いつかの君にもわかることのレビュー・感想・評価
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邦画にも見習ってほしい、ファンタジーではない演出
「事実に着想を得た物語」
しかし、変に華美にしたり、安易にカウンターとしての悪意を使ってあざとく泣かせるような演出はなく、だからこそ良いです。『おみおくりの作法(15)』もそうでしたが、基本は淡々と進みます。
その中で親身になってくれる人もいれば、マジ助かるよって気遣いをしてくれる人、丁度良いバランスで同情してくれる人もいるし、勿論というか、やっぱりク〇な人間もいます。
でもジョン(ジェームズ・ノートン)には一喜一憂している暇ありません。いやが上にも進む病状と、なかなか見つからない愛する息子を託す人。ここがまさに観ている我々もきちんと意識を持たなければと思わされるポイントです。恵まれている自分は、バランスを取ろうと「意識高い(気な)」ことをするべきだと、現実よりも理想で動きがちで非常に性質が悪い。。けど、自分だってそんなところがないだろうか、と反面教師としての見どころもあります。
そして、何と言っても息子マイケル(ダニエル・ラモント)が可愛すぎて切なくなります。一見おっとりしているように見えて、「よく見ていて」「よく聞いていて」そして「健気なほどに考えて」います。かと言って、ここも余計な「いい子演出」はしません。特に、たまにみせるこれくらいの年頃の子供にみられがちな頑なな自我に、ついつい笑ってしまう可愛さがあっていいのです。特に「赤」への執着、素敵ですw
そして最後のシーン、そうなるよねと思い安心した流れからのマイケルの眼差しに素直に泣ける、こういうのが「良い映画」と思わせてくれる作品です。
空気
予告を見た時点で、辛そうでどうなるかもわかっている感じでしたがとても惹き込まれてみたくてみたくて楽しみにしていた作品。
タイトルがホント秀逸。
人生最大の決断をする父親の話。世の中にこれ以上の決断を迫られることは無いのでは無いだろうか?自分の寿命が終わる前に、この世に残して行く息子をどの家族に預けるのか。養子に預ける家族を吟味する事と、これからの愛しい息子の成長を見届けられない苦しみを受け止めていく過程が丁寧に描かれている。
昼下がりの公園。
アイスの味。
仕事の時間。
絵本を読む。
高速道路。
信号待ち。
父が窓清掃員という職もまた絶妙。
ファーストショットの窓の数々が日常と、この物語を繋いでいくのがまた良い。
様々なシーンが何気ない日常の大切さを気づかせてくれる。いやらしくなりそうなところがジェームズノートンの視線で語るのでなんとも絶妙な美しさを際立たせている。
人生の決断を迫られる時、悩んで苦しんだ時、この作品のことを思い出して見たいと思った。
諦めないこと、逃げない事、気楽に考える事、前に進む事、そんなことをうたう物語や本は多いと思うのだけれど、この物語はそれとは趣が少し違う。
最後の時間は決まっている。
現状で最良の選択をしないといけない。
チャンスは一握り。
自分では無い大切な人の未来を決める。
それが最良だったかは見届けられない。
父の人生最大の決断を見届けて欲しい。
監督がアイアムまきもとの原作者でおみおくりの作法の監督ということで見て見たくなりました。
辛い映画でしたが見てホントよかった一作でした。
人生ベストの一作。
良かった
おみおくりの作法がとても良かったので観たが、期待を裏切らない良さだった。
ジョンがマイケルを諭さねばならないときの向き合い方、すごかった。
・預け先の子と仲良く過ごせず謝らせたいとき
・ぬいぐるみを返すとき(なら渡すな!と思った)
パンフレットにも写真があるけど、マイケルが寝る前の、2人手と額を合わせてのお祈り。
父に死が迫ってて養親探す、とストーリー知ってて観に行ったから、こんな優しく包むように育てられてるマイケルを、ジョンと同じくらい大切にしてくれる人を探すって難しいんじゃないかと不安になった。
それが的中したかのように、養親になりたい(なってる)人ってあんなのしかいないの?と思うレベルの人たちのオンパレード…
ジョンじゃなくても絶望するよ…
自分たち2人しか視界に入ってないようなデブ2人、
ぬいぐるみ返せだの子どもにオレ様の電車は触らせられない等々最低すぎる2人、
すでにたくさんの里子がいるけど、子どもたちがあまり幸せそうに見えない2人…
すでに里子を預かってる人もどうなの?って人ばかりで、うわぁ…ってなった
海外ではどうかわからないけど、
里子も養子も、実親と暮らせない子のための制度で、子が欲しい親に子をあてがうものじゃないと思うんだけどな…
人生の1ピースとして子どもがほしい、
最期に良いことしたと満足したい、
は…?????
実子にしろ養子や里子にしろ、
親に良い人生だったと満足してもらうために存在するんじゃない。
親は子に教育を受けさせる義務とか、幸せになるよう愛し満たしてあげる必要があると思うが、
子には親に対する義務なんてないよ。
最後に選ばれたあの人は、
粗野な印象も否めなかったけど、つらい経験してきた故の優しさもにじむ人柄だった。
最後の笑顔が素敵な人で名前知りたいと思ったけど、パンフレットのローズマリーって人?
ジョンが養親に恵まれたように(度々出てきた老女は養親だと思ったけどちがうかな?)
マイケルも良い人に縁付いたと思いたい。
それにしてもジョンが良い人で、自分の育ちもひどい環境だったのに、自分の子にあんなに素晴らしく向き合える人がなぜ子を置いて亡くならなければならないのか…
ジョンとマイケルがずっと2人で生きていければ良かったのに…
ジョンの担当で一緒に養親探ししてくれた若い方の女性の、立場上守るべき規則とクライアントのジョン、自分の良心の板挟みになってる台詞が良かった。
車の修理をしてくれた人、ジョンの養親だと思われる女性、ジョンの周りにはジョンを想い心配してくれる人がいる。
後任に親切な引き継ぎをできるジョン、怒りを抑えられ、何こいつと思うような養親との面談など、どんな場でも大人の振る舞いができる。
マイケルもきっとそんな人になる。
ジョンの窓拭きにケチつけた仁王立ちクズに天罰が下りますように。ジョン、よくあの場で怒り抑えたよな…
生卵投げつけてくれてスカッとした。
人としての品格、器の大きさは、
下に見てる職業の人を仁王立ちで監視し、料金をケチるような輩には理解できないだろう。
最初やらないという意志が固かった息子への贈り物ボックスに、ひとつひとつ愛おしそうに入れていくシーン、
なぜジョンが病気に、なぜこんな良い父親が息子を残して死なねばならない、涙出た。
マイケルが大好きな赤の封筒に入れた手紙、
息子を捨てて行ったけど、ジョンが彼女を愛したことは事実なんだろうなと感じさせる母親の手袋(中に母子の写真を入れるとこ 涙)
ジョンの最期が満たされたもので不安の少ないものでありますように。
マイケルが幸せになりますように。
赤い風船と黄色いトラック
余命わずかなシングルファーザーのジョンは自分の死後に
幼い息子マイケルが暮らす新しい家族を見つける為に奔走する実話から着想を得た物語
父ジョンは窓拭き清掃員…彼が窓越しにそれぞれの家庭をのぞき見る
恵まれない環境で育ったジョンはどんな思いで幸せそうな他人の家庭を眺めていたのだろう…
里親選びをしながら息子が新しい家族と窓の向こうで幸せになって欲しい…そう願っていたのに違いない
抑え気味な台詞や淡々と進む流れ
父親の深い愛情と健気で可愛らしい息子に
優しく心を撫でられた
帰り際、前を歩く老夫婦が「あの家で良かったなぁ安心したよ」と…私も思わずうなずいてしまいました
献身的なソーシャルワーカーの協力の元
観客達もいつしかジョンと共にマイケルを本当に託せる家族探しに同行してるリアル感に間違いなく入り込んでいたのだろう
マイケル役のダニエル・ダモント坊やのラストの表情は秀悦!
号泣ストーリーになるはずのテーマを実に柔らかい感動に引き寄せてくれた良作でした
いつくしみ深い、宝物のような父と子の絆
命尽きるまでの時間で「息子のために何ができるか」を全力で考え行動する若い父親と、父の思いを全力で受け止めようとする幼い息子との、宝物のような「関係性」と「時間」を追った素晴らしい作品でした。
「泣かせ」の要素はほぼ皆無で、全編非常に抑制の効いた演出が貫かれています。
しかし、父と子が二人で過ごす何気ない日常の描写が、そして息子が時折見せる、何とも言えぬさまざまな表情が、物語を雄弁に語ります。
また、彼ら二人の日常は極めて慎ましく貧しいですが、優しさと温かさに溢れています。
誕生日ケーキの材料をスーパーで買い、手作りケーキにマイケルが赤いロウソクばかり34本挿して祝うシーン、
父のタトゥーと同じようにカラーペンでマイケルが自分の腕に模様を描くシーン、
具合が悪く(あるいは疲れて)寝ているジョンに何度も毛布をかけ直し、それに気づいてジョンが「おいで」とマイケルを抱きしめるシーン、
みんなみんな慈しみ深く、何物にも変え難いプレシャスな時間の描写が紡ぎ出されています。
父親のジョンは窓拭きの仕事をして生活していますが、窓からの人々の暮らしぶりや風景を見て「自分の生活」との差を感じる彼の思い、少しだけ自身の口で語られる、決して幸せとは言えない生い立ちも段々とわかってきます。
それらも併せて映画が投げかけることで、また一段と胸のつぶれる思いにかられます。
大好きなパパと、愛する息子と、二人で過ごせる時間はあと少ししかありません。
残された時間で懸命に息子の里親を探そうとするジョン、連れ回される息子のマイケルにとってそのことは嫌に決まっているし、理解するのはあまりに難しいことだと思うのですが、物語が進むに連れて、4歳の子供が自身の理解力で受容する態度に変化して行く、そんな子供の持つ可能性や希望の片鱗が見える、奇跡のようなラストが待っています。
父が息子に対して、真摯に「これから何が起きるか」を語る場面はこの映画の白眉です。
息子(マイケル)に恐竜が死ぬ絵本を読み聞かせながら、
⚫︎「死ぬ」こととはどういうことで、
⚫︎それは生きるものにはすべて避けて通れないことであり、
⚫︎「死んだら中身は空っぽで身体だけになる」ことを、
説明の時間の少し前に虫が死ぬことを体験した息子にもわかるよう、きちんと説明します。
(4歳のマイケルには死の説明が悲しみに直結する程の感情の醸成がない分、かえって理解できることになるのではないかと感じました)
ジョンが未来のマイケルへの手紙や思い出の品、写真を箱に準備しているシーンは「いよいよなのか…」とこちら側も覚悟を求められますが、こんな風にきちんと準備することの大切さも、スクリーンを通してとても素直に頭に入ってきます。
過剰な演出や台詞が盛り込まれる映画も多い中、説明的演出をきっぱりと排除し、削ぎ落とされた映画の中身と、まるで本当の親子と思える主役の父と子の姿は心に深く深く入り込み、この映画の力にとにかく圧倒されました。
最後にもう一つ、情感に訴える音楽が素晴らしいものでした。この音楽の効果もあって、さらに涙が止まらず。ギターのもの悲しい音色が堪りませんでした。
これまで何百本も映画を観ていますが、劇場を出た後に思い出し、帰り道にまた何度も泣いた映画でした。今のところ、今年の一番どころかオールタイムベストになりそうな映画です。
これ、来年の分ね
最近、映画で泣きすぎだろ、自分...。
予告から「これ絶対泣ける映画だろ!」と思っていましたが、案の定でした。泣かせようとしてない演出が、より涙を誘う。間違いなく、いい作品です。
このマイケルという男の子がめちゃくちゃ可愛くて、めちゃくちゃ純粋で、こんな子を置いていかなければならないのはあまりにも悲しすぎると、序盤も序盤で主人公・ジョンに感情移入してしまいます。何も取り繕っていない、映画であることを忘れてしまいそうになる、いい意味で平凡な毎日が、これは身近に起こる出来事なんだよと教えてくれます。平凡は特別、かげかえのないものであると。
マイケルが発する純粋無垢な言葉や行動が、主人公のお父さんにも私たちにも痛いほど刺さります。死ぬって何?養子って何?まだまだ知らないことだらけのマイケル。パパはずっと一緒。特にロウソクのシーンは、その象徴とも言える。演出も非常に秀逸で、ワンシーンワンシーンに無駄がありません。常にジーンと来てしまいます...。
映画としては少しエピソード不足、物足りなさを感じてしまいますが、95分という短さはとても見やすく、ちょうどいい。一切の間延びなしに、すごく丁寧に描けている珍しい作品かと。登場人物の少なさも功を奏していました。ラストは少し呆気なかったけど、この作風ならありかな。結局エンドロールでは涙が出てしまいます。
お父さんが決して完璧では無いところも共感性が高く、感情移入しやすかったし、笑いを混じえながらもリアリティのあるストーリー展開で、しかも愛に溢れている暖かい映画。上映館少ないですが、誰にでもオススメ出来る秀作です。ぜひ。
ロウソクをもう一本…。
余命僅かなシングルファザーが、息子の養子縁組として新しい親を探すが・・・といった物語。
終始静かな展開の中にも、息子と離れる哀しさや、協力してくれるソーシャルワーカーとの軋轢、事を知ってか知らぬか、ジョンに優しく接する人々などなど、様々な感情が見え隠れする作品。
これは非常に難しい問題ですね。
既に特別扱いしてるというワーカーさんの話もわかるし、とはいえ愛する息子を思えば、決断に至れないジョンの気持ちもねぇ。。
恐らく、自分の置かれた状況は普通ではないとうっすら理解しているであろう息子も、健気で良い子で。
他作品の受け売りにはなりますが、やはりこういうのって子どもを欲しがる大人の気持ちより、その子どもを幸せにできる大人か、って点が重視されるべきですよね。
この人達は自分本位でマイケルを語っているか、マイケル第一で物を語っているか、そんなとこに注目しながら話を聞いていました。
独り者のワタクシがいうのもなんですが、改めて子を持つことの大変さや責任がひしひしと伝わってきますね。その日が近いとわかっていながら、最後まで働かなくてはならないのもまた。
そして、息子の為と言いつつ、別れの決意が出来てなかったのはジョンの方だったのかな。どうかはわからないけど、全てを回収していく流れはググっときた。
涙腺崩壊!とまではいかなくとも、わざとらしく泣かせに来てないところは逆に良いし、涙よりも心にじんわりと熱が広がるような、そんな作品だった。
「ようし亅って何?
とにかく男の子が可愛すぎて感情移入
No.1DAD
泣いた
せつなくて、心がギュッとなる。子役の演技が素晴らしい
もし自分がまだ死を理解できないぐらいの幼い子を残して、余命いくばくもなかったどうするだろうか。
自分が親になったとき子どもに死をどうやって伝えられるだろうか。
不治の病に侵された父が自分の死後、息子を家族として迎えてくれる養子縁組先を探すのがストーリーの大筋。
別れはが着実に一歩ずつ近づいてきいている焦りの中で、
最善の養子縁組先を見つけたいという答えのない問いに悩む父親の姿が辛い。
4歳で叔母が亡くなったときのことをふと思い出した。私は死を理解するのが早かったみたいで、
はとこたちが叔母の死が分からず、きょとんとしている中、一人だけワンワンと泣いていたらしい。
ベッドに横たわる叔母に最後の挨拶をした記憶も残っている。
だからこの映画の4歳って設定がとてもリアルに感じた。死を伝えるにはまだ早いが、けっして理解できない年齢ではない。
「何かが違う。何かが起こった。」そんな微妙な空気を感じ取るには十分な年齢だと思う。
映画では息子演じる子役の演技がすごかった。この絶妙な空気を感じ取り、彼なりの反応を示している。
演技とは思えないほどのリアルさがあった。
せつないけど、父と子の一瞬一瞬の大切な時間が詰まっている映画だからたくさんの人に観てほしい。
息子の為に一番必要なことを模索し奔走する父が最後に下す決断
「お見送りの作法」のウベルト・パゾリーニ監督の新作
前作は少しコメディ的要素もあったけど、今回はシリアス直球
4歳の息子を託す里親を探す、余命宣告された父
なんとなく不穏な空気を感じている息子
見守るしかない周囲の人々
お涙頂戴要素一切無し
淡々と静かな視点で綴られる、父子の残り少ない日々
音楽を最低限に抑え、父子の顔のクローズアップを多用したドキュメンタリー寄りの演出が彼らの親密さと、2人が直面している現実の残酷さを際立たせてる
不安に苛まれ、ままならない現実に焦り時に怒りを爆発させながら、息子の為に一番必要なものは何か、模索し奔走する父が最後に下す決断
そこに込められた深い愛情は、確かに息子に伝わっていると感じさせるラストシーン
劇中、なんども父子に心の中でエールを送ってしまう、そんな良作でした
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