「知らぬが仏」みなに幸あれ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
知らぬが仏
近年のJホラーでは観なかった感じのおどろおどろしさに惹かれて鑑賞。観る直前に気付きましたが「ミンナのウタ」の脚本の方が今作でも担当されているみたいで、その方面でも期待値が上がりました。
怖かったというよりもめっちゃ笑えた不思議なJホラーでした。怖いところは怖いし、全体的にきっしょいホラーで何度も顔が引き攣りそうになりましたが、途中途中抜けたところがあって吹き出しそうになりました。
目に入れても痛くないを物理的にやろうとするのは気持ち悪かったですし
設定には意外と穴があって、主人公がなぜ東京に戻らないのかというところは気になりましたし、幸せ平等システムをこの歳まで知らされていなかったのは謎でしたし、どこか宙を見ていたりすることに関しては何も明言されませんでしたし、指フェラは悪寒が走りましたし、結構雰囲気だけで片したシーンが多く見られたのは残念だなと思いました。
役者陣は古川さんが抜けすぎてるのか、他の方々があまり上手じゃないのか、バランスはあまり良くないように思えました。
でも棒読みっぷりが逆に胡散臭さと得体の知れない恐怖に繋がっていたのは良かったです。と思いきや、シンプルにあんま上手じゃないんだろうなとプツッと何かが切れるシーンでは笑ってしまいました。役者ってやっぱ大事だなとは思ってしまいました。
あと結構ホラーをやってるのかと思いきや、急にギャグになるのは狙ってるのかな?と思うところが度々ありました。
パンツおじさんがトラックに撥ねられて吹き飛んでいくシーンなんかギャグ漫画みたいにボヨンボヨン跳ねてましたし、ばあさんが全力ダッシュで驚かせてくるのかと思いきや、そのままドアに突撃しまくってましたし、テーブルの下に隠れてるのに丸見えな状態だったり、夢の中で見てる夢でパンツおじさんのダンスに爺さんのボイパにお父さんの畳すりすり(絶対火傷してる)の悪夢みたいにシーンに、息子が幸せのバランスのせいで目から血が出るまでならまだしも、もうギャグ漫画の飛び出し方をしてたので、思いっきり吹き出してしまいました。もう中盤からはそういうものだと割り切って見るのが正解だなと切り替えたのが功を奏しました。
ラストの婆さんの組体操出産はマジで意味が分からなくて置いてけぼりにされましたが、幼馴染が生贄になって幸せが持続していくラストはおぉと唸らされました。
エピローグでその後の幸せどうたらが語られますが、不意に見せるニターッとした笑顔は「Pearl」を彷彿とさせるものが観れました。なんかそこで不思議な満足感が得れました。
作品のバックボーンには少子高齢化と若者の田舎移住とかがあるんだろうなと思いました。
互いが互いの文化を分かり合えないのはしょうがないと思いますが、介護するのは若者の方ですし負担ばかりかかるから、老人が危惧するんだろうなと思いました。ただ街中であんな意味ありげな事を言う婆さんは中々に怖かったです笑
ジャパニーズA24と言われるのも頷ける不気味さが良かったです。真面目にホラーとして見ると意味不明なところや拍子抜けなところがあるので、そこをどう捉えるかによって評価が変わりそうな作品ですが、コメディとして楽しむのが一番だなと思いました。
ジャンプスケアに頼ることなく、しっかりとホラーで勝負してきてくれた作品なので、そういう作品もっときておくれと思った次第です。
鑑賞日 1/25
鑑賞時間 18:35〜20:10
座席 E-2