「鑑賞後、1週間経ってもふと咀嚼して考えてしまう作品」君たちはどう生きるか 芋と餅さんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞後、1週間経ってもふと咀嚼して考えてしまう作品
他のレビューの方が言っている通り、分かり易い作品ではなく、感情移入しやすい作品ではありません。
だからこそ、大多数の作品で行われている『見てる時間だけで完結する楽しさ』を求める人にとってはnot for meになってしまって当然なんだと思います。
私は正直、視聴中は理解がまったく追い付きませんでした。
とても処理しきれない情報量の多いスクリーンを必死に見て、聞いて、脳を常にフル回転させていたので、見た直後の感想としては「疲れた」や「熱がある時に観る夢みたいだった」でした。
俗に言う、「訳わかんなかった」と同じ感想です。
でも、不思議と「つまらない」とは思いませんでした。
元々、鑑賞後に更に咀嚼して沢山考えたり発見したりできる作品が嫌いではなかった私にとって、噛めるけどとんでもなく硬くて、でも味が消えることの無い、なんなら味がどんどん変わっていく謎のお菓子みたいな作品でした。
鑑賞後1週間経ちましたが、未だにふとこの映画のことを考えてしまっています。
1週間、自分なりに沢山咀嚼しました。
また見たら、その時は感じ方が違うかもしれない。
そんな風にちょっとワクワクしている自分がいます。
週末、もう一回見て来よう。
そう思わせてくれる、貴重で不思議な作品でした。
【7/27追記】
本日、2回目見てきました。
改めて見た上での印象を書きます。ネタバレはありません。
改めて見て確信したのですが、後半部分の情報量がアホです笑
その上、全てにおいて明確な説明がありませんので、初見の時に私の頭で処理しきれなくて当然でした。
後半部分だけで映画3本くらい作れそうでした。
初見の時よりは見逃すまいという緊張感が無く、リラックスして見られたのもあって、普通に宮﨑作品として楽しめました。
どんなに思考を巡らせ咀嚼しても、分からないところは分かりませんでした。
でも、それでも、それでいいのかも知れないと思わせてくれるほど、楽しかった、良い映像体験が出来た、と思い劇場を後にできました。
咀嚼してからまた足を運んでよかったと、心から思いました。
余談ですが、近くにいた小学生くらいのお子さんが上映終了後に「夢の中みたいだったねー!」と弾む声で親御さんに声をかけていたを目にしました。
難しいから子どもに向かない、という声もありますが、分かろうと必死になってしまいパンクしてしまう大人より向いているのかも知れないな、と思ったりもしました。
今は作品を見て同じように咀嚼した友人と語りたい気持ちでいっぱいです。
おはようございます。
追記中の、近くにいたお子さんの声
「夢の中みたいだったねー!」に胸が熱くなりました。昔、息子がいったことばをおもいだしたのです。
こどもはこどもなりの感性で、なにかを拾ってくるんですよね。大人が求めるものとはまた違い。それも
良し。本作は小さな子に難しいなあと私も思っていました。でも、このレビューを読み思い出にも浸り、そうだ〜と気持ちを変えることができました。