「美しい文字」せかいのおきく ぷにゃぷにゃさんの映画レビュー(感想・評価)
美しい文字
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意外なことに、映画館が満席だった。地味な作品だから人気ないかと思ってた。ちょっとうれしい誤算。
モノクロの映像が美しい。日本にまだこんな風景が残っていたなんて。空も川も雨も美しい。おきくの書く文字も美しい。タイトルロゴの文字も美しい。
トイレがあふれたら困るのに、それを汲みとってくれる人への、人々の態度。武家屋敷の門番なんて、むかつくわ。お前のクソが高いわけじゃないだろ。
あと数年したら、世の中ひっくり返り、おきくと中次の身分の差なんて関係なくなる。若者には未来がある。矢亮だって、がんばれば講談師になれる。3人の行く末に幸多かれと願う。
黒木華のくるくると変わる表情、ジタバタ、障子に耳をすませる姿、みんなかわいい。寛一郎の目、お父さんとそっくり。池松壮亮の筋肉にドキっとした。肉体労働者のリアルがあった。
ほんの150年前の暮らしは、こんな感じだったのだろう。庶民の生活を飾らずに描いた、野の花のような作品だった。
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ゆり。さんのコメント
2023年5月11日
門番の「なんだ、おわい屋か」は憎らしかったですね。世の中がひっくり返って、汲み取り業者にお金を払って汲み取ってもらうようになったのはいつからなんだろう、と思いましたがとにかく希望がある終わり方が良かったです。
野の花のような作品、素敵な表現ですね。