劇場公開日 2023年4月28日

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「クソ喰らえ!」せかいのおきく サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5クソ喰らえ!

2023年5月2日
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鑑賞方法:映画館

笑える

単純

幸せ

黒木華が主演というよりも、池松壮亮が主演でした。圧倒的出演シーンの差。物語もおきくさんの話っていうか、糞の話ですし。にしても、「シン・仮面ライダー」からのギャップが凄い。いやぁ、俳優ってすごいな〜。これだから映画ってもんは面白い。同じ映画というジャンルでも、まるで違うんだもん。

しかし、黒木華の演技は絶大。
「イチケイのカラス」やら「ヴィレッジ」やら、出演作が後を絶たない、今の邦画界で最も売れっ子といってもいい黒木華。その理由は明らか。表現の豊かさだ。主人公・おきくはとある出来事により、声を失ってしまうのだが、彼女が声を失ってからの表情や身振り素振りがまぁ素晴らしいこと。苦しい境遇に立たされているのに、人生を全力で楽しもうとするおきくさんの強さに胸をうたれる。優れた演出も相まって、そんな彼女の姿を見ているとなぜだかクスッと笑える。無邪気で、人間らしくて、ドジでバカだけど最高にカッコイイ。驚くほど引かれる表現力でした。

糞を買い取り、糞を売る仕事をするふたりの男。
便所から糞を取り除くことでお金を貰っていると思いきや、売ることでお金を貰っていたんだね。最初、訳が分からなかった笑 この仕事を通して、〈偏見〉という虐めの醜さを描いており、おきくさんの恋愛模様よりも、強く伝えたかった気がした。池松壮亮のキャラがすごく立っているし、すっげぇ人間臭くて好き。寛一郎もなかなか良くなってきました。

印象深いシーンはあるものの、物足りない。尺が短いってのもあるし、展開が薄い。もっと面白くできただろうけど、糞の仕事というインパクトと役者の魅力を引き出すのでいっぱいいっぱいって感じがした。時代劇としての面白味はあまり無いかな。石橋蓮司や佐藤浩市、加えて2人の恋愛模様の描きが雑だしね。同じシーンを何回も見せられている気もしちゃった。

心温まる作品ではあるけど、もうちょい上手くできたかな。今後の邦画界を牽引していくであろう、黒木華と池松壮亮の魅力が詰まった映画であるため、価値はある。2人のファンはぜひ。

サプライズ