「実存主義」私、オルガ・ヘプナロヴァー いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
実存主義
人間一人一人の存在を大事にし、個人としての立場を協調しようとする考え方とのことをネットで調べた 正に今作の主人公の訴えたいテーマなのであろう 彼女はどういう人なのかというのは関係無い 彼女自身に寄り添うのか否かということを問うているのである
とはいえ、かなり現実には飲み込みにくいストーリー上の行動なのである 一人一人の良さや個性を尊重して生きていこうとする考えである『実存哲学』ではあるが、物語の中の彼女は残念ながら問題も多く、自分の苛立ちを上手く消化できずに表面に現われてしまい、それが又彼女を苦しめ、孤立化してしまう 悪循環故の凶行は、彼女の救済への慟哭が引き起こした事とはいえ、あの時代の東ヨーロッパでは汲むべき懐の深さは無い 今作も実際に起った事件であり、現実でも度々発生する事件 それはシリアルキラーでもサイコパスでもなく、自分そのものを認めて欲しい、受け入れて欲しいという切望そのものであろう
「でも、先ずは受け入れて貰う様努力する」なんていう考え方が未だにマジョリティとしての思考であるならば、今後もいたたまれない事件は起こり続ける・・・
今作のシーンの数々は、彼女の本質をドキュメンタリーとしては困難かも知れないが、そこに肉薄させるべく、端折らずに泣き叫ぶ最後の絞首刑のシーンでさえもスクリーンに収める残酷さまで描いてみせている 低身長、微乳、ズボンをはき、オカッパのヘアスタイルにし、車が好きで、あれだけ嫌いだったタバコもヘビースモーカーと化し、ヤサグレ感と、どこかオドオドした歩き方、性的マイノリティ、性志向としての同性愛 そして執行前には統合失調(妄想)の変調が表われてしまった事も含め、彼女の持って生まれたものがその宿主を蝕む状況を、胃がキリキリ痛む辛さに苛まれながらの観賞であった
ラストの残された家族で飲むスープは一体どんな味がするのだろうか・・・ 「いつか嘲笑と私の涙を償わせる」ことを彼女は実現できたのか?
コメントありがとうございます。
やはりキャッチーさと、動機に繋がる主人公の心情というところで安直かも知れませんがこのタイトルにしましたw
やはり感じるものが近く勝手に気分が高揚します。
残念なことに、彼女の願いは実現できていないと思います。
「いじめられた側にも原因がある」という考えは未だに多数派ではないでしょうか。いじめは、本来は、いじめる側の精神的な問題と思うのですが、なかなかそういう考えは広がりません。
オルガさんのような極端な行動まではいかなくても、同様のことで精神を病む人たちは今も沢山いることだと思います。