「生き抜くエネルギーに満ち溢れた「せかい」」せかいのおきく うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
生き抜くエネルギーに満ち溢れた「せかい」
世の道理を貫いた父、重傷を負っても新しい生き方を模索するおきく、仕事柄蔑まれながらも夢や前進をあきらめない汚穢屋コンビ、一癖も二癖もある長屋の面々など、愚痴りながらも厳しい暮らしを前向きに生き抜こうとする市井の人々の活力が眩しい作品だった。登場人物達の、ポジティブ過ぎない、少しずつ地道に前に進み続ける姿が非常に良かった。
おきくの成長を、強気で気位の高いツンツンの顔、負傷してふさぎ込む顔、新しい生活に馴染み大人になっていく顔、恋する乙女の顔…様々な表情を通して表現した黒木華さんの繊細な演技が光っていた。
だからこそ、いきなりおきくが恋をするところから始まるのが勿体ないとも感じた。きっと黒木さんならツンツン娘がじわじわときめいていく様子を表現してくれたのではないだろうか。
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