君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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この世は生きるに値する
情報過多の時代に前情報ゼロの作品。
「観た?どうだった?」という会話を久しぶりにした気がします。
自分の目で観て、耳で聞かないといけないなと強く感じました。
結果、もう一度観たい!
皆さんの感想に共感!
キャラクターの感情のある動きや液体の動き。たくさんの生き物がうごめく様。…などなど。
これこれ!ジブリだー!と何だか昔の作品にスクリーンで再開できた懐かしく嬉しい気持ちが溢れました。
分かりそうで分からない物語だったけど、過去作のように多くを語らず、観た人に委ねるのはこちらが試されている気がする。
実際、過去作も年齢によって受け取るものが毎回違うから不思議。
この作品もきっと、年齢や経験、置かれた立場によって人それぞれ受け取るものが違うのでしょう。
なんだかひとつの時代が終わったのを観た気がします。
そしてエンドロールの豪華な名前やスタジオ名の数々は圧巻!
それを観ると「あとは任せてあるから!」と宮崎さんが言っているようで…。
新しい時代をみせられているようで…。
涙が止まりませんでした。
10年前の引退会見で言っていた、
「子どもたちに、"この世は生きるに値するんだ"と伝えることが自分たちの仕事の根幹」という言葉をこの作品で思い出しました。
いろいろな考察や感想をみるのも楽しい。
過去作のように何度も観なおしたいものと出会うことができ、制作関係者全ての方に感謝です!
作品を観た後だと、ポスターの題名と言葉が胸に刺さります。
今にも動き出しそうで…💦
見守ってる?見られてる?
賛否が分かれるのも理解できるが、宮崎監督が培ったあらゆるアニメ表現を詰め込んだ映像を劇場で観る意義は、十二分すぎるほどある一作
ほとんど事前の情報公開もしないという異例の広告戦略であるにも関わらず、『風立ちぬ』(2013)以来10年ぶりの宮崎駿監督の最新作ということで、公開直前から急激に注目を集めた本作。興行的には好調のようですが、実際鑑賞した人の意見は結構明確に賛否が分かれています。
確かに『風立ちぬ』との連続性を感じさせるような舞台設定の前半はわかりやすい物語性を帯びていたんだけど、中盤以降の、まさに宮崎アニメ的、としか言いようのない異世界との境界線がたち現れた途端、成長譚とファンタジーが入り混じった物語にモードチェンジします。
作品世界や物語の筋を理解するための様々な要素をごろっと提示するものの、それらの関連性や構造についての説明はかなり抑制的であるため、多くの観客が初見では意味がわからなくて混乱する、あるいは煙に巻かれたような気分になるのも、ある意味しかたないかも。
表題にはあまり引っ張られず、宮崎駿監督の最新作、ということを念頭に入れて鑑賞した方が、展開を受け入れられやすいかも知れません。
食べ物描写、水の表現など、宮崎監督のアニメ作品の独自表現がもはや名人芸の域に達していて、それをスクリーンでつぶさに観察できる、というだけでも劇場に足を運ぶ意義は十二分にあります。公開当初は発売してなかったパンフレットもようやく売店に並ぶようになったので、その意味でも今から鑑賞するのがおすすめ。
宮崎駿の哲学書
宮崎駿はアニメーション監督である。
哲学者は文章で語るが、監督はアニメーションで自分の哲学を語る。
そういう映画だと思う。
だから、新海誠監督の映画のようなエンタメを期待して観た人には総すかんなのだろう。
哲学を辞書で引くと「世界や人生の究極の根本原理を客観的、理性的に追求する学問」とある。
そのままではないか。
この作品を宮崎駿の自伝であり、自分の人生、作品を見つめ直したものだ、と評する人が多いが、ある意味その通りだとも言えるし、そうでは無いとも言える。
そもそも、監督は一旦引退したものの、描くべきものが見つかったとして、この映画を作った。
今まで、生と死、なんとか道を切り開いて生きていく事を主題に作品を作って来た監督の(最後に)描くべきものが自伝というのはどう考えてもおかしい。
自作品のオマージュまで次々と挿入するのもありえない。
では何故、見方によってはそのようにも見える映画を創ったのか。
想像ではあるが、戦後、死に物狂いで生き、血眼で働き(たまたま宮崎駿はアニメーション製作を仕事とした)、この生きづらい世の中をなんとか生きてきた自分の生き様をさらけ出そうと思ったのではないか。
一つのケーススタディとして、或いはメタファーとして。
後半の幻想世界の描写は混沌としていて、物語の秩序も欠いている。
ある意味見方次第でどうにでも取れるように作られている。
死の世界なのか、生まれる前の世界なのか、夢なのか現実なのか、その境界は無く、観るものがどのようにも解釈できるようになっている。
人間は大きな矛盾を抱え生きている。
宮崎監督自身も子供は外で遊ぶべきだというのが自論でありながら、映画館や家で観るアニメーション映画を作っている。
また、氏は戦車や戦闘機の機械や造形を好むが、これが人を殺す兵器だという事にも嗜好性の矛盾を感じていたことも有名な話だ。
(風立ちぬ、はその事も主題の一つにしている)
人間は生きているだけで環境破壊をしているし、生きるために戦争をして他者を殺す。
そうした矛盾を抱えながらも生きていかなければならない。
宮崎監督は戦後なんとか歯を食いしばり生きて来た自分をさらけ出しつつ、生きづらい現代に、むしろ絶望的ともいえる今、未来に、
大きな矛盾を抱えながらもなんとか生きていかなければならない、子供達や若者に、
家族や仲間と力を合わせて生き抜いていく責任を問うているのではないか。
米津玄師と宮崎監督が何度もセッションをし、完成させたという主題歌の題名は「地球」ではなく「地球儀」。
人間が作った地球のミニチュアだ。人間が自分でクルクル回せる地球だ。
この主題歌がこの映画の主題を端的に表していると思う。
「君たちはどう生きるか」というタイトルは自分をさらけ出した上で、「こう生きろ」と決めつけるのでは無く「自分で考えろ」、という宮崎駿からの挑戦状と受け取った。
2023.7.22 チネチッタ川崎
ありがとうございました。
最初に氏の作品に触れたのが、NHKで放映された「未来少年コナン」。大学生のクセに子どものアニメなんか観て、と親にたしなめられながらも、その柔らかい線や元気いっぱいで屈託のない冒険活劇に夢中になってしまいました。他のアニメ作品にはない独特の美しさがあるように思えたのです。
氏の作品の魅力は何なのだろうと思うと・・いろいろありますが、一番芯にあるのが「汲めど尽きせぬ創造の泉」なのだと思います。以前NHKが「崖の上のポニョ」の創作に密着していましたが、最初に確固としたストーリーがあるわけではなくて、一枚の絵を出発点に、呻吟しながらなにものかを生み出してゆく姿がとても印象的でした。
黄泉の国、死後の世界・・後講釈でいろいろ分析されることも多い氏の作品ですが、生み出されたものは合理的に説明できるものばかりでないのは、今回も過去作品も同じで、その本質と魅力はやはり「汲めど尽きせぬ創造の泉」なのだと思います。
それが、観る者の心の奥底の干からびた部分に、いのちを吹き込み、どこかを癒やしてくれる。だから賛否両論というのが、実は私にはよく理解できません。長年おつきあいしてきた者として本作を観て、氏の集大成であるのは多分間違いないと思いました。
最初のオリジナル原作作品「風の谷のナウシカ」の上映は確かミニシアター系の上映だった記憶が・・・。その後も欠かさず、氏の新作が出るたびに、劇場に足を運び、結婚し、娘が生まれ、その娘もジブリ大ファンとなって育ち、先月式をあげ巣立ちました。
今回が本当に最後になるのかはわかりませんが、ご年齢からしてそうなることを想定しながら創作されたのだと推察します。まだ早いかもですが、「ほんとに長い間お世話になりました。」宮崎監督並びにジブリの皆様には、そう申し上げたいです。
この映画の良さは分かる人が分かればいい
ジブリの良さって"美しさ"と"気味悪さ"が混在した独特の世界観と人によって捉えられ方が違うシーンが多く、正解が与えられないところだと思うんですよね。それが過去作品の中で1番感じられた映画でした。
一言で紹介するとしたら、宮崎駿監督が"1人の少年の生き方を描くからみんなで考察し合ってね!"って感じの映画ですね笑
私のこの映画の好きなところは、始めはアオサギが冷徹で不気味、この世のものとは思えない様子で描かれていましたよね。
そこから、まひとと戦ったシーンをきっかけにだんだん打ち解けて人間味がどんどん溢れて色んな表情がでてきます。最終的にまひととアオサギがお互いに認め合っているところがすごく好きです。私はアオサギが1番人間味があって魅力的なキャラクターだなと感じました。
私はこの映画の醍醐味が"内容を理解できない人、強く嫌う人、すごく好きな人"と完全に別れるところだと思うんです。
私の人生の中で"大好きと大嫌いは隣り合わせ"だと思っているのですが、(始めの印象が大嫌いな場合は良くも悪くも強い感情を抱いていて何かをきっかけに大好きになる可能性がある、普通や好き程度の場合は強い感情を抱いていないので転びにくい)正に映画の始めの部分は強く感情を揺さぶられる部分が多くうわ、この映画嫌いかもって思いました。ですが映画が終わったあとには"いやこの映画すっごい好きだわ"に変わっていました。この映画を見たあと、後ろに座っていたカップルの彼女が『私には難しくて全然分かんなかった』って言っていたんです。この映画が作り出すこの映画に対する個々の意見も含めて実に面白いです。
老いたのは自分か宮﨑駿か
公開に先立って観た『千と千尋の神隠し』以来のジブリ作品『風立ちぬ』が望外だったため、期待に胸踊らせて満席の中を観に行った。
結果、レイトショーだったにせよあくびが止まらず、途中から早く終わらないかと念じ続ける様に。
今のところ今年のワースト2(ワースト1は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』)といった評価。
前半はどうにか観られたけど、後半から「おつかいゲー」の如き敷かれたレールの上に沿った展開が続いてウンザリした。
ラストの選択なども誰だってそうするだろう、意外性のない、既視感にまみれたものだった。
監督は最近の作品を観てないんじゃないか、感性をアップデートできてないんじゃないか、という疑惑が終始ついて回った。
(それでも面白ければ口を閉ざしたろうけど、令和の時代においては古臭さ(もちろん悪い意味での)は否めない。)
作画にしても齢を食った今となってはそのカロリーの高さと味付けの濃さに胃もたれしてしまった。
やたら書き込まれてたりヌルヌル動いたりすればいいってもんじゃないな、、、というのが最近のアニメを観ての感想。
たとえば、規模は比べるべくもないが、『夏へのトンネル、さよならの出口』くらいのあっさりした画のほうが好み。
(このへん、写真の台頭によって絵画の主流が写実主義から抽象画へ移ってった傾向に似てるかも。)
百歩譲って芸術性は認めたとしても、娯楽性がサッパリだったのも評価を低くした一因。
(傑作は、まず娯楽性が来て、それから芸術性が来る、が信条なもので。)
エンドロールの米津玄師の歌も『シン・ウルトラマン』の「M八七」と違って1フレーズも記憶に残ってない。
(もっとも、これまで述べてきたように作品自体がひどくて余韻に浸るどころではなかったからかもしれない。)
あと、監督の生い立ちや人間関係などといったメタ情報を知っ“たら”楽しめる、という評価は論外。
(知らなくても楽しめるけど知ったらなお楽しめる、であればわかるが。)
物語を頭に入れた上で改めて観たらひっくり返るかも、という予感が残された一縷の望みだ。
絵だけは綺麗
きつねにつままれた様な展開
「ジブリって昔の方が良かったよね」そうかな?
周りからはあまりいい噂を聞きませんでした。「意味が分かんなかった」「途中で寝ちゃった」など、マイナスな評価を聞いていて、あまり過度な期待をもたず、鑑賞しました。確かに、一見すると意図が伝わりにくいところもありましたし、分かりやすいストーリーではありませんでした。でも自分にとっては、この含みのある表現だったからこそ、より見た価値を得られた気がします。
今年で83歳になる宮崎駿さんにとって、今回が最後の作品になる可能性は高いです。「ジブリは昔の方が良かったよね」なんて言葉をチラホラと耳にすることがあります。宮崎駿さんは高齢でもう楽しい映画を作れなくなったのでしょうか?
私は今回の作品を見て、それは違うと思いました。今回、確かに分かりにくいところもありました。でもただ難解なのではなく、全てが何かに置き換えられるものでした。それが何なのかは人によって違うと思います。明確に描かない分、どんな解釈も許されるし、得られる物も一人ひとり違ってくると思います。一人ひとりが考えられる「解釈の隙間」をあえて残してくれて、それでいて重くならないように、ポップな「ジブリらしさ」も残してくれている、そんな素敵な作品です。今までたくさんの作品を創ってきた宮崎駿さんだからこそ出せる味だと思います。「あれってどういう意味だったんだろう?」と考えて考えて、自分でたどり着いた答えが、この映画を見た価値なのではないかと思います。
私事ですが、一番何回も見たジブリ作品はトトロです。一番好きなのはラピュタです。一番感動したのは千と千尋です。本作「君たちはどう生きるか」は自分にとって、一番真剣に向き合えた映画となりました。
やっぱりジブリは大好きです。
タイトル
無意識の映像化、不条理の昇華と、万物との共生への覚醒
とても固い表現になりましたが、タイトル通りの感想で、大いなる感動を受けました。こんな映画はこれまでに見たことがありません。私的には史上最高傑作です。1回しか見ていませんが2回3回と見たときの新たな感動が予感されます。映像の美しさは言うまでもありません。手描き独特の静止画、動画の世界観がまた格別です。
矛盾や不条理が渦巻く世界でどう生きたらいいのか、というのが中心テーマだと思います。作者が常にこの問いを問い続けたこれまでの人生を、夢を見るように振り返り映像化した作品、と感じました。ということで「夢」というのは論理的な構成にはなり得ませんので、難解という評価もあるとは思います。ただ、見る側に「生き方」を問い続ける経験があったら、間違いなく深い感銘がもたらされることは確信できます。
私としては、この作品を見終えたときに、主人公やその他登場キャラと世界(もっといえば宇宙)との共生というイメージが湧いてきました。次に見たときはもっと別のイメージが湧いてくるかも知れません。そのときはまた投稿させていただきます(笑)。
「君はどう生きるのか。」監督に突きつけられた気がしました。
美術館を回ったあとのように、芸術の力で考えさせられました。また、エンドロールで映画作成に携わったすべての人へ敬意を払う監督の心意気に込み上げるものがありました。
まさに宮崎監督から「君はどう生きるのか。」と言われたようでした。
「俺は地球と生き物たちと共に生きる。」と訴えられた。見てから何日も色んなシーンが蘇って、考えに浸っています。
正解なんてないと考えることをやめた現代人に、監督は混沌の中でもがむしゃらに正解を探る姿を提示してくれたようだ。
信仰・モラルによって防衛する常識人に、監督は信仰によって隠された矛盾を提示してくれたようだ。
しかも、芸術的に。
見終わって何日か、そんな感動がありました。
多様化・自由・国際化…地球に生きる私達が考えなければならない事がこんなにも渋滞してるんだと突きつけられたようでした。
そして、それらから逃げて来た自分,考える力を失いつつあった自分に向き合わせれた時間でした。
もう一つ。
久石譲先生のピアノに心をもっていかれました。
1音で感情の変化を生み出す音の力を感じました。
海の裂け目でメインテーマが流れた時、熱いものが込み上げてきて涙が止まりませんでした。
質の高いアニメーションと音楽。
しかし、それらは手段で…何を伝えるかに一直線な巨匠たちの気概に触れた時間でした。
もう一度映画館で見ます。
公開二日目に
ただたに本当に良かった。人それぞれ感性があるからこそ、まだ心動かさ...
ただたに本当に良かった。人それぞれ感性があるからこそ、まだ心動かされる作品になっていない人も多いかも思うけれど、絶対に死を身近に感じる歳、歳を重ね時に見たら、誰もがこの映画を素晴らしいと感じるようになるんだろうと思った。今まで見た映画で1番心に残る素晴らしい作品でした。
「曇りなき眼で見定めよ」この言葉が浮かんできた
「ダビンチコード」という映画をご存知だろうか。
原作の持つ膨大な情報量を2時間強の尺にぎゅうぎゅうに詰め込んである。
事前にキリスト教に関する知識や歴史的背景などをある程度知っていても初見では理解不能な点が多い難解な映画だ。
これを事前知識無しで見るとしたらハードルは更に上がるだろう。
初見で全ての内容を理解するのはとうてい不可能な作品だ。
そしてこの宮崎駿作品にも同じ事が言えると思う。
事前情報としてはアオサギ男とタイトルの2つだけ。
古代史好きな私が「アオサギ」から連想するのは「エジプトの聖鳥」であること。
「太陽神ラー」や「冥府」との関わりがあること。
そして「あの世のナビゲーター」としての働きだ。
「あの世」の存在とは古代人には普通のことだが現代人にはそうではない。
信じる者には存在するが信じない者には存在しない。
無いと思う人には無いのだ。その点で議論する必要はない。
タイトルについては同名の本が存在し監督自身が熟読しているようだが私はまだ読んだことがない。
検索すると14歳の少年の体験を通して人間はどう生きるべきかを考えるという内容のようだった。
作品を見始めてから中盤に物語の展開が急に早くなる。
グイグイ進むと同時に次々と視覚から脳に情報が押し寄せて来る。
それらひとつひとつを瞬時に脳内のネットワークに広げイメージを膨らませ取捨選択をする。
脳をフル回転させて考える。それがとても楽しかった。
例えば終盤のバランスを取るシーン。美しく形を整えられた石は石工の手によるものと連想できる。
それは「ユダヤ資本による世界経済」のバランス。
「人が影響する地球環境」のバランス。
「人口」のバランスなど。
これらに共通しているのはやはりユダヤ資本だ。
「ガイヤの法則」をベースにするとわかりやすい。
そしてそれをコントロールする初老の彼が身に着けているのはエメラルドだった。
エメラルドは「富と権力」の象徴だ。
ダイヤモンドは研磨技術の進化と共にその価値を高めたが古代ソロモン王の昔から「富と権力」の象徴はエメラルドだった。
仮にこれがサファイアならば「聖職者」を連想し「崇高な理念」を持った人と想像できる。
だがそれはエメラルドだった。
「富と権力」を求める者によって生み出された世界は欲望の増幅を制御できずに崩壊しようとしている。
「13」は古代イスラエルの「12部族」を連想する。
そしてその中の精鋭達を集め彼らの末裔でもある少年によって新たな世界を構築しようとしていると連想できる。
この作品を見終わって想うこと。
それは「曇りなき眼で見定めよ」ということだった。
「石」は西洋文明の象徴であり「物資世界」を表し「木」は東洋文明を象徴し「精神世界」を表す。
この世は長きに渡り物資世界に支配され続け人々は思うがままに欲望を奪い争い食い続けている。
人が人らしくどう生きるかを学ばなければ死して尚も鳥やバケモノと化しあさましい奪い合いを続ける。
そしてその心はずっと飢えたままだ。
そうならないために「人としての在り方」を学び「知恵を磨け」と言っている。
今人類は三たび大きな過ちを繰り返そうとしている。
この先眞人と同じような状況に置かれるかも知れないし理不尽な死に直面することもあるだろう。
だがどんな状況に陥ろうとその不運と思える事柄から何かを学べる心があれば苦難を乗り越えた時清々しくこの世を生き抜いたと幸せに思うのではないか。
そう言っているように想えた。
この世を曇りなき眼で見定めてきたひとりの繊細な芸術家の今至る境地が伝わってくる。素晴らしい作品だった。
意味が分からないと言う人へ。
宮崎駿さんは、昔こんなことを言いました。
「トトロも出来るならビデオもDVDも出したくないんだ。子どもがあれを見て、わたしも森でトトロを探してくる!って言ってくれればいいけど、ビデオなんて作ったら家でそればかり見てしまう。」
要するに、子どもたちには外で遊んで欲しかったわけですね。
また宮崎駿さんは、こんなことも言ってます。
「この過酷な世の中では、ファンタジー映画や本のような子どもが避難できるところが必要だ。」
あえてネタバレはしませんが、レビューで意味が分からないと言ってる人は、この言葉で少しは内容を理解していただけましたか?
本は自分を映す鏡だという言葉があります。
年齢に応じて、見え方がガラリと変わるからです。もしも5年前に読んだ本を再び読んで全く同じ感想しかないなら、それは自分自身が成長していない証拠です。
映画も同じです。
アニメや漫画、児童文学などが好きな人は、この映画がずっと鏡であり続けることでしょう。
長文、失礼しました。
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