怪物のレビュー・感想・評価
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胸が締め付けられる。
胸が締め付けられるとはこういうのかと、
なんか初めて感じた。自分が歳をとったせいもあるのだろうが、
何か凄いのを見たという感想。
面白いとか、凄いとかってのとは違う。
どのジャンルかもよくわからない。途中、スタンドバイミー的な感じもしてしまったが、そういうのでもない。
邦画ならでは感じるような。
怪物は誰だったのか。中村獅童演じる親か、クラスのいじめっ子たちなのか。
汚れのない子たちが汚されて、怪物に変えられる。
心締め付けられた。
辻褄合わせっていうか、回収って言葉にしたくないが、映画の作りも内容も思っていたのと違いすぎて、終わりまで惹きつけられました。
間違いなく良品でした。
他の映画と迷ったが、これ見て良かった。
狭い世界のよくあるお話。
これは…警告!…か?
暴力教師…実は…。いじめ…実は…。我々は自分が見聞きした事象を事実だと思う。そして行動する。それは自然だ。しかし…本当に事実に即した対応なのか?「完全な誤解」という危険性はないのか?見る視点を変えれば、見える現象が違ってくる。そういうことは当たり前のことであるはず。我々は理解してるだろうか?我々は常に偏見を有している。そして、SNSの発達は、ある意味、我々の偏見が支えている。偏見が商売のエサになる世の中で、我々は適切な行動を取れているのだろか?少年は…こうあるべき…小学5年生はこうあるべき…我々は思い込んでいるかも知れない。時代の進化は、大人たちだけが影響を受けるわけではなく、子供たちも同時代を生きている以上、影響を受ける。これも自然な論理だが…我々は意識できているか?以前とは違う時代認識のなか、その空気を吸って子供たちは「純粋」に育つ。そして、以前使った定義とは違う育ち方をする。そのことに我々はきちんと向き合えているだろうか?示唆に富んだ映画だ。この脚本はシンドい。さすが!カンヌ脚本賞!BRAVO!🤣
怪物だーれ だったんだ?
予告から何度も見せられていた、印象操作のような必死な母親と重大案件なのにヘラヘラしている笑顔の怖い教師と取り巻く覇気のない教員たち。
冒頭のこの描き方で母親目線の怒りを持たせたかったのはとてもよくわかったのだが、私はどんどん母親に腹が立っていきました。
いいから少しは黙って話を聴けよお前。
相手のペースを待て。急かしてかき乱すな。
あー、ダメだこの母親には感情移入できないや。
そこから目線を変えて罪を着せられ追い込まれていく教師に。
教師パートのラストシーンは一瞬ドキッとしました。
最後は、友達への複雑な想いと学校生活における自分の安全や勇気や母親からの無言の重圧などの色んなことの折り合いがつけられない男の子がついた小さな嘘が「怪物」のようになっていく話として、これまで見ていた2つの目線の「事実」が改めて紐解かれる。
人は大抵の場合、自分の立ち位置からしか物事を見られないが、こうやって映画として目線を変えられても全てを把握など出来ないし、受け手によって解釈が変わる。
起きた事実は1つでも、物事はときに怪物のようになり、台風のようにもなり、太陽のようにもなる。
静かにそう締めくくられるラストシーンが、どうか映画の中のリアルであって欲しいと希望を抱きつつ、静かなエンドロールを迎えるのでした。
結局、怪物などいなくて、みんな必死に生きる1人の人間であるものの、誰の中にも怪物がいて、物事はそうなる可能性をいつもはらんでいる、という風に私は個人的に解釈しました。
素晴らしい作品だと思います。
それぞれの良さが詰まった、バランスの良い作品
是枝監督の作品は好きでほとんど観ています。
期待をせざるを得ないですが、期待通りの作品となっていました。
是枝監督らしく、社会問題を勧善懲悪でなくリアルに描きつつ、
坂元裕二の脚本で観る人を最後まで惹きつけ、
坂本龍一の音楽で雰囲気を一気に持っていく。
それぞれのよさが十二分に伝わってきました。
諏訪湖のショットと音で時間を説明する、
是枝作品には欠かせない、主役である子供たちの活き活きとした演技、
隙間からのぞき込むカメラワーク、など演出も印象的。
ただ、欲を言えば、鑑賞後のモヤモヤがほしかった。
言い方をかえれば、きれいでキラキラした作品であり、是枝監督がいつも描く、現実はこんなに甘くない、というメッセージがあまり感じられない。
期待と、名スタッフが揃うと、あまり挑戦的なところも難しくなるのかな、という印象ももちました。
総じて、映画としては面白く、社会問題としてもありきたりではおるが、うまく絡められている作品でした。
2023年劇場鑑賞74本目
怪物は…
ようやく是枝監督作品の面白さを理解出来た。彼の作品は常に社会性を持って、映画的なファンタジーを作り出す。カンヌが認める才能に気付けることが出来た。彼の本質は社会における欺瞞を映画というファンタジー装置を使って、上手く処理する。成熟した大人のパンクスだと感じた。人間、それも個人としての人間の尊厳は絶対に守られるべきであり、尊重すべき金科玉条である。私たちは社会のために生きる前に、個人として生きる。そして、個人を主にして社会を作る土台が完全に崩れている日本、否、世界だからこそこの作品が輝くのだ。あえて言いたい。日本国憲法は常に私たち庶民であり、国民の側にあり、私たち一人一人が日本の代表である意識を持つことは、大それたことでは無く、むしろ当たり前のことだと、私はこの作品を鑑賞して、感じた。それこそ「穿った」見方だと思う。彼の次作が楽しみである。
怪物は閉鎖的な環境であり、凡庸な個人、個性を全く認めない社会のことである。目玉が二つだと人間、一つだとカタワ扱い、全盲だと障害者、三つ以上だと神か妖怪。カテゴライズにこだわる社会が「怪物」なのである。私たちは猛省し、心情の大改革をすべき現代社会に生きているのだ。同調圧力に屈することなく、楽しく自由に生きて、個人個人が第一に尊ばれる社会がこの未来のない日本には必要なのである。
残酷だけど、ずっとずっと美しい
怪物だーれだ。
映画に出てくる"怪物"は一体誰なのか?
観客はタイトルに引っ張られ、このような考察をしながら映画を観るだろう。
学校の汚れをガリガリと落としている校長か?保利先生か?母親か?もしくは子供たちか?そのような奇妙さが前半この映画に蔓延している。得体の知れない不気味さである。
そして母親の視点、教師の視点となるうちに物語の全貌が少しづつ明らかになる。
教室の真実は大人からは決して見えない。まさにブラックボックスだ。そして大人たちの"物語"によって子供たちは勝手に解釈されていく。
最後に子供たちの目線が描かれる。教室は残酷だ。まだ鎧のない子供への言葉は、ダイレクトに傷付ける。コミュニケーションとは、どうしても加害性をともなう。だからこそ子供たちは、その残酷さも美しさも両方を大人よりも痛いほど知っている。
大人の視点で描かれたトンネルは不気味だ。でも、子供たちからしたらあそこは唯一の逃げ場なのだ。
誰かを怪物に仕立てようとする観客を、私たちをこの映画はまるで批評する。
確かに終盤になるにつれて映画の物語性は少なくなる。そこにはただ社会に揉まれながらも、自分自身で行き場を見つけ出す子供の姿が描かれる。是枝監督らしく、子供たちに優しく繊細にレンズ向けている。よって物語の終盤、観客は子供たちと同じ目線で傷つきながら、それでも美しく共に過ごす。
中盤までは言葉で語りつつ最後はやはり映像で語る。絶妙な塩梅である。
最後はなんて美しいのだろうか。この映画は結局何も変わってないし、変わることなんて出来ないだろう。ただそれでも、最後の映像があるだけで観客は心の底から救われる。
本当に素晴らしい映画はテーマに沿って人が動いていない。必然的にそこに存るのだ。それをカメラでどうにかすくい取る。それを見た人がテーマを勝手に見出す。監督の発言もこのような意図があったのだろう。
怪物は人が生んだもの
技術は高いが危うい作品
破綻のない構成、視点人物を変えていくのも効果を上げており、映画の技術として世界の超一流であることは間違いありません。
また安藤サクラ、永山瑛太、田中裕子、それぞれの演技も堪能しました。
しかし、です。
すでにそうした批判は起きていると思いますが、作中人物がタブーを内面化し、「言えない」状態を相対化せずに作品が終わることは、それがタブーであることの難点を問うことに本当になるのか?という疑問は残りました。
むしろ「それはタブーである」という観念を強化しまうのでは?
しかも、その点は世界の潮流からみてもかなり遅れていますね。
下手をすると、「ミッドナイトスワン」のような時代錯誤で差別の強化を手を貸す作品にも堕しかねません。
日本映画がもう一歩も二歩も進まなくてはいけない点です。
ザワザワします。
子役2人あっぱれです👏
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世の中で起こるあらゆる事由に対し
一点だけを見てはならない
あらゆる角度から見ないと何が正解なのか
本質は何なのか分からないものだと改めて感じます。
いやむしろ正解は1つではないのかも知れません。
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本作は、始めから、不安を掻き立てられ、
モヤモヤさせられ不快になる時間が長く続きます。
全体像が見え、そこに真の「怪物」は誰なのか。
ラストの展開についても見る者に委ねる。そんな感じです。
現代社会の歪みや闇を「小学校」と言う小さな
コミュニティの中で存分に描かれていて
ゾワゾワします。
身近なところに、そこかしこに「怪物」は存在する。
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子役の少年2人がとんでもない存在感を放ち
安藤サクラや田中裕子が霞んでしまうほどです。
常日頃、何かと韓国作品と比較しがちですが
こんな子役たちがいるならば、まだ安心だな。
なんて偉そうに思いました。
テーマは面白いけど長い
怪物というタイトルに惹かれた事と、前評判が高かった事で鑑賞。
途中、瑛太の視点から見た物語になったとこからが見どころだと思うんですが、そこに行くまでがまず長い。
そして、子役2人の関係性が徐々に明らかになっていくんですが、そこからがまた長い。今の尺の半分で十分じゃないかという感じ。
セリフ回しが拙いというか、違和感ある所が諸所目立った。脚本の問題なんですかね‥
怪物、というタイトルも、モンスターペアレントっていう視点、子どもの行動によって、瑛太演じる教師が暴力教師として解雇されてしまう、ってとこからなのかなって思えたけど、物語の本筋はLGBT的な子役2人の関係性って気もするので、タイトル的にどうなのかって感じました。
意味深な火災のシーンも、決定的な描写が無いので、誰が犯人なのかわからず(おそらく子役の1人なんでしょうけど)、縦読みのメッセージが隠されてた作文も、何が書かれていたのかはハッキリとは明らかにならず‥
カット割りも見たいとこを見せてくれない感じで、見てる人の想像に委ねようって事なんでしょうけど、なんか見ててストレスの溜まる映画でした。
感謝!感謝!そして感謝!
断片的な事象としての事実に遭遇した人それぞれの勝手な思い込みによって無意識に作り上げられていく心の中の真実。決して覗き見ることの出来ない相手の心の中。軽々しく伝播されていく無神経で根拠のない噂という名の凶器。自己中心的かつ残酷な言葉の暴力。自分勝手な保身からの責任転嫁。軽んじられる責任感。人間の心の中に無自覚に潜む「怪物」たち。
監督 是枝裕和と脚本 坂元裕二の記念すべき初タッグ作品。「万引き家族」の安藤サクラ、「それでも、生きていく」「最高の離婚」の永山瑛太、「Mother」「Woman」の田中裕子らの秀逸な演技に自然に引き込まれていく。子役二人の瑞々しく自然な演技も素晴らしく坂本龍一の音楽と合わせて記憶に残る作品に出逢えた事に感謝。
怪物ってなに?
噛めば噛むほど味がある
カンヌに輝いた坂元裕二の脚本を是枝監督が撮る。怪物とは誰?怪物とはモンスターなのか?
デストロイヤーなのか?
加害者のことか?
それとも自分と異質な者は皆、怪物なのか?
羅生門を思わせる3幕構成。一幕目の怪物は得体の知れない学校の態度。
2幕目は所謂モンスターペアレントと大人の想像を超える子供たちの態度。子供思いの保利先生が体裁の為に社会から事実上抹殺されてしまうまでの正に全てがモンスターなお話。
そして3幕目が子供達の多様性。自らを受け入れようともがき成長して行く様。
色々と取れる結末ですが、坂本龍一さんの音楽とあいまり、光に向かって行く希望のラスト。それにしても子役の2人、上手すぎます。是枝監督、お見事です。
私には非常に余韻に浸れる一本でした。
ちなみに、きっと猫の死骸のことで嘘をついた女の子は湊くんが好きだったんだろうね。
大人は何にもわかってない
子どもたちが良かった
公開前にノベライズ本を読んでいたので、内容は把握した状態。本を読むこと自体も久々だったけど、本当に引きこまれてあっという間に読み終え、公開をすごく楽しみに待っていました。
上手く言葉には出来ないけど「怪物だーれだ」というワードチョイスというか、これはほんと素晴らしいと思いました。坂元さんの脚本、好きだなぁと。。
湊と依里のシーンが特に好きでした。
起こっている事実はひとつでも、見え方が異なることで真実が変わっていく。
まさしくだなーと。
(これとは関係ないけど ドラマ99.9の中であった内容)
レイトショーで鑑賞後、余韻に浸りたくなり プラプラと少し歩いて、やっぱり映画っていいな と思った夜でした。
好きな監督さん、脚本家さん、役者さんなど、
きっかけはなんでも、これからも『映画』を思う存分楽しみたいです。
ありがとうございました
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