君たちはどう生きるかのレビュー・感想・評価
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善く生きるということ
精神的により善く生きて欲しいと伝えることを第一に作成された映画だと感じた。
個人的には、君たちは、親が君たちを誇らしく思えるような善い生き方をしているか?する気はあるか?親として、或いはいつか親になる者として、子供から見て善く生きることができているか?と遠回しに問われた気分になった。
おそらく主人公の母親は、自分の息子は将来こんな風になるのだと、希望を胸に自分の時代に帰ったのだろう。そして主人公に「君たちはどう生きるか」という本を残したのだろう。私個人としては幼稚に見える父親のもとでも、主人公は立派に成長してくれるのだろう。そういう希望を持てた。
ただ、主題を伝えることや、冒頭の火事の主観的な迫力に溢れたアニメーション表現に比べると、物語りそのものには然程力を入れていないように感じた。一部、退屈に感じてしまった。
タイトルの「君たちはどう生きるか」という問いに興味がないなら、退屈な時間が長いと思うので、個人的にはおすすめしない。
鑑賞前にネタバレは踏むなよ!
公開から最初の土曜日に鑑賞。
「ジブリ」「宮崎駿」「新作」というだけで、それ以外の情報が出ないまま公開を迎えた作品。
きっと多くのジブリファンがこの日を楽しみに待っていたのではないでしょうか。
そういう前置きがあって、まっさらな状態で鑑賞できたのは楽しい映画体験だった。
きっとネタバレ観たら変に身構えちゃって観なかったかもしれないので、先入観無く観れてよかった。
なんか不思議な作品だけど、やっぱりこれはジブリだ!という作品。
過去作のセルフオマージュが詰まっているので、ここはあの作品のオマージュかな?って考えながら見るのは面白い。
ストーリーに関しては自叙伝という感想もあるし、たしかにそんな気がする。色々な解釈がありそうだし、賛否が分かれるのも納得できる。
子供向けでは無いし、かといって大人でも理解するのは難しい・・・主人公の心理描写もほとんど無いし、感情移入出来ない。
不思議な作品だけど、ちゃんとジブリ。
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個人的な解釈としては、青サギは生まれてくる義弟なんじゃないかなと思った。最後青い帽子?被ってたし・・・
あの世界の後継者として引き込んだのが筋だとは思うけど、その後に後妻の夏子さんまで失踪するから2人の蟠りを溶かすための目的もあるのかなって・・・
ストーリーが…
面白いか面白くないかと言えば面白くない…ストーリーがあるようでない。タイトルからどう生きるかを問う物語を想像していたけれど、多分そうなのだろうけど、?。昭和の戦争中が舞台なので、かなり年配の人にはいいかもだけど、かなり大人向けで、かわいいキャラクターも登場するけど10代では楽しめないと思う。前列に座った小学生を連れた4人家族、なんだかかわいそうだった。前情報もほとんどなく、パンフレットも後日発売、エンドロールも不親切で、これはもう一度見て確認してねってことなのでしょうか。そういう不親切が低評価に繋がった。もちろんもう一回観るより他のホラー映画観た方がまし。
アニメ史に残る"兵馬俑"
「君たちはどう生きるか」。
もっともジブリらしい画がいっぱい詰まっていた。宮﨑駿が創ってきたキャラクターたちの再現しかり、ジブリ映画の声優たちしかり、冒険ファンタジーへの誘導しかり、その夢物語から醒めるとき、それらに久石譲の鎮魂歌が寄り添う。
宮﨑駿が世に提示してきた数々の斬新な(かつて斬新だった)表現の宝箱。いまや当たり前になってしまった技術は、まさしく宮﨑駿が創ってきた手描きの美学である。
そして、それらを支えるのはジブリに関わってきたアニメーターたちの再集結。エンドロールの文字がいちばん泣けた。
宮﨑駿のために集まった卒業生たちによる豪華絢爛な副葬品の数々。さしずめスタジオジブリによる”兵馬俑”のような趣きに圧倒される。
作品の好き嫌いは明快に分かれるであろう。あなたは"宮﨑駿"が好きかどうかを問われている。まさに("宮﨑駿"なきアニメの未来に)、「君たちはどう生きるか?」である。
"現代日本人は皆アダルトチルドレンだ"という、本質を突いているような作品でもあり、主人公が男の子ゆえにマザコンアニメのそしりを免れない。本作に嫌悪感を抱くとしたら、その指摘が妙に当たっているからだろう。
アニメ史に残る"兵馬俑"。ウォルトなきディズニーランドのように、100年後もジブリパークは続いていくかもしれないが、レジェンド宮﨑駿とともに一時代を楽しませていただいたことに感謝する。
(2023/7/14/ユナイテッドシネマ豊洲/Screen10/H-18/シネスコ)
この作品の評価は、作家宮﨑駿の死後に定まる
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80歳を超えた宮﨑さんには、新たに何が見えているのだろう?
この世とあの世のあいだにある世界は確実に近づき親しみのある形で見えているのだろうか?
すでに老いた人たちにとって、未来に生まれてくる子どもたちは本当に希望なのかあるいはぼんやりとした絶望なのか?
宮﨑さんは引き潮の砂浜に城を作っては壊し
そしてまた新しい城を作る
その時にしかできない閃きと感性と新しい素材で作りはじめては、完成する頃には「これではない」とどこかで悟ってしまう
だから哀しい
でも刹那に見た夢だからこそ作品は美しい
滅びの予感の中でまた新しい光を放つ
今はそれがどんな形であれ、われわれは作家宮﨑駿の新作を見ることができたということを寿げばよい
新たな作品が生まれたのだ
そしてこの作品の評価は、作家宮﨑駿の死後に定まる
これは同時代の私たちに向けたメッセージだったのか、まだ生まれてもいない未来の人々に向けた問いかけだったのか?
いずれ彼の旅を辿る中でわかるだろう
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見終わって隣のヤングな男の子3名が意味わからない…と頭を抱えていた
わからないまま持ち帰ればいいのだ
すぐにわからなくてもやがてじわじわとえも言われぬ滋味を感じられるかも知れない
他人と共感できる言葉を探す必要はない
自分だけでその味を密かに噛みしめればいいのだ
映画はSNSのネタでもなくコミュニケーションツールでもない
個人的な経験なんだもん
ありがとう。
観終わった直後は、既視感が凄かったです。隣の観客はイビキかいて寝落ち。娯楽作品としてはイマイチな部類と思う。
ただ、個人的には好きです。
表のストーリーについては、何となく分かります。マヒトはお母さんが死んだ後、非常に危うい状態だった。絶望に飲み込まれかけていた。更にマヒトの生きた時代は戦争があり困難多く、そういう岐路に立たされた時、それを自覚して、精神世界にこもるんじゃなくて、人とつながり、人の思いを感じ、役割を果たすためにどう生きるかがとても大切なんだよというメッセージ。
もう一つは、若いアニメーターへ向けたメッセージのようにも思いました。
以前、Cutか何かで宮崎さんのインタビュー記事を読んだのですが。若いアニメーターに炎を描く仕事を任せたんだけど、どうしても炎が描けない。画力は素晴らしく、絵は僕よりずっと上手なんですけど、と。よくよく話を聞いたら、焚き火をしたことも無いし、キャンプの経験もほとんど無いと言う。で、焚き火をして燃える様子を体感させましたと。体が経験してないと、絵が上手いだけじゃ表現できないんです、物語のどういうシーンの炎なのか?キャラクターがどんな心情でいるのか?それによっても描き方が変わるので、と。
それって、表現する仕事に携わる人間は、妄想とか想像だけじゃなくて、現実世界で五感を通じて体験したり、人の心をちゃんと感じ取れる感性や、見極められる曇りなき眼が必要ということ。産屋で苦しみながら、丸裸の正直な自分と向き合って、悪意や負の感情で揉みくちゃになって作品を生み出す、大変な仕事。それを志す若者たちに、自分はこうやって、こんな作品を作ってきたけど、君たちは?この困難の世界で君たちは何を作る?と。
火といえば、作品序盤の、火事に飛び起きてお母さんを助けに行くシーンが素晴らしかったです。凄かったなぁ…。あれくらい強烈に描かないと後々の「どう生きるか?」というのが説得力無いですもんね。
あと、音や質感の表現が今までの作品より強調されていると感じました。音をずいぶん丁寧につけてるな、という印象で、ちょっとうるさく感じるくらい。生きてる実感、みたいなことか。気のせいだろうか。久々に映画館だったから、音響が良くてそんな風に感じただけ??
あと、私はアラフィフなのですが、若い頃のキリコさんの姿を見て、若さというか、たくましさ、エネルギーに溢れている時代というのは、本当にあっという間に過ぎ去るのだ…と強く思いました。人生は短い。老いた婆々たちの姿が自分と重なりました。
若いキリコさん、抜群にカッコよかったです。海で、風や波をつかまえて、力強く船を操る彼女の描写は素晴らしい。惚れ惚れしました。漁師とか、海の民を渋くじっくり描いた作品を見てみたかったです。
未来少年コナンを幼少期からテレビで見て育ち、ナウシカを映画館で見て、それからずっと宮崎駿作品とともに(というのはおこがましいが)生きてきました。私もすっかりおばさんになりました。宮崎駿さんが本当に引退される時が近づいていると感じました。いつも夏休みが待ち遠しかった。夏にジブリの新作を毎年見るのが、もはや当たり前という子ども時代だった。本当にジブリが大好きでした。面白い漫画やアニメはたくさんありますが、宮崎駿さんは私にとって特別です。ありがとう、ジブリ。ありがとう宮崎駿。
パンフレットが出たらぜひ購入したいと思います。
追記:もう何回見たか分からない全盛期の名作を見たくなってしまい、ナウシカ、ラピュタ…と一つずつ噛み締めながら鑑賞中。涙が止まりません。どうしよう。13作品コンプリートしちゃうかも。仕事あるのに…
ジブリの新作のない世界でどう生きるか
宮崎駿監督の幼少期〜現在までを追体験する映画。
宮崎監督の苦悩や怒り、そして優しさを感じました。
色とりどりのインコが飛び立つ時は広がる世界へ背中を押してくれてる様に感じました。
この作品で改めて引退を宣言している様に感じました。
ジブリ作品と一緒に育った身としては寂しくもありますが、「ありがとうございました。お疲れ様でした。」とエンドロールを観ながら思いました。
宮崎駿はどうしたのか
冒頭20分だけ、期待して見ていたのは。
それ以降は期待を裏切るブチ壊し内容
これが宮崎駿作品の最後で良いのだろうか。
最後の最後で駄作・凡作・愚作となりえるものになってしまった。
全てが全部裏目に出ている感
その時代とファンタジーを掛け合わせてはいけない。
いつもなら何かを考えさせられ、最後にはある程度の答えを教えてくれるが、今作は
考えて考えて最後に答えが全くわからない状態での終わり。
何を伝えたいのか、伝えたかったのか。全くわからない。
エンディングの米津玄師もまた宮崎作品感ではない。
じゃない感ばかり。
そして思ったこととして考えすぎだろうか・・・
今作過去の宮崎作品のネタが散りばめられている感が。
それがまた宮崎駿最後の作品という信憑性を高めている。
この作品を最後にしてはいけない。
また集大成と言えるものを描いてほしい。
見る側として消化不良過ぎる。
そんな作品
宮崎作品のごった煮(オタク向け)
ファンサービスが多く、豪華声優陣、大人気歌手による主題歌とてんこ盛りな一品。
漫画版ナウシカとシュナの旅好きなオタクにはたまらないオタク向きな作品。
コンプレックスをようやく克服し、楽しく充実した老後を過ごすお爺ちゃんが、人生の総決算を映画を通して行っているため大変ごった煮である。
子供には少々長すぎる。
人は老年期になると、人生の総決算をする。宮崎監督は、映画を創作することで人生の総決算をしているようだった。
宮崎監督の作品は、監督のその時の状態がよくわかる。
正直、ポニョと風立ちぬは、監督の過去や母親へのコンプレックスを癒やすための作品としか思えず、あまり好きではなかったが、今作では、久しぶりにコンプレックスを作品として昇華してきた。
監督の中で、過去や母との関係に区切りがついたのだろう。
それでもきっと、未だに母親の夢を見るのだろうな。
珍しく、他の作品を連想させるシーンがとても多い。しかも、明らかに見る人が分かるようにやっている。ファンサービスだ。
そこに、変な説教臭さや、顕示欲は感じなかった。監督自身も楽しんでいることが伝わってきた。
監督が、前向きに、楽しく、息をするように、昔に思いを馳せながら、のびのびと創作しているなと感じられた作品だった。
あれが、自分の偉業を見せつけるためのものだとしたら、逆によくあそこまでささやかにやるなあ。
そして今作は、声優に人気俳優、主題歌も人気歌手と、宮崎監督がまるで普通の監督みたいなことができるようになっていることに驚いた。
この歳で、こんな方向転換ができるなんて、やっぱりとんでもない人だ。
内容に関しては、特に難解とは思わなかった。
今、漫画ナウシカと、シュナの旅を子供にも見せられるようにするならこう表現するんだなと分かる。
手を切り落とされてすすり泣いていた人食いや、蟲使いは、インコになった。
墓所は血を吹き出さなかった。
でも、やっぱりベースはここなんだな。
わかりやすい冒険活劇だけを創る人ではない。破壊と慈悲の混沌の人だ。
監督は、変わっていないなと、嬉しくなった。
しかし、他の作品ではカットしただろうシーンがいくつもあった。風立ちぬのような感じだ。今の宮崎監督はここを描くことに価値を感じるのだと興味深かった。まだ解明されていない老年期の特徴の1つなのかもしれない。
そんなわけで、お子様には少し長すぎるので、一緒に見た小学2年生は残り30分で飽きていた。
お子様には長すぎて、かと言って大人が求めるジブリとも違う。
オタク向けの宮崎映画だった。監督が戻ってきて、オタク向けの映画を作ってくれたのは素直に嬉しい。
個人的には、もののけ姫や千と千尋ほどの胸のヒリヒリや、ハウルほどのときめきも感じない。もう1度見れば、見えなかった細部は見えるかもしれないが、2度目の映画館には行かなくてもいいなと思う。
映画館に行くより、ナウシカを読んだほうが早そうだ。
気に入ったポイントは、インコの鼻息と、包丁を研ぐインコ。
駄目お父さんキムタク、素晴らしい説得力の火野正平。
意外と菅田将暉は滑舌が良くはないとわかったところだ。
いいごった煮だった。
宮崎論
うん、難しい。
うん、確かに多くの人が言うように、解釈しづらいシーンの連続ですよ、サギは何者?とか、あの人物は誰?何?とか。
まあ、一部は調べれば解る事も有るんですけど、例えば父の再婚相手が母の妹とか、戦時中は戦死者の兄弟と再婚するって普通に有ったそうです。
で、上に書いた理解の難しいシーンなんですが、たぶんアレってマヒトの精神内のお話、つまりは宮崎駿の心の中での出来事だと思うんです。
だとしたら理解出来無くて当たり前ですよ、個人のイメージなんだもん。ちゃんと意味は有るんだろうけどたぶん解んなくても良いと思うんです、マヒトの意志さえ汲み取れば良いと思うんです。
マヒトがイメージの世界に入った瞬間って、石で頭殴ったトコからですよね、作画にこだわる宮崎駿があんな不自然な大量出血ですよ、あれは心の出血なんじゃないでしょうか。
母の死、父の再婚、新しい母、戦争の道具を作る父の仕事、そして何よりずるい自分自身。
マヒトはそれら全てが許せず、それらと対峙する世界に入ったんじゃないでしょうか、言わば冒険です。
そうそう未来少年コナン以降の宮崎作品に登場する男性主人公って全て宮崎駿本人だと思うんですよ、コナンもパズーもトンボもアシタカも、ルパンですら。
無垢な少年が少女と出会い、少女は世界の秘密のカギを握っており、2人は冒険に出て、仲間の協力を得たりして、冒険の末世界の秘密を知り、決着を付ける、そして平和が訪れた故郷へ着地。
たぶん宮崎作品てコレなんですよ、少年は宮崎駿本人。
さて、今作で少女の正体が解りました。
やっぱ母だったんですよラナもクラリスもナウシカもサンも。
ジブリという文学
多くの方が指摘するように、本作品は純粋なSFとして鑑賞するにはやはり文脈に無理があります。一方、本作品を宮崎駿による何らかの表現として受け止めようとすれば、そこには豊かな体験があるように思います。
宮崎駿をゴール・D・ロジャーとすれば、最終作となる本作品こそがワンピースです。これまで長い間旅をしてきた我々は、そこから無理矢理にでも何かを得ようとすべきでしょう。
この映画は、受け取り手による広い解釈の余地と、巨匠・宮崎駿から世界への明確な問題提起を含んだ、まさに文学のような作品だと感じます。
この解釈の余地の広さを「何が起きているか分からない」と酷評するレビュワーもいれば、宮崎氏が純度100%の世界観に乗せたメッセージを受け取り「集大成」と太鼓判を押すレビュワーもいることでしょう。
近年、マンガ・アニメを問わず「分かりやすい」作品が好まれる傾向にあると思います。作品内で起こる出来事に対して鑑賞者は「考察」を行い、それに対する答えが作品の内外で「解説」される。この合理性が作品のクオリティとして評価される世の中で、例えばエヴァンゲリオンのように、超常現象を超常現象としてありのまま受け入れるような鑑賞態度は、流行りではないのかも知れません。
では、そんな「何が起きているか分からない」世界を通じて宮崎氏が伝えたかったメッセージは何か。本作品でたった一つ、この点にだけは解釈の余地は無いはずです。【君たちはどう生きるか】
前置きが長くなりましたが、以下、メッセージを解釈する上で中心となるポイントを2点ほど述べます。
①象徴である「石」について
本作品では「石」が象徴的なモチーフとして描かれます。マヒトの頭を傷付けた「石」は、自らを被害者たらしめんとする姑息な悪意の象徴であり、大叔父が世界を維持するツールとしてマヒトに初めに差し出した「石」は、"墓石と同じく"悪意に満ちたものでした。
「石」は死であり、悪である。そんな世界の中で、人を喰らって死を与えるインコ達は「石」造りの建物に住まい、命が誕生する"産屋"への立ち入りは禁忌とされます。この"産屋"という呼称は、出産を穢れとした現実の時代を彷彿とさせ、この風習の暴力性が「石」によって風刺されているようにも思えます。
差し出された「石」に悪意が満ちていることを見抜いたマヒトに対する、大叔父の「それが分かるマヒトにこそ跡を継いで欲しい」という旨の発言から、宮崎氏は世界が悪意のない形で保たれることを望んでおり、また恐らく現実は残念ながらそうでは無いと考えていることが読み取れるように思います。
②マヒト達の選択について
大叔父は積み木を積み上げることで世界を維持しており、その後継としてマヒトに目を付けます。物語終盤、大叔父はマヒトに対し、元の世界に戻るか、積み木(悪意に染まっていない石)を積み上げて世界を維持するか、という2択を迫り、マヒトは元の世界に戻る選択をします。この時、大叔父は「世界は崩壊に向かい、火に包まれるぞ」という旨の忠告をします。
また、マヒトの母であるヒミも、戻ればまた死ぬことになるというマヒトの制止を他所に、それでも元の世界に戻る選択をします。
マヒトとヒミという2人の選択は、破滅に向かっていると知りながら自らの物語から逸れることはできない、我々現代人の生き方や現代社会を象徴しているように思います。
この映画を観た私はどう生きるか、考えずにはいられません。
足跡を結ぶ、桁違いのイメージと表現力
世界観に目が向きがちだが、宮崎駿の凄さは脚本・構成・編集の巧みさにあると思う。無駄がなく、テンポよく話を進めていく力。一切の冗長さがないから、物語が激しく展開してもどこまでもわかりやすい。濁りやノイズのないストーリーテリング。世界の映画史上、最高峰の才能である理由。エンタメ作家としての比類なき力。
その手法で日本映画の最高峰に辿り着いた後、宮崎駿は構造的な物語づくりから、豊かなイメージや表現の追求へとシフトしていく。主観としては「ハウル」あたりからか。明らかに作風は変化し、心情的・観念的なイメージづくりが目立ってきた。
その方向性が無骨に発露したのが「ポニョ」。あれだけわかりやすい作品を作ってきた監督が、意味不明で観念的な、物語よりも表現を重視した作品を仕上げてきた。ちとおかしくなったのかな、なんて思いもしたが、いま思えば明らかに作品の比重が変化していた。失敗作とは言わずとも、まだ仕上がってなかったのだなと今になれば思える早すぎたカルト作品だ。
そして本作である。
ネタバレ厳禁ともあるが、そもそもバレて困るネタがあるような話ではない。少年の単なる成長物語。「千と千尋」と内容は大して変わらない。
あえて言うなればそんな「大したことない話」をここまで豊かなイメージと想像力、そして表現に落とし込んでみせた手腕。細かいところがよくわからないが、そもそも説明する気すらないように見える。しかし目の前に展開するイメージと映像表現は、他の作品に比類しない圧倒的なもの(「2001年宇宙の旅」を思い起こすような感触)。「ポニョ」では形になっていなかった、未到の映像表現の塊がここにある。「わかる/わからない」なんて土俵にそもそもいない。
自身の過去作の表現をオマージュ的に取り上げながら、映像作家としての圧倒的な力量の差を関係者に見せつけて。これまでの足跡を見事に一つの形にまとめてみせて。これで引退作と言うならあまりに憎らしくて格好いい。ストーリーテラーだけでなく、映像表現者としても、映画史の最高峰にいたんだ。この偏屈じじいは。
「宮崎駿」という名前だけで、映画を評価してはならないと思う
映画の内容を一言で言えば、「アシタカが主人公の不思議の国のアリス」って感じ。
上記を面白そうだと思うなら、この映画を楽しめる人だと思う。
僕は楽しめなかった。
不思議世界が支離滅裂なのはアリスと同じだとして、アリスと違って主人公は華もないし、リアクションも薄いし、暗いし。
主人公のリアクションが薄いから、不思議体験の数々に、全然感情移入して驚けない。
結局「墓のぬし」ってなんだったんだ?
主人公は暗いし、登場人物は嫌な人ばかり。
後妻の母親なんて、「あなたなんか嫌いよ!」って、母親が子供に何言ってんの?
映画館で子供が見たらショック受けるよ。
毒親気味の父親、学校でのイジメ、欲深い老婆たち、支離滅裂な不思議世界
↑これはほんとに、あの子供たちに夢を与え続けてきた宮崎駿の作品なのだろうか。
この内容で無名の映画監督だったら、みんな底評価してると思う。
なぜなら、高評価の内容のほとんどが、「宮崎駿」ありきのものばかりだから。
でも、僕も宮崎駿ファンだからこそ、監督の名前だけで作品を評価するのは、かえって失礼だと思うので、今回はあえて底評価をつけさせてもらった。
君たちはこの映画をどう見るのか
美麗で表現豊かな映像は流石ジブリという感じ。ストーリーも理解できない程ではない。しかし決して、面白い映画だったとは言えない。ストーリーの大筋は一貫とせず、”上手で綺麗な絵”がある場所に、主観が移動するだけ。登場人物に人情味はあるが、結局のところ背景に動かされているようにしか見えない。過去のジブリ作品と比較すれば、最低の出来であったと言わざるを得ないだろう。君たちはどう生きるかと問う前に、私はこの映画をどう見ればよいのか教えて欲しかった。
良かった
現実世界から、ファンタジー世界へ。
徐々に移行する描写が良い。
最後は現実世界に。
ラストシーンは、タイトルにもフィットする引き絵。
「君たちはどう作って行くのか」
(生きる事は作ること)
とも受け取れる。
メインテーマは冥界下り。
産屋の御幣的ガーランド、母親と火、
個人的には鳥を地下世界の住人とした事も含め日本神話的に感じた。
(神使に鳥は多い)
行って戻ってくるUターン物語における安心感を改めて再確認した。
(Iターンも勿論魅力的ではあるが)
個人的に好きと思った表現は、
伊邪那美伊邪那岐神話内冥界下りにおける"千人殺す、千五百人産む"は、"二柱における繋がり続ける約束"と解釈しているので、
ふわふわの白いのが生まれに行く表現はとても好きだと思った。
主人公が、学校に行くのが嫌で(嫌な理由は諸々あろう)自傷した件のくだりは、原作のコペルくんの後悔を彷彿とさせる。
感情に任せて間違った行いをする事はある。
人間とはそうである。
そうした僕らの手に石の積み木がある。
「君たちはどう生きるか」
世界を良くする作品を、僕達は作れるのだろうか。
(世界を良くする行動を、僕達は選びとっていけるだろうか)
鑑賞者への問い掛けを感じた。
いつもの訳の分からなさ(笑)
宮崎監督作品は話題になった数本しか観ていませんでした。
そして、いつも頭の中が「???」だらけで終わるのです。
今回も、もちろんそうでした。
宮崎監督が見た夢の話を観せられてるのか?どう生きるも何も、俺は俺の生きたいように生きる!と思います。映画と関係ないけど(笑)
人に薦めるかというと無理。理解できた人は楽しめるのかも。
今までの作品が、わかりやすく、共感できるものであったが、今回はそうではなかった。それだけ。
おまけに、鉄板の音楽も全く印象に残らず、、。
パンフレットもないし、よく分からんというのが感想。
しかし、これでいい。
理解して欲しいと思ってない。作って観せたいものを出しただけ。興行的に成功したいとかは、考えてないと思う。
関係者の皆さん、お疲れ様でした。
強いて言うなら、配役と声優さんの名前くらい見たかったな。
亡くなったお母さんのお名前くらい、エンドクレジットで知りたかったな。
青鷺がなんなのか?あんなにおばあさんを出す理由は?なぜなつこさんが、あんなにサイコな感じになったのか?帰りたく無いと言った理由は?
なんでペリカン大群出したかったのか?
いろいろ、分からなかったので、共感もできないし、人にもお薦めできる映画ではなかったです。
人に薦められるかどうかの評価では、⭐️1です。
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