いつかの君にもわかることのレビュー・感想・評価
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いつくしみ深い、宝物のような父と子の絆
命尽きるまでの時間で「息子のために何ができるか」を全力で考え行動する若い父親と、父の思いを全力で受け止めようとする幼い息子との、宝物のような「関係性」と「時間」を追った素晴らしい作品でした。
「泣かせ」の要素はほぼ皆無で、全編非常に抑制の効いた演出が貫かれています。
しかし、父と子が二人で過ごす何気ない日常の描写が、そして息子が時折見せる、何とも言えぬさまざまな表情が、物語を雄弁に語ります。
また、彼ら二人の日常は極めて慎ましく貧しいですが、優しさと温かさに溢れています。
誕生日ケーキの材料をスーパーで買い、手作りケーキにマイケルが赤いロウソクばかり34本挿して祝うシーン、
父のタトゥーと同じようにカラーペンでマイケルが自分の腕に模様を描くシーン、
具合が悪く(あるいは疲れて)寝ているジョンに何度も毛布をかけ直し、それに気づいてジョンが「おいで」とマイケルを抱きしめるシーン、
みんなみんな慈しみ深く、何物にも変え難いプレシャスな時間の描写が紡ぎ出されています。
父親のジョンは窓拭きの仕事をして生活していますが、窓からの人々の暮らしぶりや風景を見て「自分の生活」との差を感じる彼の思い、少しだけ自身の口で語られる、決して幸せとは言えない生い立ちも段々とわかってきます。
それらも併せて映画が投げかけることで、また一段と胸のつぶれる思いにかられます。
大好きなパパと、愛する息子と、二人で過ごせる時間はあと少ししかありません。
残された時間で懸命に息子の里親を探そうとするジョン、連れ回される息子のマイケルにとってそのことは嫌に決まっているし、理解するのはあまりに難しいことだと思うのですが、物語が進むに連れて、4歳の子供が自身の理解力で受容する態度に変化して行く、そんな子供の持つ可能性や希望の片鱗が見える、奇跡のようなラストが待っています。
父が息子に対して、真摯に「これから何が起きるか」を語る場面はこの映画の白眉です。
息子(マイケル)に恐竜が死ぬ絵本を読み聞かせながら、
⚫︎「死ぬ」こととはどういうことで、
⚫︎それは生きるものにはすべて避けて通れないことであり、
⚫︎「死んだら中身は空っぽで身体だけになる」ことを、
説明の時間の少し前に虫が死ぬことを体験した息子にもわかるよう、きちんと説明します。
(4歳のマイケルには死の説明が悲しみに直結する程の感情の醸成がない分、かえって理解できることになるのではないかと感じました)
ジョンが未来のマイケルへの手紙や思い出の品、写真を箱に準備しているシーンは「いよいよなのか…」とこちら側も覚悟を求められますが、こんな風にきちんと準備することの大切さも、スクリーンを通してとても素直に頭に入ってきます。
過剰な演出や台詞が盛り込まれる映画も多い中、説明的演出をきっぱりと排除し、削ぎ落とされた映画の中身と、まるで本当の親子と思える主役の父と子の姿は心に深く深く入り込み、この映画の力にとにかく圧倒されました。
最後にもう一つ、情感に訴える音楽が素晴らしいものでした。この音楽の効果もあって、さらに涙が止まらず。ギターのもの悲しい音色が堪りませんでした。
これまで何百本も映画を観ていますが、劇場を出た後に思い出し、帰り道にまた何度も泣いた映画でした。今のところ、今年の一番どころかオールタイムベストになりそうな映画です。
これ、来年の分ね
最近、映画で泣きすぎだろ、自分...。
予告から「これ絶対泣ける映画だろ!」と思っていましたが、案の定でした。泣かせようとしてない演出が、より涙を誘う。間違いなく、いい作品です。
このマイケルという男の子がめちゃくちゃ可愛くて、めちゃくちゃ純粋で、こんな子を置いていかなければならないのはあまりにも悲しすぎると、序盤も序盤で主人公・ジョンに感情移入してしまいます。何も取り繕っていない、映画であることを忘れてしまいそうになる、いい意味で平凡な毎日が、これは身近に起こる出来事なんだよと教えてくれます。平凡は特別、かげかえのないものであると。
マイケルが発する純粋無垢な言葉や行動が、主人公のお父さんにも私たちにも痛いほど刺さります。死ぬって何?養子って何?まだまだ知らないことだらけのマイケル。パパはずっと一緒。特にロウソクのシーンは、その象徴とも言える。演出も非常に秀逸で、ワンシーンワンシーンに無駄がありません。常にジーンと来てしまいます...。
映画としては少しエピソード不足、物足りなさを感じてしまいますが、95分という短さはとても見やすく、ちょうどいい。一切の間延びなしに、すごく丁寧に描けている珍しい作品かと。登場人物の少なさも功を奏していました。ラストは少し呆気なかったけど、この作風ならありかな。結局エンドロールでは涙が出てしまいます。
お父さんが決して完璧では無いところも共感性が高く、感情移入しやすかったし、笑いを混じえながらもリアリティのあるストーリー展開で、しかも愛に溢れている暖かい映画。上映館少ないですが、誰にでもオススメ出来る秀作です。ぜひ。
ロウソクをもう一本…。
余命僅かなシングルファザーが、息子の養子縁組として新しい親を探すが・・・といった物語。
終始静かな展開の中にも、息子と離れる哀しさや、協力してくれるソーシャルワーカーとの軋轢、事を知ってか知らぬか、ジョンに優しく接する人々などなど、様々な感情が見え隠れする作品。
これは非常に難しい問題ですね。
既に特別扱いしてるというワーカーさんの話もわかるし、とはいえ愛する息子を思えば、決断に至れないジョンの気持ちもねぇ。。
恐らく、自分の置かれた状況は普通ではないとうっすら理解しているであろう息子も、健気で良い子で。
他作品の受け売りにはなりますが、やはりこういうのって子どもを欲しがる大人の気持ちより、その子どもを幸せにできる大人か、って点が重視されるべきですよね。
この人達は自分本位でマイケルを語っているか、マイケル第一で物を語っているか、そんなとこに注目しながら話を聞いていました。
独り者のワタクシがいうのもなんですが、改めて子を持つことの大変さや責任がひしひしと伝わってきますね。その日が近いとわかっていながら、最後まで働かなくてはならないのもまた。
そして、息子の為と言いつつ、別れの決意が出来てなかったのはジョンの方だったのかな。どうかはわからないけど、全てを回収していく流れはググっときた。
涙腺崩壊!とまではいかなくとも、わざとらしく泣かせに来てないところは逆に良いし、涙よりも心にじんわりと熱が広がるような、そんな作品だった。
「ようし亅って何?
幼い男の子、マイケルが父親のジョンに問いかける場面、その後に続いて
「ようし、嫌だ。亅
幼いながらに自分の置かれた状況を理解している姿に、「何々て何??亅
と母親の私に問いかける娘が幼いときの
姿に重なりました。
子どもの純真さ、健気さが共通していると
感じました。
父親が息子にとって最良の選択をしたい
親が子どもやソーシャルワーカーを通しての
たくさんの愛情が伝わってきました。
父親が亡くなっても子どもの健やかな成長を
願う気持ちでいっぱいです。
とにかく男の子が可愛すぎて感情移入
余命僅かなシングルファーザーと幼い男の子の物語。この前提では涙を誘う号泣ものと想像されるけどストーリーは終始静かに流れる。
さりげなく父の苦悩と現実的な男の子の対応が深く、観客に思案を求められる物語。
とにかく男の子が可愛すぎて感情移入
No.1DAD
4歳の息子の里親を探す病気で余命宣告されたシングルパパの話。
マイケル君を保育園に送り窓清掃の仕事をし、里親候補に会い2人の時間を過ごしと繰り返して行くだけといえばそうなんだが、そこでみえてくる里親候補の物足りなさや、決断出来ない葛藤とか、滲み出る機微が堪らない。
更にはマイケル君も健気で賢くて、察している感じだし…。
悲しい話しではあるけれど、あまりそういう感じは前面に出しておらず、優しく温かく愛を感じる作品だった。
泣いた
言葉でなく表情で語る演技とメッセージが素晴らしく、成長したマイケルの姿を見れない悲しさや自分のことを知らないままでいいと言っていたジョンの心情の変化、マイケルは成長してジョンのことをどのくらい覚えてるのかなとかなんか色々汲み取ってしまって泣いた。
子役の子の演技がリアルすぎて凄かった。
大袈裟なお涙頂戴展開でなくて淡々と辛い現実が過ぎていく魅せ方なのは上手いなぁ。
せつなくて、心がギュッとなる。子役の演技が素晴らしい
もし自分がまだ死を理解できないぐらいの幼い子を残して、余命いくばくもなかったどうするだろうか。
自分が親になったとき子どもに死をどうやって伝えられるだろうか。
不治の病に侵された父が自分の死後、息子を家族として迎えてくれる養子縁組先を探すのがストーリーの大筋。
別れはが着実に一歩ずつ近づいてきいている焦りの中で、
最善の養子縁組先を見つけたいという答えのない問いに悩む父親の姿が辛い。
4歳で叔母が亡くなったときのことをふと思い出した。私は死を理解するのが早かったみたいで、
はとこたちが叔母の死が分からず、きょとんとしている中、一人だけワンワンと泣いていたらしい。
ベッドに横たわる叔母に最後の挨拶をした記憶も残っている。
だからこの映画の4歳って設定がとてもリアルに感じた。死を伝えるにはまだ早いが、けっして理解できない年齢ではない。
「何かが違う。何かが起こった。」そんな微妙な空気を感じ取るには十分な年齢だと思う。
映画では息子演じる子役の演技がすごかった。この絶妙な空気を感じ取り、彼なりの反応を示している。
演技とは思えないほどのリアルさがあった。
せつないけど、父と子の一瞬一瞬の大切な時間が詰まっている映画だからたくさんの人に観てほしい。
息子の為に一番必要なことを模索し奔走する父が最後に下す決断
「お見送りの作法」のウベルト・パゾリーニ監督の新作
前作は少しコメディ的要素もあったけど、今回はシリアス直球
4歳の息子を託す里親を探す、余命宣告された父
なんとなく不穏な空気を感じている息子
見守るしかない周囲の人々
お涙頂戴要素一切無し
淡々と静かな視点で綴られる、父子の残り少ない日々
音楽を最低限に抑え、父子の顔のクローズアップを多用したドキュメンタリー寄りの演出が彼らの親密さと、2人が直面している現実の残酷さを際立たせてる
不安に苛まれ、ままならない現実に焦り時に怒りを爆発させながら、息子の為に一番必要なものは何か、模索し奔走する父が最後に下す決断
そこに込められた深い愛情は、確かに息子に伝わっていると感じさせるラストシーン
劇中、なんども父子に心の中でエールを送ってしまう、そんな良作でした
ジョンがマイケルに送った最期の贈り物と笑顔に涙。
人間は金があれば幸せと言うわけでもなく、ふた親が揃っていれば幸せというわけでもない。きっとマイケルはジョンに似ていい子に育つでしょう、そう願わずにはいられません。
号泣
どうにもならない運命と深く溢れ出るほどの愛。
この父子の表情に最初から涙が出る。
余命数ヶ月のシングルファザーが幼い息子の為に選択した養子制度。
息子はまだ「死」というものをどれほど理解しているのだろうか?
父親と離れるという事は解っていても「いなくなる」という事。
新しい家族になる人達への不安、託す信頼を持てない恐怖。
子供が欲しくても持てない人達はたくさんいる。
しかし、本当に他人の子供をなぜ受け入れたがっているかと言うと呆れるような人もいる。
彼の為に今出来る事
その為だけに今を生きる
切なすぎた
泣かせに逃げない潔さ
このストーリーなら滂沱の涙路線に行くかと思いきや 極々淡麗に仕立てた爽やかな逸品。
だから余計に染み入る物語。 こちらの気持ちまで綺麗にさせていただきました。
極上の時間に感謝。
ところで…
レビューにあらすじだの紹介だのと称して大まかなストーリーを書くってまだいるんだね。 アハハ馬鹿なの?
小学生の読書感想文でもあらすじ書いたら笑われるのにさ。
誰も望んでない余計なお世話以下だから。
I like home
おそらく癌?なのかな 周りに助けてもらいつつも孤軍奮闘する姿に、母や祖父母はどうしたん?と思いつつ見た 疑問は少しずつ解消していく 窓から覗く光景も家庭も様々 自分がいいと思ったお家が息子にはベストだろうか、死とは何か伝えるか否かと悩む父の気持ちが痛い程解る 遂には梯子が登れなくなり真っ直ぐに歩けなくもなり...ラマを見て穏やかな表情になるところとか、あまり多くは語られませんが、とても感動的。
下した結論に関しては...
子供目線に屈んでくれてるし、トラックの積荷、お家は少し散らかってるけど妙な見栄もなく、愛情深そうで私もあの方が一番だと思いましたよ マイケル役の男の子の目線の演技が秀逸
切ない
これは切ない!自分だったら、と思うと本当に泣けてきました。全編通して「死」が感じられ色々考えさせられます。この様なお話はいくらでも「お涙頂戴」に出来そうですが、そうではなく、サラッと自然に、美しく悲しい描き方が素晴らしかったです。子役くんの演技も凄い!複雑な表情がとても良かったです!
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