも家族とコミュニティの在り方が劇的に変化し続けており、炙り出された問題も根深く、今もその模索が続いているからだろうか?別にむかしが良かったとは思わないが、今迄もこれからも大事なヒトの在り方はそんなに複雑なものではないのかもしれない(いい意味で)、と思わせる映画だった。
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